日本共産党市会議員団は提案されました議案の中で、議第1号25年度一般会計予算案、議第3号25年度国民健康保険事業特別会計予算案などに反対を表明しています。以下、関連議案も含め、日本共産党を代表して討論します。
25年度予算案は、京プラン・実施計画2年目であり、基本理念としている「持続可能な行政の確立、財源確保のための財政構造改革」が市民の暮らしにどのように影響するのか問われている予算です。その内容はゆりかごから墓場までの値上げであり、その額は総額14億9000万円の市民の負担の増大であり、市民生活をさらに厳しくするものです。さらに独立行政法人化や委託化などを進め、市職員を大幅に削減することは公的責任を後退させるものであることが審議の中で明らかになりました。以下、具体的に反対理由を述べます。
まず、第一に重点施策に福祉,医療,子育て支援,教育などの充実を掲げながら、子育て世代の暮らしを圧迫する予算となっているからです。
保育料、学童保育利用料、昼間里親保育料など値上げのオンパレードとなっています。保育料の値上げ額は3億1000万円であり、子育て世代にとって、厳しい負担の増大です。子育て支援を最重要課題としながら、保育料収入を現在の67.1%から他都市並の70%程度にしていこうとするもので、「子育て環境日本一」とは到底言えるものではありません。保育料の値上げ案が発表されてから、わずか2週間で1万1,082筆の値上げに反対する署名が集められ、京都市に提出されています。児童のいる世帯の所得はこの10年間で年収70万円も減っていること、値上げは保育料だけでなく、電気・ガス・水道代など生活全般に関わってあるわけですから、深刻な事態なのです。
そして、その保育の担い手となる保育士さんなど社会福祉施設職員の特殊健康診断事業の廃止も提案されています。確かに頚肩腕症候群等が多発していた頃に比べると、保育体制の改善もあり、発症は少なくなっています。しかし、保育士さん達の仕事は楽になっているわけではありません。現場の声も聞かずに突然に補助を廃止し、事業主負担で必要ならやればいいという考えはあまりにもひどすぎます、京都市内の保育園の9割を民間保育園に委託している立場でありながら無責任というものです。
学童保育利用料については、5,800万円の値上げで、今回、初めて最高月額が1万円を超える料金改定となっています。値上げの根拠としては国が想定する運営経費の2分の1相当額の範囲で保護者に負担をお願いするということですが、保育料の場合と同様、他都市並となるのでは、子育て環境日本一とはやはり言えません。付帯決議として、値上げを一年間先送りすることが提案されていますが、一年間のみ値上げを遅らせるだけで、値上げを前提としていることに変わりありません。結局、図らずも値上げが負担増になることを認めているということですが、一年後に学童保育を利用する子育て世代の収入が増える見込みの保障もありません。値上げはやめるべきです。
加えて、子どもの医療費支給制度については、委任払い制度を導入することはかねてより、提案してきたことであり、評価できます。3,000円という限度額の引き下げや対象年齢の引き上げ等、京都府内自治体の施策に追いつくよう引き続き求めておきます。母子家庭対象施策の父子家庭への拡大も歓迎するものですが、母子家庭医療の所得制限の大幅な引き下げは、あらたに対象外となる世帯をつくり出すものであり、問題です。予算枠を増やしての父子家庭への拡大とすべきです。
第二に、市民の厳しい暮らしの実態に目を背けていることです。まず、国民健康保険については、来年度の値上げの提案はないものの、引き続きの高い保険料に市民は苦しんでいます。単年度では黒字が続いています。市長も国民健康保険会計について、「単年度収支均衡が目標」と言われているわけですから、国民健康保険料は引き下げをすべきです。
生活保護の基準の切り下げについては、ぎりぎりで生活する受給者に加え、生活保護基準に準ずる就学援助をはじめ、低所得世帯にも広く影響をあたえるものです。国の保護基準切り下げの動きについて、自治体として「引き下げをやめるよう」声をあげるべきなのに、見守るという態度は市民の命を守る自治体としての役割を果たしているとは言えません。
第三に、重点施策の「京都経済の再生と雇用の創出」において、新たなベンチャー企業等の応援施策を否定するものではありませんが、京都市内の中小事業所をいかに応援していくかという立場が極めて弱いという問題です。市内企業の99%を占め、雇用の70%を担う中小企業の仕事を保障していくためにも、中小企業振興条例を策定し、積極的な対策を講じる必要があります。市長公約でもある公契約基本条例も、市長が信条とするスピード感は、まったくありません。今年度の予算はなく、来年度でやっと100万円という予算に留まっています。「条例制定を待つことなく、ダンピング対策のさらなる強化をはじめ、入札改革を引き続き推進していく」と答弁されていますが、入札改革を進めるために制定するのが条例です。一刻も早い制定で、労働者の雇用と賃金を保障する仕組みをつくるべきです。耐震改修助成制度は9月補正において、各メニューの上限額を減らしましたが、上限額を元に戻し、予算も増やすこと、さらに、雇用と地域経済の活性化への効果はすでに他都市でも試され済みである住宅リフォーム助成制度も創設すべきです。
東日本大震災と福島第一原発事故から2年のもとで、原発ゼロの立場と本腰を入れた再生可能エネルギー対策を取り組むべきですが、「原発に依存しないエネルギー社会の実現を考えている」としながら、市民協働発電事業は有料袋財源の2億円しか予算化されていません。飛躍的に前進させるよう思い切った予算拡充をすべきです。
加えて、共産党市会議員団としても提案していた、雇用の安定と給料等の就労条件の改善を求めて、京都労働局や京都府と一緒に京都経営者協会や京都府商工会議所連合会などに要請に行かれたことは大いに評価出来ることです。引き続きの取り組を求めておきます。
第四に、重点政策に「京都ならではの品格と魅力を高める文化芸術の振興」と掲げながら、市民を文化芸術活動やスポーツから遠ざける文化、スポーツ施設の料金値上げの提案であることです。文化会館、美術館、宝ヶ池公園運動施設、体育館競技場、武道センター、男女共同参画センター施設の使用料の値上げは、市民の利用を制限し活動を圧迫するものとなります。美術館においては展示室の使用料を50%も引き上げ、物販スペースを設けることで展示スペースが狭くなるなど本来の美術館の機能が制限されるなど、到底認めるわけにはいきません。
第五に、市民に負担を求める一方で、技術的に未完成の欠陥施設である焼却灰溶融施設の建設費の残14億円と施設運営費に13億円4千万円を計上していることの問題です。年間ベースでは20億円を超える運転経費の発生など、建設費と高い運転コストは本市財政を大きく圧迫するだけです。計画の中止と契約破棄が必要です。
また、リニア中央新幹線誘致予算が引き続き計上されていますが、リニア中央新幹線の建設コストは9兆円以上、使用電力は新幹線の3倍以上もかかるものであり、大義のない計画の誘致活動を続けることはやめるべきです。
最後に、道州制についてです。市長は「新たな大都市制度である特別自治市道州制を導入することが必要と考える。」「離島も僻地も 元気になっていくようなものでなければならない」と答弁しました。しかし、昨年11月の全国町村長大会では「大都市圏へのさらなる集中を招き、地域間格差はいっそう拡大し、道州制における中心部と周縁部の格差も広がり、道州と住民の距離は遠くなって住民自治は埋没する」と厳しく批判されています。市長は財界が進めようとする、道州制を推進し、社会保障と税の一体改革、財政健全化、TPPへの参加などわが国の将来を左右する課題に果敢に立ち向かうという考えに賛同を示しています。極めて危険な事態を巻き起こし、市民の暮らしを守るという点から逆行することであり、あらためるべきです。
以上、予算案に対しての問題点を述べ討論とします。
25年度予算案は、京プラン・実施計画2年目であり、基本理念としている「持続可能な行政の確立、財源確保のための財政構造改革」が市民の暮らしにどのように影響するのか問われている予算です。その内容はゆりかごから墓場までの値上げであり、その額は総額14億9000万円の市民の負担の増大であり、市民生活をさらに厳しくするものです。さらに独立行政法人化や委託化などを進め、市職員を大幅に削減することは公的責任を後退させるものであることが審議の中で明らかになりました。以下、具体的に反対理由を述べます。
まず、第一に重点施策に福祉,医療,子育て支援,教育などの充実を掲げながら、子育て世代の暮らしを圧迫する予算となっているからです。
保育料、学童保育利用料、昼間里親保育料など値上げのオンパレードとなっています。保育料の値上げ額は3億1000万円であり、子育て世代にとって、厳しい負担の増大です。子育て支援を最重要課題としながら、保育料収入を現在の67.1%から他都市並の70%程度にしていこうとするもので、「子育て環境日本一」とは到底言えるものではありません。保育料の値上げ案が発表されてから、わずか2週間で1万1,082筆の値上げに反対する署名が集められ、京都市に提出されています。児童のいる世帯の所得はこの10年間で年収70万円も減っていること、値上げは保育料だけでなく、電気・ガス・水道代など生活全般に関わってあるわけですから、深刻な事態なのです。
そして、その保育の担い手となる保育士さんなど社会福祉施設職員の特殊健康診断事業の廃止も提案されています。確かに頚肩腕症候群等が多発していた頃に比べると、保育体制の改善もあり、発症は少なくなっています。しかし、保育士さん達の仕事は楽になっているわけではありません。現場の声も聞かずに突然に補助を廃止し、事業主負担で必要ならやればいいという考えはあまりにもひどすぎます、京都市内の保育園の9割を民間保育園に委託している立場でありながら無責任というものです。
学童保育利用料については、5,800万円の値上げで、今回、初めて最高月額が1万円を超える料金改定となっています。値上げの根拠としては国が想定する運営経費の2分の1相当額の範囲で保護者に負担をお願いするということですが、保育料の場合と同様、他都市並となるのでは、子育て環境日本一とはやはり言えません。付帯決議として、値上げを一年間先送りすることが提案されていますが、一年間のみ値上げを遅らせるだけで、値上げを前提としていることに変わりありません。結局、図らずも値上げが負担増になることを認めているということですが、一年後に学童保育を利用する子育て世代の収入が増える見込みの保障もありません。値上げはやめるべきです。
加えて、子どもの医療費支給制度については、委任払い制度を導入することはかねてより、提案してきたことであり、評価できます。3,000円という限度額の引き下げや対象年齢の引き上げ等、京都府内自治体の施策に追いつくよう引き続き求めておきます。母子家庭対象施策の父子家庭への拡大も歓迎するものですが、母子家庭医療の所得制限の大幅な引き下げは、あらたに対象外となる世帯をつくり出すものであり、問題です。予算枠を増やしての父子家庭への拡大とすべきです。
第二に、市民の厳しい暮らしの実態に目を背けていることです。まず、国民健康保険については、来年度の値上げの提案はないものの、引き続きの高い保険料に市民は苦しんでいます。単年度では黒字が続いています。市長も国民健康保険会計について、「単年度収支均衡が目標」と言われているわけですから、国民健康保険料は引き下げをすべきです。
生活保護の基準の切り下げについては、ぎりぎりで生活する受給者に加え、生活保護基準に準ずる就学援助をはじめ、低所得世帯にも広く影響をあたえるものです。国の保護基準切り下げの動きについて、自治体として「引き下げをやめるよう」声をあげるべきなのに、見守るという態度は市民の命を守る自治体としての役割を果たしているとは言えません。
第三に、重点施策の「京都経済の再生と雇用の創出」において、新たなベンチャー企業等の応援施策を否定するものではありませんが、京都市内の中小事業所をいかに応援していくかという立場が極めて弱いという問題です。市内企業の99%を占め、雇用の70%を担う中小企業の仕事を保障していくためにも、中小企業振興条例を策定し、積極的な対策を講じる必要があります。市長公約でもある公契約基本条例も、市長が信条とするスピード感は、まったくありません。今年度の予算はなく、来年度でやっと100万円という予算に留まっています。「条例制定を待つことなく、ダンピング対策のさらなる強化をはじめ、入札改革を引き続き推進していく」と答弁されていますが、入札改革を進めるために制定するのが条例です。一刻も早い制定で、労働者の雇用と賃金を保障する仕組みをつくるべきです。耐震改修助成制度は9月補正において、各メニューの上限額を減らしましたが、上限額を元に戻し、予算も増やすこと、さらに、雇用と地域経済の活性化への効果はすでに他都市でも試され済みである住宅リフォーム助成制度も創設すべきです。
東日本大震災と福島第一原発事故から2年のもとで、原発ゼロの立場と本腰を入れた再生可能エネルギー対策を取り組むべきですが、「原発に依存しないエネルギー社会の実現を考えている」としながら、市民協働発電事業は有料袋財源の2億円しか予算化されていません。飛躍的に前進させるよう思い切った予算拡充をすべきです。
加えて、共産党市会議員団としても提案していた、雇用の安定と給料等の就労条件の改善を求めて、京都労働局や京都府と一緒に京都経営者協会や京都府商工会議所連合会などに要請に行かれたことは大いに評価出来ることです。引き続きの取り組を求めておきます。
第四に、重点政策に「京都ならではの品格と魅力を高める文化芸術の振興」と掲げながら、市民を文化芸術活動やスポーツから遠ざける文化、スポーツ施設の料金値上げの提案であることです。文化会館、美術館、宝ヶ池公園運動施設、体育館競技場、武道センター、男女共同参画センター施設の使用料の値上げは、市民の利用を制限し活動を圧迫するものとなります。美術館においては展示室の使用料を50%も引き上げ、物販スペースを設けることで展示スペースが狭くなるなど本来の美術館の機能が制限されるなど、到底認めるわけにはいきません。
第五に、市民に負担を求める一方で、技術的に未完成の欠陥施設である焼却灰溶融施設の建設費の残14億円と施設運営費に13億円4千万円を計上していることの問題です。年間ベースでは20億円を超える運転経費の発生など、建設費と高い運転コストは本市財政を大きく圧迫するだけです。計画の中止と契約破棄が必要です。
また、リニア中央新幹線誘致予算が引き続き計上されていますが、リニア中央新幹線の建設コストは9兆円以上、使用電力は新幹線の3倍以上もかかるものであり、大義のない計画の誘致活動を続けることはやめるべきです。
最後に、道州制についてです。市長は「新たな大都市制度である特別自治市道州制を導入することが必要と考える。」「離島も僻地も 元気になっていくようなものでなければならない」と答弁しました。しかし、昨年11月の全国町村長大会では「大都市圏へのさらなる集中を招き、地域間格差はいっそう拡大し、道州制における中心部と周縁部の格差も広がり、道州と住民の距離は遠くなって住民自治は埋没する」と厳しく批判されています。市長は財界が進めようとする、道州制を推進し、社会保障と税の一体改革、財政健全化、TPPへの参加などわが国の将来を左右する課題に果敢に立ち向かうという考えに賛同を示しています。極めて危険な事態を巻き起こし、市民の暮らしを守るという点から逆行することであり、あらためるべきです。
以上、予算案に対しての問題点を述べ討論とします。