「消費税増税中止の意見書の提出を求める請願」の不採択に対する反対討論 - 市会報告|日本共産党 京都市会議員団

「消費税増税中止の意見書の提出を求める請願」の不採択に対する反対討論

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終了本会議討論
井上けんじ議員
 消費税増税中止を求める意見書の提出を願う80団体からの請願について、私は、日本共産党市会議員団を代表し、これを採択すべきとの立場から討論します。
 理由の第一は、今日の景気と国民生活の実態です。「景気の動向を見て最終的に判断する」とのことであれば、今日到底増税の環境にはありません。8/13内閣府発表の4~6月期の国内総生産速報値は年率6.8%減、ところがこれが9/8になると7.1%減に下方修正。また総務省発表では8/29の家計調査で消費支出が4ヶ月連続で減少、9/30ではさらにこれが「5ヶ月連続マイナス」になっています。10/2の日銀発表の生活意識アンケートでは個人の景況感を示す指標はマイナス20.4、半年連続で悪化、1年半ぶりの低水準、「物価上昇に所得改善が追いつかず家計負担の増加が景況感を冷やした、10%への引き上げ判断は一段と難しくなってきた」等との報道であります。今月21日の政府発表でも月例経済報告で景気の基調判断を2ヶ月連続で下方修正、新聞でも「回復シナリオ総崩れ」と書かれています。世論調査では、9月27・28両日、日本世論調査会で増税反対72%、今月中旬の共同通信社調査では内閣支持層の52%が反対、更に毎日新聞18・19日実施調査では73%が反対等々と報道されています。今でも買うのも売るのも大変なのに、増税すればますます消費が冷え込み、商店・小売店など廃業倒産が増えるのは必至です。地域から商店が無くなりシャッター通りと買物難民が増えるばかりではありませんか。
 第二に、消費が落ち込み売れ行きが落ち込めば、せっかく創った物が売れない、過剰生産、金融緩和しても設備投資に回らない。大企業のボロ儲け資金が内部留保金や株主配当、役員報酬の引き上げへ、そして投機に回り実体の裏付けのないマネー経済の拡大、更には新たな需要を求めて企業の海外進出、国内経済の空洞化、等等、ますます際限のない悪循環に陥ることは明らかであります。消費税増税を中止し、正規雇用拡大、賃上げ、中小企業支援など国民の購買力を高め、国内での需要と消費を喚起し拡大することこそが景気回復と経済成長への道であります。
 第三に、消費税は低所得ほど負担の重い最悪の逆累進税制で税金の集め方としては最悪です。本来、税金は高い所得からは高い税率で、低い所得からは低い税率で出し合う応能負担、累進税制が原則で、消費税は真っ向からこの原則に反します。仏革命と言えば1789年ですが、その時の人権宣言13条には「租税は‥その能力に応じて」と謳われています。憲法第14条の平等原則は、租税面で言えば、能力に応じた平等を意味すると言われています。即ち憲法の原則に則った税金の集め方として、応能負担が導き出される訳であります。所得が低いほど負担割合が高くなる消費税は、所得再配分機能という税制の役割を逆転させ、税制面からも格差拡大を助長しています。
 第四に、消費税増収と裏腹に、法人税率引き下げ、課税ベースの縮小、税額控除、受け取配当金利益不参入等、大企業への政策減税や租税特別措置、また富裕層への所得税最高税率引き下げ等等により、この20年、所得税・法人税は、併せて約18兆円もの歴史的な落ち込みです。この数字が消費税増収分以上に大きいため、全体として国の税収は落ち込み、これでは一体何の為の財政改革かと言わなければなりません。この政策を続ける限り、国の税収の一層の落ち込みか、それとも所得税法人税の減収分の穴を埋める消費税の一層の増税への道しかありません。国民生活の一層の疲弊と不況の深刻化に留まらず、大企業の利益拡大が税収増に反映せず、税収の空洞化が進行します。ますます消費税に頼ることになり、それこそアリ地獄、悪魔のサイクルとも言うべき方向です。税金の集め方と税制・財政がますますイビツになっていくでしょう。消費増税を中止し、所得税収法人税収の回復を図る道、大企業と富裕層への減税政策をやめ、以前の税率に戻し、所得にふさわしい応分の負担を求める道こそが、財政再建・財政健全化への道であります。
 第五に「社会保障に要する経費に充てるものとする」と消費税法で規定されていますが、しかしその社会保障は後退と改悪の連続ではありませんか。そもそも消費税は目的税でも特定財源でもありません。総計予算主義の立場から言えば、消費税収入も他の収入源と一緒に国の財布に入った上で、それぞれの支出に充てられていくだけで、そもそも何に使うなどと、実際上は言えるはずがありません。この規定は単なるスローガン条文であって、お金に色はついていません。仮に充てられたとしても、その分、従来、社会保障に充てられていた財源が他へ回されれば、結局社会保障の充実には繋がりません。むしろ実際問題としては、増税関連法付則18条の「増税分は成長戦略に配分する」との規定の方が、具体化されているように思えるほどであります。
 第六に、本当に財政危機と言うなら、税金の使い方の検討も必要です。軍事費は、今日、専守防衛の枠を超えて、攻撃型兵器や装備が常識になっています。歴代政府の、日本を守るためとの理由は、今日、大幅にその枠を超え、日本が攻めに出かける為の軍事予算となっています。リニア新幹線もまた、JRの負担とは言いながら、公的支出もゼロではありません。過大な需要予測に基づく高速道路計画なども見直されるべきであります。政党助成金は、自ら汗をかき、国民と苦楽を共にして有権者個人からの浄財で支えられるという政党活動の本来のあり方を歪めるもので、即刻、廃止されるべきものであります。
 従って最後に、歳入歳出を含め、総合的で多面的な角度からの検討が必要です。なぜ消費税増税にだけ議論が集中するのでしょうか。そもそも、財政危機と言われますが、その危機は誰が造ったものでしょう。国民には何の責任もありません。歴代政府と今日の政府が、自分たちが招いた財政危機の責任を棚上げにし、その危機を口実に、国民に負担増を押し付けるのは、全く盗人猛々しいの例えの通りであります。今日の財政危機の原因の分析、税金の集め方使い方の総合的な検討が必要です。とりわけ、大企業の富は中小企業や労働者の汗の結晶ですから、社会に還元されて当然です。この点での検討と改善が不可欠であります。
 その他、医療機関への悪影響、賃金と外注費の違いから非正規労働者が増えること、輸出大企業の輸出還付金ボロ儲けの問題など、論点はまだまだ沢山ありますが、主な理由だけに絞りました。以上、日本共産党は、本請願は、誠にもっともな内容だと考えておりますので、速やかに採択し、京都市会の名で、政府に意見書を提出すべきと考えます。皆さんのご賛同を期待し、討論を終わります。

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