西京区選出の河合ようこです。日本共産党議員団を代表して質問します。
子どもの医療費助成制度拡充を
子どもの医療費助成制度拡充を
はじめに、子どもの医療費助成制度について質問します。
「子育てにかかる経済的負担の軽減」は子育て世代の強い願いです。医療費助成については子どもの命に関わるものとして、市民の運動が広がり、制度は少しずつ改善されています。しかし、通院は3歳を超えると月一人3千円の自己負担となり「兄弟で一緒にかかると大変」「月末はお金のことが心配」「教育費もかかるし、部活で怪我した時一旦は払わないといけない」と通院助成のさらなる拡充を求める声は切実です。現在、府内各自治体が府の制度に上乗せをし、中学卒業まで無料、高校卒業まで無料など拡充されている中で、本市は府の制度に上乗せしていない唯一の自治体です。「他都市に引っ越した方がいいのか」という声も聞きます。府知事は「中学生までの対象拡大について市町村との検討をすすめる」と言われています。助成拡充は本市の姿勢にかかっています。市長、助成拡充を決断し、入院・通院とも、一刻も早く中学校卒業まで無料にすべきです。市長の明確な答弁を求めます。
(藤田副市長)子育て支援の大きなテーマ。中学卒業まで200円とするには多額の経費が必要で直ちに実施は困難。実現可能かつ効果的な制度となるよう府と協調し検討する。国補助創設を要望する。
子ども・子育て新制度の撤回を求める
次に保育について質問します。
政府は新たな保育制度=子ども・子育て支援新制度を来年4月から実施するため準備をすすめています。子ども・子育て新制度は、保育に対する国と自治体の責任を後退させ、保育への企業参入の拡大、職員配置や施設の最低基準の緩和、保育格差の拡大など公的保育制度の根幹をこわすものであり、日本共産党は反対しています。
新制度実施に必要とされていた当初予算1兆1000億円は確保できず、職員配置基準や保育士の処遇改善など質の向上は先送りされる等、制度は実施前から破たんしています。
保育士不足の対策として提案された「准保育士」資格の導入については、保護者団体から「親が安心して子どもを預け働ける環境を奪う」「子どもの安全のためにも処遇改善など保育士が働きつづけられる環境整備を」と要望書が出される等、関係者からさまざまな疑問や批判の声が上がっています。市長、政府に対し、子ども・子育て新制度の実施撤回を求めるべきです。いかがですか。
(藤田副市長)新制度は、幼児教育・保育の総合的な提供、保育の質の向上と量的拡大、子育て支援の充実のため実施される。昨年7月、市子ども・子育て会議を設置、幼児教育・保育の幅広い関係者の参画で審議、円滑に移行できるよう取り組む。
待機児解消は認可保育園の増設で
本市の保育現場はどうでしょうか。私は、「保育所に入れずやむなく仕事をやめた」という方や、「育児休職期間はこれ以上延長できない、入所が決まらなければ退職せざるをえない」という方の相談を受けました。まさに、死活問題です。本市では保育所の新設・増設をすすめてきました。一方で、定員外の入所を拡大し、定員外は5年前の1896人から昨年度3291人、と1.75倍、入所児童全体の12%にも上ります。子ども一人あたりの面積は狭くなり、保育士増員は非常勤で対応、調理師は増えないという実態です。本市は「定員外入所は限界だ」と言いながら定員外の受け入れ拡大で子どもや職員に大きな負担を強いています。保育所建設がもっと必要です。市長は本年2月市会で「公営保育所をさらに民間移管する」「認定こども園に移行する」と言われました。公営保育所の廃止や定員削減は待機児童対策に逆行するものであり、認定こども園への移行は公的責任の後退です。自治体が入所に責任を持つ認可保育所の新設を市の責任でさらにすすめるべきです。いかがですか。
また、資格のある保育士は半分でよいとする小規模保育の導入など、施設や事業によって基準が変えられようとしています。どこに預けても同じ保育水準が確保できるよう職員配置や施設などの基準は認可保育所基準を下回らないようにすべきです。いかがですか。
(市長)6年間で49カ所の保育所の新・増改築等で3300人入所児童数を拡大、質量ともに全国最高水準の保育環境を確保した。民間保育園等の協力関係を拡充し、保育所整備をはじめ様々な手法を活用し待機児ゼロの継続に向け取り組む。小規模保育事業が創設されるが、保育士有資格者の配置については現行の市基準を確保する考え方を子ども子育て会議に示している。
保育士不足解消へ、処遇改善に責任を持て
待機児童解消には保育士確保が不可欠です。しかし、保育士不足は深刻で「正規職員を募集しても人が集まらない」「保育士がなくて途中入所が受入れられない」という園長先生のお話をよく伺います。
潜在保育士の活用が検討されています。資格はあっても保育士をしていない「潜在保育士」ですが、なぜ「保育の仕事を希望しない」のか。昨年5月の厚生労働省の調査では、「賃金が合わない」が47・5%と一番多く、「責任の重さ・事故への不安」が40・0%です。『賃金構造基本統計調査』によると、保育士の給与は全業種の平均より月約10万円以上も低くなっています。保育士確保には賃金など責任に見合った処遇の改善が喫緊の課題です。
本市では、民間保育園のプール制が変えられて一時金カットや昇給停止せざるをえない保育園がでてきています。「本市の民間保育園職員の給与は全国トップレベル」「プール制予算は増額している」「8割以上の保育園が増額だ」と市長は強調されますが、保育園の数も入所児童も増えれば予算増額は当然です。問題は経験年数の長い保育士が多い保育園では市の補助金が減額となっていることです。ベテラン職員も若い職員にも先行きに見通しがもてない状況が広がっています。
今年度プール制制度変更による激変緩和措置が終了します。消費税増税で約300万円も影響が出るという保育園もあるなど、保育園運営はさらに厳しくなり、職員処遇の低下が危惧されます。これでは保育士不足は解決しないのではありませんか。
保育士が安心して働き続けられる処遇を保障するために、以前のような統一給与表を作り、どの保育園でも経験年数に応じて昇給していくしくみをつくること、必要な財源は本市が確保することを求めます。いかがですか。ここまでの答弁を求めます。
(子育て支援政策監)プール制は民間保育園の創意工夫をより発揮できるよう、ポイント制を含む新たな制度として導入。定着し効果的に運営されている。40億円をこえる税金を投入し、保育士の年収は全国平均の1.4倍トップ水準。
待機児童ゼロとの答弁がありましたが、保育所に入所できず仕事を辞めざるを得なかった方もおられます。仕事を探している方や、仕事の関係等で特定の保育園を希望し、入れなかった方は待機児童にカウントされていません。実際には入所を申し込み、入れなかった方は900人を超えています。市の責任で認可保育所を増設するよう求めておきます。
京都市立芸術大学の移転について
京都市立芸術大学の移転について
次に、京都市立芸術大学の移転について質問します。
本市は、市立芸術大学の下京区崇仁学区への移転方針を決めました。芸大の地元・大枝の方はもちろん、洛西地域をはじめ西京区民は衝撃を受けています。
さかのぼると、1980年に現在地へ芸大が移転する際、大枝の方達は先祖代々引き継いだ土地を提供し、農業中心だった生活を転換するという大きな決断をされたのです。そして、芸大生のための住戸を建て、「ピアノが弾けるように防音の部屋に」するなど芸大生が学び暮らしやすいようにと心を砕いてこられました。芸大の移転は地元の方の生計に影響する大問題です。芸大の移転計画については2012年10月に大枝自治連合会から「芸術大学は引き続きこの地にとどまる」ようにとの要望書が提出されています。そこには『市立芸術大学整備・改革基本計画』について京都市から地元住民には何等情報提供がなかったこと、移転構想について住民に説明がないまま進められてきたことへの憤りと芸大への地元の思いが語られています。大学側から移転の要望書が提出された2013年。この年の8月には西京区全学区の自治連合会長連名で要望書が提出されており、「西京区の将来にマイナス面の大きな影響を及ぼす」「芸大の移転は大変遺憾である」と書かれています。そうした中での今年1月の芸大移転方針の発表でした。地元の要望を反映したとは言い難く、「納得・合意」の上とは言えません。また、方針発表にあたっての広報には大学側と下京区からの要望書についてのみ触れられ、西京区から要望書が出されたことには一切触れられていません。
市長は、「跡地活用や西京のまちづくりについて住民の意見をきいてすすめる」と言われており、今後、『西京区・洛西地域の新たな活性化協議会』(仮称)で検討される方向ですが、こうした地域の方々の要望にしっかり応える責任が本市にはあります。協議会を待たず、芸大の西京区への移転の際ご苦労された地元の方々、芸大生がいることで生業が成り立っている方々の意見や要望をつぶさに聞いて対応するよう求めます。いかがですか。
移転は約10年後とされています。現在の大学の施設整備や移転の要因の一つとされた交通問題は今までに解決すべきだったことではありませんか。「演奏の練習場所がない」「声楽科の音は端まで響く」など学生の声もある大学施設の防音対策や耐震化、バリアフリー化などは数年来の課題であり、学生が安心して学ぶ環境として急いで整備されるべきです。いかがですか。また、交通問題では、計画されていた地下鉄建設はおろか、芸大まで通っていた市バス路線はなくなり、今は民間バスのみです。均一区間で学生が使える市内フリーパスの定期も使えません。美術館やコンサートホールへの交通費も高く、学生にとって大変な負担です。均一区間フリーパスの大学生定期を芸大生にも使えるようにすべきです。いかがですか。
(塚本副市長)移転は芸大の発展、京都の都市格と魅力の向上、京都全体のまちづくりに大きな役割。西京区の未来を切り開く契機とする。西京区・洛西の活性化策については、地元代表、商業施設、研究機関、学識経験者の参画で懇談会を設置、地域のいろいろな立場から広く意見を聞く。
芸大の施設整備はこれまでから屋上防水や空調修繕など行っているが、二重投資にならないように環境整備に努める。大学生定期券は芸大生だけの問題でなく、民間バス事業者の同意を得ることは難しい。
西京区・洛西ニュータウンのまちづくりについて
次に、西京区・洛西ニュータウンのまちづくりについてです。
イオンモール桂川店の開店が今年秋に迫る中、交通渋滞での環境悪化を心配される声や、地元商店から客離れを心配する声を聞いています。他都市で地元の商業施設が撤退している事例をきいて、洛西ニュータウンでは「ラクセーヌや高島屋洛西店が撤退してしまわないか」と住民の不安が広がっており、西京区内全域でも「近所のスーパーがつぶれないか」と心配されています。今でも消費税増税前に閉鎖した店舗もあるなど、洛西ニュータウンでは、新林・境谷・福西・竹の里のサブセンターの店舗は閉店が増えているため、バスに乗ってラクセーヌ・高島屋洛西店に行かれる方が多くおられます。ラクセーヌ・高島屋は住民の暮らしを支える重要な商業施設です。カートを押しやすいように店内の空間を広くしたり、買い物途中に休めるベンチを増やす等の工夫がされ、高齢者が憩う場としても大事な場所になっています。市内平均よりも高齢化が進んでいる洛西地域は大型店出店により地元商店が影響をうけると、地域で暮らすのがますます困難になることは明らかです。本市は2011年に洛西ニュータウンでネットスーパーの社会実験を行ないましたが、結果を生かした対策は講じられていますか。高齢の方も「自分で直接選んで買いたい」という声を聞きます。また、買い物はものを買いに行くだけでなく、コミュニケーションの場でもあります。近くに買い物する所がなくなれば、人と話をする機会まで奪われてしまいます。最低でも家の近くで買い物できるまちづくりが求められています。とりわけ洛西ニュータウンは京都市が作った街です。住宅供給公社が運営しているサブセンターやラクセーヌの店舗は「賃料が高くて苦しい」との声も聞いています。竹の里学区では「生鮮食料品販売店がなくなった」「買い物難民対策を」等の要望は切実です。例えば店舗の賃料を下げるとか、移動販売車や販売コーナー設置など、本市として身近な商店などを確保するための具体的な支援を求めます。いかがですか。
(産業観光局長)イオンモール開業後も店舗が営業を続けられるよう賃料減額やニトリの誘致を進めている。買い物環境支援事業も進めている。地元農家や自治会、商業者等と連携し、にぎわいづくり、地産地消など身近なお店で楽しく便利に買い物できる環境づくりを進める。
西京区の交通問題改善を
次に交通問題です。西京区ではこの間、道路の整備は進んできていますが、車に乗らない人も増え、通勤通学、通院、買い物をはじめ地域で元気に生活していくためにバスは「なくてはならない住民の足」になっています。住民から公共交通の充実を求める多くの声が上がっています。たとえば、洛西ニュータウン創生推進委員会の住民アンケートではニュータウン内に巡回バスがほしいという要望が一番多く、大原野学区からはバス停までが遠いので地域内のシャトルバスの運行をという要望が出されています。西京の東部や北部では区役所まで行けるバスがほしいという要望をよく聞いています。ぜひ、西京区民の要望に応えた巡回バス・シャトルバス、区役所など公共施設へのバスの運行を本市として実施するよう求めます。いかがですか。
(小笠原副市長)洛西地域ではバス事業者と協議し、鉄道との乗り継ぎも配慮した運行、市バスの増便など利便性向上に努めている。財政が厳しく、路線拡充には一定の利用が不可欠。公共交通の利用を主体的に考え、実践するモビリティマネジメントを展開していただくことが重要。市、事業者、地域と一体に利便性向上を図る。
敬老乗車証の民間バスとの共通化を
最後に敬老乗車証についてです。
西京区には市バスと3社の民間バスが走っていますが、敬老乗車証が民間バスに使えるのは市バスが走っていない地域に限られています。市バスが不便な地域の住民からは「民間バスにも敬老乗車証が使えるように」と繰り返し市に要望されています。3年前、局内プロジェクトチームができ、住民は民間バスへの利用拡大が検討されていると期待してこられました。しかし昨年発表された市の考え方は『市バスの運行本数が極端に少ない地域等においては、民間バス事業者の理解と協力の下、利用者の選択の幅が広がる方策を検討する』というものです。不便な地域の市バス路線拡充もせず、敬老乗車証の民間バスとの共通化もしないのでは、住民の願いに応えたことにはなりません。高齢者は年々歳を重ねられ、待ったなしです。敬老乗車証の民間バスとの共通化は早急に実現すべきです。いかがですか。
加えて、高齢化がすすむ中、敬老乗車証の役割は本当に大きくなっています。買い物した荷物を持って一区間でもバスに乗られる方もおられます。毎日通院されている方もあります。本市は敬老乗車証の制度を「乗る度に負担が生じる制度」に変えようとしていますが、そうなれば、乗り控えせざるをえなくなり、高齢者の健康、外出の機会を奪うことになりかねません。高齢者の社会参加を支援し、高齢者の福祉の増進に寄与するという敬老乗車証の目的は達成されません。応益負担の考え方は改めるべきです。以上で、質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。
(保健福祉局長)敬老乗車証制度の基本的考え方では、応益負担への転換とともに、市バスの運行本数が極端に少ない地域等においては民営バスとの選択を可能とすること等を柱としてとりまとめた。今後十分時間をかけて検討する。