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市会報告

西野さち子 議員

09年5月20日(水)

西野さち子議員の代表質問と答弁大要 09年5月定例市会 本会議代表質問

 

 伏見区選出の西野さち子です。日本共産党市会議員団を代表して、市政一般について質問いたします。

新型インフルエンザ対策について

 3月24日に最初の新型インフルエンザ患者が発見され、世界大流行一歩手前の「フェーズ5」にまで警戒度があげられ、日本国内でも渡航歴のない高校生を中心に相次ぐ感染が広がり、新たな段階を迎えています。患者の受け入れ・相談体制の拡充・強化は緊急の課題です。しかし、外国人観光客の比率が特段に高い京都市において、1昨年4月以降53人もの保健所職員が削減された中での対応ですから、関係職員の疲労は増し、市民の不安も広がっています。

 いっそうの保健所体制の強化と共に、市民への的確な情報提供が重要です。いかがですか。

(市長)全家庭へのリーフ配布など市民への情報提供にきめ細かく対応している。市長就任直後に感染症専任保健師を全保健所・支所に配置した。新型インフルエンザ対策として、必要な臨時の人員の確保を行うなど万全の体制を取っている。正確な情報のもとに、冷静に対応するよう要請していく。

深刻な経済危機の中、緊急の経済・雇用対策を

 次に、経済・雇用の問題です。先月、政府は15兆円規模の補正予算案を発表しました。しかしその内容は、中小企業には仕事が回らない大型事業や株の買い取り、贈与税減税など、大企業や大銀行、大金持ちの応援策が目立ちます。そして、庶民の暮らしへの施策は1年限りのばらまきです。高額なエコカー購入への補助金では、深刻な経済危機に苦しむ庶民の暮らしの応援にはなりません。社会保障の充実や家計の応援こそが必要です。ところが、この景気対策のばらまきのツケが2011年以降に予定されている消費税の増税です。消費税は、低所得者ほど負担割合が大きい一方で、輸出大企業は輸出品の税金の還付まで受けるという、大企業、輸出企業優遇の税制です。消費税の増税は、庶民の暮らしとともに、多くの中小企業の経営に悪影響を及ぼすことは目に見えているのではありませんか。

 こんな時に消費税増税を行えば、庶民のふところを暖めるどころか、景気に冷水を浴びせる最悪の状況となることは明らかです。本末転倒ではありませんか。

 市長は消費税の増税が市民の暮らしにも、中小企業にとってもさらに打撃を与えるとの認識はありますか。国に対して消費税増税の撤回を強く求めるべきです。いかがですか。

(財政担当局長)消費税は、各世代が広く公平に負担を分かち合う税で、その役割はますます重要。税制のあり方については、幅広い検討が必要。今後の国会等での議論の動向を関心を持って見守る。

 京都市が発表した1月から3月期の中小企業経営動向実態調査の結果は「企業景気指数は10年3ヶ月ぶりの10ポイント台の低水準で来期の景気の回復は依然として期待できない」とされています。5000万人達成と言われている観光関連でも「外国からの観光客の減少で著しく売り上げが減少」「節約意識の高まりによって一人当たりの単価が低下」など、景況感が悪化しています。また、中小企業家同友会の景況調査報告でも、業績判断指数はマイナス66.6で昨年7月から9月期に比べ19.7ポイントも下落しています。「全ての業種でマイナス60以上を示しており、改善の兆しが見えないどころか、製造業では好転した企業が1社もないなど、どこまで悪化するのか予測もつかない状況に陥っている」とされています。現在も今後もほとんどすべての業種で厳しいということです。そして、5月倒産がさらに増加することが懸念されています。概況の最後には「ものづくり日本の経済構造の一翼を担ってきた京都のものづくりが根底から揺らぎ始めた感が否めない」と言われています。市長、京都の経済状況がここまで厳しいという認識はありますか。

 中小企業家同友会の調査報告でも、地域経済危機を立て直すためには、地域循環型の内需拡大政策が緊急に実施される必要を指摘されています。まず、セーフティネット保証の5号認定の不況業種を760業種から全業種に拡大することを国に求めるべきです。その上で本市の責任で実行できる、売り上げ減の3%要件をはずし、1%2%の減少でも対象にして、重症になる前の早期支援策を実施すべきです。いかがですか。

(細見副市長)国の緊急保証制度の本市での利用資格認定件数は前年度比10.7倍。更なる指定業種の拡大を要望している。売上げ減少率3%未満の方への融資は「経営支援特別融資」等を利用いただいている。融資制度全体の利用総額は平成20年度で3500億円。中小企業パワーアップ支援事業を6月から開始する。

 一方、昨年夏以降の経済危機の中で、違法な「派遣切り」を許さないと、これまでなら泣き寝入りをしていた労働者が契約途中の解雇を撤回させ、正社員化を求めて労働局への申告を行うなど立ち上がっています。先日、建設関係の組合の皆さんが京都市に申し入れをされました。そこでは、「生活に密着した公共工事の発注で中小零細企業の生活と雇用を守ってほしい」「市発注の公共工事は地元中小建設企業への発注を優先し、前倒し発注を」と要望されています。地元職人の確保をすることや、現場労働者の賃金や労働条件を契約で位置づけることは、京都市がその気になれば実現できることです。

 2月の国会の衆議院予算委員会では日本共産党の穀田恵二議員の質問に国土交通省の総合政策局長が「50億円の工事1件より500万円の工事を1000件行ったほうが同じ金額でも雇用に結びつく人数が多い」と答弁されています。国の補正予算を活用して64戸の市営住宅の空き家改修を進められたように、身近な公共事業を優先的に進めるべきです。京都市の民間社会福祉施設の耐震診断助成の対象は84棟ありますが、5ヶ所しか診断が進んでいません。市立学校の耐震化は82.6%ですから、これらの工事を前倒し発注すべきです。また、わが党が以前から提案しています住宅改修助成制度を創設する等の仕事おこしをすることが今こそ必要ではないでしょうか。公共工事は、分離分割発注や生活密着の小型公共工事に転換し、雇用の拡大をすべきではありませんか。お答え下さい。

(財政担当局長)中小事業者との契約は件数で89%、金額で82%。国の中小企業向け契約金額の48%を大きく上回っている。受注者に対して、下請・資材購入等に市内中小事業者を選定するよう要請している。

 次に、京都市職員の削減に伴う、職員の非正規化や業務の民間委託化の中で官製ワーキングプアが広がっている問題について質問します。家庭ごみ収集業務を50%民間に委託し、直営の職員を113人減らすという計画は、入札価格の低下に伴い、これまで随意契約をしていた業者の委託料をも引き下げ、労働者の賃金をさらに悪化させています。また、非常勤講師として働く教職員の給料は、例えば週9時間授業では月額85050円。さらに夏休みなど長期休暇になれば収入はありませんから、生活保護基準以下のワーキングプアの状況です。募集要項では「アルバイトも可」とされていますから、教育委員会も生活できないことを認めているのです。代替教員で1カ月、2カ月の細切れ契約で学級担任を受け持っているなど先の見通しが立たない方もおられます。公の仕事に携わっている労働者の賃金低下は民間にも波及しますから、食い止める責任は京都市にあります。市長は自らワーキングプアをつくっているという認識はありますか。職員の削減を撤回するとともに、公の仕事に携わる労働者の賃金を保障すべきです。いかがですか、お答え下さい。

(人材活性化政策監)業務委託の推進や事業の見直し、効率化等による職員数の適正化、総人件費の抑制は重要な課題。公務関連労働者の労働条件は、各雇用主の責任のもと、関係法令等に基づき、適正な水準が確保されるべき。

「子どもの貧困」をなくし、保育園補助金の復活を

 経済危機が子どもに与えている影響は深刻です。「貧困の連鎖」「親から子へ教育費ずしり」また「非正規失職19万人」「失業率・求人も急激悪化」という見出しの記事が新聞にあふれました。「100年に1度」と言われる経済の悪化が大人だけでなく、今、子どもたちにも影響を与えています。京都市次期基本計画策定に向けた市民アンケートでも、市が力を入れるべき分野として、子育て支援が11ポイント増で目立っています。この市民の願いをどう受け止めるのかが問われています。私のところにも生活保護の母子加算が廃止をされた方から連日のように悲鳴が届けられています。ある方は、「子どもが定時制高校に入学することになったが、新しい服やカバンも靴も買ってあげられない。通学のための自転車が買えない。母子加算がなくなって、育ち盛りの子どもの食事の回数を減らすわけにはいかない。そうすると家賃が払えない。1日1回の学校の給食が一番の栄養源になっている。でも、高校では多い月は5000円近くかかる給食費が出せない。明日中に電気代を払わないと電気が止められる」と訴えておられました。電気代の請求書には、「電気を止めた後でも払い込みがなければ、法務大臣認可の債権回収業者に委託します」と脅しのような文章がありました。市長はここまでせっぱ詰まった市民の暮らしに心が痛みませんか。

 先日、マスコミ各社と京都府・市社会福祉協議会の後援、実行委員会主催で「子どもの貧 困」フォーラムが開かれました。そこでは子どもたちの様々な貧困が語られました。17歳の青年が「友達は1日1回しか食事をしていなくて元気がない。でも授業は必ず出席して頑張っている。辛いけど親を恨むことはできないと話している」。また、「吹奏楽の好きな友達は部活をしたいが遠征費が月何十万円もかかるのであきらめた」と発言され、心を打ちました。また、「さようなら。」と遺書を残して行方不明になった青年を友人や家族が捜しまわって見つけ、相談に来られたケースでは、その青年は「辛いと言ってもいいことがわかった。すべて自分の責任だと思っていた」と話されたそうです。「貧困で最も怖いのが自己責任だとして社会から孤立することだ」との発言もありました。深刻な経済危機の中で、親も子どもも大変です。

 07年9月から子どもの医療費の助成制度が拡充されました。しかし、幼い子どもの子育て中の若い親御さんにとって、同時に子どもが熱を出すなどよくあることです。ところが申請をすれば一人あたり3000円をこえる負担分は償還されますが、窓口ではいったん3割負担をしなければなりません。同時に受診ということになれば大変な負担です。苦しんでいる子どもの顔を見ながら売薬で済ます事になりかねません。子どもの医療費を通院も軽減してほしいという事が、子育て世代の願いではありませんか。貧困は子どもの所に一番過酷に現れますし、まともに影響を受けているのが子どもたちです。社会が生み出した貧困は社会の力で解決しなければなりません。

 元教育長として子どもの教育に携わってこられた市長として、今、子どもたちが出しているSOSをどのように受け止められますか。暮らしが大変な時だからこそ、子育て支援のために、まず命にかかわる子どもの医療費の助成制度を拡充し、少なくとも当面、窓口負担を軽減すべきです。そして、一般財源化された就学援助金の国庫負担を元に戻すよう国に求め、本市独自に目安になる所得基準を引き上げること。市長の決断が求められています。いかがですか。

(子育て支援政策監)子ども医療費支給制度は、平成19年9月から制度を拡充した。就学援助については、年度途中でも臨時申請を受け付けている。両制度とも充実を図っており、更なる拡充は極めて困難である。

 さらにいま、両親とも働く家庭が増えています。雇用破壊やくらしの困難から子どもの発達を守るための保育所の果たす役割がますます大きくなっています。ところが、市長は今年度予算から民間保育園の補助金を5億円もカットしました。2月議会で副市長は「まったく影響がないとは考えていない」と言いつつ、「影響が園児に生じないように運営していただける」と答弁されています。

 現場を900ヶ所以上回っておられる市長は、保育現場の声をお聞きになったのでしょうか。いかがですか。

 ある保育園では「運営に支障が出てくる。産休や育児休暇を無休にするなど、したくないが考えざるを得ない。正規の職員をパート・アルバイトに置き換えることもしなければならなくなり、保育の専門職が減り、結局は子どもに影響を及ぼすことになる」「単費援護費は保育課も必要と認めているはず。廃止になれば今年度末には影響が広がっていく」など不安の声が大きく出されています。また、「給食やおやつの費用を切りつめなくては」と顔を曇らせる園もありますし、妊娠すれば働けなくなるという状況も心配されています。男女共同参画の立場からも大問題です。保育の質の低下や保育士の労働条件の低下は絶対に許されません。それを守る責任は保育園ではなく、京都市にあります。

 そのためにもカットした民間保育園補助金の復活と単費援護費の凍結を解除すべきです。いかがですか。

(市長)補助金の削減額はプール制総額の3%で、総意工夫により、保育の水準を確保できる。単費援護費については、「監査委員の特別監査」の結果をふまえて執行を検討していく。

誰もが安心して利用できる介護制度を

 次に高齢者の問題です。

 伏見区でおこった深刻な事態を紹介します。息子さんは心臓病、母親は認知症の世帯で、息子さんが亡くなり、遺体が腐敗しても母親には理解できず、悪臭に窓を開けて、しばらくそのままで生活されていたようです。地域の方々も最近姿が見えないと心配されていましたが、ドアにチェーンが掛かっていて開けられず、どうにもしようがなかったそうです。たまりかねて警察に通報しチェーンを切って入った時はお二人とも亡くなって半月以上たっていました。息子さんは狭心症発作、母親は餓死でした。

 また、要介護5という70歳で一人暮らしのある方は「リュウマチで手首が動かない上に脳梗塞で倒れ、左半身不随になり、動けなくなった。ホームヘルパーや訪問看護のおかげで何とか生きている。糖尿で目がよく見えないためテレビは音を聞くだけ。誰も来ない時は一人で寂しい。痛い左足をさすって欲しいと思うけれど、お願いすればお金がかかり、これ以上の自己負担はできないので、我慢をしている。もう死にたい」と涙を流されました。高齢者にも貧困が押し寄せ、社会から孤立していく状態が広がっています。

 先日NHKで「介護保険が使えない 10年目の検証」という番組が東京都立の戸山団地のすべての入居者を訪問しアンケートをとった結果をもとに報道されました。「高齢者の独り暮らしが増えるなか、制度が分からず、介護保険を使えない方」「母親の介護のため、仕事を辞めざるを得なかった方」「介護報酬3%増の中で負担が月6500円も増えたために、サービスを削らざるを得なかった方」。これは戸山団地だけでなく、全国どこでも同じ状況があるのではないでしょうか。

 今年4月から介護認定制度が新方式に変更されました。この変更にあたって、わが党の国会質問で、今回の要介護認定の見直しのねらいは介護給付費の抑制にあることが明らかになり、厚生労働省は「状況がこれまでと変わらないのに認定が軽くなった場合に利用者から申請があれば、これまでのサービスが継続できる特別措置の検討」を認めざるを得なくなりました。同時に今回の検討の対象になるのは、これまで介護認定を受けてきた人に限られ、新たに認定を受ける人には適用されませんから、必要な介護が受けられないことになりかねません。全国で100人以上のケアマネージャーの方たちが「こんな調査基準は家族に説明できない」と実名で抗議の声をあげておられます。

 さらに厚生労働省は、介護保険の給付を要介護度2以上に限定すれば3300億円削減できると試算しているだけでなく、自己負担を1割から2割に引き上げた場合の試算までしていたことが明らかになりました。京都市議会では、状態が同じでも介護認定が低くなり、これまで受けていたサービスが受けられなくなる。また、事業者にとっても介護報酬3%増が吸収されてしまい大幅な減収になるという問題点を指摘してきました。しかし、先の予算議会では、「一部そういうこともあると思うがトータルでは変わらない。安定的に運営できる」との答弁でした。

 これは、必要なサービスの削減ではありませんか。新介護認定方式を撤回し、介護給付削減方針を改めるよう国に強く求めるべきです。いかがですか。

(保健福祉局長)介護認定の新方式について、国で更なる検証が行われ、希望者には更新前の要介護度を可能とする経過措置が設けられた。これを受け、事業者に周知を図り、協力依頼を行っている。国における検証内容を注視するとともに、適切な要介護認定の実施に努めていく。

市立看護短大の廃校方針の白紙撤回を

 次に市立看護短期大学の廃止問題についてお聞きします。

 1954年に全国で初めて京都市が設置した市立看護短大の廃校については、2月議会でも議論になり、「廃止の方向で検討を進めるべきではない」との質問に理事者はあいまいな答弁しかしませんでした。議会も含め大多数の市民に初めて知らされたのが、3月25日の市長記者会見でした。

 問題点の第一は、今後の京都市の医療現場に多大な影響を与える問題が、このような非民主主義的な手法で進められようとしていることです。基本合意が3月16日で、教授会に報告されたのが3月23日と言いますから、学校関係者にとっても「寝耳に水」とはこのことではありませんか。今、医療や看護の現場で働く関係者の皆さんから、市長に対して「看護短大廃止方針の撤回と京都市の責任で看護師養成と強化」を求める要請書のほか、学生団体から「廃止撤回」を求める声明が出されています。また、市立看護短大のアンケート調査では、全学生の4分の3の回答で、6割の学生が廃止反対の結果です。直前まで開かれていた市議会にも全く報告がされていません。あまりにも議会軽視ではありませんか。なぜ突然の廃校なのか、市長の明確な説明を求めます。いかがですか。

 問題点の第二は、看護師不足が社会問題となっている今、看護師の養成における自治体の公的責任の放棄につながる点です。市長は「昨年秋から私立大学との競合ではなく、市内の私立大学と京都市との協力による市立看護短大の4年制化の可能性を模索してきた」とおっしゃっています。

 市長のマニフェストでは「看護短大の充実を検討」とされていますから、競合ではなく、看護師養成の拡充と位置づけて、京都市の責任で短大の4年制化を含めての拡充に踏み出すべきではありませんか。いかがですか。

 問題点の第三に、廃校後の引受先がなぜ、佛教大学なのかということです。2011年に看護学科を開設される予定の佛教大学に教授陣を含め蓄積されてきた伝統やノウハウをすべて引き渡すことは、大学教育の軽視と公的責任の放棄につながります。そして、新たに設置される奨学金制度も佛教大学の看護学科のみの適用とされています。このような特別扱いを認めるわけにはいきません。高すぎる学費に多くの学生が苦しんでいる状況を市長はご存じないのでしょうか。例えば、市立看護短大の入学金は11万円、授業料は39万円ですが、私学では初年度入学金が25万円、年間授業料が110万円、教育充実費などを含めると年間200万円が必要で、4年で800万円以上必要になるため、あきらめた方もおられます。

 景気が悪化している今、看護師をあきらめざるを得ない人を救い、社会問題となっている看護師不足を解消することが求められています。今の京都市の判断はこの事に逆行しているではありませんか。いかがですか。

(市長)私学との競合を避け、佛大との民設民営方式により4年制化を実現するもので、最良・最善の方策。大学や医療関係団体の協力を得て、離職看護師の復帰支援、現職看護師の離職防止等に新たに取り組み、質の高い看護職員の養成、看護職員の供給の充実などに努めていく。

 一部OB職員による不祥事の根絶を

 次に市職員の一部OBの不祥事について質問します。

 市長は就任時に「一切の妥協なく、断固たる決意で徹底することによって、今なお残る悪しき職場風土、甘い認識を一掃し、不祥事を1年以内に根絶します」と決意を述べられましたが、不祥事は後を絶たず、先の2月議会においても、元副市長と職員OBが関わった不祥事が発覚し、議論になりました。市長の決意にもかかわらず、相変わらずの「事なかれ主義」「閉鎖的体質」「過剰な身内意識」が残っていることが露呈しました。

 特に最近発覚した不祥事の特徴は、職員OBが絡む問題が多いという事です。京都福祉サービス協会で職員OBの理事長が元本保証のない外国債権を独断で購入し、損失を与えた上に元副市長のために顧問の席を特別に用意したという問題や、職員OBの京都市保育園連盟常務理事が補助金を不正流用した事件は連盟三役にも一切報告されていませんでした。石田保育園の不正経理も職員OBの当時園長です。

 京都市には「退職職員の再就職に関する取扱要綱」があります。そこには「再就職における信頼性及び透明性の向上に資することを目的とする」として宣誓書も提出することになっています。宣誓の内容は「再就職先においては、市民の市政に対する信頼を損なう事のないよう、常に元京都市職員としての自覚と良心をもって行動します」となっており、課長級以上の再就職者はすべて、宣誓しているはずです。不祥事に関わっていたのでは宣誓の意味がないのではありませんか。昨年度は課長級以上の職員のうち83人が再就職をされています。能力のある人が退職後もそれを生かして仕事をされることは京都市にとっても市民にとってもメリットのあることです。

 しかし問題は、信頼を損なう行為がおこなわれていることにあります。現職職員の不祥事もさることながら、市長には特別職も含めて一部のOB職員が京都市全体の信頼を失墜させているという認識はありますか。ここにも「事なかれ主義」「閉鎖体質」「過剰な身内意識」があることは明らかですから、京都市の不祥事体質は相変わらずあることを認め、市長の責任でこの問題の解決をすべきです。いかがですか。

(人材活性化政策監)この間の取り組みで、不祥事を生み出す土壌はほぼ一掃された。職員のモチベーションを向上させ、生き生きと働ける組織づくりをめざし取り組む。OB職員についても、退職ルールの徹底や、関係団体の補助金執行状況の確認など、チェック機能を高める。

核兵器廃絶に向け、京都から平和の発信を

 最後に平和の問題です。ソマリア沖の海賊から日本の船舶を守るためとして「海賊対処」法案が自民、公明の強行採決で衆議院を通過しました。軍隊の活動では海賊問題の解決はできません。憲法9条をもつ日本がすべきことは、自衛隊の派遣ではなく、ソマリアの内戦終結と貧困の解決のための外交努力と民生支援ではないでしょうか。そして、今、主権在民、戦争放棄、基本的人権の保障などをさだめた憲法を守り生かすことが必要です。朝日新聞の調査では、「憲法9条を変えるべきではない」という人が64%に達し、「変える方がよい」は26%にとどまったと報道されました。

 憲法9条を守る一点で結成された「9条の会」はわずか5年で津々浦々に7300を超える地域・団体の「会」がつくられました。5月2日に円山音楽堂で行われた憲法集会は4600人もの市民であふれ、瀬戸内寂聴さんや益川敏英教授も参加されて平和を訴えられました。いずれも京都市名誉市民です。また、京都市は今年の3月に、世界で134ヶ国、2870の都市が参加している平和市長会議に参加をしました。参加を表明した自治体は2020年までの核兵器廃絶を目指し行動することが規約にあります。アメリカのオバマ大統領は核廃絶にむけて勇気ある発言をされました。

 市長は具体的にどう行動をされるつもりですか。核兵器廃絶に向けて今、憲法9条を守るべきという立場をはっきりと示し、京都から平和を発信すべきです。いかがですか。

 以上で、私の質問を終わります。

(市長)平和は変わらざる人類普遍の理念であり、本年3月、広島市長の呼びかけもあり平和市長会議に加盟した。市民とともに人類共通の願いである世界の恒久平和の実現に向けて努力していく。