05年8月10日(水)
[申し入れ]アスベストによる健康被害対策等に関する申し入れ 医療・福祉
アスベストによる健康被害が全国的に大きな問題となっています。アスベストが主要な原因の中皮腫による死者は、九五年以降全国で六〇〇〇人。今後四〇年間で十万人の被害者が出るとの専門家の見方も示されており、事態は深刻です。危険性を認識しながら事態を放置してきた国の責任は重大です。輸入・生産量の合計で国内のアスベストは一〇〇〇万トンにのぼりアスベストを使用した製品は三〇〇〇種に及ぶと言われています。被害は、アスベスト製品を製造・加工する事業所の労働者にとどまらず、家族や周辺住民にもおよんでいます。大気汚染防止法による「特定粉塵発生施設」はもとより、建物の建築・解体現場、自動車整備工場など、使用実態からいって底知れない被害が今後起こりうるものとして、国・企業・自治体が長期的な視野に立った抜本的な対策を取ることが求められています。
とりわけ昭和三〇~四〇年代の建物には石綿スレートなど防火壁等として使われているものが多く、これらの解体が今後ピークを迎えることから、飛散防止等きめ細かな曝露防止が必要です。
京都市は相談窓口を設置し、公共施設の再調査にふみ出しましたが、「市内にアスベストを使用する製造工場はありません!」(八月一日付「市民しんぶん」)と広報しており、アスベストの使用実態から見て、認識の甘さを指摘せざるを得ません。製造、使用の実態等の情報を積極的に調査・公表し、市民の不安に応えうる体制の整備を以下の通り求めるものです。
一、庁内に関係局による対策委員会を立ち上げ、必要に応じて医師・建築関係者などの専門家を交えた連絡会議を開催すること。全職員の研修と、市立病院・衛生公害研究所に専門的な体制を確立すること。
一、広報紙等も活用し、企業や市民に情報提供を求め、過去の使用状況等の実態把握に努めること。
一、施設の解体にともなう作業者もふくめ、アスベストを取り扱うすべての事業所や従業員に対し、作業従事者の健康管理、石綿の飛散防止や実効ある対策などを周知徹底すること。また、施設関係者や周辺住民も含め、被害者発生防止の対策に万全を期すこと。
一、解体作業に従事した建築関係者等、その職歴に応じた無料検診を実施すること。
一、民間とも協力した市民相談の体制、啓発を行うこと。
・各保健所・支所、衛生公害研究所に設けた健康相談窓口では、市民からの多面的な相談に適切に応えられるよう、必要な研修を行うこと。 ・各土木事務所に専門家を養成するなど、建築物に関する相談(使用、解体など)にも応えられるような体制を整えること。一、公共建築物については、委託施設や過去に民間に売却した保育所等も含めて調査し、使用の実態があれば市の責任で除去すること。
一、法令に定められた報告義務のない建築物の解体にあたっても報告を求め、調査・除去時の助成等を検討すること。
一、対策を講じるにあたって、必要な制度改善と財政措置を国・府に求めること。