05年12月16日(金)
[声明]11月定例市会を終えて 市会を終えて
一、〇四年度の決算を中心に審議した十一月議会は、一カ月間の会期を終え本日閉会しました。「福祉と教育は後退させない」と公約した市長の三選初年度にあたり、その実行が問われる決算年度となりました。その結果は生活保護費の夏季歳末見舞金の廃止、保育所及び社会福祉施設に対する補助金の大幅な削減に加えて、学校運営費まで削る一方で、ムダな高速道路計画、不要不急で安全性も未確立な焼却灰溶融炉の建設などを推進し、市財政をいっそう悪化させるものとなりました。日本共産党市会議員団は、市民生活に及ぼした影響を明らかにしつつ、市長の責任を追及しました。
審議を通じ、公約違反の内容を多く含んだ一般会計、高すぎる保険料を放置した国民健康保険会計、大型駐車場建設などのムダ使いのツケが一般会計にしわ寄せされている駐車場事業特別会計、町長の汚職・収賄事件のあった京北町一般会計の各決算については認定せず、その他の決算は認定しました。また、今議会には公の施設に指定管理者制度を導入し、民間企業を含む指定管理者を指定する二五八議案が提案されました。審議の中で、指定管理者制度は公の責任を後退させ、市民サービスの低下につながる危険が高いことを指摘し制度の導入を決める条例には反対しました。それぞれの指定については、民間企業を除き、指定先が現行サービス水準の確保が可能であることなどを確認して賛成しました。
一、また、家庭ごみ有料化の来年十月の強行をねらう市長は、有料化を前提にごみ減量に有効だと強弁を繰り返しました。党議員団は本会議に続き減量化の努力こそ必要だと追及する中で、与党会派も公然と実施延期を求める発言がありました。市民の関心と世論が高まり、意見交換会を追加して開かざるを得ない状況に追い込みました。当局は、予定した年内の取りまとめもできない事態となっています。党議員団は家庭ごみ有料化について市民意見を求めるビラを全戸配布するなど、市民のみなさんとご一緒に家庭ごみ有料化をやめさせるために力をつくすとともに、真のごみ減量化に向けた取り組みを進めます。
一、全国を揺るがす耐震偽装事件が発覚する中、党議員団は事件の根底には「官から民へ」規制緩和を進めた一九九八年の建築基準法改定があることを明らかにしながら、徹底して対策を求めました。副市長から「人的配置を行い京都市自身よる構造上の建築確認をすること、マンション・ホテルなどに関する抜き打ちチェックを行うこと、中間検査は五百平方メートル以上にルールを改正することなどをできるだけ早く行う」との答弁を引き出しました。また、粘り強く求め続けてきた障害者施設・醍醐和光寮の建て替えについて、来年度に調査費を計上することを市長が表明したことは、大きな前進です。関係者の運動と連携した党議員団による数度の視察調査に基づいた委員会での追及が、与党会派も動かしたものであり、建て替えの実現に向けて全力をあげるものです。高速道路建設計画では、与党会派が事実上未着工三路線の凍結を求める質疑が行われました。中止を求める世論の広がりと計画の破たんを示すものです。
一、今議会会期中に、党議員団が追及してきた旧同和地区の山ノ本における上鳥羽建設業協同組合等による市有地の不法占拠問題について、住民の監査請求に対し、京都市監査委員会が撤去を求める道理ある勧告を行いました。十七年間の不法な利用に対し、明け渡しと損害賠償を求めるもので、市長は勧告を受け入れることを表明し、「遅きに失した」と今日までの対応の不十分さを認めざるを得ませんでした。党議員団は同和奨学金や自立促進援助金の廃止、市立浴場の入浴料金格差是正と無料券配布の中止、地区内保健所分室の廃止と養正分室での無料診療行為の中止を引き続き求めて、同和行政の真の終結のため奮闘しました。さらに、決算書類調査の中で、二〇〇〇年度から新たに制度をつくり、旧同和地区内の改良住宅に限り、無料の住宅改修を行っていたことが明らかになりました。論戦を通して会期最終日に改めて「同和行政の完全終結を求める決議」を全会一致で成立させることができたのは大きな成果です。
その他に、「子どもの安全対策の強化を求める意見書・決議」、「耐震偽装問題に関する意見書」を全会一致で可決しました。一方、与党会派が人権侵害につながる「人権擁護法の早期制定を求める意見書」を可決強行したことは重大な問題です。また、障害者自立支援法の制定による利用者負担増に対し、自治体での支援強化を求める関係団体からの要望が出されていたにもかかわらず、自民、公明は「持続可能な制度」として自立支援法を肯定する決議を提案し、国政では法成立に反対した民主・都みらいまで賛成しました。障害者団体を始め関係者の批判は免れません。党議員団は対案を示して反対討論で問題点を明らかにし、切実な要求を代弁して奮闘しました。
一、今議会開会中に、「三位一体改革」や来年度の「税制改革」がほぼ確定し、消費税増税の方針も示されました。その内容は、地方への負担の転嫁と庶民大増税をいっそう強めるものに他なりません。党議員団は、憲法改悪の動きと対決し、庶民増税や負担増を許さない運動を市民のみなさんと力をあわせて全力で取り組みます。そしてこんな時こそ、住民のくらしと福祉を守る地方自治体本来の役割を発揮することが求められています。ところが今の市政は「府市協調」の名の下に高速道路建設推進、子どもの医療費助成制度拡充の願いを拒み、高校再編で差別選別の教育を推進するなど、いずれも府市一体で市民サービスの切り捨てと市民負担増を押し付けています。党議員団は、引き続き市政の転換を目指すとともに、来年四月にたたかわれる知事選挙で、憲法を生かす府政を実現するために市民のみなさんとともにがんばる決意です。