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市会報告

西野さち子 議員

10年9月30日(木)

西野さち子議員の代表質問 10年9月定例市会 本会議代表質問

 

 伏見区選出の西野さち子です。日本共産党を代表して、質問致します。

市政運営について

 まず、最初に市政運営について伺います。市長あなたは2年半前の市長選挙で当選されましたが、自民党、民主・都みらい、公明党の支援を受けながらも951票の僅差でした。それは、高すぎる国民康保険料、同和特別扱いを温床とした京都市職員の不祥事続発などに対する市民の大きな怒りが有ったからです。ところが市長は当選直後の本会議で「安心して暮らせるまちづくり」のためとして「行政改革をさらに加速させる。」「地域主権時代の新しい自治のモデル」のために「市民の負担は避けて通れない」と答弁されました。そのもとで昨年1月「京都未来まちづくりプラン」いわゆる行政改革プランで「このままでは夕張のようになる」と市民に危機感をあおり、市民負担増、サービスの切り捨て、公的責任の放棄に大きく踏み出しました。国民健康保険料は2年連続値上げで、合計15億円もの負担増です。さらに、保育料や斎場使用料の値上げなど、すべて合わせると30項目で19億5千万円もの負担増です。事実上の保険証の取り上げである資格証明書の発行数は今年3月で4414件、差し押さえ件数も昨年度1592件といずれも京都府内の他の自治体の中でずば抜けています。雇用不安、経済危機の進行のもとでの負担増は市民生活をますます危機に追いやっています。他にも公的責任の役割放棄のやり方はひどいものがあります。市長就任3年目というわずかの間に、民間保育所の補助金を五億円も削減するとともに、さらに補助金を削るために優れた保育を維持してきたプール制を変質させました。市立看護短期大学の廃止にいたっては、4年制化や他の公立大学への学部編入などの例はあっても公立看護短大を廃止しただけという例は全国どこにもありません。「反対意見があっても決断する」と学生や大学関係者の意見さえまともに聞かず、一旦否決された議案を修正なしで再提出するという異常さです。市民生活の深刻な事態をどう認識されていますか。市長のやり方は、市民生活に追い打ちをかけるやり方でしか有りません。市民生活を応援することこそ求められていると考えますが、いかがですか。

(市長)少子長寿化、人口減少、経済情勢の悪化による生活困窮者の増大など、国民は何らかの不安を感じていると認識している。不安を解消し、充実した生活を送って頂くため聖域なき行財政改革に努め、市民生活向上の施策を推進してきた。保健福祉行政は全国トップレベル。

 かつてない規模とスピードで公的責任を次々と投げ捨てた結果、財政改善の見通しはついたのでしょうか。改善するどころか2009年度末の市債残高見込みは一般会計で1兆1444億円にもなり、あなたが市長に就任する直前の07年度と比べても交付税の先取りである臨時財政対策債を含めて345億円も借金を拡大させ、好転の見通しが見えるどころか借金がさらに膨らむことになっているではありませんか。例えば京都高速道路計画です。新十条通、油小路線や工事中の斜め久世橋工区で3000億円近くの費用をつぎ込んでいます。京都市の持ち出しは関連事業をふくめ700億円を超えています。新十条通りを実際に走った市民からは「がらがらで貸し切り状態だった。」の声が寄せられています。巨額の費用をかけてつくった結果がこれでは市民が「ムダではないか」の思いをされるのは当然です。党議員団は以前に京都市の道路特定財源のほとんどが、これまでの道路整備の借金返済に充てられていたこと。例えば2008年度では道路財源の7倍を超える借金をして新たな道路事業が計画されるなど、京都高速道路計画の借金増大構造を指摘しました。残る3路線を続けるならますます借金は膨れ上がるだけです。市長は「凍結している」と答弁されていますが、それならなぜ西大路線、堀川線、久世橋線についてはきっぱりとやめると言えないのでしょうか。その理由をお聞かせください。

(建設局長)京阪神都市圏の道路ネットワークを形成する京都高速道路は必要不可欠。斜久世橋区間は、阪神高速との連携で23年3月完成へ、全力で整備する。残る3路線は、総合的交通体系や社会経済情勢を勘案し、必要性も含めあり方を検討する。

国民健康保険の改善を

 国と地方の政治が構造改革路線を進む中で、市民からは様々な形での悲鳴があがっています。その中でも市民の命にかかわる問題でお聞きします。

 最初は国民健康保険の問題です。

 2008年に行われた市長選挙で高すぎる国保料が大きな争点の一つになりました。その当時は滞納者が国保世帯の約20%にも上り、引き下げを求める署名は18万筆を超えました。市民の声に押されて一度は引き下げられた国保料を、市長は2年連続で値上げしました。その結果、所得300万円の2人世帯で年間47万6210円の保険料になりました。全ての所得階層で値上げされて、値上げ総額が昨年は9億8000万円、今年は5億3200万円ですから悲鳴が上がるのも当たり前です。ところが累積赤字があるとしてもこの2年間でみると、24億7500万円の黒字です。結局値上げをしなくとも黒字が確保できているではありませんか。高すぎる国保料について「被保険者の負担は限界に達しつつある」との認識が示されましたが、必要のなかった国保料の値上げを市民に押し付けた責任は重大です。黒字分は値下げに回し、ただちに高すぎる保険料を引き下げるべきです。いかがですか。さらに払える保険料にするためには、1984年に50%有った国の負担が31%にまで減っていますから、この国の負担を元に戻すことが必要です。いかがですか。

 日本共産党市会議員団は、国民健康保険に関する市民アンケートを実施しました。約900通の回答が寄せられ、国保料や医療費への関心の高さと切実な実態が明らかになり、この周りには、もっと大きな声なき声が有ることを実感しました。無保険者や資格証明書を発行された方、差し押さえされた経験など、深刻さは想像を超えるものも多くありました。「食費を削って国保料を払っている」「子どもがいるので2か月ごとに借金をして払っている。短期証です」「国保料を払えば年金保険料が払えない」など、深刻です。実際に差し押さえを受けた世帯は3.1%、差し押さえの通告を受けた世帯が13.9%に上っているという事も重大です。差し押さえを受け、生活費が無くなったという訴えも有りました。実際に生命保険や年金、給与まで差し押さえが進み、昨年度の全市での差し押さえ件数が1592件に上っています。ある青年は、少しでも収入を増やそうとコンビニのアルバイトの深夜勤務を増やし、最終電車で帰り、次の日は始発で出勤というくたくたの毎日です。ところが収入が少し増えたために保険料が7割減免だった昨年の8倍になり、「払えない」と悲鳴を上げておられます。8月になって納付相談に行くと、「来年の5月までに全額払わないと差し押さえする」と言われ、相談には乗ってもらえなかったそうです。「家賃と奨学金の返済をすれば食べるのがやっと。国保料を払えば奨学金は返済できない」と肩を落としておられました。こうした市民の実態について市長はご存じですか。市民生活の実態について、市民の命と健康が脅かされているという認識はおありですか。いかがですか。

 また、国保の窓口を担当している職員の苦悩も知るべきです。国保料が高すぎると思いつつも、徴収率向上が課せられて「滞納分を払うように」と言わざるを得ず悩んでいます。実際に資産調査を行っても差し押さえられる資産がない、そもそも生活保護基準以下の収入しかない世帯を前に、資格証明書を発行すれば、命を危機にさらしているのではないかとの市職員の苦悩は深刻です。本来市民のくらしの向上やいのちをまもる為に頑張る職員が、市民生活の現実に直面して、苦しんでいる姿が市長には見えないのでしょうか。今こそ高すぎる国保料を値下げすべきです。そして値上げによる滞納者の拡大で資格証明書を発行し市民を追い込む悪循環を断ち切るべきです。

 資格証明書の発行が保険料徴収率向上につながらないことから、さいたま市や広島市では資格証明書の発行をやめています。全ての加入世帯に正規の保険証を発行すべきです。いかがですか。 

 9月13日、病院での窓口負担の軽減に向けて厚労省が通知を出しました。収入が生活保護基準以下に急減し、預貯金が生活保護基準の3カ月分以下である世帯を減免の対象とするという新たな基準を示しました。窓口での負担が心配で病院に行けないという市民の不安にこたえるものであり、財源も半分は交付金で措置するというものです。京都市は一部負担金減免制度を持ちながら、利用者は年々減少するばかりです。国の措置を直ちに活用し、一部負担金減免制度を拡充するよう求めます。いかがですか。

(保健福祉局長)被保険者の負担は限界に達しつつあり、可能な限り引き上げを抑制した。国からの調整交付金が多く、21年度は黒字となったが、巨額の累積赤字を抱える危機的な現状であり、引き下げはできない。国に対して財政措置の拡充を強く要望する。

 保険料の納付が困難な方には減免を含めたきめ細かな納付相談をおこなっている。納付意思を示さず、特別な理由もなく長期に滞納している方に資格証明書を交付することは負担の公平の観点からやむを得ない。特別な事情がある場合は短期証を交付しており、機械的対応はしていない。

 国が示した一部負担金減免基準は、収入等は本市を下回る一方、滞納していても対象とするなど、本市と大きく異なり、慎重に検討する。

焼却灰溶融施設は稼働するな

 次に、焼却灰溶融炉についてです。本来なら6月から本格稼働の予定だった焼却灰溶融施設は、今、停止しています。その原因は、試運転中に耐火煉瓦の損傷や廃水処理設備に不具合が生じたこと。何よりも排水から基準の42倍という考えられない高濃度のダイオキシン類が検出されたことに有ります。ダイオキシンについては、有識者2名を含む対策チームが立ち上げられ、原因究明に取り組まなければならなかったのです。調査の結果は何と、廃水処理施設だけでも設計ミスが2ヶ所も発見されたと言うことでした。私たち日本共産党市会議員団は高濃度のダイオキシンが検出されて直ぐに現場調査に入りました。そこでは、宇宙服のような防護服を着て酸素ボンベを担いでの調査になりました。本来だったら焼却灰を高温で溶かして容積を減らし、重金属やダイオキシンを無害化する施設の筈です。ところが、基準以下のダイオキシンになっている焼却灰に時間とお金をかけて、ダイオキシンを作り出していたのです。そして、当初安全だとされていた施設をさらに2か所の設計変更と新たな薬剤処理を追加する結果になっています。また、職員の操作ミスで設計ミスが発見されるなど、全くお粗末な事態です。そのまま本格稼働をしていれば、ダイオキシンが垂れ流しになっていた可能性がありますから、こんな危険なことはありません。だからこそ、9月7日のくらし環境委員会にプラントの施工を請け負った住友重機械工業の責任者が参考人招致されたのです。基準の42倍ものダイオキシンを出したことについて、不十分ではあっても住友重機械工業は謝罪をしました。市長は京都市の施設でこんな事故が起こったことについて、市民に謝罪すべきではありませんか。いかがですか。

 また、京都市には2008年9月に稼働停止した東北部クリーンセンターのばいじん溶融施設が有りました。この施設も2002年に溶融炉の煉瓦が破損し、高温で溶けた溶融物が流れ出すという大事故が起こりました。この施設は、稼働していた7年半の間にメンテナンスだけで5億1830万円も支出しました。施設閉鎖時には初年度の10倍もの維持管理費にふくれあがり、今年3月の予算議会で理事者は、焼却灰溶融施設についても維持管理費の高騰の可能性を否定できませんでした。京都府内でも宇治市など3市3町のごみ処理を行っている城南衛生管理組合が、今月、灰溶融施設の停止を明らかにしました。温室効果ガスの大量排出問題や年間約2億円の高額の維持管理費が問題となり、10月に環境省へ廃止申請を提出するとのことです。スラグの活用も進まなかったようです。日本共産党が指摘してきた通りの事態が現実に起こっているではありませんか。これまで溶融炉の建設を進めてきた国でも、溶融炉にかかる高額の経費が地方自治体の財政を圧迫している実態から、今年の3月に「焼却施設に附帯されている灰溶融固化設備の財産処分」についての通知が出されました。これまでは溶融施設を造らなければ補助金を出さないと建設を誘導してきた国が、埋立地が15年以上使えることや溶融炉廃止で温室効果ガスが削減できることなどがあれば、廃止しても補助金の返還は求めないと、これまでの方針を見直す姿勢に変わってきています。決算議会、予算議会でも京都市の灰溶融施設にかかる経費が増大する懸念が明らかになっています。ごみ半減計画が進めば東部山間埋め立て地はあと50年使用可能です。27000トンもの大量のCO2を出し地球温暖化防止にも逆行する施設です。宇治市を含む城南衛生管理組合も中止を決断されたことを、市長はどう受け止められますか。まだ年間16億円もかけて本格稼働をするつもりですか。とうてい認められません。本格稼働中止の決断をすべきです。お答え下さい。

(星川副市長)東部山間埋め立て地は、今後さらに70年以上活用することをめざし溶融施設を整備してきた。基準を超えるダイオキシン類が検出し、稼働開始を大幅に延期する事態となり、大変申し訳ない。住友重機械工業とともに対策チームで原因究明と対応策を検討し、議会や地元に報告してきた。検討結果に基づき抜本的対策を講じさせている。安全性の確保を確認した上で稼働させる。効率的運転に努め、経費削減と温室効果ガスの発生抑制を図る。

ごみ有料指定袋の価格引き下げを

 ごみ問題に関して最後に、ごみ袋有料化財源についてお聞きします。ごみ袋の手数料収入から袋の製造経費などを差し引いた後の京都市に入ってくる収入、有料化財源は、毎年9億円を超えています。今年度予算でも、18億7420万円の売り上げのうち、約半分の9億710万円が袋製造などの経費で、残りの9億6710万円が京都市の収入です。環境ファンドに積み立てたり、様々な事業に活用される事になっていて、「平成の京町屋普及促進事業」などごみの減量とは関わりの無いような事業にも活用されています。ごみ袋の価格に対する市民アンケートでも「ごみの減量は必要であるが負担を感じる」と「負担感が大きい」の合計が47%になっています。市民の努力でごみは減っているのですから、その努力に報いることが必要です。市長、ごみ半減計画の達成には、市民の努力が欠かせません。努力をすれば価格が安くなると言うことで、市民にお返しすることが必要ではありませんか。有料指定袋の価格の引き下げを求めます。いかがですか。

(環境政策局長)一定の負担感がごみ減量の動機付けとなっており、指定袋の価格を下げれば減量効果の減少が懸念されることや、他都市と整合性が取れた価格であるなどの審議会でのとりまとめをふまえ、指定袋の価格は妥当であると考えている。ごみ半減に向け、貴重な有料化財源を活用する。

京都市立芸術大学の法人化は白紙に戻せ

 次に、京都市立芸術大学について質問します。

 京都市は市立芸大を公立大学法人化し、今までの市直営から第三者機関である法人の運営に変えようとしています。この6月には、「整備・改革基本計画」が出され、平成24年4月に法人を設立することが明記されました。しかし、この法人化問題については大学内外から様々な疑問が出されています。

 6月29日に行われた「『130年の歴史ある京都市立芸術大学の公立大学法人化方針に異議あり~民主的な議論の保障を~』アピール賛同を広げる市民の会」主催のシンポジウムには、大学の教員やOBなど約60名が参加し、法人化問題について活発に意見が交わされました。法人化問題にくわしい京都府立大学の教授は、府立大学が法人化される際に関わった経験もふまえながら、「法人化の背景は、『国から地方へ』『官から民へ』と言う構造改革路線であり、目的は行政のスリム化にある」と端的に指摘し、教育研究費の削減や外部資金獲得のための教員の多忙化、教員の削減、非公務員化による身分の低下などが懸念される、と発言されました。また、市立芸大名誉教授の方は、大学内での議論を積み重ねて平成18年に「現段階では法人化を積極的に進めることは妥当でない」と結論付けているにもかかわらず、法人化ありきで事をすすめている市の姿勢を厳しく批判され、「老朽化対策も耐震対策もまったく取られていない」と発言されていました。法人化を進めるために必要な学内合意や施設整備の前提さえも整っていないとの指摘が相次いで出されていました。

 「整備・改革基本計画」でも「経費削減ありきではなく」とありますが、国立大学や他の大学の例を見れば、その不安はたやすく払拭できるものでありません。また、法人の外部資金の獲得がすすむに従って市の運営交付金が減らされると言うのでは、何の意味もありません。将来に渡って市立芸大の必要な運営費は市が責任を持って負担し、教育条件の低下を招くことはないと断言できますか。また、老朽化対策については、早急に手だてを打つべきですがいかがですか。市長の明確な答弁を求めます。

 シンポジウムには、この4月に法人化された金沢美術工芸大学の教員の方も参加されていました。その方は、「法人化は教育のリストラである」とした上で、「小さいところではスケールメリットが無いなど経費の節減にはならず、かえってお金がかかることになる」とその矛盾を指摘し、当局は法人化の理由をさまざまあげるが、「法人化しないとできないことは、ひとつもない」と断言されていました。現に、沖縄県立芸術大学は施設整備を優先するとして、法人化を先送りしています。

 法人化ありきで意見の一致をみないまま、教員もワーキングに組み込んで既成事実を積み上げるというやり方は認められません。まず、法人化方針はいったん白紙にもどし、さらに議論を積み重ねるべきです。いかがですか、ご答弁下さい。

(星川副市長)芸大の伝統を引き継ぎ、世界の文化芸術をリードするために、大学自らが改革を進める必要がある。あり方懇の提言をふまえ、教育研究の充実、老朽化対策、迅速な意思決定が可能となる法人化を柱とした基本計画を策定。全学評議会で全員一致で承認された。法人化後も市が設置者として必要な財源措置を行い、計画を着実に推進する。

子どもの医療費助成の拡充を

 次に、子どもの問題でお聞きします。

 まず、子どもの医療費についてです。今京都府内では、各自治体は財政難で大変ではあっても子どもの医療費の助成を京都府の制度に上乗せをして拡大しています。今年の9月には4市1町が拡充し、多くの自治体で小学校を卒業するまで、通院も1医療機関で1カ月200円を払えば医療機関にかかれるようになりました。府の制度に上乗せのない自治体は京都市だけになってしまいました。京都市で小学校入学前までの拡充をすると約7億円。小学校卒業までに拡充すると22億円あれば実施は可能です。京都府が実施に踏み出せば半分の11億円で可能です。市長には京都府内で最も遅れたただ一つの自治体が京都市だという自覚はおありでしょうか。京都府は100万円の予算を計上して拡充に向けた検討を始めているとのことですが、実施に向けた府市協調の議論を進めるべきです。1日も早く実施に踏み切る市長の決意を求めます。お答えください。

(保健福祉局長)小学校卒業まで拡充すれば、22億円が必要。厳しい財政状況で実現は困難だが、府と引き続き研究する。今後も国に強く要望する。

肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチンの助成を

 次に、ワクチンの問題です。乳幼児に細菌性髄膜炎を起こす恐ろしい細菌である肺炎球菌とヒブから子ども達を守る施策についてお聞きします。2008年には、世界の133カ国で定期接種化され、乳幼児の命を救っていますが、日本では、ようやく任意接種が認められたところです。ちなみに保育園に入園前の子どもさんの肺炎球菌を持っている割合は50%未満ですが、入園後1、2ヶ月で100%になっていたという報告があります。このようにごくありふれた細菌ですが、それだけに誰でもが重篤な感染症になる可能性があります。ただ、肺炎球菌やヒブによる髄膜炎の予防にはワクチン接種が効果的だとされています。0歳児で4回接種、約7万円が必要で、子育て世代には大きな負担ですし、まだまだ、ワクチンを知らない親御さんも多くおられるのではないでしょうか。

 今年の春、ワクチン問題のシンポジゥムに参加しました。そこで「細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会」の田中美紀さんの言葉が頭から消えません。田中さんのお子さんは2004年に生後5ヶ月で細菌性髄膜炎に罹患されたそうです。お子さんが2歳の時に新聞でワクチンで防げることや、先進国では日本だけが当時は未承認だと言うことを知り「日本での子育てを恨んだ。自己負担の重さがあり、ワクチンで守れないなら子育てをやめるのか。選択を迫られているように思った。情報やお金のあるなしでの命の格差を無くして欲しい」と訴えられました。この言葉を聞いて、市長はどう感じられますか。乳幼児に重い髄膜炎を起こすインフルエンザ菌b型(ヒブ)のワクチンは、2008年12月に国内で初めて発売されました。この髄膜炎は発症から重篤な状態までの進行が非常に早く、突然高熱がでて、風邪かなと思っている間にわずか1日で脳死状態に陥った子どもさんもおられます。発症者のほとんどが5歳以下で、毎年1000人以上の細菌性髄膜炎患者のうち6割強がヒブだとされています。うち5%は命を落とし、20%はてんかんや難聴、発達障害などの重い後遺症が残ります。WHO(世界保健機構)は10年以上前の1998年には、すでにすべての国に対して、乳幼児へのヒブワクチン接種を勧告しています。今年4月の参院厚生労働委員会で、定期接種に踏み切った欧米での髄膜炎の発生状況について、健康局長は「米国で導入された87年の発生率は5歳未満人口10万人当たり41人。95年には1.6人まで減少した」と答弁し、定期接種化の必要性について厚生労働政務官は「同感だ」と認めています。これまで何度も各会派の議員からも定期接種を求める議論がされていますし、京都市議会では昨年11月議会で「子どもたちの生命を守るため、ヒブワクチン及び肺炎球菌ワクチンの定期接種化を求める意見書」が採択されています。「日本での子育てを恨む」のではなく、京都市で子育てして良かったと言えるように、国に定期接種化を強く求めることはもちろん、京都市としてヒブワクチン・肺炎球菌ワクチンの助成制度を一刻も早く創設すべきです。いかがですか。

(保健福祉局長)国で、予防接種法の対象となる疾病やワクチンのあり方の検討が行われている。国の状況を注視し、全国一律の制度として財源措置を行うよう強く要望する。

子宮頸がん予防ワクチン助成制度の早期創設を

 また、子宮頸がんは20歳代の女性では発症率が一番高く、予防ワクチンの接種が効果的と言われています。しかし、3回の接種が必要で、その費用は4万円~6万円の費用が必要ですから、日本産婦人科学会や日本小児科学会からも公費でのワクチン接種が求められています。全国では今年6月現在、126の市町村で助成制度が有ります。10月からは名古屋市でも全額助成が始まるなど、予防ワクチンの助成制度を創設する自治体が増えていますし、京都府は9月議会に補正予算で予防ワクチン接種の助成を提案されています。京都市は年度内にも制度を創りたいと答弁していますが、一刻も早い制度の創設が求められます。京都市の子宮頸がん予防ワクチンの対象者は12歳女子で5,963人です。京都市は来年度の国への重点予算要望にもワクチン助成を入れておられることは承知しています。国でも子宮頸ガン予防ワクチン助成については検討が始まりましたが、京都市としても早急に助成制度を創設し、お金がないからとあきらめることがないように自己負担のない制度にすべきです。いかがですか。

(市長)国が来年度に向け助成費用を概算要求。府は9月議会で補正予算を提出。市として今年度中に接種費用の助成が行えるよう、国や府の動向をふまえ、年齢や負担額の検討など、必要な準備を進める。

大岩街道沿いの「岡田山」について

 次に伏見区大岩街道沿いにある産廃の山、通称岡田山についてお聞きします。ご存じのように、岡田山は1986年3月に出動人員は延べ1168人という、原因不明の大火災で201時間も燃え続け、何が埋め立てられているのか分からない山です。また、崩落の危険も心配されていますがついに7月1日から3日にかけて崩落が起こり、崩落と環境汚染に関する心配が現実のものとなりました。現在は山の持ち主の一人である業者が崩落を止める工事をして、とりあえずは崩落の危険は収まっています。また、周辺住民の皆さんの様々な形での大きな粘り強い運動も有り、野焼きや小型焼却炉が撤去されて、今年3月には「まちづくりの方針」がだされる所まで変化をして来ています。「まちづくりの方針」についてのパブリックコメントや地域住民への説明会が開かれましたが、そこでの住民の皆さんの心配の一つが岡田山の撤去に関することでした。山を撤去するに当たっては、膨大な量の廃棄物に汚染物質が含まれていないことの確認をし、汚染物質が含まれていた場合の散乱を防ぐことが必要です。今でも山の土が運び出されていますが、業者による自主的な検査と言うことで、結果の公開はされていません。京都市が責任を持って安全確認と数値の公表をすることが必要です。いかがですか。

(環境政策局長)3月に策定した計画で、事業者による撤去を誘導する。撤去にあたっては、廃棄物が排出する。事業者に対し、第三者による検査、法に基づく適正な処理と安全性の確保を図るよう監視する。周辺の理解が必要であり、検査結果や撤去の情報は地元のみなさんに明らかにするよう指導する。

 最後に、2012年末に予定されている東部クリーンセンターの廃止に伴う問題でお聞きします。東部クリーンセンターには余熱利用施設として、温水プールや老人保養センター、図書館が併設されています。これらの施設は1982年に開設されて以来、地域住民の憩いの場として親しまれてきました。近隣に民間のスポーツ施設が出来るなど環境の変化に伴う利用者の減少は有りますが、3施設の利用者を合計すると昨年度は、20万4612人の方が利用されています。温水プールは1年で最も利用の多い7月は約7千人の利用がありますし、リハビリのためにと毎日通っている方も少なく有りません。老人保養施設は100円で利用でき、利用料の安い公共施設が少ない醍醐地域では、貴重な施設となっています。また、ゆず風呂やくじ引き大会、カラオケ大会など、独自のさまざまな取り組みをされておられ、300人以上の参加の日も有ります。気軽に通えて健康保全や憩いの場でもあるこの施設がクリーンセンター閉鎖にともなって廃止されるのではないかと不安がひろがっています。他都市でもごみの減量に伴ってクリーンセンターが閉鎖されているところがありますが、ボイラーを設置して余熱利用センターを継続して喜ばれています。醍醐地域の貴重な公共施設は廃止することなく、引き続き市民の為の施設として存続させることを求めます。

 以上で、私の質問を終わります。