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市会報告

くらた共子 議員

09年10月 1日(木)

くらた共子議員の代表質問と答弁大要 09年9月定例市会 本会議代表質問

 上京区選出のくらた共子です。わたしは日本共産党市会議員団を代表し市長に質問します。

 衆議院選挙の結果は、日本の政治にとって前向きの変化をつくり、新しい歴史の1ページを開くものとなりました。自公政権を退場させた国民の声の根底には、戦後長期にわたって続いてきた財界、大企業中心の自民党政治そのものへの拒否と批判があります。新内閣は、主権者である国民のこの声にこたえる責務を担って発足しました。総選挙で、民主党は、労働者派遣法の改正や後期高齢者医療制度の撤廃、障害者自立支援法の廃止、生活保護の母子加算の復活、高校授業料の無償化など、これまで自公政権によって阻まれてきた国民の切実な要求の実現を約束しました。また、鳩山内閣が、温室効果ガスの中期削減目標として25%を宣言し、「日米核密約問題」について、政権としての調査と公表を明言したことは、自公政治を転換する積極的な姿勢を示すものです。

 わが党は、新しい政権が、国民の切実な要求の実現と古い自民党政治の転換にすすむことを歓迎し、その推進のために協力して力を尽くすものです。同時に、日米FTA交渉の推進、衆院比例定数の削減、消費税増税、憲法改定など、国民のためにならないことが具体化される動きには反対する立場をあらためて表明し質問に移ります。

社会保障政策の転換を求めよ

 まず、はじめに後期高齢者医療制度についてです。お年寄りを医療から遠ざけるこの制度の廃止は待ったなしです。厚生労働大臣は、後期高齢者医療制度を廃止し、「保険料の上がる方が出ないように財政上の措置をする」と明言しました。後期高齢者医療制度は、天井知らずに上がっていく保険料をすべての高齢者からとりたてる一方、制限された差別医療を押し付けるものです。早く廃止しなければ来年の4月には保険料が改定されてしまいます。現役世代の負担も増えていきます。後期高齢者医療制度を廃止し、いったん老人保健制度に戻すことは、昨年6月に当時の4野党であった民主、共産、社民、国民新党が参議院で可決させた廃止法案の中身です。この議決に沿って廃止し、よりよい医療制度にする国民的な議論を起こしていくことが求められています。市長は、大臣が廃止を明言したいま、一日も早く行うようはっきりと求めるべきですが、いかがですか。

(保健福祉局長)後期高齢者医療制度廃止後どのような制度にするか示されていない。新たな制度において被保険者や自治体に過重な負担や混乱が生じないよう配慮するなど要望する。

 同じように、障害者に負担をおしつける障害者自立支援法は、その倫理観の欠如ともあいまって国民の痛烈な批判を受けました。障害の度合いが重ければ重いほど、経済的負担が大きくなる制度のしくみは、障害者の社会的自立を阻害し、生きる意欲までも摘み取っています。厚生労働大臣が廃止を明言しています。市長は市民の生きる権利を守る立場からも、国にすみやかに障害者自立支援法を廃止し、すべての障害者の権利を保障する総合的な福祉法を構築するよう求めるべきですがいかがですか、お答えください。

(保健福祉局長)障害者自立支援法は、利用者負担はじめ課題があった。新たな法律が予定されているが詳細は明らかでない。国の動向を注視し、必要な意見を述べる。

 次に、介護保険制度の問題についてです。京都市の65歳以上の高齢者人口は、7月現在で、32万5499人となっています。介護の社会化をうたい文句に介護保険制度が導入されて9年が過ぎましたが、制度が見直されるたびに市民の願いからかけ離れたものとなっています。「生きている間に入れない特別養護老人ホーム」「年金から天引きされる保険料が引き上がる一方、要介護度が引き下げられたり、利用者負担が増えたりで、受けたい介護サービスは遠のくばかり」「夜中に帰宅する息子も同居家族なのでと、期待していたヘルパーの家事援助は受けられない」とまさに保険あって介護なしのとんでもない状況です。介護労働者は苛酷な労働に見合わない低賃金で、離職率の高さが大きな問題となっています。介護労働安定センターの調査結果によると2008年度の離職率は、18.7%で、5人に1人が3年以内に職場を去っており、介護施設も在宅サービスの現場も圧倒的な人手不足となっています。市民はもう待てません。市長は、介護保険制度への国庫負担率と、介護報酬の大幅引き上げでサービス基盤整備の底上げを図るよう国につよく求めるべきですがいかがですか、お答えください。

(保健福祉局長)介護保険制度は、処遇改善や制度運営の安定を要望し、介護報酬改定や基盤整備の支援策が講じられた。さらなる制度改善を要望する。

市立病院の独立行政法人化をやめよ

 続いて、市民のいのちを守る公的医療についてです。新政権のもと民主、社民、国民新党の3党が、社会保障費2200億円削減の撤回を合意しています。厚生労働大臣は、小泉政権時に売却が予定され、存続も危ぶまれていた全国の社会保険・厚生年金病院を公営で存続させる方針に転換しました。市長は「第2回財政健全化推進本部会議」での市長訓示で、「財政状況がどんなに厳しくとも、現在の社会経済情勢を踏まえると、市民の「いのち」と「くらし」を支える施策を後退させることは断じてできない」と述べておられます。

 新しい政治の流れがつくられた今こそ、市長は、社会保障費削減政策のもとでつくられた「公立病院改革ガイドライン」と、それに縛られた「市立病院事業改革プラン」を一から見直すべきです。引き下げられた診療報酬制度のもと、採算重視で汲々とし、公的医療の役割発揮も危ぶまれるような病院の未来に、どうして市民は命を託せるでしょうか。今なら間に合います。市立病院は、子どもの骨髄移植などをはじめ、他の病院では受け入れられない医療や、直近では新型インフルエンザの対応で、その公的役割を発揮してきました。市民は市立病院・市立京北病院に対して、万が一の状況にも備えることができる地域医療の要の役割を果たすことを求めています。市長は、この市民の願いに応え、独立行政法人化の方針を見直し、市立病院、市立京北病院を市立のままで存続させ、市民の医療要求に応える努力をすべきです。いかがですか、お答えください。

(細見副市長)両病院は保健福祉局の事業所であり、組織・定数・予算などに制度的制約がある。医療施設審議会の答申を受け、地方独立行政法人が最適と判断した。プランは主体的に策定したもので見直す理由はない。法人化後も市民の共有財産。自律的・弾力的な経営で、独立行政法人化のモデルとなるよう努める。

新型インフルエンザへの対応について

 次に、新型インフルエンザへの対応についてです。この秋から冬にかけ新型インフルエンザの感染が広がることは当初より想定されていました。今、本格的な流行期を迎えるなか、感染の広がりを抑え、必要な治療を行えるように、考えられる限りの対策を尽くすことが必要です。最悪の事態を避けるためには、専門の受け入れ体制の整備を万全にすることです。重症患者の入院治療体制、子どもの救急医療体制、感染した新生児や妊婦の受け入れ体制などを速やかに整えることを求めますがいかがですか、お答えください。

 わたしは対策の重要な課題である重症者への対応について、受け入れ先となる民間病院の医師から、ご意見を聞かせていただきました。まずは、治療費の問題です。新型インフルエンザの感染により重症化することが想定される透析治療などを受けている患者さんは、未然に感染を予防することが必要となります。ところがこの予防的医療にかかる医療費は全額患者負担となります。また医療従事者も優先的にワクチンが投与されることとなりますが、副作用への救済措置が求められています。ぜひ重症化を防ぐために、予防的医療を必要とする方が、もれることなく必要な予防処置を受けられるよう、予防的投与に対する医療費負担の軽減策と、ワクチン投与の副作用に対する救済措置を講じるよう国に求めるべきですがいかがですか。

 また、感染拡大に備えた京都市独自の措置として、市民の早期診断、治療を保障することがなによりも必要です。国民健康保険の資格証の交付を受けている市民や、短期証の未更新となっている市民に正規の保険証を交付し、必要時にすみやかに医療が受けられるようにすべきですがいかがですか、お答えください。

 合わせて、医療機関のスタッフ体制が万全であってこそ、市民の医療要求に応えることができます。感染がひろがった状況のもとでも、医療従事者が現場で活動できる条件をつくることが必要です。そのため医療従事者のこどもが新型インフルエンザにかかった場合などへの備えも必要とされていますので求めておきます。

(市長)医療機関や府と連携を強化し、開業医・一般病院・基幹病院の役割分担で、乳幼児、妊婦、基礎疾患を有する方の医療が適切に行えるよう医療体制の整備を行う。

ワクチンによる健康被害に対する救済措置は国が責任を持って措置するよう求める。抗ウイルス薬は有用性の議論があり、国の動向を注視する。

資格証明書発行世帯について、国は発熱外来での受診を3割負担と通知、現在は一般の診療に移行している。失業や事業の廃止等、特別な事情があれば短期証等きめ細かに対応している。

 また、全国的な問題となっている地域医療崩壊の原因は、審判の下された1981年以降の臨調路線にあります。市立病院、市立京北病院も医師不足によって、病院運営に深刻な影響がでています。市内の中小規模の民間病院でも必要な医師数が確保できないために、入院ベッドを閉鎖している状況があり深刻です。いま、市民が求めるのは、医師、看護師を養成し、人間らしく働き続けられる医療労働で安全な医療が提供されることです。市長として国に対し、あらためて医師養成数の抜本強化と医療費抑制政策の撤回をつよく求めるべきです。いかがですか、お答えください。

(保健福祉局長)医師不足解消のため、医学部の地域枠拡大や僻地勤務義務化、過重労働の解消を要望し、経営安定化のため診療報酬の適正化を要望している。

 続いて、市立病院の院内保育所、「青いとり保育園」の民間委託化についてです。市長がすすめる民間委託化のねらいは、院内保育所に働く保育士の人件費をカットし経営効率化を図るところにあります。病院職員の人件費のみならず、職員のこどもの安全まで効率化するというのですから、二重の意味で市民のいのちを守る市政の後退だと指摘せざるを得ません。院内保育所の運営については、設立時の理念に基づき、公立病院の役割発揮を支える機能を果たすこと、それを保障できる人的体制と保育の質が担保されることが求められます。そのため、これまで30年以上にわたって、事実上病院がその運営に直接責任を担ってきたのではありませんか。経営効率ありきで民間委託化することは市民の願いに逆行する行為であることを指摘します。さらに、長年現場を支えてきた保育士の身分保障については、社会的道義にたち慎重な対応をおこなうよう求めておきます。

市立看護短期大学の廃止方針を白紙に戻せ

 次に、市立看護短期大学の廃止についてです。市立看護短期大学が創設後59年の歴史をもつ大学として、多くの看護専門職を輩出し、卒業生が京都をはじめ国内外で活躍してきたことは言うまでもありません。その社会的な役割は医療の高度化と専門化がすすむ中、益々大きくなっています。市長は、その社会的な役割を放り出そうとされていますが、認めることはできません。これまでにも、社団法人京都府看護協会や看護連盟から、市立看護短期大学として存続し4年制化すること、廃止方針が確定される経過について市民に明らかにすることなどを求める要望や陳情が出されてきました。また、大学の廃止にあたっては文部科学省が京都市に、学生や保護者、OG会への説明と納得を得ることが必要と指導していますが、学生からは「市立看護短期大学の廃止は、経済的困難な学生の進路を閉ざすことにもなる。廃止を撤回し市民的な議論を行うべき」の声があげられています。またOG会は、「京都市立看護短期大学の存続と4年制化を求める」あかね同窓会有志の会を結成し、看護師不足が深刻化しているなか、市立看護短期大学が来年度の学生募集を停止していることに抗議し、即刻平成22年度の学生募集開始を求めることを決議されました。さらに、8月22日に行われた保護者説明会においても、「学生の募集停止はやめるべき」との意見が出されています。市長は、こうした関係者の合意もないまま、市民の大切な財産であり、社会的使命をもつ市立看護短期大学を廃止するおつもりですか、このままでは市民は決して納得することはできません。看護師養成は、医師確保とともに医療を支える欠くことのできない柱です。また新政権の下、医師、看護師養成へ大きく政策が転換する可能性のあるときです。市長は、我が国全体の医療水準の発展に貢献してきた市立看護短期大学の実績と社会的使命を放棄するのではなく、役割発揮にふさわしい財源確保を国にも求め、自治体の努力を傾注し大学の存続と4年制化に向けて努めるべきです。 

 まずは、廃止方針を白紙に戻し、市民的な議論を行うべきではありませんか。関係者からもつよく要望されているように、平成22年度の学生募集を直ちに開始すべきですがいかがですか、はっきりとお答えください。 

(市長)4年制化は喫緊の課題。少子化で大学の学生確保が厳しくなっている中、市内2私立大学が看護学科を新設の予定。20億円を超える施設整備など多額の税金を投入して私学と競合でなく、私学との共同で4年制化に取り組むもので募集停止は撤回しない。看護学科学生への奨学金創設など看護師確保に取り組む。

西陣産地への抜本的対策の強化を 

 次に西陣産地への抜本的対策の強化についてお聞きします。西陣産地で10年前からネクタイの縫製加工を行う工房を開き営業してきたご夫妻からお話を聞きました。正確で丁寧な製造技術は高く評価されているのに、ネクタイ1本の加工賃はわずか240円です。そのうち芯代が49円、裏付けが32円、ネーム付27円、裏地代14円を引くと、118円にしかなりません。更に経費として工房の家賃に光熱費、パート職人の人件費が必要です。1日300本製造し、1ヶ月必死に働いても純利益はネクタイ1本あたり1~2円にしかならず、ついに廃業するしかないと決断されました。精も魂も尽き果てたあげく、高い技術をもちながら廃業の選択しかないという状況に、産地組合が、「産地の技術を守り、今後の発展方向を研究したい」と、このご夫妻の技術保全と合わせ支援を検討されています。市長、京都市がこうした産地の懸命な努力を支援することが急務ではありませんか。

 京都市では、西陣、友禅などをはじめとした伝統地場産業の景況悪化が、関連する業界に大きな影響を及ぼしてきました。「ものをつくっても売れない」という嘆きは、日を追って深刻な声となっています。景気の変動からものづくりの技と職人の生活を守り、産地の崩壊に歯止めをかける直接的な手立てをうつことが必要です。早急に具体化されるべき内容を提案し求めます。

 まず第一に、地場の中小零細企業がつくった商品を、市場に出させるための支援を行うことです。例えば今年度、京都市が新たな事業としてはじめた「ラグジュアリー京ものカタログプロジェクト」についてです。これは首都圏の高級ホテルに宿泊する外国人富裕層をターゲットにした事業で、京都の伝統工芸品をPRし市場を拡大する取り組みとして注目されます。しかし、地場からは、「零細企業では、とてもじゃないが参入できない。ホテルのコンシェルジュはカタログの紹介はするが商取り引きの仲介をするわけではないのでリスクも高い。零細企業では、取り引きを行うためだけに、外国語のできる人材を確保することはできず、弁護士との契約もハードルが高い。」との声があります。会社の規模にかかわらず、地場のものづくり技術は最高峰です。零細企業にも事業への参入の機会が得られるように、行政としての支援が求められています。自治体の知恵の発揮のしどころです。ぜひとも検討していただきたいと思いますがいかがですか。

 第二に、技術の流出を防ぐために、最低工賃のガイドラインを策定し、業界全体のルールとして徹底を図ることです。わたしは、ある西陣織の織物会社の工場で働く方が、最低賃金を大きく下回る賃金しか受け取っていない事実を聞き取ってきました。この方は会社との直接交渉で未払い賃金が支払われ、賃金の改善も図られたわけですが、ガイドラインで最低限のルールを策定することが必要と考えますがいかがですか。また、後継者対策として、育英資金の抜本的充実が必要です。京都府の制度が廃止され、現在京都市の伝統産業技術後継者育成資金は15人の枠で、一人2年間40万円となっていますが、求められる規模にはとても及びません。思い切って拡充することを求めますがいかがですか。

 第三に、産地内で、織機の部品類の確保と修理が行えるようにすることです。昨年度末の市内機料品店の閉店は、産地に大きなショックを与えました。賃織職人さんからは、「現在、かろうじて動いている織機が故障すれば、たちまち仕事ができない。」「当面の部品は確保したが、鋳物の溶接工がいなくなり、故障したら完全修復はできない」「滋賀県まで機を運べば、なおしてくれる人がいないわけではないが、とても機を運ぶことなどできない」と切実な声です。当面、産地内に故障した機の修理や必要な部品の調達ができるようにすることが必要です。必ずやっていただきたい。いかがですか。

 第四に、産地に相談窓口を設置することです。昨年度より、「産地の崩壊をだまってみていられない」と、地域住民や産地にかかわる方々が、元西陣小学校跡地の活用も含め、「西陣まちミュージアム構想」として、西陣らしいまちづくりとともに、観光産業と一体化した産業起こしの可能性を模索し行動されています。その中で、「日常的に産地が抱えるあらゆる問題の相談窓口が欲しい」という声が出ています。地場の実態を日常的に把握し、産地再生にがんばる地域も激励してこそ、ともに流す汗の価値が見出せるのではないでしょうか。そこで産地対策として上京区役所内に担当職員を配置し、よろず相談窓口を設置することを求めますが、いかがですかお答えください。

(産業観光局長)①「ラグジュアリー京ものカタログ」は、産地組合を通じて募集し、希望すればすべて掲載、参入の機会を設けている。今後も販路開拓に取り組む。②昭和42年から1177人が後継者育成資金を受給、要件の緩和と作品や研修会など積極的に後継者育成をはかっている。③西陣織の織機部品類確保は、伝統産業道具類協議会で枯渇道具類のひとつとして円滑に供給されるよう検討する。④伝産課、産業技術研究所、中小企業支援センター等で相談を受けている。産地組合とも連携し適切に対応する。

「子どもの貧困」の解決を 

 次に「子どもの貧困」問題についてです。4月29日、こども文化会館で「子どもの貧困」を考えるフォーラムが行われました。貧困は子どものところで最も苛酷な形で現れます。あるお母さんは、生活保護を申請したものの、「職を探して働くように」と言われ申請が受理されませんでした。夜、働きに出ながら、懸命にがんばってこられましたが、お母さんが働きに出ている間に、こどもが内縁の夫から虐待を受ける事態となっていました。繰り返される虐待を発見した、近隣住民から児童福祉相談所に連絡された事例の報告に、わたしは胸の潰れる思いがしました。

 また、保育園の園長先生は、父親がフリーター、母親が派遣社員というように、両親が共に不安定な就労形態で働く状況が年々増えており、生活実態の厳しさが子どもの成長発達に暗い影を落としていると指摘されています。子育て世代の貧困は、時として医療制度からもこぼれ落ちることで、こどものいのちに直結する問題になることを認識することが重要です。そのことからも、京都市がこどもの医療費を当面、通院も小学校卒業まで無料化し、こどものいのちを守るべきですがいかがですか、同時に新政権は家計支援を最重点と位置づけ、「子どもの貧困」解消をかかげているのですから、国に対し、こどもの医療費無料化を実施するようつよく求めるべきです。いかがですか、お答えください。

(子育て支援政策監)市の財政が厳しく単独事業としては実現困難。国に対し財源措置を求めている。他都市と連携し強力に要望する。

 次に、就学保障がこれまでになく重要な課題となっています。様々な理由で不登校を経験している子どもや、経済的理由で進学できない子どもたちの受け皿をしっかりと拡充することが必要です。高校進学は準義務教育として位置づけられていますが、学費の負担は保護者に重くのしかかっています。「高校の授業料を無料にしてほしい」は切実な願いです。連立政権の政策合意には「高校教育を実質無償化する」と盛り込まれました。市長はこの時にこそ、高校の学費無料化を国に強く求めるべきですがいかがですか、また、高校や、大学での奨学金制度の早期の拡充が必要です。ある学生は、大学入学に伴い独立行政法人日本学生支援機構の奨学金制度を利用していますが、1ヶ月10万円で卒業時には利子と合わせ500万円を超える借金を背負うことになっています。こうした若者の精神的負担は計り知れません。また「大学で専攻する単位を選ぶのも、アルバイトを優先にせざるを得ない。卒業後の就職が決まらなかったら、借金も返せない。就職難で気持ちが焦ってしまう。」など学生の置かれている立場はあまりにも厳しすぎます。一日も早く給付制奨学金を創設するよう国に求め、同時に本市で実施することを求めますがいかがですか、お答えください。

 そして京都市立高校での募集定員と合わせ、夜間定時制高校の募集定員を拡充し、徹底した就学機会の保障に取り組むべきです。市内の夜間定時制高校の募集定員は平成12年度1000人が平成20年度では410人と削減されつづけてきました。その結果、平成19年度で42人、平成20年度で76人の不合格者がうまれています。これに対し、「夜間定時制高校募集定員数を増やす会」のみなさんが、募集定員数を増やしてほしいと何度も申し入れをされてきました。「来年度の市立西京高校の夜間定時制高校の募集定員数を60人にしてください」との市民の声は、切実です。市長は、京都府と協議し不合格者を生まないよう夜間定時制高校の募集定員を拡充するべきですがいかがですか、お答えください。

(教育長)市長が国で給付制奨学金の創設を提言した。次年度からの高校授業料無償化について国で検討されている。定時制進学希望は、9月で定員の4分の1。全日制定員を10年で1200人拡大した。夜間定時制は来年度の定員を維持する。

 また、保育園の待機児を完全に解消することは、こどもの暮らしを守るうえにも一層に

切実な願いとなっています。不況下にあり、両親共に働く家庭は増えています。ところが、こどもが保育園に入所できないために職を探すことができず、待機している間に生活が困窮し、子どもの健康も阻害されかねない状況がうまれていることが指摘されています。こうしたもとで、一番被害を受けるのがこども自身であることは先にも述べた通りです。京都市の京・子どもいきいきプランにかかげた目標は達成されたものの、入所を必要とする子どものニーズを充たせる状況にはありません。これまで以上に待機児解消の努力が求められています。あらためてこどものいのちが託される保育園の増設と体制整備に力を尽くしていただくよう求めますが、いかがですか。お答えください。

(子育て支援政策監)保育園の新増設で、今年度も定員拡大。重度障害児の職員加配を充実した。待機児解消に取り組む。

 次に就学援助制度についてです。本市の就学援助制度の新規申し込みをみると、今年1月以降の件数が増えています。経済不況の悪化が反映しています。わが党は再三、制度の周知徹底を求めてきましたが、やっと家庭教育新聞に制度の紹介がされるに至っています。しかし、貧困の広がりに対応するには十分とは言えません。「食事は、学校給食で摂るだけ」「親は夜も働いていて夕食はコンビニのお弁当だけ」「学校にお弁当をもってこないこども」の姿などをはじめ、見た目ではわからない貧困がこどものくらしに広がっているのです。ここに行政の支援の手を届かせることが必要です。就学援助は、2005年に国が準要保護世帯への補助金を一般財源化したことで、自治体での支援がしにくくなっています。国に補助金の復活を求め、就学援助の基準を引き上げるとともに、申し込みが随時に行えるよう、区役所でも申請受付できるようにしていただきたいと思いますがいかがでしょうか、お答えください。

(教育長)就学援助の一般財源化後も予算を確保している。財政が厳しく改定は困難。新入生、全家庭配布の新聞に掲載など周知し、いつでもコールで問い合わせに応じている。学校で随時受け付け、家計の急変にもすみやかに対応している。

御所周辺の交通問題について  

 最後に、御所周辺の交通問題についてお聞きします。市長はご存知でしょうか。御所周囲の歩行空間に、市民が安心して歩けない問題があります。今出川通りと烏丸通りを往来する自転車が、自動車道を走れないために歩道を走る状況となっています。歩行者にしてみると片側に御所の掘がある狭い歩道に自転車が走り大変危険な状況です。実際に、過去いくつもの転落事故が発生しています。自転車を除けようとして堀に転落する歩行者、また歩行者をよけ切れず、自転車ごと堀に転落するなど、こうした状況が長年放置されていることは大きな問題です。

 実際に事故にあった方の手紙の一部を紹介します。「私は、昨年の暮12月30日に、バス待ちの方をよけようとして自転車ごと掘に転落し石垣で右肩を強く打ち、肩関節の脱臼と上腕の複雑骨折で、5時間に及ぶ手術を余儀なくされました。今も後遺症に苦しんでいます。二度とこのような堀への転落が起こらないように、何らかの改善をお願いしたいものです」。

 市長、ぜひともこうした市民の願いにこたえるべきと考えますがいかがでしょうか。この間、保育園などへの3人乗り送迎用自転車も認められてきたこととも合わせ、歩行者、自転車が共に安全に通行できる交通環境への改善が必要となっています。とりわけ烏丸今出川南東のバス停で市バスを待っている方や、ここを自転車で通行するひとが、堀に転落するなどの危険な状況をなんとかしてほしいというのは、地元住民の強い願いです。この問題は、御所周辺の交通問題であり、本市の努力はもちろんのこと、御所を管理する国との協力調整も必要と考えますが、「歩いて楽しいまち」を標榜する京都市としての積極的な対応を求めます。いかがですか、お答えください。以上をもちまして、わたしの第一質問といたします。

(建設局長)平成14年から環境省と協議をおこない、丸太町通りの一部で安全対策を行った。今出川の当該箇所も水路へのふたの設置や転落防止柵の協議をすすめている。水路が御苑の一部であり、景観の観点で協議が難航している。ひきつづき協議をすすめる。

第2質問

 市長及び理事者の答弁をいただきました。総選挙で国民は「構造改革路線」ノーの審判を下し、いのちと暮らしを守る政治の転換を求めました。

 あらためて、この審判に応える姿勢が必要です。後期高齢者医療制度は、すぐに廃止しなければ、来年度からさっそく新たな市民負担となるではありませんか。このことは急務の課題です。以上のことを指摘し、私の質問を終わります。