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市会報告

ひぐち英明 議員

09年3月19日(木)

経済政策の抜本的転換を求める意見書についての討論 09年2月定例市会 閉会本会議討論

 

 私は、日本共産党京都市会議員団を代表して、わが党提案の意見書に対する賛成と、自民・公明・民主提案の意見書に対する反対の討論を行います。

 京都の経済は大きな落ち込みを見せています。昨年10月から12月期の景況調査ではDI値が20前後というところがほとんどです。前回、7月から9月期の調査でも、全業種が低い数値でしたが、中でも建設と糸偏が大きく落ち込んでいました。ところが、今回はその両業種の水準にほとんどの業種が落ち込み、さらに、来期の見通しでは、6.3と言う数字の業種もあり、これらの低さはあまりにも異常です。

 日本経済全体を見ても、10月から12月期でGDPは12.7%の大幅なマイナスで、落ち込みの大きさは世界でも異常な規模になっています。これは、この間の構造改革路線が、内需・家計をないがしろにし、日本の経済を極端な外需頼みの構造にしてきたことによって、アメリカ発の金融危機という津波から、国民のくらしと経済を守る防波堤を崩してきてしまったことによるものです。

 国民の暮らし、雇用、仕事がこれだけ深刻になっているからこそ、今求められていることは、安定した雇用と失業者の救済、社会保障の拡充、中小企業の支援、教育の拡充、農業の再生をはかるなど、内需を拡大する経済に本腰を入れて踏み出すことです。

 ところが、国の補正予算にしても、本予算案にしても、大企業の大量解雇をやめさせること、また、中小企業への支援として、下請けいじめの防止や仕事おこしの施策、メガバンクによる貸し渋り・貸しはがし対策の徹底が極めて不十分であるなど、経済悪化を緊急に食い止め、暮らしと内需拡大に役立つ方策がありません。また、米軍再編と自衛隊の海外派兵体制づくりを本格的に進めるための予算が組まれています。さらに、大企業・大資産家のための減税をいっそう拡大するものとなっています。これらの問題を含む政府予算案の早期成立を求める、与党三会派の意見書案に、賛成するわけには行きません。特に、国政では、政府予算案に反対している民主党が、その予算案の早期成立を求める立場に立つことは、あまりにも矛盾した態度であり、理解できません。

 経済悪化を食い止めるには、安定した雇用を保障することが欠かせません。雇用破壊が景気悪化を深刻にし、さらに雇用破壊をもたらすという悪循環を断つためにも、大企業による大量解雇をやめさせることは急務です。安定した雇用なくして内需主導の景気回復はありません。

 暮らしを応援をするためには、社会保障制度の拡充が求められます。社会保障予算の自然増を毎年2,200億円ずつ削減するという路線は、事実上、続けられなくなっています。破綻した削減路線にしがみつくのはもうやめ、予算を拡充し、後期高齢者医療制度撤廃、国保料の引き下げ、子どもの医療費の無料化、介護の保険料・利用料の減免、障害者福祉の応益負担の廃止などに予算を充てるべきです。社会保障の拡充は、国民の暮らしを直接温め、将来不安を取り除き、福祉の雇用を増やすという一石三鳥の経済効果もあり、内需主導の景気回復にも大きな力を発揮することになります。

 軍事費については、総額で3兆円にも及ぶグアムでの米軍基地建設や沖縄の新基地建設のための経費が本格計上され、さらに、アメリカの先制攻撃戦略の一翼をになう「ミサイル防衛」の経費や宇宙の軍事開発利用を拡大するための関連予算などが計上されています。これらは全く必要のない予算であります。

 大企業・大資産家のための減税については、外国子会社からの配当非課税制度を創設するなど、海外進出企業をいっそう優遇する税制の導入や、株式の譲渡益・配当に対する証券優遇税制をさらに3年間も復活・延長させる予算になっています。「カジノ資本主義」の害悪がこれだけ明らかになっているにもかかわらず、極端な優遇税制で「株主資本主義」を促進することは、まさに時代に逆行するものであり、ただちに改める必要があります。

 日本の資本主義は、ルールなき資本主義と呼ばれてきました。その弊害がこれだけ国民を苦しめているときだからこそ、雇用、社会保障、中小企業、農林水産業、税制などあらゆる分野で、暮らしを守る、ルールある経済社会へと転換する必要があります。このことこそ、景気回復の土台をつくり、強く健全な日本経済をつくる大道だと言えます。この立場に国が立つことを求めるわが党提案の意見書案への賛同をお願いいたしまして、私の討論といたします。