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見解・声明

06年7月24日(月)

[申し入れ]京都市伝統産業活性化推進計画の実効性を求める提案 産業・経済等

京都市長 桝本頼兼  殿

日本共産党京都市会議員団

 京都市伝統産業活性化推進条例(以下伝産条例)の制定を受け、具体化となる推進計画の中間報告が審議会でまとめられ提案されました。伝統産業にたずさわる人々にとどまらず、多くの市民の期待と注目が集まっているものです。

 日本共産党市会議員団は、審議会の報告を尊重するとともに積極的に計画を具体化し、伝統産業のおかれている深刻な危機を打開するための提案を行うものです。

1、条例に基づき、京都市が達成すべき目標と責務を明らかにすること

 伝統産業を活性化する主体が産業の担い手である事業者であることは言うまでもありません。しかし、本推進計画の推進主体は京都市であり、伝産条例第4条で規定したように、施策を総合的に策定し、実施する責務があります。ところが、計画ではそこがあいまいにされ、「目標は、あくまでも事業者が主体となり、市民・大学・NPO等の協力を得て実現するものである」と強調され、京都市は支援する位置づけに後退しています。

【変更すべき記述】
第3章 計画の基本的な考え方 2 4つの基本理念と目標の前文

*「目標は、あくまでも事業者が主体となり、市民・大学・NPO等の協力を得て実現するものである。京都市はそれらの主体的な取り組みを支援していくことが必要である。」を削除し、次の文章を挿入する。

 「目標は、条例第2章、第2節に掲げた施策の具体化を行うもので、具体的に数値目標を明らかにして推進する。」

第3章 計画の基本的な考え方 3 事業者、市民等、行政の責務と役割

*前文の「あくまで、伝統産業の担い手である事業者が主人公となり、~目標の達成に取り組まなければならない。」を削除し、次の文章を挿入する。

 「京都市は伝統産業の担い手である事業者を主人公とし、市民等の協力も得て、計画の基本理念の実現、目標の達成に取り組む。」

*見出しも小見出しも事業者、市民等、行政の順番を条例の順に入れ替え、行政、事業者、市民等とする。

(3)行政の記述は、伝産条例の規定に沿ったものに変更する。

 「行政はこの計画を策定及び実施する。また、事業者の創意工夫を生かした主体的な取り組みを促進し、施策の推進に当たっては事業者及び市民と相互に協力する必要がある。」

2、具体的な取組では、数値目標を掲げること

【変更すべき記述】
(1)伝統産業に関する創造的活動に対する支援

*(現状と課題)「やや戦略性に欠けている」を削除し、「要望に十分こたえられていない」とする。

(具体的な取組)

○海外市場の開拓など「テーマ設定型支援制度」の創設

*「既存の公募・審査制の補助金制度を発展的に解消し、」を削除し「京の伝統産業・元気応援事業を拡充し、さらに」とする。

○戦略的マーケットの調査・研究

*「消費者ニーズの把握に努める」は「品目ごとの消費者ニーズの把握に努め、情報を提供する」に改める。

○生産拠点を設けることを促進する仕組みの構築

*文章の最後に「とともに、補助金や融資などの優遇措置を具体化する。」を加える。

(3)伝統産業について関心とする教育や学習の場における取組

(具体的な取組)

○「京もの履歴表示」の支援、地域商標登録の取組支援

*「また、中小零細で自らの取組が困難な品目に対する履歴表示に取り組む。」を加える。

(4)技術の継承や後継者の育成

○工程別技術者調査の実施、京都市伝統産業技術後継者育成事業の充実

*小見出しを「職人(工程別技術者)調査の実施、後継者育成事業の抜本的強化」とする。

*「工程別技術者動向~」を「職人の生活や労働の実態も含めた調査等を実施し、対策に生かす。後継者育成事業の対象年齢制限を緩和するとともに、件数及び額を拡大する。」と変更する。

○原材料・道具の調査・支援

*「また、保存や再生を積極的に支援する。」を加える。

○小規模業種に対する支援の充実

*「後継者の発掘に特別の対策を取る。」を加える。

(5)活性化の拠点施設等の機能の充実

(具体的な取組)

○京都伝統産業ふれあい館・京都市伝統産業振興館の活性化と機能の再構築

*小見出し「と機能の再構築」は削除する。

*「魅力を発信し、集客力強化を図る仕組みづくりを進めるためにも、有料化も含めた機能の再構築を検討する」を「魅力を発信する施設として整備を図る」に変更する。

○京都市産業技術研究所の機能強化

*本文の前半を変更する。「老朽化した繊維技術研究センターは、現在地での再整備を行い、工業技術研究センターとあわせて公設試験研究機関として充実する。」「また、」以降の後半部分は残す。

(6)表彰や奨励

(具体的な取組)

○「京都市伝統産業技術功労者顕彰」の実施・食品従事者に対する表彰制度の創設

*「優秀な技術を保全するために、功労者が就業継続できる支援策を検討具体化する。」を加える。

○若手職人作品展・競技会の実施

*「また、作品製作のため必要な共同工房の提供などの支援に取り組む。」を加える。

3、国への要望・提案は具体的な内容を盛り込むこと

 具体的な要望を盛り込む。「海外製品の逆輸入の規制を行うこととあわせ、原産国表示の義務付けを行うこと」「伝統産業関連予算を増額すること。」を挿入する。