子ども・子育て支援新制度関連条例についての討論 - 市会報告|日本共産党 京都市会議員団

子ども・子育て支援新制度関連条例についての討論

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終了本会議討論
加藤 あい議員
 日本共産党議員団提案の議第260号修正案及び議第261号児童館及び学童保育所条例の一部改正並びに、議第262号に賛成し、議第258号幼保連携型認定こども園の基準に関する条例、議第259号並びに議第260号の原案に反対との態度を表明しております。私は日本共産党市会議員団を代表して討論を行います。
 議第258号、259号、260号、261号、262号は子ども子育て支援新制度の関連条例でありますが、まず、第一に、学童保育について述べます。議第261号の条例改正で学童保育の対象が小学校3年生もしくは4年生までから6年生までに引き上げられることになりました。各地で子どもを狙った事件が起きている中で対象学年の拡大は保護者からも歓迎を持って受け止められています。また、今まで、条例という形で定められていなかった学童保育の基準について、それを規定するということ自体は重要であると考えています。
 問題はふさわしい施設や設備、職員の体制かどうかです。
 児童福祉法には放課後児童健全育成事業は「子どもたちの適切な遊び及び生活の場を与えて、その健全な育成を図る事業をいう」とあります。子どもたちの適切な遊びと生活の場、健全育成にたる環境・体制がもとめられています。
 しかし、議第260号の原案で示された基準は決して十分とは言えません。
 まず、施設・設備についてです。示された基準では児童一人あたりの面積が1.65平米・畳一畳分にとどまっています。これは、認可保育所の幼児・満二歳以上の児童の最低基準1.98平米をも下回っています。しかも、この1・65平米には児童館事業部分もいれてよいとの考え方をとっていますから、実際は大変狭隘な基準となります。
 放課後ほっと広場の保護者からは「水道も湯沸しも洗濯機もないところもあり、職員体制も嘱託とアルバイトでよく事故が起こらないものだ」との切実な声が寄せられています。「静養室のあるところはおそらくないだろう」との当局のお話でしたが、子どもたちがしんどい時に休むスペースすら確保できないような状況は放置しておくことはできません。
 思い切った改善が必要であります。基準を巡り、市の責任について言及する答弁がありました。ふさわしい施設・設備の整備を行うことを求めます。
 次に職員配置についてです。今回の基準について当局からは「後退になるとは思っていない」とのご説明でした。40人の子どもたちに対応する専門職が「補助員」でよいのでしょうか。専門職としてしっかり位置づけて、抜本的な処遇改善を図っていく方向を持つべきだと考えます。基本給月額11万円、14万円、一生懸命子どもたちのために働いているその現場が、結婚して、子どもを産み育てられるような処遇とはなっていないのです。児童館学童関係者から「指導員の処遇向上には関係者の積年の思いがある」と聞きました。この思いに答えるべきであります。
 第二に、保育についてです。
 親も子も専門性の高い保育を望んでおられることは言うまでもありません。
認可外保育所の児童の死亡率が高いのは無資格者が保育に従事する割合が高いなど専門性が蓄積されにくいことが要因と推認されると日弁連から指摘がされています。子どもの命と安全を守り成長発達を保障するというのは極めて専門性の高い仕事です。だからこそ、認可保育所では配置基準における職員を保育士と規定しているわけです。
 しかし、今回、家庭的保育や小規模保育、事業所内保育について保育士資格を持たない保育を認める規制の緩和が行われようとしています。認可保育所では保育士による保育、しかし、小規模ではそうではない。これでは子どもたちが受ける保育に格差を持ち込むことになるではありませんか。国の方でも主婦を「子育て支援員」として活用する計画などというのを打ち出していますが、大事なことは、専門職である保育士をしっかり確保できるだけの処遇向上を図ることではないでしょうか。自園調理や設備の面でも同じ問題があります。認可保育所の基準から後退させるのではなく、その認可保育所水準を維持し、小規模などに広げてこそ、「子育て日本一」と言えるのではないでしょうか。
 9月15日、「ほんまもん日本一の保育・学童保育がいいなあアピールパレード」が行われ、400人が集まりました。「保育に格差を持ち込まないで」「ほんまもんの日本一の保育子育てがいい」というのが保育・学童関係者や保護者の声であります。子どもは未来の社会の担い手であり、今を生きる社会の宝です。
 OECD・経済協力開発機構のスターティングストロングという幼児教育保育についての大規模な調査報告では、すべての子どもたちに質の高い保育を早期から補償していくことの大事さが言われています。国が公的保育の後退と市場化を進めようとしているときだからこそ、国のその立場に反対の声をあげ、自治体として保育の水準を守り向上させていくことが求められています。
 以上申し述べ、討論といたします。

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