洛西ふれあいの里保養研修センターの廃止条例に対する反対討論 - 市会報告|日本共産党 京都市会議員団

洛西ふれあいの里保養研修センターの廃止条例に対する反対討論

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閉会本会議討論
河合ようこ議員

 日本共産党市会議員団は、議第85号「洛西ふれあいの里保養研修センターを廃止するための関係条例の整備に関する条例の制定について」に反対しておりますので、その理由を述べ、討論致します。
 洛西ふれあいの里保養研修センターは、国際障害者年京都市行動計画のもと、障害者施設などとともに洛西福祉ゾーンの一施設として平成6年、京都市政100周年記念事業で建てられました。「多くの市民とのふれあいを通して、障害者の福祉の増進、高齢者の保養及び健康の保持並びに社会福祉に関する市民の活動の促進を図るため」の施設です。
 本議案は、洛西ふれあいの里条例そのものを廃止し、洛西ふれあいの里保養研修センターで実施している宿泊や貸館事業、介護研修や福祉機器の展示・相談、健康増進室などすべてを来年3月末をもって廃止しようとするものです。その上、貴重な市の財産である土地も建物も民間に売却しようとしています。施設廃止提案に対し、「存続を求める」要望や陳情・請願が高齢者や障害者の団体、桂坂をはじめとする西京区の住民から寄せられています。

 反対する第一の理由は、利用者から「存続してほしい」という切実な声や要望が寄せられているにも係らず、その声をしっかりと受け止めた、真摯な検討がされていないことです。宿泊について、障害者団体の方からは「集まって会議し、泊まって交流できるのはここしかない」、府内の総合支援学校の先生からは「『きざみ食』やすりつぶし等利用者にあわせた食事を作ってもらえる。貸切にしてもらえ、安心して利用できる」と喜ばれています。京都市は、民間宿泊施設のバリアフリー化が進んだといいますが、同センターと同等の低廉な利用料の施設を示すことはできませんでした。「ふれあいの里保養研修センターのようにバリアフリーの部屋が5室もあるところは他にはない。あっても高くて利用できない」と当事者が言われているではありませんか。「施設がなくなったら困る」という切実な声があがっています。他に代わる施設はないのです。これまで利用されていた方が安心して利用できる施設が確保されていない中での、廃止はあまりにも無責任であります。
 貸館や健康増進室については、地元桂坂をはじめ西京区の住民に良く利用されており、地域に公的な施設がこのセンターしかない桂坂の住民にとって廃止は大きな痛手です。京都市は廃止した上で、地元に配慮し「代替施設を確保する」として、売却にあたり「多目的スペースの確保」を要件にするとしていますが、これまで同様に利用できる保証はなく、民間では利用料が上がる等で利用しにくくなる可能性があることは否めません。老人クラブや地元のサークルなどからの「この施設がなくなったら実質活動ができなくなる」との不安は解消されていません。また、健康増進室の機能はなくなります。市の担当者、はマシンを使った運動は「民間のスポーツジム等の利用を」との考えを示されました。「介護保険を使わなくていいように、健康でいたい」という利用者の声に背を向けるものです。

 第二に、介護研修や介護・福祉機器の展示を長寿すこやかセンターに移すことで現在の機能が後退しかねないからです。現在展示されている介護・福祉機器600件余りは長寿すこやかセンターには展示されず、実際に見たり体験したりして選ぶことができなくなります。さまざまなメーカーの機器の中から相談者の要望に応えることができなくなります。高齢化が進展する中で、介護研修はより求められていますが、これまで2ヶ所で実施されていたものが1か所になることで、これまで同センターを利用されていた方は不便になるではありませんか。同センターへの利便性が悪いことが廃止理由にされていますが、交通の利便性を理由に廃止することは認められません。

 第三に、施設のあり方の決定や手続きにおいても問題があります。
昨年10月から行なわれた「同センターのあり方検討委員会」には、バリアフリー施設を最も必要とされている障害者当事者の意見を直接反映される機会はないまま結論が出されました。また、市民意見募集での市民意見の大半が施設存続を求める意見でしたが、その意見にはまともにこたえていません。市民意見に対しての市の考えは市民の意見を受けて検討されたものではなく、「施設廃止ありき」の回答でした。利用者が多い地元住民への説明もされておらず、「広く意見を聞いて市の方針を決定する」との理事者答弁は形式的だったといわざるをえません。加えて、市民意見募集から市の方針決定、議会への説明、議会への廃止提案までが極めて短期間に行われました。市民意見募集しめ切りの10日後には市民意見のまとめと同時に市の方針を決定という手続きはきわめて異常です。

 第四に、現在の指定管理者は2015年度末までの指定管理期間であるにもかかわらず、今年度末での指定期間中の廃止というのはきわめて異例であります。しかも、宿泊や貸館の申し込みは1年前からされており、来年5月までの申し込みもあるもとでの来年3月末での廃止は、京都市への信頼を崩すものになりかねません。また、「採算性の確保が著しく困難」「保養研修センターとして事業を継続する必要性が低下している」ことを廃止理由にしていますが、洛西ふれあいの里保養研修センターは高齢者や障害者が利用しやすい施設として設置されており、利用料で採算をとるしくみでないことは市も認められました。利用者から「京都市の中でこんなに良い施設はない」と評価され、他の自治体の方からも喜ばれています。身内の米寿の祝いでセンターを利用された方が「私の米寿の祝いもここでしてほしい」と言われた話をお聞きしました。京都市が誇るべき施設であります。
 そもそも公共の福祉の増進が自治体の役割です。この施設を必要としている人たちがいるにもかかわらず、採算性を理由に廃止することは、自治体の役割の後退であり、「福祉は後退させない」との市長公約に反するものであることを指摘しておきます。

 以上、洛西ふれあいの里保養研修センターは廃止すべきでない、同センターは存続・充実こそ必要であるということを申し上げ、反対討論と致します。

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