トップ > 市会報告 > 2009年 > 09年2月定例市会 >

市会報告

赤阪 仁 議員

09年3月19日(木)

2009年度一般会計予算に対する反対討論 09年2月定例市会 閉会本会議討論

  

 日本共産党議員団は、議第1号平成21年度一般会計予算案について、反対しておりますので、私は議員団を代表してその理由を述べ、討論を行います。

 第一の理由は、「100年に一度の経済危機」と言われ市民生活や中小零細企業は未曾有の危機的状況にありますが、来年度予算は、子どもから墓場まで、市民負担をふやす値上げオンパレードの予算であり、市民の願いに逆行しているからです。

 そもそも、保育園の運営費補助5億円削減に加え、単費援護費8億円の執行留保としているのは重大です。京都市は、日本一の京都の保育水準を担ってきた、京都市内保育園の9割以上を占める民間保育園の子どもの保育の質を低下させないといいますが、その担保は何もなく、1ヶ園あたり数百万円にものぼる削減は、保育の質の低下に繋がることは明らかです。与党議員からも「聖域は残してほしかった」との当局への批判がありました。また、何よりも、11月議会での全会一致で決議をした、「プール制堅持」と「保育水準の維持拡充」を求める決議を無視することになり、補助金削減は、議会決議に反するものと言わざるをえません。市民への裏切りであり、断じて許すことはできません。

 子育て支援が強調されているときに、学校給食費の値上げは、先行して決定されましたが、小学校、中学校、総合支援学校まで、総額2億5千万円にのぼるものです。さらに、学童保育所の時間延長を理由に、利用料を10%から20%も値上げを強行し、3300万円もの負担増につながるものです。今でも高いと言われる利用料値上げは、子どもの安全、安心の放課後対策から遠ざけるものに他なりません。

 また、美術館、スポーツ施設などの使用料、保健・福祉の手数料など、一般会計だけでも2億9千万円もの市民負担を増やす計画で許せません。

 命の絆である国民健康保険の保険料引き上げが、全階層で行われ、9億8000万円もの負担増になります。今でも滞納者が23%を超す実態からも、さらに増加するのは必至です。

 今まで公費負担であった京都市交響楽団の音楽鑑賞、科学センター学習の参加費を、「負担の適正化」として有料化し、その保護者負担は両方で1千万円以上になります。5年生は「希望選択制」に変更するとしていますが、交通費、鑑賞料の有料化は、学校間の教育格差、地域間の子どもの教育条件格差につながるもので反対です。就学援助制度の周知徹底では改善は見られるものの、1万円もする長期宿泊学習を強行して、個人負担をせざるをえない状況を作り出しているのは問題です

 市長は「京都未来まちづくりプラン」で964億円の財源不足を口実に「夕張のようになると国の監視下におかれ、今のサービスを維持できない」とすることは、国言いなりで市民負担増を合理化することでしかありません。自民党政府は三位一体改革の誤りを認めざるをえず、赤字穴埋めのための「臨時財政対策債」の発行も許可され、「財政調整の交付税」も合わせて昨年より京都市には44億円の増額になる見込みです。「3年間で財源が不足し、赤字再生団体になる」という根拠は入り口で崩れているのに、市民負担先にありきで予算編成を強行していることは問題です。

 第二に、市長は財政の赤字を言いながら、不要不急の財政支出・無駄遣いを残していることです。

 市債発行による「将来への市民負担の先送りはしない」といいつつ、高速道路関連は「将来の市民との負担の公平化」と発行を増加させているのは矛盾しているではありませんか。特に高速道路建設のための不動産取得で、斜久世橋区間や鴨川西ランプのために用地買収していますが、買い入れ額80億221万円は、不要不急の高速道路用地取得であり反対です。さらに、用地取得のための代替え地の提供と補償によって、ワシ興産が15億円もの補償金と一等地3ヵ所を取得することは許せません。高速道路の財源問題を指摘し、未着工3路線のあり方の検討状況を質しましたが、「市債は有効な財源」「総合交通体系のあり方の方針に基づき検討する」との答弁に終わっており、未着工3路線の中止の決断と斜久世橋区間の凍結・中止を求めるものです。

 不要不急の焼却灰溶融炉の稼働開始で1年間の人件費2億円含め、20億円もの運転コストがかかると言われています。今でも、30年以上はもつと言われている最終処分場があるのですから、不要不急の焼却灰溶融炉の稼働は中止すべきです。

 また、理財局では職員の削減と効率化を口実に電算化システムの導入が行われていますが、システムの不具合による職員の長時間労働が発生しています。超勤ワースト10のうち8人が理財局であり、効率化に逆行し、「時間外手当が2900万円もかかり」「電算化による事務効率化は後戻りできないが、超勤やメンタルに配慮して事務作業の見直しを図る」と答弁せざるを得ない実態です。電算化システム導入に6年間で30億円もかける不要不急の財政支出は執行停止すべきです。

 第三に、市民のいのちと暮らし、雇用の危機の時、財政が大変だからこそ、市民生活応援、中小・零細企業が多い京都の町を元気にしていく取り組みが必要です。

 わが党は数回に渡って京都市長への申し入れを行い、京都市は市長を本部長とする「京都市緊急経済・雇用・生活対策本部」を設置しました。緊急雇用対策など一定評価できるものもありますが、市民生活の緊急対策は遅れています。年末からの「派遣切り」による路上生活の労働者の生活を守る緊急支援の取り組みが、労働組合や市民団体によって行われました。集まった労働者は、「本当に助かる」との声を寄せるとともに、医療や福祉の相談が相次ぎました。ところが、京都市に住んでいなかったから市営住宅に入れない。住居を定めるための中央保護所が満員で入所できないから生活保護が受けられず、再び路上生活にもどらされたなど、緊急の京都市の対応が遅れていることを指摘し、改善を求めてきました。

 市長総括で、副市長は「受け入れの窓口体制確立で万全を期す」「福祉事務所に来所すれば窓口で、申請の意思があれば申請を受理する。派遣切りの方々に対応できるように改善の必要性があれば行う」と回答しました。生活保護が必要な人に、緊急に保護措置を執って、速やかに住居を確保し、命を守る万全の体制をとることを求めるものです。

 また、建設労働者の雇用が叫ばれているとき、学校の耐震工事や、左京区の総合庁舎建設にPFI方式の工事発注は止めて、地元中小業者に仕事を確保せよと求めました。当局は「WTO条約にかかる案件。資金調達に有利。民間企業のノウハウを生かせる」としつつ「財政支出の効率化の根拠も資料も出せない」として、他府県に本社のある大手企業が京都市の公共事業を食い物にすることに手をかす態度に固執するのは問題です。

 さらに、3月末に向けていっそうの雇用の危機が叫ばれるとき、職員を削減し、非正規雇用への職員置き換えによる官製ワーキングプアをつくりだす京都市の行革、人減らしのやり方は問題であると指摘しておきます。

 また、地球温暖化防止に関わって、「環境政策局」創設とし、筆頭局に位置づけています。しかし、水族館の計画について質したところ、「新しい施設は温室効果ガスを排出する」と認めつつ、「市民ニーズに応える施設」と擁護する始末です。市民アンケートでは、建設に反対する声が大きいにも関わらず、市民の声を無視する決定を強行することは、民主主義社会において許されることではありません。

 第四に、職員不祥事、同和特別扱いの廃止についての問題です。

 「同和行政の終結」では、コミュニテイセンターや保健所分室を廃止し、改良住宅と一般住宅の格差解消など前進方向が「同和行政終結後の行政のあり方総点検委員会」で示されました。総点検委員会後の行政の主体性が問われています。総点検委員会報告でも指摘されているように、「市民感覚とずれた行政への依存傾向を生みだした」「運動団体との対応に偏りがちだった」との指摘を受けるまでもなく、「運動団体との密室協議」「一部の施策対象者や特定団体に対する特別扱い」は絶対に止め「あらゆるタブーを排する」ことを強く求めるものです。

 また、京都市が主導し、京都市OBが仕組んだ元副市長への特別扱い、元市議の理事長の使途不明金を作り出してきた不祥事の構造的問題が発覚しました。京都市保育園連盟には、特別監査請求をすると大上段に構えていますが、京都福祉サービス協会への指導責任と徹底究明を果たしているとはいえません。

 一方、見直しの契機となった職員不祥事の問題では、相も変わらぬ体質があることが露呈しました。京都市のOB職員が理事長として再就職した福祉サービス協会の理事長として、元本保証のない外国債券を専決で購入し、損失を与えた事件でも、保育園連盟に再就職したOB職員が補助金を不正に流用した事件でも、一昨年には保健福祉局が事態を把握していたにもかかわらず、市長は最近まで全く知らなかったことが明らかになりました。不祥事の背景にある「事なかれ主義」「閉鎖的体質」「過剰な身内意識」が残っていることは重大です。特別監査任せでなく行政の自らの責任で明らかにすべきことを強く指摘しておきます。

 以上をもって、私の予算案に対する反対討論とします。ご静聴ありがとうございました。