河合ようこ議員の代表質問 - 市会報告|日本共産党 京都市会議員団

河合ようこ議員の代表質問

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本会議代表質問
河合ようこ議員

 西京区選出の河合ようこです。日本共産党議員団を代表して質問します。

学校間格差を解消し、教育条件改善を
 
 はじめに、学校教育について質問します。本市は、新たな統合校を建設する際には、他校より立派な設備をいれ、多額の予算をつぎ込んできています。御所南小学校には屋根つきプール、給食の食器は校章付きの強化磁器にするなど他校にないものを取り入れて来ました。5つの中学校を統合した下京中学も中高一貫校の西京中学・高校にも多額の予算をかけています。今年4月に開校した小中一貫校・東山開睛館は建設費69億円、中学校も自校方式の給食で、図書館司書教諭は専任になっているなど教育環境も特別です。
 しかし、統合モデル校として作られた御所南小学校はいまや、児童数が1200人近いマンモス校になり、6年生は御池中学校に通っています。それでも教室が足りず、プレハブの校舎を作ったため運動場は狭くなり、別の場所に確保しなければならなくなっています。統合校なのに、新たにもう一つ学校が必要な状況になっているのです。これは、他の学校とは違う「特別の学校」にしたために起こった事態です。子ども達の教育環境は悪化しています。都心部小学校跡地活用審議会で委員からも「御所南小学校は少子化の見通しが狂い大失敗」との意見も出されるほどです。このようなやり方は破たんしているのではありませんか。
 問題なのは、モデル校に多額の予算をかける一方で、本市の財政が厳しいからと全校に係る学校教育予算を減らしてきていることです。今年度予算は「過去20年で最小規模」の教育予算」報道もされました。そういう中で当たり前に行われるべき学校整備すら行われていない実態があります。
 大半の小学校では給食の食器はアルマイト製食器のまま改善されていません。プールサイドのひび割れが放置され、児童が足の裏を擦りむくという学校があります。安全すら守られていません。
また、雨漏りしてバケツで雨を受けながら授業している教室が放置されています。校舎にトイレがない小学校もあります。トイレに行きたくなったら3階の階段をおりて、他の校舎にまで移動しなければ用が足せません。1か所のトイレに何クラスもの子どもたちが殺到するといいます。子どもや保護者、先生はどんな思いでしょう。「子どもたちのことを思うとお金がないからと後回しにはできないことです」と先生は話されていました。また、プールに水を入れても水がもれ、一日で15センチ水位が下がるプールもあります。市長、こういう状態をなぜ放置しているのですか。早急に改善すべきです。いかがですか。
 また、副市長は新しい学校と歴史のある学校とは「差があるのは当然」と言われてきました。しかし、今述べた実態は古い学校と新しい学校との「当然の差」でしょうか。明らかに京都市がつくった格差ではありませんか。これでも格差はないとの認識ですか。お答え下さい。

(教育長)全校の耐震化、全普通教室の冷房化は全国トップレベル。雨漏りは学校と相談の上、緊急に修繕しており放置していない。


学校経常運営費は増やすべき
 
 さらに、学校経常運営費削減により学校現場では、子どもの教育環境にさまざまな影響が出ています。水道代を抑えるためにプールの水を換えず塩素を多用しているところや、プールの水面のごみを流すためのオーバーフローをしないというところまであります。市長は9月市会の総括質疑で「学校運営費は確保している」と言われました。しかし、2010年度の学校経常運営費決算は2003年度と比べて8億6900万円も減っているではありませんか。現場での工夫は限界、しわよせは子どもたちに及んでいます。この事実を認めるべきです。子どもたちの教育環境をよくすることは京都市の責任です。日々の子ども達の教育に係る学校経常運営費を増やすべきです。学校教育予算を増やし、学校環境整備をもっと充実させるべきです。いかがですか。

(教育長)本市財政が厳しく事務事業の50億円縮減の中、学校経常運営費はここ3年間、同水準を確保。光熱水費が8年間、同水準を維持しており、円滑な運営に努めている。


3年生以上にも35人学級の拡大を
 
 そして、どの子にもゆきとどいた教育のために「全てのクラスを30人学級に」と保護者や教員は願っておられます。今年度、国が小学校1年生の35人学級の予算をつけました。「3年生まで35人学級に拡充される」ことを市民は期待をしましたが、本市は拡充しませんでした。来年度に向けては「国に対して求めている」とのことですが、当面、京都市において小学校3年生以上にも35人学級実施に踏み出すべきです。いかがですか。

(教育長)2年生以上の全学年を独自に実施するには毎年16億円が必要であり、困難。国に引き続き要望する。

 

生活保護費からの国民健康保険料徴収をやめよ
 
 次に社会保障について伺います。京都市職員労働組合の市民アンケートでは6割の方が「生活が苦しくなった」と答えられ、その理由のトップは「国保料や介護保険料が増えた」、続いて「医療費、介護サービス費が増えた」となっており、あわせると6割を超えています。保険料の負担が市民の暮らしの厳しさに追い討ちをかけています。
 そこで、国民健康保険について質問します。
この間、京都市は、生活保護世帯にまで保険料の滞納分を請求していることが明らかになりました。生活保護費は、最低生活保障費です。しかもこの間、老齢加算は廃止され、扶助費が引き下げられるなどギリギリの生活保障となっています。そういう世帯からも国保料を徴収するとはあんまりです。11月9日の常任委員会で、保健福祉局から「本人の同意に基づき納付してもらっている。問題はない」と答弁がありましたが、最低生活費である生活保護費からの保険料などの徴収は、生活保護の趣旨にもそぐわないことです。19政令市の中でも、生活保護世帯からは徴収していない自治体があります。福岡市では、生活保護世帯は滞納保険料が免除となることを載せたリーフレットを区役所の窓口に置き、市民に周知しています。岡山市や川崎市では本人の同意があっても受け取りを「断っている」とのことです。対応は市町村に任されているのですから、京都市として生活保護費からの保険料徴収はただちにやめるべきです。他の世帯と区別し、生活保護世帯に「督促状は発行しない」と明確な答弁を求めます。

(保健福祉局長)生活保護の趣旨に基づき、納付の意思を示した場合に納付いただいている。滞納があるときは法令に基づき、すべての滞納者に発送している。


保険証の取り上げ、差し押さえはやめよ
 
 また、保険料滞納世帯への対応の問題です。ある方は、窓口に相談にも行き1年以上前から8000円を毎月欠かさず分納しているのに、生命保険を差し押さえられました。局長は「納付意志を示さず、特別の理由もなく長期にわたって滞納している人に対し、資格証明証発行や差し押さえを実施することは、負担の公平性からやむをえない」「懇切ていねいな相談をしている」との答弁を繰り返されています。しかし、納付していても差し押さえられているという事実は答弁と矛盾しているのではありませんか。
 こんな事例もあります。保険料を滞納されている方が、難病であることを窓口に伝えられたにもかかわらず、保険証の返還命令書が送られてきました。保険証の取り上げです。国の通知でさえ「資格証明書は...機械的な運用を行うことなく、特別の事情の有無の把握を適切に行ったうえで行うこと」としています。本当に「ていねいな相談」がされたのでしょうか。一方的な保険証の取り上げ、財産の差し押さえはやめるべきです。いかがですか。

(保健福祉局長))資格証明書交付や差押えは法令に基づき実施している。負担の公平からやむを得ない。完納の見込みのない分割納付で新たな財産が見つかった場合に差押えしている。難病は確認できたため保険証を交付している。個別丁寧に対応している。


高すぎる国民健康保険料の引き下げを
 
 問題は払いたくても払えない高すぎる国保料です。「年金が少なくて生活できないから働いとるのに、働いたら国保は高うなって...きつい」「子どもが学費のためにバイトしてお金を貯めた。そしたら国保料が年間60万円をこえて・・払えない」「働いてもギリギリの生活なのに、差し押さえ予告が来た」という声があります。減免された保険料も高くて少ない年金からは払えない、払ったら生活できないという厳しいくらしの実態があります。副市長は「市民の負担は限界だ」と言いつつ累積赤字を理由に保険料の引き下げを拒否されていますが、そもそも国保会計の危機の原因は国の負担金削減にあります。赤字の責任を市民に押し付けるべきではありません。市民の命と健康を守るなら「高すぎる国保料を下げてほしい」という市民の願いに応えるべきではありませんか。いかがですか。

(保健福祉局長)負担は限界に達しつつあり、一般会計から148億円の繰り入れを確保するなど可能な限り負担軽減に努めている。


介護保険料・利用料の負担軽減を
 
 次に、介護保険について質問します。
 「少ない年金から介護保険料を天引きされ、食費を削ってもくらしていけない」という声はあちこちでよせられています。今年6月、国では介護保険制度が改正されました。来年4月からの介護保険料は、全国平均1000円引き上げで、5000円から5200円と言われています。現在でも本市の基準保険料は4510円ですから1000円も引き上げられたら大変です。また保険料に加えて、負担となっているのが食費・入居費の自己負担や1割負担の利用料です。国は「施設入所の相部屋代を8000円にする」「サービス利用料は2割にする」と言っています。今でも、「介護していらんから保険料払いたくない」という声が出されるほど、年金生活の高齢者にとって負担は限界にきていると思いますが、市長の認識はいかがですか。負担が重くて必要なサービスを受けられないということがないよう、「利用料負担を増やすな」と国に求めるべきです。市の保険料改定にあたっては、介護保険料の引き下げを求めます。いかがですか。

(星川副市長)全国平均1000円程度上昇と示されており、本市も一定の上昇を見込まざるを得ない。きめ細かな保険料段階の設定や、独自の減額制度拡充など、できる限りの負担軽減を講じる。利用料について国で議論されている。低所得者の負担軽減は重要、国に強く求める。


介護保険軽度認定者のサービスを切り捨てるな
 
 改正された介護保険制度には、要支援者のサービスを介護保険の給付からはずす「軽度者」切捨ての中味や、介護を必要とする人や介護現場に大きな影響を与える内容が盛り込まれています。
 関係者から不安の声があがっているのが「介護予防・日常生活支援総合事業」の問題です。この総合事業は「要支援」と認定された人を介護保険のサービスから除外し、ボランティアなどに生活支援を担わせるものです。「要支援」の人の必要なサービスが切り捨てられる可能性があると危惧されています。ある方は、住居が狭く自宅での入浴が困難で、現在週2回デイサービスを利用し、入浴と食事のサービスを受け、そこに来られている方とふれあい、交流することで元気に過ごしておられます。しかし、総合事業が導入されたら、デイサービスが利用できなくなり入浴や食事、人とのふれあいという楽しみを奪われてしまいます。これと同様の事態があちこちで起こるのではないでしょうか。総合事業の実施は市町村の任意とされています。要支援の方の介護保険給付を奪うことになりかねない「総合事業」は本市として実施しないよう求めます。いかがですか。

(保健福祉局長)「要支援」と「自立」を行き来するような高齢者に切れ目ないサービスや、生活支援サービスが可能となる意義あるもの。政省令が示されていない等、不明な点が多く、引き続き検討する。


地域包括支援センターについて 

 また、本市では現在、第5期の「長寿すこやかプラン」の策定にむけた検討が行われています。プランの策定等の基礎資料を得るために市が行った地域包括支援センターへのアンケート調査結果を見ると、現場の実態や貴重な意見が出されています。国が制度改正で実施しようとしている『地域包括ケアシステム』の中心は地域包括支援センターが担うことが求められていますが、地域包括支援センターは、今でも、配置された職員だけでは足りず法人独自に職員加配を行うなど、委託料だけでの運営は困難で、61センター中3分の1以上の22ヶ所が赤字になっているのが実態です。「事務量を減らしてほしい」「専門性がある職員を増やしてほしい」「市の福祉事務所や保健センターが支援に関与してほしい」などの声は切実な現場実態を反映しています。京都市には介護保険保険者としての公的責任があります。
 寄せられた意見を「しっかりと受け止める」と言われていますが、保険者としてこの声にどのように応えるのか具体的にお答え下さい。

(市長)法人の尽力で安定運営、平均133万円の黒字。各区・支所と情報共有できるITネットワークシステムの導入を行う。体制の見直しや研修で機能強化に努める。


西京区の買い物弱者対策を
 
 最後に地元西京区の問題について質問します。
 西京区では今年初めに4つのスーパーが閉店しました。1か所は新たな店舗が出店となりましたが、川岡地域では一度に2か所が閉店になり、いまだ出店の目途がたっていません。本市では今年10月から12月まで洛西ニュータウン周辺を対象に『ネットスーパー社会実験』を行っていますが、『買い物弱者』問題は深刻です。
 「歩いていける所にお店がない」「重いものを持てず、少ししか買えない」「昔は歩いて行けたが、今は歩くのがつらい」「買い物してくれる家族もいない」「買い物にいけるバスがない」など困っておられることは様々です。「買い物代行サービス」「買い物同行支援」を行っているところへの市の援助を、また「自分の目で見て選びたい」「自分で出かけたい」という方がバスで出かけられるように商店街等に接続するバス路線の確保やバス停間の距離を短くするなど、市としての「買い物弱者」対策を求めます。いかがですか。

(市長)買い物環境実態調査やネットスーパー実験をふまえて買い物環境改善のビジネスへの民間参入を検討する。介護保険での買い物代行や民間の買い物支援サービスの情報提供を行う。バス路線は利用見込みをふまえ利便性向上を目指す。買い物弱者問題は、日常生活全般に関わり、流通、福祉、交通を含めた総合的視点から取り組む。


敬老乗車証を民間バスも使えるように改善を 
 
 高齢者の外出に敬老乗車証は大きな役割を果たしています。元々無料での交付でしたが、2005年度から有料になりました。地下鉄が通っていない西京区では一部の地域を除き、市バスにしか使えません。しかし、市内中心部に行く市バスの本数は少なく路線も限られています。阪急桂駅やJR桂川駅にアクセスしている市バスは地域に偏りがあります。民間バス3社が運行していますが、敬老乗車証は使えません。大原野地域では敬老乗車証交付率が28%という低さに不便さが示されています。大原野・上里地域の方は市内より向日市に出る方が早く、鉄道利用の際は阪急東向日駅やJR向日町駅に行くと言われています。駅までの足は阪急バスです。大原野自治連合会からは阪急バスに敬老乗車証が使えるようにとの議会陳情が行われ、『大原野・上里地域の敬老乗車証を考える会』からは2180筆もの署名と共に議会請願も出されています。この声に応え、地域の方の足である民間バスにも敬老乗車証が使えるよう、新たな市民負担を増やすことなく一刻も早い改善を求めます。いかがですか。
 以上で私の質問を終わります。

(保健福祉局長)敬老乗車証の拡大はいくつかの地域から要望がある。多大な経費がかかり事業費の増大も見込まれるが、より利便性の高い制度とするため、24年度に検討を行い一定の方向性を出す。

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