「我が国の領土・主権の護持等に関する意見書」に対する反対討論 - 市会報告|日本共産党 京都市会議員団

「我が国の領土・主権の護持等に関する意見書」に対する反対討論

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閉会本会議討論
加藤 あい議員
 自民、公明、京都、みんなの党・無所属の各会派から「我が国の領土・主権の護持等に関する意見書(案)」が提案されています。我が党は反対の立場を表明していますので、以下その理由を述べます。
 日本共産党は尖閣諸島、竹島について、日本に領有権があると考えています。
 尖閣諸島については、第一に、日本は1895年1月に尖閣諸島の領有を宣言しました。これは「無主(むしゅ)の地」を領有する意思を持って占有する「先占(せんせん)」という行為にあたり、国際法で正当と認められている領土取得の正当な行為でありました。第二に、これに対して中国政府は1970年までの75年間、一度も抗議をしたことがありません。これは中国が元々、日本の領有を認めていたことを示しており、相手国の領有を黙認したとみなされることは国際的に確立している法理です。第三に、中国側の主張の中心は94年から95年の日清戦争に乗じて尖閣諸島を奪い取ったということですが、日本が戦争時に不当に奪い取った領域に尖閣諸島は含まれていません。よって、中国の主張が成り立たないことは明らかです。
 国際法上も歴史的にも日本の領有に道理があるわけです。しかし、それがどうして通らないのでしょうか。その要因の一つには日本政府が尖閣諸島の領有について国際社会や中国政府に理をつくして正当性を主張するということが、まともにできてこなかったという問題があります。歴代政府は「領土問題は存在しない」という立場を繰り返してきました。日中の国交正常化や平和条約締結の際にも、領土問題を棚上げするという対応をとり、くりかえし中国政府との懇談を行ってきたにもかかわらず、その中で領有の正当性を主張し、突っ込んだやり取りを交わした形跡はありません。領土問題を棚上げし、「領土問題は存在しない」という棒をのんだような対応を繰り返してきた自民党、従来の方針を無批判に引き継いでいる民主党の責任は重大です。
 竹島についても日本に領有権があることは、歴史的にも国際法的にも明確な根拠があります。しかし、日本が領有した時代は日本が韓国を武力をもって植民地化していく過程で、韓国の外交権は奪われ、韓国は異議をとなえることもできませんでした。ですから、そうした歴史的事情を考えるなら、日本が過去の植民地支配についての根本的な反省と清算を行うことが、話し合いのテーブルをつくる上で不可欠です。日本政府が韓国併合への根本的な反省にたち、日本軍「慰安婦」問題などの植民地犯罪について謝罪と賠償を行うことが必要です。
 いわゆる「北方領土」について、わが党は、「北方領土」とされる4島にとどまらず、占守(しむしゅ)島までの千島列島全体を日本領と考えています。旧ソ連が第2次世界大戦の戦後処理の大原則を破って、千島を占有したにもかかわらず、日本政府はこれに抗議もせず、千島列島を放棄し、全千島返還の交渉もしていません。これについても、戦後処理の不公正をただして、全千島返還の交渉をすることが必要です。
 意見書案が提起している物理的な対応や軍事的対応論で緊張をさらに高めていくことに解決の道はありません。物理的対応の強化や軍事的対応論によって緊張をさらに高めていけば、最悪の場合、武力衝突ということにもなりかねず、解決からはむしろ遠のくことになります。
 日本と中国、韓国が物理的対応、軍事的対応を自制し、冷静に話し合いを重ねてこそ問題が解決できると考えます。以上、反対の理由を述べて、討論とします。

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