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市会報告

赤阪 仁 議員

10年5月19日(水)

赤阪仁議員の代表質問 10年5月定例市会 本会議代表質問

 伏見区選出の赤阪仁です。日本共産党市会議員団を代表して、質問をいたします。

 さる4月11日京都府知事選挙がたたかわれました。政治をさらに前に進めたいという皆さんの思いが門氏に30万7826票もの大きなご支援を寄せていただきました。ありがとうございました。日本共産党は引き続き全力を挙げて頑張ります。

市民の命と健康を守る国保行政へ

 さて、今問われているのは、命を守る制度の問題です。高い国民健康保険料、子どもや高齢者の医療費負担を軽くすること、カネのあるなし、また住む地域によっていのちの格差ができるような事態があってはならないとの市民の願いは切実です。先日、国会でわが党の小池晃議員が、「京都市の国保料が4人世帯で所得300万円の場合年44万円、払える水準の保険料と思うか。」と質問したのに対し、鳩山首相は「率直に言って高いと思う」とのべ、「財源確保に努力したい」と、答弁しました。今年はまた値上げして45万円です。市長は、本市の国保料は高いという認識はありますか。いかがですか。

(星川副市長)所得に対してかなり高額で、被保険者の負担は限界に達しつつあると認識している。一般会計からの独自の繰り入れを増やし、保険料の引き上げを抑制した。

 私は、3月の予算質疑の中で市内4200世帯への「資格証の発行はやめよ」、「市民のいのちを担保にする保険料徴収はやめよ」、「保険料の滞納処分で預金通帳からの機械的な差し押さえをやめよ」と追及しましたが、副市長は「保険料の徴収率向上が至上命題」と答弁されました。市民のいのちより徴収率向上を優先するというのでしょうか。

 先日、75歳を超すご夫婦とその息子さんの3人家族の方から相談がありました。40代の派遣社員の息子さんが心筋梗塞で緊急入院となったものの資格証明書しかない状態でした。父親は入院中です。「10割の医療費が支払えない」と母親が区役所に相談に行くと、「国保滞納額は56000円。半額は納めないと保険証は発行できない」と担当者に帰されてしまいました。母親は少ない年金から半額支払い保険証をもらおうとすると、今度は「4、5月で残りを支払う誓約書を書かないと渡さない」と言われ、母親は「残りは6月の年金が入るまで待って」と頼むと担当者は「待てない」の一点張り。仕方なく知人に借金して支払いようやく保険証と限度額認定証が発行されたというのです。この方の場合治療が必要で、本来直ちに保険証を発行すべき人です。いのちを担保に市民に借金をさせ保険証を交付する京都市は異常だと思いませんか。「徴収率向上」をめざすあまり、特別な事情を無視した対応は直ちに改めるべきと思いますが、どうですか。国会で、長妻大臣は「払えるのに払わないと言うことが本当に証明できた場合以外は慎重に取り扱っていただきたいとお願いしている」と答弁しています。京都市は、個々の世帯の状況を十分お聞きし、きめ細かな納付相談を行っているとは到底言えません。資格証明書発行は保険証取り上げです。正規の国保証を発行することを強く求めますが、いかがですか。

(保健福祉局長)きめ細かな納付相談を行っており、特別な理由もなく長期に滞納している方に資格証明書を発行することはやむを得ない。傷病、失業など特別な事情がある場合には短期証を交付しており、機械的、一律の対応はしていない。

 さらに給与費、年金など生きていくためのお金を差し押さえるという、明確な法令違反はやめるべきです。

 西京区のタクシー運転手の方は、少ない年金の上に、不況でタクシーの水揚げだけでは生活費が足りないので国保料が払えず滞納となりました。19回、分割納入したが、それでも払えないので相談に行くと「支払額をふやすように」と逆に言われたそうです。払える見通しがないのに支払いだけを求める、これでは窓口相談に行くのを諦めるのは当然です。その後も届くのは督促状だけでした。そして年金支給日、5万円あまりの年金が預金口座に振り込まれた当日、突然の差し押さえです。この方の場合、昨年の事業所得は38万円、年金収入は年間46万円、生活保護基準の268万4760円を大きく下回るものであり、「差し押さえ禁止」対象であることは明らかです。いまだに滞納処分の執行停止も差し押さえの解除もされていません。

 わずかな年金まで取り上げる、苦しい市民の首を絞めることは、直ちにやめるべきです。京都市は国税徴収法違反の最低生活維持費の差し押さえを直ちにやめることを求めます。いかがですか。国保料が高すぎるから払えないのです。国保料を引き下げるために国の負担率を引き上げるよう国に対して要求すること。そして京都市の独自努力を強め、国保料を引き下げるべきですが、いかがですか。

(星川副市長)本市国保の危機的状況で、引き下げはできない。国には抜本改革と財政措置を要望する。十分な支払い能力がありながら滞納していれば法令に基づき差押えを行うのはやむを得ない。個々の世帯の状況を把握する機会を設けており、法令違反の差押えはないが、もし法令に違反し問題になるような事案があれば検証・検討する必要がある。

市立看護短期大学の廃止条例は撤回を

 次に京都市立看護短期大学の廃止問題について質問します。

 2月予算議会で否決されたにもかかわらず、市長は今議会に、「市立看護短期大学廃止条例」を再提案しています。議会の否決から、まだ2ヶ月もたたないうちに、前回提案を無修正で提出するとは議会も市民の願いも踏みにじるものではありませんか。

 「日本は今看護師不足なので市立看護短期大学は必要です。また学費が安いので看護師めざす人なら誰にでも可能性が開かれているので必要です。」との学生の声に、市長は正面から答えるべきです。

 看護短大の存続を願う市民の署名は17748筆集まったこと、2月市議会での廃止条例案の否決は、多くの市民が看護短期大学の廃止を望んでいないことを示しています。民意をふまえ佛教大との確認書を白紙撤回したことは、民設民営化という名の廃止方針が破綻したということです。大学の主人公である学生をはじめ、教職員、卒業生や保護者、市民等の声も聞かず、市議会の議決さえ無視して廃止をあきらめない市長の姿勢は異常と言わざるをえません。

 先日の京都市包括外部監査報告にも、「看護業務が増大しているにもかかわらず、人材不足が深刻」で「市直轄の看護短大が廃止されることになれば、市立病院の看護師の確保に影響が及ぶことが懸念される」と指摘しています。さらに参考意見として「運営努力した上で、仮に採算が合わない場合でも、その重要性と照らし合わせて、運営継続の可否を選択すべき」とし「採算を犠牲にしても、本当に自治体として市民のために残さなければならない事業はあらゆる角度から検証し、厳選して残していく必要がある」と慎重審議を求めているのではありませんか。

 4月21日の常任委員会では与党議員からも厳しい抗議が続出し、「5月議会での提案はすべきでない」との強い発言もありました。理事者が「一旦立ち止まって、再提案は慎重に」と答弁していたにもかかわらず、再提案とは納得できません。議会制民主主義を否定する市長の態度は、必ず市民の審判がくだされるものと指摘しておきます。

 全国でも例のない公立の看護短期大学の廃止は、京都市民として恥ずべき不名誉な行為です。50年を超える日本で最初の公立の看護短期大学の歴史と伝統を大切にする、全国で活躍する同窓生、看護に関係する団体、「公立の4年制化」を求めてきた看護協会や看護連盟の陳情・要望を無視するということです。市立看護短期大学廃止条例案は撤回することを求めます。いかがですか。

(市長)佛教大学との連携の経過の説明が不十分だったため2月市会で否決。真摯に受け止め今後の市政運営の大きな教訓・反省とする。市内私学との連携協力が最適であり、透明性・公平性を確保し、私学との新な協力体制で、看護師を確保する。ご理解、議決をお願いしたい。

中小企業支援について

 次に中小企業支援について質問します。鉄工業を営む奥さんからお話を聞きました。「仕事はいつもよりあるのに単価が切り下げられ安い仕事ばっかり。夫の給料にもならず、固定費の支払いと、雇っている人の生活を守るのに精一杯。」とのことです。 京都の経済の主役であり99%を占める中小・零細企業への直接支援が求められています。東京都大田区では中小企業診断士など専門家を派遣し相談を受ける経営革新計画策定支援事業と助成金を給付する経営革新支援事業の二つが取り組まれています。1月から3月まで取り組まれた結果「直接助成は非常に助かった。区の担当者も好意的だった。社長に変化がでて元気になった。仕事ができて廃業の瀬戸際を脱出した」と7割の会社が良かったと答えています。

 わが党は、国会質疑や党首会談などで、中小業者のみなさんの切実な声をふまえ、仕事がなく倒産のふちにあえいでいる町工場・中小企業にたいして、緊急の措置として、家賃や機械のリース代など固定費への直接補助をおこなうことを、繰り返し求めてきました。4月19日に、経済産業省が出した、中小企業にたいするリース代の支払い猶予の通知は、その第一歩ですが、中小業者の声が政治を動かしたものです。ひきつづき国に中小業者の負担軽減策を強めるよう求めると同時に、京都市として固定費補助制度を独自に検討・実施すべき時ではありませんか。いかがですか。

(市長)本市公共事業は政府調達協定対象以外、市域に本店があることを条件としており、市内中小企業が件数で8割を超えている。

 帯広市や、墨田区では、地域経済活性化のために、公共事業の発注率、発注高、雇用の面でも地元住民・業者を最優先にすることを入札業者に求めています。京都市では学校の地デジテレビの購入についても、第一次分の校長室、職員室などの500台分は群馬県に本社がある大手家電量販店に一括発注しました。「大手企業の独占はおかしい。地元業者に分割発注せよ」と、求めますと、「地域要件を入れると国際協定違反との指摘があるのでやむを得ない」と、当局は答えましたが、国会で政府は「他国からの苦情もなく、分割発注を制限する指導はしていない」と答弁しています。その後の京都市の学校の地デジテレビの入札結果は、地元業者への一定の発注がおこなわれましたが、地元の経済を活性化する中小企業優先、地域優先の制度がまだ不十分です。WTO協定対象の公共事業でも地元中小企業発注率100%を実現しているのが6県、政令市の神戸市では90%台に達しています。京都市の公共事業等の地元発注率の向上のために、入札条件に「京都市域に本店を有すること」などの地域要件を入れるべきです。地元中小企業の発注額も引き上げ、仕事興しと、地元京都経済の振興をはかることを求めるものです。いかがですか。また⑦地域経済活性化と京都経済の主役である中小企業対策を強めるために、京都中小企業振興条例を今こそつくるべき時ではありませんか。いかがですか。

(市長)国の「中小企業憲章」をふまえ、「新京都市産業振興ビジョン(仮称)」を年度内に制定する。

教育条件の改善、教育費負担の軽減を

 次に、子どもの教育について質問します。

 小学校2年生の保護者からお聞きしました。「現在一学年75人で1クラス25人の3クラス編成、教室に余裕があり、先生の声もみんなの声もしっかり聞こえ、一人1回は発言できています。しかし、3年生になると2クラスに減り、今より1クラス12人増え、37人学級になる。先生の、子ども一人一人に関わる時間が全く変わってしまうのは明らかです。心と体が1段階成長する小学校中学年の大切な時期、勉強の内容も難しくなる時。少人数学級を継続してほしい」と願う声は切実です。京都市は小学校1,2年生で35人学級、中学3年生で30人学級を実現してきました。しかし市長が当選して2年、実施学年の拡大もせず、その予定も示していません。

 昨年の文部科学省の会議でも「30人学級は国民的悲願だ」と第8次教職員定数改善計画が立案されています。今年4月6日の朝日新聞には「子どもたちの豊かな育ちと学びを支援する教育関係団体連絡会」という日本PTA全国協議会を中心とした保護者、校長会をはじめとした教職員団体が、「少人数学級の実現を」と訴える全面広告を出しています。その中で「学習面にも生活面にも効果のある少人数学級」としてその良さを強調しています。

 学力世界一のフィンランドの教育がめざしたのは、1クラス27人の少人数教育で子どもに分かるまで寄り添って教えること、わからない子を作らない教育です。子ども同士を競争させない、学校間格差を作らないことを義務教育段階では大切にしているといわれています。

 京都市も少人数学級実現をめざし、35人学級を拡大する計画を直ちに具体化すべきです。同時に、国に対して30人以下学級の早期実現を働きかけるべきです。いかがですか。

(教育長)30人学級を独自に全学年で実施するには80億円もの財源が必要であり、実現は困難。学級編成基準の引き下げなど教員定数の抜本的改善を引き続き国・府に強く要望する。

 伏見区の神川中学校では、今年1年生の入学生が388名、全校で35学級の1115名が集うマンモス校です。隣にある羽束師小学校も新1年生は157人、954人の超マンモス校で、全市で御所南小学校1117人と学校規模1.2を争っています。

 小学生を持つお母さんが言いました。「神川中学の地域は住宅建設が盛んで、若い世帯の入居率が高く、学校の生徒が増える一方です。共働きの家庭も多く、小学校の学童保育は1年生でほぼ定員が満杯になり、学童に入れない子は、放課後学び教室でPTA本部の保護者が見ています。小学校は3年生から5年生が40人学級で、教室の通路も狭く余裕がありません。中学校は1学年13クラスにもなり、学校行事での我が子の出番はほんのちょっとで寂しいです。」

 地元住民のマンモス校解消の要望に対して、応対した市教委は「子どもの数は、今後10年で減る見通しであり、新しい学校の建設は無理、困難」と答弁しました。神川中学に通う3つの小学校の児童は増えておりマンモス校の解消は急務です。自然に子どもが減るのを待つことはとうてい許されるものではありません。子ども一人一人を徹底的に大切にするというなら、マンモス校の解消と子どもの放課後を豊かにするために直ちに学校の増設をするべきではありませんか。

(教育長)神川中学校、羽束師小学校は教室の増設、運動場の拡張で環境整備をはかってきた。今年度神川中学に増築する16教室は羽束師小の教室としても活用する。児童生徒の推移を見極めつつ、まちづくり協議会の意見も聞き教育環境整備に努める。

 次に学校の教職員の働き方についてです。

 京都市では、昨年度一年間で8人も現職の小・中学校の先生が亡くなっています。そのうち11月に3人も先生が急死しています。市長は子どものいのちをはぐくむ学校現場で先生が亡くなられるということは異常だという認識はありますか。学校での教職員の多忙さ、その長時間過密労働はニュース番組でも特集されるほど深刻な社会問題になっています。先日、市教委は学校における勤務時間の実態を把握するために、初めて数校にタイムカードを置き、この3月まで計測しています。12月の中間報告を見ると、授業準備やテストの採点、生徒指導、中学校では部活と生徒指導で夜遅くまでの仕事の実態が浮き彫りになっています。

 特に問題は過労死危険領域の時間外勤務、月80時間を超える先生が中学校で32人、高校で14人もおられることです。学校現場での過労死やメンタル疾患の増加を解決することは待ったなしの課題です。

 市教委主催のメンタルリフレッシュセミナーでの研修会でも、「教員の心の病気が増えている原因として休憩時間もとれないほど教師の事務仕事が増え、自分のことで精一杯で「孤立」していること。トップダウンの仕事が増え、教師の子どもと向き合う本来の主体的な仕事ができないという問題がある」、と指摘しています。

 今年4月9日の市教委の超過勤務の縮減通知で示したように、各学校に管理職を含めた時間外勤務の縮減、勤務時間内の休憩の取得とノー残業デーの設定など具体的な取り組みを確実に実施するよう指導を徹底することを求めるものです。「報告のための調査や文書作成が多い」事務仕事を減らし、子どもたちに正面から向き合える時間を確保することを求めますが、いかがですか。二度と先生を過労死に追い込まない決意を求めます。

(教育長)残業時間は全国平均を上回る月40時間であり、日夜多くの教員が熱意溢れる取り組みをすすめている。健康相談員や健康管理委員の配置、少人数教育、専科教員の配置、ノー残業デー、会議や研修の見直し、電算化での事務省力化を進めている。こどもや保護者の期待に応える教育をはかる。

 次に保護者の教育費負担について質問します。

 小、中学校に公共交通機関で通う子どもの交通費についてまず質問します。伏見区の明親小学校に通う上樋爪、樋爪地域の子どもたちの毎朝の登校は徒歩でなく、遠くて市バスに頼らざるをえない状況となっています。この小学校の保護者のバス運賃の負担は子ども一人で年間約3万円、二人で6万円も必要でした。このような遠距離通学で公共交通機関を利用せざるを得ない小学生は全市で約100名、その7割は明親小学校の子どもたちです。今年4月から小中学生の1世帯の兄弟分の負担軽減は改善されましたが、明親小学校では9家庭18名分しか対象になりません。京都市の遠距離通学費の助成を受ける子どもは全市で小学生約100名中学生約300名に上り、まだ全額保護者負担の児童・生徒の実態もあると聞きます。

 「義務教育なのになぜ交通費が保護者負担なのか。」と保護者の疑問は当然です。京都市は僻地校だけでなく、東山区の開晴小中学校の開校に伴い、子どもの通学路の安全のために市バスを無料で利用できるし、ダイヤの増発も予定するとしていますが当然です。義務教育の学校に通う児童・生徒の公共交通の運賃は、憲法と教育基本法第4条にもあるように無償にすべきです。いかがですか。

(教育長)就学援助は全額、その他市バス均一区間の定期代を超える分は補助している。全員無償にとの立場には立てないが、長年の保護者からの要望で、今年度から2人以上の補助対象児童生徒がいれば、2人目以降は全額補助とした。

 来年は京都で国民文化祭が開かれます。文化は心の栄養とも言われ、人格形成に大きな影響を与えるものです。ところが京都市では昨年から小中学生の京都市コンサートホールでの京都市交響楽団の音楽鑑賞会をバスの配車も鑑賞代金も保護者負担として有料にしました。市教委は「最新の音響器具の発達もあり、生の演奏がすべてではない」と答弁しました。子どもの中には、一生に一回しか交響楽団の演奏を聴く機会がない子もいるのです。本物の貴重な文化に触れる機会を子どもたちから奪うことに心が痛みませんか。

 学校の授業でもない「京都子どもジュニア検定」には、検定料等総額約1300万円も公費負担しておきながら、子どもたちの音楽鑑賞などに対する、約1300万円の公費負担を切り捨てることは認められません。授業の一環として取り組むものは直ちに公費負担に戻し、すべての学校の子どもたちに教育の機会均等を保障することをもとめます。いかがですか。

(教育長)修学旅行や校外活動は従来保護者負担であり、京響の音楽鑑賞も希望参加制に見直し、保護者負担とした。公費負担で保護者負担は低額に抑え、今年度さらに財団や民間の協賛で軽減を図る。

焼却灰溶融施設の稼働中止を

 次に焼却灰溶融炉の問題です。

 京都市は、4月30日住友重工から焼却灰溶融炉の6月稼動が不可能になったとの報告があったとし、市として6月の本格稼動の延期の判断をしたと発表しました。今回の公表では、①昨年12月の試運転開始当初に耐火レンガの損傷と排水処理施設の不具合が発生していたこと。②4月5日から実施した第1次性能確認試験において、排水から基準値の15倍から42倍ものダイオキシン類が検出されていたことが明らかになりました。市民のいのちと安全に関わる二つの重大な事実が市民や議会に報告もされず隠されていたことは京都市の隠蔽体質を示すもので、自治体として許される行為ではありません。

 党議員団は焼却灰溶融炉について、他都市でも耐火レンガの損傷による爆発事故が発生するなど安全性に問題があり、導入すべきでないと求めてきました。また総工費180億円、維持費に年間16億円かかるという税金のむだ遣いの典型であり、不要不急の施設建設は中止をと求めてきました。なぜこのような重大な事実を4月30日まで公表してこなかったのですか。京都市と共に住友重工の責任はきわめて重いと言わざるを得ません。京都市は基準を大幅に上回るダイオキシン類が検出された事実を重く受け止め、本格稼動の延期という措置ではなく、焼却灰溶融炉の導入そのものを中止するよう強く求めるものです。いかがですか。

(環境政策局長)ダイオキシン類が検出したため、抜本的な対策を講じるため稼働を延期する必要があると判断した。すべて住友重工の責任であり、遅延損害金を請求する。住友重工に有識者や本市職員も参加した対策チームを設置し、原因究明と対策を検討している。万全の対策で安全性を確認し、施設を稼働する。

伏見区西部の市バス増便を

 次に地元伏見区の問題について質問します。

 桂川西岸神川地域の住民アンケートで、「唯一の公共交通機関である市バスの整備を急いでほしい」との強い要望があります。特に京都市住宅供給公社が久我の杜地域を開発し、市バスが便利だと言われて家を購入してきた人達にとって、年々バスのダイヤは減り不便になるばかりです。田圃の中に住宅地が広がり、バス停までの距離500メートルの区域内には6割の人しか入りません。さらに地下鉄竹田駅から帰る最終バスは9時台で、結局、JR長岡京駅から最終10時11分の南2番にのるか、タクシーで2000円近くかけて帰るしかありません。日曜日の早朝の出勤、通学には始発バスのダイヤが遅く、京都駅、三条京阪など市内中心部への直通バスも廃止され、乗り継ぎが多くなり、結局家族の自動車の世話にならざるをえません。一時間に一本か二時間に一本のバスのダイヤでは使い勝手が悪いから住民は利用できないのです。増便して、便利なバスにしてこそ、乗客増にもつながります。いかがですか。

(公営企業管理者)神川、久我の杜を走る市バスの収支は厳しいが、鉄道駅との接続等必要な路線の充実に努めてきた。不便になるばかりではない。増便もしている。一層市バスの利用をお願いしたい。

普天間基地の無条件撤去を

 最後に普天間基地問題についてです。

 鳩山政権のあてのない普天間基地の移転先探しは、民主党政権の破綻とゆきづまりを示すものとなっています。そもそも戦後米軍が沖縄を占領したときに、島民のくらす家や学校、お墓や畑をブルドーザーでつぶして作ったのが沖縄の米軍基地です。普天間飛行場の周囲には、9万人の市民が居住し、121カ所の公共施設があります。米国の法律では決して存在が許されない危険な基地です。住宅地の上をヘリコプターが緊急発進する訓練を、毎日、朝7時から夜11時まで行っているのですから、住民は騒音といつ落ちてくるか不安な毎日におかれているのです。米軍は自由で、沖縄の人々は自分たちの島に住みながら不自由をしているのですから、全国どこに行っても反対されるのは当然です。

 普天間の苦しみは私たち日本国民の苦しみです。いま沖縄県民のたたかいは、たとえ安保条約という鎖はあったとしても、普天間基地の無条件撤去という決断を、日米両政府に厳しく迫っているのです。

 我が国には、戦争直後の全面占領期に作られた米軍基地の大きな部分がいまだに133カ所も置かれています。その面積は東京23区の1.7倍、ソ連が崩壊した90年に海外配備されていた米軍総数は半分以下に、ヨーロッパに駐留する米兵は3分の1以下に、アジアでも在韓米軍は4割が削減されているのに、日本に駐留する米兵はほとんど変わらないという主権国家にあるまじき異常さです。市長として、「普天間基地の無条件撤去」こそ国に求めるべきと考えますがいかがですか。

以上、私の質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。

(星川副市長)我が国の安全保障にかかわる外交上の重要問題であるが、米軍施設のある地位の住民の生命、安全にかかわるきわめて重要な問題。沖縄の現状と住民の願いをふまえ、国に置いて適切な対応がされるよう願っている。