03年12月17日(水)
[提案説明]男女共同参画推進条例の修正案の提案説明 条例提案
日本共産党市会議員団は、議第240号京都市男女共同参画推進条例の制定について、男女共同参画懇話会の提言に基づく、条例案を作成し、修正案として提案しておりますので、その説明をいたします。
条例制定については、懇話会の提言を最大限尊重してつくると言われていましたが、条例案は、提言の内容から大事なところが抜けているところが多くあります。
市条例案の「伝統と文化を大切にし」及び「家庭や地域のきずなを大切にし」という文言の使い方は、社会的文化的に作られてきた性差という認識にたっていないもので、問題です。提言でもこの見地に立って、使われなかった文言をわざわざ、大事な前文に入れ込むのは、懇話会の報告を軽視するものです。以下、修正案の重点を説明いたします。
第1に、懇話会の提言どおり、修正案の名称は「女性と男性の平等推進条例」と提案します。提言では、親しみやすく、条例の主旨を的確に表したものとすることが求められると「女性と男性の平等」という言葉を名称に盛り込むこととありました。しかし、条例案は「京都市男女共同参画推進条例」と懇話会の意見を無視しています。懇話会の傍聴をさせていただきましたが、名称については、最も熱心な議論が交わされた所であります。委員会審議の質疑では、「男女共同参画」の言葉は市民に浸透してきていると説明がありましたが、そう判断する根拠はありません。現に提言には「男女共同参画」は意味がわかりにくく、また、広く一般に浸透しているとはいえない」と指摘していますが、この指摘も無視するものです。スタートラインにおいて、まだまだ、不平等な点が多い状況にあることから、平等を推進する立場を名称でも明らかにするべきです。
第2に、前文はその条例の目指すものを明示する意味をもちます。市条例は「男女共同参画を総合的かつ計画的に推進することが、すべての市民が個人としての誇りと家族や地域のきずなを大切にし、未来への希望を持って暮らすことができる」と漠然としてかえってわかりにくい表現になっています。
「女性と男性の平等を総合的かつ効果的に推進するために、この条例を制定する」とすべきです。
第3に、実効性のある条例にするために、大切なのは、性別による権利侵害など女性や男性の平等を阻害する切実な問題となることが起こった時に、相談や苦情処理を行う方法が、条例にいかいに盛り込まれているかという点です。相談や苦情等の申出に対して、適切かつ迅速に処理するために専門員を置き、権限も明確にすべきです。
相談、苦情処理を行う機関として、第三者機関(オンブズパーソン)の必要性は第2次女性行動計画からの課題としているところです。委員会審議において、市の条例案では、「適切に処理」「必要な体制」を整備するところにとどまっていることを指摘しましたが、後に、規則でその専門とする機関を設置することを定めると説明がありました。後に設置するというならならば、はっきりと条例の本体に専門員の設置と権限を記載すべきです。人権侵害に対する専門の苦情処理委員設置を明記している政令市は名古屋市、川崎市、千葉市、神戸市とあります。
相談や苦情等への市の対応のあり方は、「この条例がどれぐらい信頼され、活用されるのかの成否を決する重要事項」と懇話会からも言われているものです。
第4に、審議会の設置については、市の条例案でも設置が記述されています。今後、条例に基づいて女性と男性の平等のさらなる推進を図っていくためには、諮問機関の機能を充実・強化することが必要であり、現在の懇話会を格上げし、市長の附属機関として審議会を設置するものです。
より審議会の権限をもって、関わってもらうためにも、修正案では「市長の諮問に応じてのみの、審議会でなく、施策推進の実施状況等について、必要に応じて調査審議し、市長に意見を述べることができる」としています。積極的な審議会とすべきです。委員会審議では、条例案においても、審議会が独自に調査や審議をし、市長に意見を述べることも含まれると説明がありましたが、わかりやすく、記述するべきです。
パブリックコメントや条例案が提案されてからも、「懇話会の提言を活かしたものにするべきだ」とたくさんのご意見をお寄せいただいています。今議会に提案するまでの職員の皆さんを始め、市長の諮問機関である男女共同参画懇話会委員の皆様方のご尽力に心から敬意を表します。
市民の期待に答える条例とするためにも、懇話会の答申・提言をいかした修正案へのご賛同をお願いし、提案説明といたします。