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市会報告

西村よしみ 議員

10年5月28日(金)

市税条例の一部改正に対する反対討論 10年5月定例市会 閉会本会議討論

 日本共産党議員団は、議第67号「京都市市税条例の一部を改正する条例の制定について」は「反対」し、報第1号「京都市市税条例の一部を改正する条例の制定について」は「承認しない」との態度を表明しておりますので、私は議員団を代表してその理由を述べ、討論を行います。

 今回の「条例改正」は、国において地方税法等の一部改正がされたことにともなうものです。

 地方税法の改正については、民主党を中心とした政権に代わり、初めての税制改定でした。

 「地域主権改革」を一丁目一番地の改革とする民主党が、どのように地方財政の関連法を改正するのか注目されましたが、期待はずれでした。

 第一に、提案されている「議第67号」の市税条例改正は、もともと民主党のマニュフェストにもなかった、個人住民税の「年少」および「特定扶養控除」の廃止・縮減にともなうものです。

 扶養手当の廃止により、「子ども手当て」「高校授業料の無償化」の財源にあてると言われています。「子育て」や「教育支援」については、充実させることが求められますが、しかしその財源が、子育て世帯への増税でまかなうことは到底認めることはできません。

 質疑では、新たな市民の市税負担は37億円以上となり、さらに社会保障費なども関連して増えることが明らかになりました。財源不足を税の負担増によってまかなうことは、厳しい市民生活をかえりみないものであり許されるものではありません

 そもそも、「地方交付税法」は、地方財源不足が生じた場合は、制度の改正または交付税率の引き上げを定めています。今日の地方の財政不足は、従来の行財政制度の改正では限界であることを示していて、さらなる改善が求められています。しかし、今回の「改正」では、地方交付税の法定率の引き上げは、されませんでした。

 また、「財源不足」のうち、10兆8千億円を国と地方で「折半する」とした、旧政権時代の合意である「折半ルール」を引き継いでいます。これでは、「地方財源不足」に対する国の責任を果たしたとはいえません。

 第二に、「議第67号」の小額上場株式取引に係る「非課税口座」を設ける条例改正は、国民にリスクの高い株式投資に誘導するものであります。

 証券取引優遇税制は、2001年の小泉内閣、「骨太の方針」で、「貯蓄優遇から投資優遇への金融のあり方の切り替え」と方針化され、これが政権交代後、2010年度「税制改正」で具体化されたものです。

 国の税制調査会によると、株式売却益の税率は、「利子、給与、他の譲渡益等に対する税負担水準とのバランスなどを考慮し設定され」ました。ところがこのたびは、証券取引を優遇する特例措置を設けて、国民をひろく株取引に引き入れ、「貯蓄から投資へ」の流れを加速し、投資の裾野をひろげようとしています。

 働いた場合の所得と株式譲渡の所得とを比較してみると、たとえば、パートタイマーの非課税所得の限度額は103万円で、株式譲渡所得については、ほぼ同額の100万円の「非課税限度」を設けるというのは、バランスを欠いたものであります。

 第三に、「報第1号」は、住民税の天引きをすすめるものです。

 徴収方法については、本人が希望すれば「普通徴収」を選択できるとはしています。しかし、あくまでも原則は「特別徴収」で、税金の取りはぐれがないようにするものであり、納税者のサービスより行政の都合を優先するもので認めることはできません。

 以上をもって、議案に対する反対討論とします。ご静聴ありがとうございました。