井坂博文議員の代表質問 - 市会報告|日本共産党 京都市会議員団

井坂博文議員の代表質問

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本会議代表質問
井坂 博文議員

 日本共産党京都市会議員団を代表して質問します。北区選出の井坂博文です。
 3月の東日本大震災と福島原発事故から半年がたちました。被災者のみなさんの懸命の努力で復興への息吹もおこっています。しかし多くの被災者が、いまだに不自由な生活を余儀なくされ、先が見えない不安と苦しみのもとにおかれています。しかし、政府の対応はあまりにも遅く、生活と営業の再建への公的支援に対する国の責任をまったく果たしていません。日本共産党は全国から寄せられた12億円の義捐金を被災地に届け、京都の共産党は今も福島県南相馬市に救援ボランティアを派遣しています。ひきつづき復興と生活再建の支援に全力をあげる決意を表明して、質問に入ります。

「原発ゼロ」に向け、「脱原発」の立場に立つべき

 門川市長が951票という僅差で市長に当選して3年半が経過しました。来年2月の市長選挙では今の市政を継続するのか、市政を刷新するのかが問われます。そこで、3年半の門川市政をふりかえりながら、市長の政治姿勢について質問いたします。
 東日本大震災と大津波による未曾有の被害と原発事放による放射能汚染の深刻な実態の拡大を前に、防災と安全のまちづくり、原発からの撤退と自然エネルギーへの転換を求める世論と運動が急速に広がり、国と地方自治体のあり方について根本的な転換を問いかけています。今こそ、「住民の暮らし、安全と健康を守る」という地方自治体本来の役割の発揮が求められています。とりわけ京都市は、京都議定書発祥の地であります。市長の政治姿勢や発言は、原発立地自治体とともに世界と日本全国から注目されています。
 そこで、原発問題に対する門川市長の発言と認識を振り返ってみます。まず4月の記者会見で市長は「原子力発電所による放射能の問題について、京都市域にはあまり大きな影響はない」との認識を示しました。その後の記者会見や公式の場でその認識に対する訂正や撤回の言葉はいまだにありません。 
 5月市会では、わが党議員から停止中の福井原発の再稼働と原発安全神話への認識に関する質問に対して、市長は一言も答弁されませんでした。 
 京都市が株主でもある関電の6月株主総会において、「放射能の処理ができない原発はやめる」「原発の安全性が保証されるまで、すべての原発を停止すること」などの株主提案17議案に対して、市長はすべて反対の意思を表明されました。 
 7月の定例記者会見 において市長は「当分の間は安全性を十分確認したうえで原子力発電に依存しなければならない」「原子力発電所を全面停止して,我が国の産業や国民生活が維持できる状態ではない」と述べ、脱原発の立場を否定されました。 
 そして8月末に発表された「京都市の防災対策総点検」中間報告では、「仮にびわ湖方面へ放射性物質が飛散したとしても、琵琶湖の水量が非常に多いため、水中で希釈される(薄められる)」と記述されています。
 市長は4月の記者会見で「京都市域には大きな影響はないが、琵琶湖の水がどういう影響を受けるのかを含め、あらゆる角度からしっかり点検し...」と述べました。琵琶湖への影響をしっかり点検した結果が、中間報告の「水中で希釈される」なのですか。これでは、科学的な根拠も示さず、新たな「安全神話」をふりまくものではありませんか。
 そこで市長にお聞きします。一つ、4月の記者会見における「京都市域にはあまり大きな影響はない」との認識を撤回するのか、しないのか、はっきりお答えください。二つ、日本共産党は期限を区切って原発から撤退する決断をおこなうよう呼びかけています。「原発ゼロ」に向けて努力する「脱原発」の姿勢に立つのか、立たないのか。三つ、福井原発の再稼働の動きが報じられていますが、福井原発に最も近い大都市の市長として、再稼働は認めないとの意思を表明するのか、しないのか。明確な答弁を求めます。

(由木副市長)防災対策総点検委員会中間報告では「若狭地域で原発事故が起こった場合、防災対策の範囲は20kmを考えておけばよい」との基本的な考え方の下、対策の検討をすすめている。
(地球環境政策監)中長期的には、安全で無尽蔵な再生可能エネルギーの飛躍的な導入拡大と地産地消の推進で、原発に依存しないエネルギー社会をめざすべき。
(由木副市長)ストレステスト等の実施により安全性を確認したうえで、立地県の理解を得て国が判断する。原子力発電所の安全性を確立するよう働きかけていく。


門川市政3年半の財政運営について 

 続いて3年半の門川市政における財政運営に関してお聞きします。2010年度の決算は、2007年度決算以来3年ぶりに7億円の黒字となっています。決算報告では「①長引く景気低迷の影響を受け、市税収入は大幅に減少したものの、②人件費の削減や事業の見直し、③地方交付税の確保などにより、黒字決算となった」と評価しています。この財政診断と処方箋ははたして正しいのでしょうか。 
 第一に、市税収入についてお聞きします。市税収入は、20年度決算2664億円から22年度決算で2452億円と212億円もの大幅減収となっています。減収の背景には、京都市でも輸出関連企業に依存し、リーマンショックや円高の影響を受けたことがあります。しかし、打つべき対策を打ち切っての減収なのでしょうか。決算報告で「財政を持続可能なものとするために、都市の成長のための戦略と財政の構造改革を一体として進める」「これらの取組をさらに深化・発展させ、京都市の担税力の強化につなげる」としていますが、そのための取組として紹介されていることは、ベンチャー起業への応援や新産業の育成であり、高度な技術開発の力をもつ企業の育成や支援が大半でした。一方で、本市地域経済の担い手、ものづくりの中小企業や伝統地場産業などへの対策はどうだったでしょうか。
 5年ごとにおこなわれる企業統計調査でも2001年以降、市内の事業所数、従業員数は減少の一途で、2009年の中小企業経営動向実態調査では7割近くの企業が、経営実績が悪化したと回答しています。西陣の出荷額はピーク時の13%に落ち込んでいます。 
  こうした現状に対して京都市は、企業立地促進助成制度による年間助成額の8割を資本金1億円以上の大企業に助成し、固定資産税の免除も行っています。一方で、中小企業に対しては制度融資の据え置き期間の延長や固定費の軽減を求める声に対して、冷たく拒否しています。
 雇用の実態も深刻です。厚生労働省が9月14日、パートや契約・派遣社員など期間を定めて働く有期契約労働者に関する調査結果をまとめました。年200万円以下の人は74.0%に上り、前回調査(09年)の57.3%より16.7ポイントも大幅に増えており、雇用環境が一段と厳しくなっています。京都における労働者の非正規雇用率も四五%と政令市の中でも最悪です。
 京都市内の商店や商店街の衰退も大きく進んでいます。従業員2人から4人規模の小売店舗数の減少率が高い一方で、大型店の売り場面積は増え続け、市内全体の50.3%(今年4月現在)を占めるに至っています。
 これでどうして担税力を強化できるのでしょうか。いま、必要なことは、地域経済を支えている中小企業の底上げを図ることです。中小業者への仕事おこしにつながることが他都市で実証されている「住宅リフォーム助成制度」の創設や「耐震改修助成制度」の抜本的拡充。京都市が契約する公共事業や委託事業における労働者の賃金水準を引き上げ、非正規雇用問題の解決を図るための「公契約条例」を制定し、京都市の産業経済予算が市内にくまなく循環する地域循環型経済へ転換すること。それを制度として支えるための「中小企業振興基本条例」を制定し、京都市をあげて中小企業の育成に取り組むべきではありませんか。そのことが担税力の強化、市税収入の増収につながることは間違いありません。地域循環型経済への転換にむけた市長の考えをお示し下さい。

(市長)「産業連関都市」をめざし、観光イベントと商店街が一体となった取り組みや京都産木材の活用、異業種交流による新商品の開発など、地産地消や資本の地域還元を重視した施策を推進してきた。今後とも、地域経済の活性化、特に中小企業の振興とグローバル経済への対応の双方を見据えた産業政策を実施していく。


 第二に、人件費の削減や事業の見直しについてお聞きします。市長は当選直後の議会で「行革をさらに進める。市民の負担は避けて通れない」と答弁し、翌年には財政有識者会議を立ち上げ、この秋には「施策事業・業務の総点検」を行い、来年3月に新基本計画の「行政経営の大綱・実施計画」を策定するとしています。
 総点検では、改革の名による更なる切り捨てを、各局の部単位で一件以上提案するよう求めていますが、局内からは「他都市と比べるだけでいいのか」「施策の取捨選択が必要」「カットはもうやりきった。これ以上は無理」という悲鳴の声が上がっています。これが市長には聞こえないのですか。
 点検・分析する大規模事業65項目115事業のなかには、「高校生奨学金・約3億円」、「子ども医療費助成事業・約9億円」、「緊急通報システム事業・約2億円」、「敬老乗車証交付事業・38億円」など、市民生活に密接な事業が多くあります。これらの事業を縮小・廃止することは絶対に許されません。
 「行政経営の大綱・実施計画」が策定されれば、さらなる痛みと犠牲を市民におしつけることになるとの認識がありますか。実施計画の策定作業を中止するよう強く求めます。

(由木副市長)財政構造改革の推進に当たって、財政運営の目標を設定し、一定規模以上のすべての施策、事業について他の政令市との比較も含め、あらゆる観点から総点検に着手している。


  第三に、地方交付税の確保をはじめ国との関係についてお聞きします。地方交付税が、20年度決算801億円から22年度決算で1048億円と247億円増額したと言います。しかし、正味の地方交付税は逆に9億円の減額であり、増えているのは本市が発行する臨時財政対策債という借金ではありませんか。この10年間で本市財政を困難にしたのは、国庫補助金の縮減とともに地方交付税の減額を一方的に行った三位一体改革であったことは市長も認めておられる通りです。地方交付税は、本来地方財政の均衡と財源不足を補うものですが、自公政権時代は分権改革の名で、民主党政権になって以降は地域主権に名を変え、自治体に臨時財政対策債という借金をおしつけ、さらに地方交付税を減額しているではありませんか。
 「臨時財政対策債は国が将来の交付税で面倒見るから大丈夫」と市長は言いますが、将来面倒見るのであれば、なぜ今地方交付税そのものを増額しないのでしょうか。将来の約束に担保はあるのでしょうか。2年前のマニフェストで約束した、子ども手当や高校授業料の無料制度を政治の駆け引きの中で、廃止しようとする今の政権に、安心して任せることができるのでしょうか。
 今必要なことは、国の三位一体改革を一体となって推進してきたことを反省し、国に正味の地方交付税の増額をしっかりと求めるべきではありませんか。いかがですか。

(財政担当局長)地方への財政措置に当たっては、臨時財政対策債の発行ではなく、国が責任をもって財源確保すべきものであり、交付税の法定率引き上げにより総額確保するように国に訴えていく。


市民の声を無視した強引な市政運営について

 次に、門川市政3年半の市政評価に関わってお聞きします。
 第一に、市長は3年半の間に市民サービスや福祉・教育の切り捨てをすすめ、公的責任を放棄してきました。まず生活保護行政について。貧困と格差が拡大する中で、セーフティーネットとしての生活保護の充実は急務です。ところが、市長は保護率の高さを目の敵にし、保護世帯の増加率をこの3年間で「政令市の中で低い方から1位」に抑えたことを実績として宣伝し、さらにケースワーカーを削減しようとしています。ほんまにひどい。「住民の福祉を増進する」という自治体の公的責務から大きく逸脱しているではありませんか。これは、国が進めようとしている生活保護を期間限定とし、医療費の一部負担制の導入など、生活保護切り捨ての路線そのものではありませんか。
 国民健康保険事業も他都市と比べて異常です。国保料は、3年連続して合計40億円もの黒字がありながら、3年間毎年値上げしました。その結果、政令市で4番目に高い保険料となっています。さらに正規の保険証の取り上げは2万件、差し押さえなど滞納処分は1879件、4年間で3倍以上に増えています。明らかな福祉の後退ではありませんか。
 教育に関しては、今年度国が小学校1年生から35人以下学級をすすめる法律改正を行いましたが、京都市はそれまでの本市独自で実施している学年から拡充していません。また教員の増員要望に背を向け、北区では担任の先生が正規教員でないクラスが学年で過半数という学校が生まれています。さらに、自校方式の中学校給食は新設校にとどまり、アルマイト食器から磁器食器に改善された小学校は、3年半で全市173校中のうち18校にとどまっています。教育格差がいっそう拡大されているではありませんか。 市長あなたの「財政が大変でも、福祉と教育は後退させない」との公約はどうなったのですか。明確にお答えください。

(市長)生活保護行政は、この3年間で約60人の生活保護関連職員の増員を行い、自立支援や不正受給の防止などの取り組みをすすめている。国保については、1人当たりの平均保険料を前年度同額に据え置き、困難な方にはきめ細かな納付相談に応じている。
 教育では、全小中学校の耐震化、校内LANや電子黒板の整備など、教育条件は大きく前進したと考えている。市長就任以来、市民生活をしっかり守りながら、未来の京都の礎となる政策を着実に実行してきたと自負している。


 第二に、国や財界の意向を受けて、市長は構造改革路線そのままの市政運営を推進してきました。財政改革有識者会議による財政構造改革の議論と提言をうけて、「人件費削減」を至上命題とし、市の職員を4年間で1444人も削減したことを「実績」として評価するとはどういうことですか。さらに、東日本大震災の教訓から人的な防災の強化が必要にもかかわらず、国基準から見ても低い充足率の消防職員の削減計画を否定しておりません。
 一方で、ゴミを燃やした灰をさらに高温で溶かすというムダで環境破壊の焼却灰溶融施設を約180億円かけて建設し、住民の不安や反対の声を押し切って稼働させようとしています。また、建設すれば総事業費2900億円もかかる市内高速道路未着工3路線は、市民世論に押されて全く着工できず、議会答弁でも市長自ら「事実上凍結している」としながら、いまだに都市計画から外していません。
 あらためて市内高速道路未着工3路線の計画中止をハッキリと明言するよう求めます。いかがですか。

(市長)市内高速道路の残る3路線については、総合的な交通体系の構築や社会経済情勢等も十分に勘案し、必要性も含め、あり方を検討していく。


 第三に、自らの選挙公約を破りながら市長には反省がありません。市立看護短大について、公約では「充実」させ「大学将来構想を策定する」と言いながら、突然、一方的に廃止方針を決め、議会内外の反対を押し切って強行したことにまったく反省がありません。 また、市長選挙で「市政の刷新、市役所の改革」を掲げ、「1年間で不祥事を根絶する」と公約しながら、根絶どころか3年半で逮捕者14人、懲戒免職15人という深刻な実態をどう総括するのですか。
 さらに、特定の市民を違法抽選で排除したとして訴えられた「タウンミーティング訴訟」では、最高裁で当時教育長であった門川市長の責任が断罪されましたが、反省や謝罪の言葉が一言もありません。
 市長、自らの公約違反や司法の審判を正面から受けとめて総括と謝罪を求めます。いかがですか。  京都市は7月に、作成費用800万円かけて「京都市政報告書」を発行しました。内容を精査すれば、市長選挙を半年前にして、公金を使った選挙向けの宣伝物ではありませんか。しかも都合のいいものだけを実績とする一方で、都合の悪いものはほおかぶりし、門川市政の本質を覆い隠すものだということを厳しく指摘しておきます。

 保育「プール制」を元に戻し、公的保育に責任を 

 続いて、保育と子育てに関してお聞きします。先日、3人の子育て中のお母さんからお話を聞きました。「子どもは可愛く、子育てはとても楽しい。ただつらく感じるときもあります。夫は子どもが起きるか起きないかくらいに仕事に出かけ、帰ってくるのは子どもが寝てから。週に2回ある休みも出勤することが多く、家にいても疲れて寝ています。こんなに働いても、毎月の収入は生活費に消え、貯蓄はできず将来への不安は募るばかりです。経済的ゆとりまでは望みません。ただ、家族でゆっくり時間がほしい。せっかく授かった命、もっともっと大切に育てたい。地域の中で安心して子どもを育てていける社会になってほしい」。
 この声に応えるどころか、京都市はプール制の改悪、補助金の削減をおこない、保育園の経営と保育士の処遇、保育内容に重大な影響を与えています。ある民間保育園では、「ポイント制の導入で、ベテラン保育士の給与は今年度から月額で8万円も下がった」と言います。
 一方で、民主党政権が7月に発表した「子ども・子育て新システム」中間報告は、児童福祉法による自治体の保育実践義務をなくし、利用料の応益負担制導入、営利企業の参入促進、など保育の公的責任を放棄し、企業による儲けの場にする方針を強行しようとしています。厚労省は面積基準の引き下げ地域について、自治体の独自基準を認める方針を正式に決めました。その中に京都市が入っていますが、とんでもないことではありませんか。
 待機児童の増大は、必要な保育所整備を怠ってきた国と京都市の責任です。基準を引き下げた詰め込みで待機児童の解消をおこなうことは絶対に許せません。公的保育制度を堅持・拡充するために全力をあげるべきであります。
 そこで市長にうかがいます。昨年の11月市会で採択された「新システムに反対する」意見書を尊重し、「新システム」反対の意見を表明するよう求めます。保育の現場に負担と混乱を押し付けるプール制の改悪を中止して、補助金を元に戻して、公的保育の責任を果たすこと。本市独自に職員配置基準の拡充をおこない、面積基準の緩和はおこなわないことを求めますが、いかがですか。

(星川副市長)「新システム」は本市の子育て支援施策に大きな影響を与えるもので、指定都市市長会などを通じて必要な意見を述べていく。
 新プール制は、既に制度として定着し、円滑に運営されており、職員の処遇に係る混乱も生じていない。人員配置基準や面積基準は、現行の基準を緩和する考えはない。


 岡崎地域活性化ビジョン・京都会館再整備は住民合意で

 次に、「岡崎地域活性化ビジョン」とその中に含まれている京都会館再整備に関してお聞きします。
 第一に、老朽化した京都会館の改修は当然であります。しかし、京都市の作成した「京都会館再整備基本計画」には重大な問題があります。局の説明では「次の世代に引き継ぐべき近代建築物を保全継承していく」とありましたが、基本計画はこの説明とまったく矛盾しています。日本建築学会賞を受賞した京都会館の特徴をことごとく破壊してしまうのが基本計画であり、映画監督の山田洋次さんら多数の方が反対の声をあげています。
 さらに、基本計画は専門家や市民の意見を反映したものになっていません。京都市が立ち上げた再整備検討委員会の案でもなく、市民意見を募集した際の計画案にもなかった第一ホールの全面建て替え計画を民間企業のロームとの間だけで決めたもので、京都市の一方的な計画です。この基本計画を撤回し、市民や専門家の意見をよく聞いて、改修を基本にした整備計画にするよう求めます。
 第二に、新景観政策によって、岡崎地域は高さ規制が15メートルになりました。ところが、今回、5つの建物をまとめて高さ規制を緩和しようという計画になっています。明らかに新景観政策に逆行するものであり、京都の景観を50年・100年の未来へ引き継ぐとしてつくった新景観政策をわずか4年で行政自ら破るものではありませんか。
  5つまとめた規制緩和の中止を求めます。 
 第三に、平安神宮地域の用途地域変更による規制緩和も行うべきではありません。第二種中高層住居専用地域から第二種住居地域に変更することにより、これまでは建築できなかったホテル、旅館、カラオケボックスなどの建築が可能になります。地区計画で岡崎道より西側は制限がありますが、東側は制限がかからず規制緩和されるだけになるとの認識がありますか。今回の規制緩和がすすめば、落ち着いたたたずまいの岡崎を残してほしいという住民の願いに背くものではありませんか。市長の認識をお聞きします。

(細見副市長)第1ホールは建て替え、残る部分は既存建物を生かして改修を行うことを再整備の方向性として決定した。

(由木副市長)優れた都市景観を構成している5つの近代建築物について、今の高さを基本とし、現状を都市計画に位置づけるもので、景観破壊につながるものではない。
 用途変更によってホテルなどの施設の立地は困難。岡崎地域の景観の破壊につながるものではない。


野田新政権と対決し、「国民が主人公」の日本を

 さて、菅直人首相が退陣し、野田新政権が誕生しました。
 2年前、「自民党政治を変えたい」との国民の願いは「政権交代」を実現しました。ところが、その後の民主党政権は、沖縄の米軍普天間基地の辺野古への移設、庶民に負担をおしつける消費税増税、農業を壊すTPP(環太平洋連携協定)の推進など、国民の審判に背き、願いを裏切ってきました。さらに、多少とも前向きなマニフェストも、民主、自民、公明の「三党合意」によって見直し廃止することになりました。これでは何のための政権交代だったのかと言わざるをえません。
 新しく誕生した野田新政権は、歴代首相で初めて組閣前に経団連詣でをおこない、破たんした小泉内閣の経済財政諮問会議を復活する考えと消費税の増税を表明しました。さらに自民・公明との党首会談で、国会にも諮らず三党で決めたことを国民におしつける「協議機関」設置を提案しました。これは「大連立」そのものであり、自民と民主両党で政権交代するとした「二大政党」制の破たんを示しているのではありませんか。
 野田首相は、国会の所信表明演説で、停止中の原発の再稼働を認める発言を行い、国連本部の演説では、「福島原発の事故は着実に収束にむかっている」「日本の原発の安全性を世界最高に高める」と全く現実を無視した、新たな安全神話を振りまいています。首相の態度は、ドイツやイタリアなど国際的な「原発ゼロ」の流れや、日に日に広がる原発からの撤退を求める国内世論に逆行するものであります。国民の願いに反する政治をすすめるならば、野田政権も早晩行きづまるのは明らかです。
 日本共産党は、悪政に反対するたたかいとともに、「国民が主人公」の政治の道を示し、その実現のために全力をあげるものです。その決意を表明して第一質問を終わります。

 第二質問

 不祥事や公約違反に対する総括と答弁がありませんでした。再答弁を求めるものです。
 市長は、5月議会につづいて、原発再稼働や「脱原発」に対する認識に関して、自らの言葉で答弁されませんでした。全く無責任ではありませんか。
 安全性の再確認の上で、原発の再稼働を主張していた野田首相も、「原因究明もまともな規制機関もないままの再稼働は論外だ」という指摘に対して「事故究明がすべてのスタートの前提だ」と述べました。市長は、これに対してどう考えるのでしょうか。
 また、政府の原子力委員会がまとめた国民意見調査でも、原発の廃止を求める声は98%です。労働組合の連合も、原発推進政策の転換を昨日表明したばかりです。
 中長期的にみて、そのあとの原発に対する対応を質問しました。明確な答弁をしていただきたい。「原発ゼロ」への政治決断を行うのが市長の責任であると考えます。そのことを強く指摘して私の質問を終わります。

議会開催年月別目次

開催議会別目次

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