3月26日の閉会本会議で、日本共産党・平井良人議員は、上下水道、交通にかかわる公営企業特別会計の予算について、反対討論を行いました。
その内容は、以下の通りです。
公営企業特別会計予算の討論
平井良人議員(中京区)
日本共産党京都市会議員団は公営企業各特別会計、議第13号~16号にいずれの予算にも反対を表明していますので、私は日本共産党京都市会議員団を代表して、その理由を述べます。
最初に、新型コロナウイルス感染症の拡大が各公営企業に大きな影響を及ぼしているもとで、交通局は自動車運送事業特別会計、高速鉄道事業特別会計の両事業とも予算で経常損益は50億円以上の赤字となり、合計で経常損益の赤字は110億円を超える大変厳しい経営を強いられることになります。
また、水道事業特別会計でも、下水道事業特別会計でも交通局ほどの減収にはならないものの、水ビジョン、中期経営計画に掲げた目標には届かない予算編成となっています。
自動車運送事業特別会計、高速鉄道事業特別会計予算に反対する理由の第一は、市民がコロナ禍で大きな影響を受け、苦しんでいる時に、各種割引乗車券の値上げを含んでおり、さらに運賃の値上げの内部的な検討まで踏み込もうとしている姿勢そのものに問題があるからです。国に対して、まずは9月市会全会派一致で採択された公営企業に対する減収補填を求め続けることが必要であり、市民に負担を求めるべきではありません。
反対の理由の第二には「緊縮予算」のもとで「公共の福祉の増進」を行う観点が抜け落ちていることです。バス待ち環境の改善の中でも上屋の設置や地下鉄烏丸線のホーム可動柵の全駅設置など市民の切実な要求に対して、財政難を口実に設置休止や先の見えない延期を行っています。わが党は引き続き、市民の皆さんからの要求であるバス待ち環境の改善やホーム柵の全駅設置求めたいと思います。
烏丸線北大路駅への地下鉄ホーム可動柵の工事着手が予算化されたことは、視覚障害者の方々にとっても、市民全体にとっても必要な施設であり、改めて歓迎します。
水道事業会計について、反対の理由は、国が進めている民間委託化を無批判に受け入れていることです。第6期効率化推進計画のもと、次々と委託化を進めています。あわせて、広域化についても国が主導して、「水道広域化プラン」策定を京都府に急がせ、京都市にはその具体化を迫っています。京都市も料金徴収業務や水質試験などの検討を行うと答弁しています。その流れで事業が動いていけば、自治体同士の広域化や事業の共同化は「経営基盤の強化」の名のもとに、広域的な民間委託となり、民営化への道となるものです。市の意見や議会の関与、市民の声が反映されないものとなります。市民に身近な事業を次々と民間委託している状況のもと、根幹は守るといくら言っても、内実が伴わず、「住民の福祉の増進」を図るとしている自治体の役割は果たせません。
水道法1条で「清浄にして」「低廉豊富な水」の供給を図るため、国は責任を果たし、各自治体への支援を強めるべきです。
下水道事業については、京都市との協議で出資金の休止を行うことや元きた下水道管路管理センターの跡地売却代金の雨水負担金分を京都市に渡すとしていますが、元々国の通知により、雨水と汚水の割合は決まっており、京都市と上下水道局でどのような内容で協議が行われたかもわからず、議会、市民にも明らかになっていません。また、連結の視点で事業を行い、財政が厳しい京都市を応援するとしています。その結果、資本収支が一時的に悪化しますが、ただちに現金の不足にはならないとしています。このような財政規律のもとで事業を行えば、水道、下水道事業が計画的に進めている老朽化した管路の更新など重要な事業に遅れが出る可能性があります。そのことは、市民生活に影響を及ぼし、水の安全性を脅かす要因になりかねません。
また、民間委託化については、鳥羽水環境保全センターの運転管理業務や下水汚泥固形燃料化炉の運転管理業務など中期経営計画のもとで委託化を促進しています。水道と同時に下水道の事業についても、国は広域化・共同化へ突き進んでいます。水道と同じく、国は2018年1月通知で2022年度までに各都道府県に「広域化・共同化計画」を策定するようにお願い文書として出しています。この計画を京都府は「京都府流域下水道事業経営戦略案」の中にも広域化・共同化が盛り込んでおり、国や京都府の広域化の流れに乗るべきではありません。
以上の理由から、議案に反対します。尚、コロナの中で交通局、上下水道局の運営は確かに厳しい状況が今後も予測されます。危機打開の方向を市民への負担増ありきの姿勢は到底許されないということ。そして、自粛を余儀なくされた事業の損失は国に求めること、市民との信頼関係を更に構築し、徹底した市民サービスの向上を行い乗客増に結び付けることで、危機打開の方向を探るべきであることを重ねて申し述べて討論とします。ご清聴ありがとうございました。