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市会報告

西野さち子 議員

09年10月28日(水)

2008年度一般会計決算等に対する反対討論 09年9月定例市会 閉会本会議討論

 日本共産党市会議員団は、報第3号20年度一般会計歳入歳出決算、報第5号20年度国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算、報第6号20年度介護保険事業特別会計歳入歳出決算、報第8号20年度後期高齢者医療特別会計歳入歳出決算、報第16号20年度駐車場事業特別会計歳入歳出決算に反対の立場を表明していますので、その理由を述べて討論をいたします。

 この決算は、門川市政の初めての決算となりますから、門川市長の政治姿勢がはっきりと現れた決算といえます。市長は「5年間で505億円もの交付税減額が財源不足の根本的原因」「やれる手は打ちきった」と言いながら、「このままでは財政再生団体になる」と京都未来まちづくりプランの徹底で市民にあらたな負担を押し付けてきました。

 一方、本市財政の財源不足の根本原因である国の構造改革路線には、言明をさけ、財政健全化法は正しいという判断をされました。市長が「市民のいのちとくらしを支える施策を断じて後退させない」というのであれば、「京都未来まちづくりプラン」を撤回することこそ必要ではありませんか。先の総選挙では、この構造改革路線に国民の審判が下されたのですから、まず、国に対して、構造改革路線と三位一体の改革をやめ、財政健全化法の撤回を求めていただくことを強く要望します。

 反対理由の第1は、国民健康保険証の取り上げなど、くらし、福祉に冷たい姿勢がはっきりとあらわれているからです。国民健康保険事業特別会計について、高すぎる保険料が払えない世帯があり、5万1864世帯が滞納せざるを得ない状態で、短期保険証、資格証明書の発行が受診抑制を招いています。お金が有るか無いかでいのちに格差が出来ることは許せません。日本共産党市会議員団はこれまでから、全ての世帯への正規の保険証の発行を求めてきましたが、これを拒否し続けています。また、20年度は後期高齢者医療制度が始まった年で、この制度は75歳以上の高齢者に差別医療を持ち込むものですから認められません。

 児童館建設に関わって、待機児童が増えていることを認めながら、「体力を超えるスピードでやってきた」「今年度で130館目標は達成した」として、児童館建設を終えるという答弁がありました。「子どもいきいきプラン」作成の途中であり言語道断です。関係者や市民の声を十分聞いて進め、全小学校区での児童館設置に努力すべきです。

 また、保育所の待機児問題も深刻です。今年10月1日現在でも180人の待機児があります。定員外入所での待機児解消は限界に来ています。保育所の増設が必要です。「京都の保育水準維持・拡充を求める」全会一致の市会決議にもとづいて「プール制」を堅持し、充実することを求めます。また、20年度は市立高校の授業料が値上げされた年ですが、高校までの授業料の無償化は新政権も進めざるを得ないところまで来ています。少しでも子どもを貧困から守るために、小中学校の就学援助の拡充を求めます。

 長引く深刻な不況でホームレス、生活保護世帯が急増しています。寒空の下に帰すのではなく、生活保護の現地申請受理、一時宿泊施設確保の前倒し実施を求めます。

 反対の第2の理由は、雇用対策と中小企業支援が不十分だからです。深刻な経済不況が続く中、特に本市は中小企業、伝統産業の街ですから、中小企業に手厚い支援が求められています。ところが、企業立地促進助成制度の20年度の交付実績を見ると、上位3社で1億4千万円。この制度が始まってから、トータルではその8割が資本金3億円以上の大企業に注ぎ込まれました。一方、中小企業に対しては、今、最も必要とされている固定費補助の願いには、耳を傾けようともせず、中小企業の現地調査さえ拒否しました。京都市が発注する公共事業に携わる労働者を守るための公契約条例の制定を拒否し、官製ワーキングプアの実態調査さえ実施しようとしないことは問題です。

 反対理由の第3は、無駄と環境破壊を推進したからです。20年度だけでも市内高速道路の斜久世橋区間の用地買収など高速道路関連予算が約50億円にもなっています。斜久世橋区間の建設を凍結し、高速道路の残る3路はきっぱりと中止すべきです。

 また、財政難と言いながら、巨額の税金をつぎ込んで焼却灰溶融施設の建設を推進し、来年6月には本格稼働を予定することになっています。この施設は毎年22億円の経費がかかるだけでなく、温室効果ガスを4万9千トンも出し続け、京都市が掲げている2030年度までに温室効果ガス40%削減目標の足をひっぱるものです。予算の優先順位が間違っています。焼却灰溶融炉の稼働はきっぱりと中止すべきです。 

 反対理由の第4は、市民との約束を反故にしたからです。ごみの有料化にあたって指定ごみ袋の財源は、「ゴミ減量のための施策に使う」と市民に約束をされたはずです。ところが市長は市民には見えないところで、施設運営費に流用したうえに「袋代を値下げすべき」との質問には「余ったから安くするというものではない」と居直る始末です。

 これでは、灰溶融炉の経費をつくるためのごみ有料化となりかねず、市民を裏切る行為です。最後に「同和行政終結後の行政の在り方総点検委員会」が設置され、1年間にわたって議論が行われました。運営の方法や議論の内容など、異論はありますが、委員会のすべてが公開されたこと、自律促進援助金の廃止、コミニティセンターの廃止に大きく踏み出したことは評価します。しかし、総点検委員会が「あらゆる意味で特別扱いでない行政」を確認されているにもかかわらず、同和奨学金受給者の13年度以前の返済の一律免除は特別扱いを残したものであり、認められません。

 また、全国人権同和行政促進協議会に年会費18万円も払っている事が書類調査で明らかになりました。脱退すべきです。さらに、運動団体の機関誌を判明しただけでも90万円も購入していることが明らかになりました。

 同和問題に係る差別事象に係る要綱の廃止を委員会で確認しましたが、特別扱いがまだ完全に解消されていないことを指摘しまして、私の討論を終わります。