20日、2月市会本会議で行われた「一般会計予算案など」の採択について、西野さち子議員が討論に立ちました。討論の内容は、以下の通りです。
一般会計予算案他についての討論
西野さち子議員
日本共産党市会議員団は、議第1号H31年度一般会計予算案、議第3号国民健康保険事業特別会計予算案、議第4号介護保険事業特別会計予算案並びに利用料等に消費税増税分を転嫁する議案に反対の立場を表明しておりますので、その理由を述べて討論をいたします。
安倍政権の経済政策は、大企業と富裕層に大きな利益をもたらす一方で、国民生活には年金の切り下げや非正規雇用の拡大など実質賃金の低下や、中小企業・小規模事業者への増税などで、一層の経営困難を押し付けています。今年10月に予定されている消費税10%増税は、市民生活と京都経済を直撃するものであり、中止すべきです。しかも、勤労統計調査の不正・偽装問題は、安倍政権の政治土台を揺るがすとともに、全容解明と責任の明確化が求められます。さらに、安倍政権は地方創生戦略で、「大企業が活躍できる自治体」「外からの稼ぐ力を引き込む自治体」づくりや、更なる規制緩和による開発を押し付けようとしています。
今回の京都市予算案は、こうした安倍政権を無批判に受け入れて、高すぎる国民健康保険料の値下げを見送り、社会保障関連予算や教育予算などに冷たく、北陸新幹線や新たなバイパス道路計画など大規模事業の見直しがされていないとして、日本共産党は、予算案が提案された当初に、予算の組み換えを提案しました。その内容は、子どもの医療費は中学校卒業まで無料にすることや全員制の温かい中学校給食の実施、国民健康保険料及び介護保険料の引き下げ、消費税10%増税は公営企業及び一般会計での転嫁をしないことなど、8項目についての予算組み換えと北陸新幹線及びリニア新幹線の誘致撤回など、3事業についての中止と見直しを求めました。
その上で、予算案に反対する第一の理由は、来年度一般会計予算には、すべての局で政府の増税方針に追随し、まだ決まっていないにもかかわらず、消費税増税を見越して、増税分を施設の使用料や公共料金に転嫁する提案がされたことです。今議会に付託された議案のうち、公営企業を除く106件のうち、消費税増税関連議案は62件にも上ります。政府は景気判断を「下方修正」し、局面が変化しているにもかかわらず、市長は京都市の状況は「ゆるやかに景気は拡大している」「京都の景気動向は大丈夫」「京都段階でいえばあながち不適切とは言えない」「国に増税中止を求める気はない」と答弁しました。来年度の消費税増税を理由にした使用料・公共料金の値上げによる市民への負担増は10月からの半年間だけでも8億3千万円にも上ることが明らかであるにもかかわらず、市民の暮らしへの影響を全く考えない立場は重大です。
第二の理由は、特例許可制度を市長の認定制度にかえること等を含めて、新景観政策の高さ規制を緩和する提案がされていることです。市長が認めれば規制を緩和できますから、これではこれまで市民の皆さんと努力して守ってきた新景観政策が抜け穴だらけになる危険があります。パブリックコメントを募集した結果、反対意見が多いにもかかわらず、市長はあくまで規制緩和の提案を進める立場です。「若者人口の流出を止めるため」「オフィスが足らない」というのなら、「宿泊施設拡充・誘致方針」を見直し、宿泊施設を呼び込む観光政策を見直すことが必要です。そして、地価の高騰で市民が住めない町になっている状況を抜本的に改善することが必要です。
第三の理由は財政が大変だと言いながら、ルートも負担も環境評価も示さず、市の負担が膨大になる可能性がある北陸新幹線延伸や堀川通地下バイパストンネルなどを、建設ありきで進めようとしている点です。市長は「大型開発は未来への投資だ」とおっしゃいますが、それならば共産党市会議員団の予算組み替え提案にあるように、不要不急の大型開発より市民のいのち・くらしを守るための福祉を充実する予算が必要です。
第四の理由は、このように大型開発を推進する一方で、高すぎる国民健康保険料の引き下げなどの、市民の暮らしの願いに背を向けているからです。京都市は、都道府県単位化2年目の予算で、「今後も京都府に納める納付金は増加傾向にあり、その増加によって保険料を引き上げる必要がある」としています。すでに、保険料負担は限界に来ています。保険料を引き下げる立場で、京都府に納付金の引き下げを求めるべきです。
また、京都市も入っている指定都市市長会は「子どもには収入がないことを前提に、子育て世帯の負担を軽減するための措置を講じる事」と国に要請しています。他都市の例を挙げてせめて子育て支援で子どもの均等割の軽減策を求めましたが、「京都市は京都市の考えでやっている。軽減は考えていない」と子育て世帯に冷たい市政が明らかになりました。さらに、子どもの医療費については、通院の1か月負担上限を3000円から1500円への引き下げにとどまっています。制度拡充は市長公約であるにもかかわらず、相変わらず京都府内で一番遅れた自治体です。この状況に甘んじるのではなく、中学校卒業までの子どもの医療費は通院も無料にすべきです。
また、介護保険制度についても、介護保険料は制度開始当時から見れば、すでに約2倍の保険料になっているのに、引き下げようとしていません。そのうえに利用料が2割や3割に上げられ、軽度の方を介護保険制度から外すなど、本来の制度がますます改悪の一途をたどっています。さらに、介護保険制度の根幹となる介護認定給付事業を民間委託するとしていますが、嘱託職員を130人も雇い止めをする計画で保険者の責任を放棄するものであり重大です。
国の悪政から市民を守ることが地方自治体の役割です。ところが市長は、公務の民間化を進め、国による「自治体戦略2040構想」で、地方自治体の基本機能の大幅後退が危惧されるにも関わらず、国に対して意見も言わない立場です。
さらに、安保法制の改悪で大きく変質した自衛隊に、18歳と22歳の若者の個人情報を、宛名シールで提供する方針は撤回すべきです。自衛隊に入隊した若者が南スーダンのような戦闘地域に派遣される可能性について副市長は「ゼロとは思わない」と可能性を認めましたが、「少しの可能性」だと驚くべき答弁をされたことは許せません。地方自治体は国の下請けではありません。何でも国の言いなりで、市民を守る立場がないことは重大だと最後に申し上げて私の反対討論とします。