日本共産党議員団は、自民党、民主・都みらい、公明党、京都党などから共同提案されている、「子ども・子育て支援新制度における幼児教育・保育等の『質の向上』に関する意見書(案)」に反対し、「子ども・子育て支援新制度の撤回を求める意見書(案)」に賛成していますので、私は日本共産党議員団を代表し、その理由を述べ、討論します。
政府が来年度から施行しようとしている子ども・子育て支援新制度は、保育に対する国と自治体の責任を後退させ、保育への企業参入を拡大するものです。「公的保育制度を守れ」という関係者や国民の大きな運動があり、児童福祉法第24条第1項には市町村の保育実施責任が謳われました。
しかし、新制度では事業者と利用者の直接契約が導入されるとともに、認可保育所、幼稚園、認定こども園、小規模保育、家庭的保育などさまざまな保育形態が設定され、それぞれの形態によって職員配置や職員の資格の有無、職員処遇、施設面積などの基準が異なります。
これは、保育の質の格差をつくるものであり、「すべての児童はひとしく保育を受ける」という公的保育制度の根幹を壊すものであります。また、新制度は、「子育て支援」「待機児童の解消」「すべての子どもたちが保育を受けられる」がうたい文句ですが、認可保育所を増やすのでなく、また、保育者は全員が有資格でなくても了とするところもある等、公費負担を抑えた安上がりな保育では「安心して 子どもを預け働ける保育環境を」と願う保護者の要求に応えることはできません。
保護者の安心と、子どもの最善の利益を保障するためには、国や自治体が基準や財源に責任をもって、就学前の保育・教育は実施されるべきであり、保育の最低基準の引き上げやそのために必要な予算の確保が不可欠であります。これらが満たされていない新制度は認めるわけにはいきません。
また、そもそも、この新制度は2012年8月、当時の民主党政権と自民、公明の3党合意によって、消費税増税をすすめた「社会保障と税の一体改革」の一環として、強行されたものです。制度実施の財源は消費税10%を前提としています。しかも、当初予算で必要とされていた1兆1000億円の財源は約4000億円も不足し、保育士の処遇改善は0.5%アップの予定が0.3%アップと減らされる、職員配置基準も3歳児の基準引き上げのみとされる等、求められている保育士不足の解決や保育の質の向上を実質先送りするものです。
現状では、実施前から新制度は破たんしていると言わざるを得ません。なによりも、子育て支援といいながら、財源確保は消費税増税でというのは、経済的負担の軽減を求める子育て世代のくらしの実態や願いに逆行するものです。必要な財源は消費税でなく、政党助成金の廃止や原発推進、軍事増強等の予算を減らすなどして確保すべきです。
4会派などの共同提案にある、待機児童の解消や保育士確保、処遇改善などの保育の質の向上が重要であるという点は同じ認識ですが、提案は、子ども・子育て支援新制度の円滑な実施を前提とするものであり賛成できません。
子ども・子育て支援新制度を撤回し、国と自治体の保育実施義務を明確にした現行制度を拡充した保育制度とするよう求めるわが党提案の意見書(案)に同僚議員のみなさんの賛同を呼びかけまして、討論といたします。