動議 「敬老乗車証条例一部改正案」及び「児童館学童保育所条例一部改正案」を継続審査とすべきとの動議 井上議員 - トピックス|日本共産党 京都市会議員団

TOPICS ICON動議 「敬老乗車証条例一部改正案」及び「児童館学童保育所条例一部改正案」を継続審査とすべきとの動議 井上議員

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 日本共産党市会議員団は、議第98号「敬老乗車証条例一部改正案」及び議第100号「児童館学童保育所条例一部改正案」について、これらの議案を、継続審査とすべきとの動議を提出致します。理由は以下の通りであります。
 第一に、10/4付「来年度予算の編成方針」との副市長発信文書には、今年度の収入が「想定より増える見込み」と書かれています。元々、昨年来の「行財政改革計画」準備段階では毎年の財源不足額が500億円余り、5年で2,800億円とされ、この数字が、いわば独り歩きしてきました。敬老乗車証及び学童保育所の各条例改正案は、この想定がベースになっています。それが、本年度予算編成時には一般財源収入4,359億円、支出4,595億円、不足額236億円とされています。それが更に今回の副市長文書では歳入見込みが4,472億円とされ、支出が予算編成時と同じ4,595億円とすると、不足額は更に減って123億円となる計算です。つまり、二つの条例改正案も含め、一連の「行財政改革計画」は財源不足額の過大見積もりがベースになってきたものであります。これら条例改正案提案の立法事実というか、前提が大幅に変わった訳ですから、最新の財政見込み方に基づいて「改革計画」を精査し直し、従って、この計画をベースとしているところのこれら条例改正案も見直されて然るべきであると考えます。
 第二に、この「行財政改革計画」についてですが、市長は、「財政危機」を強調し、今回の条例改正をはじめ、今後とも、制度改悪や負担増を市民に押し付けようとしています。しかし一方、一般財源収入を増やす為の、共産党議員団の建設的な提案については、まともな検討すらされていません。そんな現状で市民リストラを進める、条例改正を具体化するなど、到底認められることではありません。法人市民税法人税割の税率について上限まで引き上げれば4.5億円増、高額所得者の個人市民税所得割について、三位一体改革前の税率に戻せば45億円増、また国の法人税大幅減税政策が、地方自治体の法人市民税法人税割の減収に連動しており、この点からも、国の大企業法人税減税策について、これを、以前の税率に戻し、莫大な利益にふさわしい税率とすべきことを、もっと求めるべきであります。トップランナー方式など地方交付税の性格を歪めるような国のやり方に迎合しながら交付税増額を、と言っても腰が座らないのは明らかではありませんか。国においては、大企業や富裕層への大幅減税が、国の税収減の大きな要因になっており、一方、軍事費や、リニア新幹線をはじめとする大型事業も、支出面での財政危機の要因になっています。地方自治体の財政危機打開に向け、国の税財政制度政策への抜本的な批判と改善要求が必要です。「国の財政も大変だ」と言っているようでは本市の財政危機打開も展望が見えませんし、そんな認識のまま市民リストラを強行することは絶対に認めることはできません。条例改正案提案の前提となっておる「財政危機」について、市民へのしわ寄せを避けながら打開克服する方向について、議会としてももっと議論を深めることが必要だと考えます。
 第三に、二つの条例改正案自体についても、まだまだ議論は不十分であります。
 敬老乗車証については、まず制度の社会的効用・意義・成果等について、これらを客観的に評価する為の調査研究をもっと深めることが必要だと思います。外出による健康と介護予防、消費促進による経済効果、交通事業や交通局自身の活性化、高齢者の社会活動参加促進による社会自体の活性化活発化等々、多面的な意義について、もっと議論と研究を深めるべきであります。受益と負担のバランスと強調されていますが、高齢者の社会参加という権利を自治体が保障することが、はたして受益と言いうるのか、益なのかどうか、検討が必要です。仮に受益だとしても、ではそれは誰にとっての利益なのか。介護費用の節約や地域経済への貢献など、その意義は狭い意味での利用者高齢者だけに留まらず、社会全体の利益と言うべきではないのでしょうか。
 また、負担金3倍化による交付率低下のおそれはないでしょうか。この影響如何についても、もっと慎重な予測が求められると思われます。それでなくとも対象年齢引上げにより1/3前後にも及ぶ対象者が制度から排除される訳ですから、場合によっては、これは持続可能性というより最早制度崩壊とも言うべき事態に至ってしまいかねないとも危惧されます。乗車証と回数券が各30%との交付率の見込みの根拠について、もっと厳密で慎重な、予測と精査が必要であると思います。
 学童保育利用料については、主人公であるハズの関係者に全然ご意見を聴くこともお知らせすることもなく、当事者を無視した提案になっています。現場としてもっと検討もして頂く為にも、今議会での採決は見送るべきであります。
 更に、ここでもまた「受益と負担のバランス」が強調されています。これも益なのかどうか。学童保育は児童福祉法に位置付けられ、同法では「全て児童は...福祉を等しく保障される権利を有する。...国及び地方公共団体は...児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う」と謳われています。対象児童の権利を保障する責任が国や自治体にあることも条文上明らかですから、権利が保障されることをもって利益と言えるのかどうか、もっと議論を深めるべきです。
 加えて、土曜日とか夏休み等、利用の量に応じた利用料という発想が、保育を必要とするという要件を満たしている対象児童が、権利として保育を保障されるという福祉の仕組みになじむのかどうか、この点も、もっと議論が必要です。敢えて益と言うならば、それは児童の成長発達を支え将来の社会の利益に繋がるものですし、また勤労世代の働く権利を保障することによって、これまた社会経済を支えているものであります。当該世帯の個人的な利益云々に矮小化すべきではありません。
 最後に、今回の二つの条例改正案提案に際し、或いは提案の背景として、市長は、制度対象者以外の市民の税金を投入等等と強調されておられます。一般に、福祉の制度は、夫々制度の種類に応じて一定の要件を満たせば対象とされるという枠組みでありますから、待機児童のように要件を満たしながら対象とされない場合には公平性が問題になりますが、要件を満たさない場合に対象にならないことをもって、不利益とか不公平等との発想は、福祉の制度の仕組みや考え方になじまないものであります。市民間の分断と対立を煽るかのような言い方はやめるべきです。行政として最も恥ずべきことではありませんか。市民の皆さん力を合わせて暮らしを良くしていきましょうと呼びかけるのが政治や行政の役割ではありませんか。こういう市長サイドの言い方についても、議会としてこれをどう考えるのか、そういう手法に対する評価等、もっと議論が要ると思われます。
 以上、賛否の判断にあたってもっと多面的な角度からの議論が必要だと考える立場から、二つの条例改正案につき、これらを継続審査とすべきことを提案し動議とします。
 以上であります。


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