07年3月 1日(木)
京都市「新景観政策」とは 山中渡市議団長に聞く 高速道路・まちづくり
●「新景観政策」とはどのようなものですか。
開会中の市議会に、「京都市眺望景観創生条例」(案)の制定や、市街地景観整備条例の改正などが提案されています。
主な内容は、▽市街地全域の高さ規制を見直し、45メートルなどの制限を廃止し、31メートルから10メートルまでの6段階の高度地区の区分を設ける▽歴史的市街地全域を景観地区に指定する▽世界遺産周辺の歴史的環境、眺望景観の保全や屋外広告物の規制などとなっています。
●「新景観政策」について市議団の評価をお聞かせください。
京都市が規制緩和を進めたもとで、高層ビルの乱立など、京都のまちと景観の破壊が大きく進みました。京都市の責任は大きいものがあると思います。
こうした動きに対し、町並みと歴史的景観を守る市民の運動が大きく広がりました。「新景観政策の考え方」は、規制緩和の方向を見直し、14の世界遺産がある京都の歴史的景観を保全する方向で、市民の願いに沿うものであり賛成です。
市議団は、1980年代後半に高さ60メートルの京都ホテル(当時)を京都市が率先して誘導したときも、市街地の建物の高層化が進み、まち壊しにつながると厳しく批判し、議会でも論陣を張ってきました。1991年には、京都の歴史的景観を保全するために「新市街地景観条例」や国の責務を求めた法制定を求める提言を発表し、市民に討論をよびかけていました。
●具体的には住民の参加が不可欠ですよね。
市議団として景観問題の懇談会を開いたり、まちづくりの市民団体や建築家、都市計画、関係業界など多くの専門家の貴重な意見をお聞きしてきました。
「新景観政策」には問題点も内包されています。京都は三山に囲まれた盆地に147万人の市民が住み、働く職住一体のまちとして発展してきた大都市です。都心部においても市民の暮らしが息づいています。とりわけ、景観対策の具体化やまちづくりは、住民の協力なしにはできません。
市民への周知徹底と、住民参加が必要です。いったん決めた計画であっても住民や専門家の意見を聞いて、計画を変更できる仕組みなどが必要です。
●マンション住民や業者から心配の声もあるようですが。
たとえば、住み続けられることを希望されるマンション住民は多くおられます。分譲マンションの管理組合の役員からも、耐震補強やバリアーフリー、大規模修繕など、長寿命化の支援策の強化を求める声が強く寄せられています。
都心部の日照障害の解消策、美観地区などで制限を受ける地域の支援策などが必要ですし、市においても、景観、まちづくりを市民とともに進める体制の強化が不可欠だと思います。
市民のみなさんの声を論戦と活動に生かしますので、引き続きご意見をお寄せください。
(3月1日付「しんぶん赤旗」関西版より転載)