12月25日、日本共産党京都市会議員団は、【見解】「景観・まち壊しにつながる高さ規制の緩和は撤回すべき」を発表しました。
見解の本文は、下記のとおりです。ぜひ、お読みください。
【見解】景観・まち壊しにつながる高さ規制の緩和は撤回すべき
日本共産党京都市会議員団団長 山中 渡
京都市は2019年1月10日~2月12日の期間で、高さ規制や特例制度の規制緩和(案)を内容とする市民意見募集を行います。新景観政策の結果、都心は魅力的になっていると評価する一方で、30代の人口流出が続いている理由の一つに働く場が減っていることを挙げ、大規模オフィスの誘致戦略が重要として高さ規制や特例許可制度を緩和しようとしています。
しかし、市内人口流出の要因の一つは京都市が進める「宿泊施設拡充・誘致方針」にあります。「観光公害」と言われる状況が広がり、中心部では地価の異常な高騰が拍車をかけて、市民が住めない町が広がっています。ホテルや大型商業施設が市内に進出し、既存の中小業者が廃業に追い込まれ、京都市民の働く場が奪われていることにあります。京都の中小企業のなかには、人手不足、後継者難のために廃業せざるを得ない現状もあります。今必要なのは、職住共存で京都経済と市民のくらしと雇用の7割を支えている既存の中小企業を支援し、働く場を確保し、地域社会を立て直すことです。子育て世代の流出を止めるためには、子育て費用の軽減などの支援策も必要です。
これまでも京都会館等の特例措置や京都駅周辺の都市再生緊急整備地域の指定で、規制の緩和をすすめてきましたが、更にハードルを下げ特例制度や高さ規制の緩和で、抜け穴だらけの景観政策にすべきではありません。
政府は「中枢中核都市」に京都市を選定しました。外資の呼び込み支援を強化し、人口流出をくい止めるとして、先端技術導入や市街地活性化計画を国が認定すれば、地方創生推進交付金の上限を引き上げるものです。国の動きと連動した今回の規制緩和は、土地だけでなく空間まで市民から奪うものです。
12月22日に行われた京都市景観シンポジウムでも、パネリストから「空が大きいまち」「歩きたくなるまち」が提案され、「トップダウンだけでなく市民の意見を聞くボトムアップが必要」とまとめられました。京都市の今回の提案は新景観政策の本来の目的に逆行するものです。
日本共産党京都市会議員団は、京都市の観光政策を方向転換しホテルなどの総量規制をするとともに、京都の強みでもある職住共存で住民が安心して住み続けることを基本に据えた景観政策、都市計画こそが必要であり、高さ規制や特例許可制度の緩和提案の撤回を求めるものです。
(参考)
規制緩和案の主なものは、
1) 高さ規制の進化の方向として、広域拠点エリアの五条通沿道(JR丹波口駅~西大路通)については、一定規模の敷地と沿道の緑化を条件に高さの上限を新たに設定する。
2) 「ものづくり産業集積エリア」と位置付けられている四条通以南の工業地域などに指定されている「20m第5種高度地区」において、店舗や保育所等を併設した工場、事務所は31mまで建築可能な用途の追加。
3) 「特例許可制度」の名称を許可制度から認定制度にする。
4) 御池沿道(河原町通~堀川通)はプラス3~5m。竹田駅周辺、JR以南の山科駅周辺、太秦天神川駅周辺は一定規模の上限を設定する。
5) デザイン規制の進化の方向性として、美観風致審議会での特例認定のハードルが高いため、審査側は基準に過度に拘束されることなく、趣旨そのものに対する整合性、妥当性を中心に審査する。