訴えの提起(学童保育指導員との団体交渉について)反対討論 河合議員 - 市会報告|日本共産党 京都市会議員団

訴えの提起(学童保育指導員との団体交渉について)反対討論 河合議員

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河合ようこ
河合ようこ議員
日本共産党市会議員団は、 議第137 号子ども若者はぐくみ局関連の「訴えの提起」に反対です。
私は議員団を代表し、その理由について討論致します。
本議案は、 学童保育、児童館に働く人たちが加入されている労働組合との団体交渉に応じることを本市に命じた京都府労働委員会の命令の一部を不服として、本市が、 京都府労働委員会を相手に裁判を起こそうとするものであります。
本市は、 学童保育、児童館に働く人たちが加入されている労働組合・福祉保育労働組合と三〇年来行って来た団体交渉を2020年6月26日に拒否しました。 以来今日まで団体交渉拒否という不当労働行為を続けています。
そうした京都市の不当労働行為に対し労働組合が行った救済申し立てについて、本年6月1日京都府労働委員会は、当該労働組合員が所属するいくつかの委託先団体のうちの一つである学童保育所管理委員会との団体交渉に応じるよう命令を出しました。違法状態の解消を命じられたのですから、不服があったとしても京都市は応じる義務があります。
労働組合法第二十七条の十五には、「使用者は、 都道府県労働委員会の救済命令等の交付を受けたときは、十五日以内に中央労働委員会に再審査の申立てをすることができる。 ただし、この申立ては、救済命令等の効力を停止せず、」 と書かれています。
労働組合法に基づき設置され、労働者が団結することを擁護し、 労働関係の公正な調整を図ることを目的に設置された行政府・労働委員会から出された命令に、法を順守すべき地方自治体の長が応じないということなどありえないことではありませんか。
市長が直ちに行うべきは、京都府労働委員会の命令に従い、当該労働組合との団体交渉に応じることです。
党議員団が、提訴に反対する理由は、本市が取り消しを求めている学童保育所管理委員会の職員と本市の労使の関係性については、京都府労働委員会の命令が正しいと考えるからです。
本市は、学童保育所管理委員会の所在地や職員配置等の 「独立性の疑義」 が遅くとも2009 (平成21) 年4月以降には解消されたので学童保育所管理委員会との雇用契約関係にないと主張しています。
しかし、 2012(平成24)年3月まで在職され市の学童保育の部署に携わっておられた元職員は、 府労委の審問で「平成元年に当時の市長が、 福祉保育労と京都市の間には労使関係にあると認めたので、それを前提に団体交渉に応じてきた」 「そのことは新しい局長にも説明して引き継いできたが何の異論も出なかった」と証言されています。
そして、 京都府労働委員会の命令文では、「その後、 独立性の疑義は解消されたものの、 管理委員会における基本給等は、 京都市児童館職員処遇実施要綱及び京都市学童保育所職員処遇実施要綱 (以下,両要綱を「旧要綱」 という。)により自動的に定められるという構造にある。 本市は、 管理委員会が自らは判断せずに旧要綱どおり支給するとする管理委員会の運営の在り方そのものを容認し、本市が管理委員会に代わって自ら申立人らとの間で基本給等に関する団体交渉を行い、 具体的な額について決定してきている。 以上により、 旧要綱に規定する基本給等の限りにおいて、 現実的かつ具体的に支配決定することができる地位にあるといえ、 労組法上の使用者に当たると判断される。」と明快に述べられています。
公務である学童保育 児童館の仕事に対して、 賃金労働条件の前提である委託料は京都市の判断に委ねられており、受託した法人等の運用や判断といっても実際にはほとんどその余地がなく、実質的に賃金労働条件を左右しうる立場にあるのが京都市です。つまり、広義では、学童保育管理委員会以外の受託法人等に働く人たちについても、本市は実質的に使用者であると考えます。
そもそも今回の問題は30年前に遡ります。 1989年(平成元年)、 京都市が労働組合との団体交渉に応じなかったため当該労働組合は京都府労働委員会に救済を求められました。 そして、 労働委員会の救済命令が出される前に、当時の田邊市長が自ら団体交渉に応じて、 解決したという経過があります。
当時10年働いても10万円程度と劣悪だった学童保育の職員の賃金は、本市が学童保育との一元化児童館を進めて行こうという中で統一の処遇とする必要があり、 委託先まかせにせず京都市自身が給与や労働条件を定めた「旧要綱」を作り、 その後組合との交渉を通じて改善がされてきました。 これは紛れもない事実であります。 あまりにも低い賃金、 学童保育に働く職員の処遇を改善していこう、 どこの児童館 学童保育でも同等の賃金を保障しよう、という立場で本市が労働組合とともに取り組んでこられたのです。 その後、 賃金 労働条件に関わる団体交渉が30年間行われて来ました。 この事実は、2019年度まで双方で交わされた文書にも示されています。
にもかかわらず、 教育福祉委員会の議案審査の中で、市当局は 「これまで労働組合側は団体交渉と言っていたが、京都市は団体交渉だと認識していなかった、 協議だった」との答弁を繰り返されています。これは30年間の経過をも全くなかったことにしようとするものです。 「不誠実極まりない」とはこのことです。
また、これまでの経過を示してのわが党議員団の質問に対し、当局は 「かなり昔なので(書類の) 保存年限があり、 過去のやり取りなど把握する術がない」 「過去の経過は承知していない」 などの答弁を繰り返されました。 過去の経緯を調査すれば、 今回の突然の団体交渉拒否の行動との整合性が崩れるからではありませんか。 市の元職員は、 「経過に関する資料は別途保管され毎年後任者に引き継がれていた」と証言されています。 過去は知らないなどという誤魔化しは通用しません。 ただちに過去の経緯と事実と向き合い、真摯に対応する行政として当然の立場に立つことを求めます。
そして、先に紹介した市の元職員は学童保育・ 児童館の 「全ての施設に足運んできた。 他の職種と比べて低い処遇を何とかしたいと思ってやってきた」と述べられています。 この立場こそ、 行政のよって立つべき立場ではありませんか。 これまで、学童保育 児童館職員の賃金・処遇を市の責任で改善することによって公務としての水準と質を確保していく姿勢がとられてきたわけです。 しかし、 「職員の処遇は各運営団体が決められるもの」 あくまでも 「労使関係にはない」 と、 京都府労働委員会の命令にも従おうとしない今の本市の姿勢は、 福祉労働者の賃金水準の引き上げという社会の要請にも反するものであります。
委員会審査の中で、他会派の委員からは提訴を前提に京都市の主張をしっかり通すようにという旨の質疑がありましたが、違法状態を続けている京都市に、まず違法状態を一刻も早く解消させることが議会の責務であると考えます。本議案を取り下げるべきことへの先輩・同僚議員の賛同を求めるものです。

最後に、市長が一刻も早く労働組合との団体交渉に応じるべきであること、本議案を取り下げるべきことを強く求め、 討論といたします。

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