2月19日、京都市から提案されている「2019年度予算案」についての団長談話と、予算案等の組み替え提案を発表しました。その内容は、下記の通りです。
【団長談話】 2019年度予算案について
日本共産党京都市会議員団
団長 山中 渡
一、門川市長は、本日の本会議に2019年度予算を提案しました。一般会計、特別会計、公営企業会計の全会計合計は1兆7223億円、前年度当初予算68億円増。一般会計は、7944億円、前年度当初予算99億円増の予算規模となっています。
一、予算案は、基本姿勢で、SDGsの達成などを理念としながら、その実態は市政運営を「都市経営」に置き換え、引き続き「行革」の徹底、「京プラン」の着実な前進を基調に掲げています。また、職員143人の削減、巨額の公共料金負担増など公的責任の放棄、市民サービス削減と負担増を拡大しています。国の充分な情報公開がないまま、自治体負担となっている不正常な国直轄事業負担金は昨年より1.5億円増えています。
合わせて、京都市は自衛隊へ対象市民の個人情報を提供することをすすめています。こうした行為は安倍政権の「戦争する国づくり」「自治体への協力強要」と一体のものであり、直ちに中止すべきです。
一、消費税10%増税をベースにした巨額の市民負担増の予算となっています。消費税率引き上げに伴う消費・生活への影響に対して、万全の対策をとるとしながら、市バス・地下鉄・上下水道、公の施設の使用料等に消費税を転嫁し、加えて公の施設の手数料を上げしています。消費税転嫁額は半年で総額8.3億円(年間16.6億円)、公の施設の手数料の値上げ総額は4.2億円にも及んでいます。昨年創設した宿泊税については41.6億円の税収を見込んでいます。
一、敬老乗車証の制度改悪は、市民の批判の広がりの前に、6年間実行できなくなっています。検討作業を中止し、制度改悪を断念すべきです。
幼児教育・保育の無償化の予算が計上されています。必要な制度ですが、その財源は、消費税10%増税に頼るとしています。財源と言えば消費税となるなら、さらなる増税や社会保障削減などくらしはますます悪くなるだけです。また、保育の環境・労働条件について、抜本的改善策はありません。
子どもの医療費助成について、市民の強い要望のもとで自己負担額上限1ヶ月1500円に引き下げる前進面がありました。しかし、京都府では京都市以外のすべての自治体がほぼ無料の制度を採用しています。京都市は府内で最も遅れた自治体となっています。中学校卒業まで無料にすべきです。
国民健康保険料、介護保険料も高止まりのままです。仙台市は国民健康保険料の子育て世代の均等割り減免を実施しました。命と健康にかかわる施策です。値下げが必要です。
一、さらなる公務の産業化をすすめる予算となっています。また、介護保険担当嘱託職員の雇止めと民間企業委託化、区役所窓口業務の民営化促進の予算となっています。これらの公務の産業化は、公的責任の著しい後退であり、個人情報の管理後退、機敏な災害対応が取れなくなるなど市民サービスと自治体機能の大きな後退を招くことになります。
一、職員体制と災害対策予算が不十分なため、昨年の大阪北部地震、豪雨、台風の一連の災害に対して実態把握、情報収集、避難対策等に機敏な対応が取れませんでした。防災対策に必要な職員体制と恒常的な経費については抜本的な拡充が必要です。また、山林の倒木被害対策など農林業災害復旧事業2.9億円が計上されていますが、252haにも及ぶ倒木被害対策、今後も予測される大規模災害に備える点では不十分です。さらに森林整備の推進費は50万円しか増額されず、林道保全など災害に強い森づくり費は減額されています。土砂災害条例についても検討されていません。また、吉祥院消防出張所の廃止等による新たな消防職員削減が提案され、強化が必要な自主防災会の活動本体に対する支援予算はありません。
一、まちづくりにおいて土地利用の促進、産業用地の創出にむけた新たな規制緩和、公有地の民間企業への差し出しを今後もすすめる予算となっています。この間、京都市は高さ等の規制緩和、都市再生緊急整備地域指定の拡大など用地と空間を開発企業に提供する施策を拡大するなど、新景観政策の形骸化をすすめてきました。さらに新景観政策を見直し、高さ規制を緩和し、そのために市長の権限の強化を図ろうとしていることは大きな問題です。また、「稼ぐ自治体」「文化で稼ぐ」「インバウンド頼みの観光政策」のもとでホテル、簡易宿所の異常な規模の誘致で、京都の文化とまち壊し、観光地の劣化、地域コミュニティ壊しと自治の劣化を引き起こしてきました。市民・地域が主役のまちづくりを掲げながら、景観・まち壊しに対する反省はなく、まちづくりに対する住民参加の制度もないまま、規制緩和を拡大する上からのまちづくりの手法は直ちに転換すべきです。
一、無駄な公共事業を直ちに中止し、暮らしの予算を確保することは喫緊の課題です。2兆円規模の総事業費とされる京都通過の北陸新幹線延伸計画については、京都市の負担規模、地下トンネルの環境負荷、工事による市民生活への影響などまったく明らかにしないまま誘致だけを先行させています。加えてリニア中央新幹線誘致、さらに破たんした市内高速道路3路線計画と引き換えに、堀川地下バイパストンネルに執着する予算となっています。これら一連の計画は撤回すべきです。また、規制緩和と大型開発を前提にした京都駅周辺整備事業を見直すこと。必要な事業であっても総事業費100億円を超える規模の公共工事についても、事業費を抑制する見直しが必要です。
2019年度京都市予算案等の組み替え提案
日本共産党京都市会議員団
団長 山中 渡
日本共産党京都市会議員団は、市長提案の2019年度予算案等について、以下の理由と提案により、市長は速やかに組み替えを行い、再提出することを求める。
一、組み替えを求める理由
安倍政権の経済政策アベノミクスは、大企業と富裕層に大きな利益をもたらす一方、国民生活には年金切り下げや非正規雇用の拡大など実質所得の低下や、中小企業・小規模事業者への増税などで一層の経営困難を押し付けている。今年10月に予定される消費税10%増税は、市民生活と京都経済を直撃するものであり到底認められない。しかも、安倍政権の勤労統計の不正・偽装問題は、安倍政権の政治土台を揺るがすとともに、全容解明と責任の明確化が求められる。
さらに安倍政権は地方創生戦略で、「大企業が活躍できる自治体」「外からの稼ぐ力を引き込む自治体」づくりや、さらなる規制緩和による大企業呼び込みを押し付けようとしている。
今回の京都市予算案は、こうした安倍政権を無批判に受け入れて、高すぎる国民健康保険料や介護保険料の値下げを見送り、社会保障関係予算や教育予算などに冷たく、北陸新幹線や新たなバイパス道路計画など大規模事業をめざし、中央卸売市場(600億円)の見直しがされていない。
日本共産党京都市会議員団は、予算案の提出に合わせて以下の項目の見直し案に基づいて組み替え求める。
二、組み替え提案
(1)子どもの医療費は、中学校卒業まで無料にする。
(2)全員制の温かい中学校給食を実施する。
(3)国民健康保険料及び介護保険料の引き下げを実施する。
(4)職員削減計画は撤回し、防災・減災の体制強化を図る。
(5)消費税10%増税は、公営企業及び一般会計での転嫁はしない。
(6)有料ごみ袋代の値下げを行う。
(7)独自の奨学金制度や返済のための助成制度を創設すること。
(8)交通不便地域の解消、民間バスへの支援を強化する。地下鉄烏丸線全駅に可動柵設置をする。
三、次の事業の見直し及び中止する
(1)北陸新幹線及びリニア新幹線誘致は撤回する。
(2)鴨川東岸線第三工区拡幅計画は撤回する。
(3)中央卸売市場整備計画(600億円)、堀川バイパス計画は事業の見直しを行う。