請願「保育・学童保育制度の充実」の不採択に反対する討論
2021年2月25日
河合ようこ
日本共産党市会議員団は、請願第955号「保育・学童保育制度の充実」の不採択に反対しております。私は議員団を代表し討論いたします。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大の下、緊急事態宣言が発せられても、保育施設や学童保育施設は閉所することなく保護者の就労を保障してきています。保育や学童保育が、どんな事態でもなくてはならない仕事であることが再認識されました。保育施設や学童保育施設がないと「日本の社会・経済が回らない」と言っても過言ではありません。同時に、保育・学童保育は、子ども達の生活・発達保障をする場所であります。コロナの下で、その制度の不十分さが改めて明らかになりました。
この間、保育施設を利用する子どもと保護者、施設職員がコロナに感染した保育施設は50か所を超えています。請願者は、「新型コロナウイルス感染拡大防止のための「消毒や保護者相談等の業務拡大に対応できる正規職員の加配、PCR等検査の拡大、公衆衛生に関する相談体制の充実、臨時休園時の代替保育、職員欠員時の対策等」を求めておられます。これらは、コロナ感染下の対策として喫緊の課題であり、行政の責任において早急に対応されるべきです。
保育や学童保育施設においては、密を回避する保育の工夫や施設・おもちゃなどの日々の消毒など感染対策をしながら、子ども達の安全な生活と発達保障に心を砕いておられ、平時を上回る職員の配置などが求められています。さらに自らが感染源にならないようにと緊張感を持続して生活している職員の負担を軽減することが必要です。
学童保育施設についても、「国の基準のスペースが確保されている」と本市は言いますが、100人以上が生活する施設も多く、1年生から6年生までの子ども達が遊ぶには余りにも狭すぎます。ゆったりと遊び、コロナ感染症下でも安心して生活できる基準に改善すべきです。
職員の配置基準を引き上げることや職員処遇の改善については、新型コロナ感染拡大以前から、保育・学童保育に関わる職員・保護者・市民から毎年のように求められていることであります。しかし、本市は「国基準を上回っている」「全国トップレベルで手厚い」と言って、現状を改善しようとしてきませんでした。また、「国の基準は不十分でない」とまで言われました。しかし、当事者の切実な声や、この間保育や学童保育関係者から寄せられる実態から言っても基準の改善は喫緊の課題であります。
本請願は、「保育や学童保育の職員配置の増員と、待遇改善、希望する全ての子どもが保育・学童保育の利用を可能とする保育施設・学童保育所の整備の推進、保育・学童保育に掛かる費用の公費負担」を求めておられます。そして「どんなときでも、子どもの安心、安全の確保、保護者の就労保障、保育労働者の就労継続を守るための保育、学童保育制度に拡充・発展させること」、さらに、京都市における行財政改革審議の中で、未来を担う市民である子ども達に負担を強いることがないことを願って、1,100筆の署名と共に提出されました。
請願で求められている「行財政改革の名による保育料引上げや職員配置基準の引下げ等は実施しないこと」。これは「持続可能な行財政審議会」において市の独自施策として見直しの対象に「保育」も俎上に上げられたことを受けた関係者の切なる願いです。保育料の値上げなどはすべきではありません。保育園等の園長先生、主任保育士さんなどとの懇談会では、京都市の保育施策が後退するのではないかという不安や「予算を削減しないでほしい」という切実な声や要望が語られました。保育制度は拡充することこそ必要であり、現状からの後退は絶対あってはなりません。
以上のことから、「保育・学童保育制度の充実」の請願は採択すべきであることを述べ、討論といたします。