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市会報告

山中 渡 議員

09年2月25日(水)

山中渡議員の代表質問と答弁大要 09年2月定例市会 本会議代表質問

今こそ、くらし・雇用・中小企業を守る対策に全力を

 私は日本共産党京都市会議員団を代表して2009年度予算案について市長、理事者に質問いたします。

 今度の予算は市民のくらし・雇用・中小企業対策について、とりわけ100年に一度のと危機といわれる時期にどのように臨むのかが真正面から問われています。「市民の命と健康を徹底して守ること」「市民の犠牲者は出さない」ことを基本にすえた予算とすることがこれまでのどの時期にも増して強く求められています。

 予算提案にあたって市長は「市民のくらしを支えることが市政の最重要課題である」と説明されましたが、そのことを貫く予算になっているでしょうか。

 すでに学校給食費の総額2億5千万円の値上げが決定されていますが、予算案では5億円にも及ぶ保育園関係補助金の削減、国民健康保険料総額10億円の値上げ、使用料等についても大幅値上げとなった1997年、2005年に次ぐ、22項目にわたる2億9千万円の値上げが提案されています。さらに保育の補助金カットを含む事務事業見直しによる市民サービスなどの削減総額は56億円にも及んでいます。

 くらしが大変なときにこれだけの巨額の負担を押し付けたり、市民サービスを削減する予算となっているのに、市長の予算説明では、市民のくらしを気遣う言葉はありませんでした。

 国民健康保険料が払えない世帯が増え続けている、高齢者の中にも保険料を払えない人が増えている。解雇で収入をたたれ、受注減で中小企業が危機にあえいでいるときにこれだけの負担を増すなら「市民の命とくらしを支える」どころか、逆に市民の生活を押しつぶしてしまうではありませんか。市長には、今は過去のどの時期にも増して市民の暮らしの支援が必要という認識はあるのでしょうか。

 市長は予算提案で「行財政改革」に全力を傾注していくとも述べていますが、財政健全化を言えば負担は当然とばかりに負担増と市民サービス削減をすすめる。ここに市長の予算編成の重点がおかれているのではありませんか。今、市長に求められていることは、今日の市民の苦難が第一に、セーフティネットだけでは持ちこたえられない事態になっていること。第二に、国の構造改革の政治が格差と貧困を広げ、くらしを押しつぶしていることをふまえた対策をとること。そのために、知恵を集め、くらし・雇用・中小企業を守ることに全力をあげることではありませんか。市長いかがですか。

 全国では雇用をめぐる深刻な実態を前に、地方自治体として独自に正職員募集に踏み出したところがあります。摂津市では再来年度の職員募集を前倒しするとして10人の市職員募集をしたところ900人の応募があったとされています。京田辺市では1人の募集に200人の応募です。関係自治体のところでは応募が殺到したことで改めて雇用情勢の厳しさを認識したとされています。

 京都市では昨年、雇用担当部長職を設けるとともに、年末には市長を責任者に「暮らし・雇用等の対策本部」を設置しました。景気悪化が急速に広がり、「派遣切り」など解雇問題が正社員まで飲み込む勢いで進行しているもとでの対策本部の設置は重要な取り組みでした。ところが予算説明では、これまで対策本部としてくらし、雇用対策等をどうすすめてきたのかほとんど言及がありませんでした。また、雇用担当部署の体制強化の提案もされませんでした。事態がいっそう深刻になっているのに、なぜこんなことになっているのか。今の厳しい雇用実態を踏まえるなら、雇用担当部署の体制強化は当然ではありませんか。また、他都市の雇用対策の取り組みに学び、臨時雇用だけでなく正職員採用についても行うべきと考えますがいかがですか。

(細見副市長)雇用調整が進み、くらしの不安が広がるなど大変きびしい状況。地域活性化・生活対策臨時交付金事業や緊急雇用創出事業などを推進し、京都市の対策本部で時宜に応じた取組みをすすめる。職員の採用は、配置すべき業務の必要性が前提。正職員の前倒し採用の実施は、行財政改革に全力をあげて取り組んでいる本市の現状では困難である。

雇用対策、解雇された人への緊急支援策を

 緊急対策について伺います。まず雇用、解雇された人への緊急支援策です。

 党議員団は昨年から今年にかけて3回にわたり暮らし・雇用・中小企業支援の緊急対策を申し入れてきました。

 業界団体の調査では、解雇は今年の3月末までに40万人に及ぶと予測されています。今年の1月と2月に労働組合や社会保障推進協議会の皆さんが市内で労働生活相談活動に取り組まれました。1月のときは60人、2月の時は110人の方が相談場所に来られ、300人の支援ボランティアが活動されました。職と住居を一度に失い名古屋方面から行き着いた人。大手家電メーカーの「派遣切り」にあった人もおられました。今、京都駅周辺では職や住居を失った人が暖を求め、集まってくる人が増えてきています。若い夫婦の方がホームレス状態になっていたこともありました。他にも解雇予告をうけたがどうしていいか分からず、労働相談などのポスターを目あてに歩き続けていた青年もいました。私の身近なところだけでもこうしたことが日々起こっています。解雇され職も住居もなく、寒空に放り出された人、解雇通告を受けた人たちの不安と恐怖の大きさはどれほどのものでしょうか。

 「雇用はどこまで悪化するのか」、誰もが心配していることです。市長は、昨年の議会で「労働者派遣法の改正以降,非正規雇用者が増加し、賃金をはじめとする勤務条件の格差が拡大している」とし、格差の拡大の状況が続くと、国民の生活の発展と経済の成長に重大な影響を及ぼすとの認識をしめされていますが、今日の雇用等をめぐる事態はその比ではありません。急速に進行する大量解雇と悪化する市民生活の実態について、市長の現在の認識をまずお聞かせください。

 市長は京都市内の解雇計画をもつ企業に対し、直接、雇用確保の要請をされたことがありますか。これまでの取り組みは京都府と共同で文書により雇用確保の要請をした。府と連携して団体が実施する調査などに同行し情報の共有を進める程度のことにとどまっているのではありませんか。

 昨年、労働局は労働基準法、労働者契約法を守るように求めた労働局通知をだしました。また、2月4日の国会で、日本共産党の質問に厚生労働大臣は「偽装請負で働いていた期間も、実際に同じ職場であれば派遣期間とみなされる」との法解釈を示しました。また、企業が同じ製造ラインで派遣労働者を3年を超えて使った場合、そのラインで働く全員が直接雇用の対象となるとの認識も示しました。「派遣切り」にあった多くの人が直接雇用の対象になることが明らかになりました。こうしたもとで、大事なことは「労働行政は国と京都府の仕事」としないで、京都市長としてもこれ以上の解雇者を出さないよう、労働法制の遵守を市内企業に要請をすること。また、派遣労働者や「派遣切り」にあった人たちにこうした情報提供をすることが必要ではないでしょうか。とりわけ、京都市が立地促進助成金を出している企業には税金が払われているわけですから、労働関係法の遵守と雇用確保を特別に要請すべきではないでしょうか。政府も製造業への派遣労働について見直しに言及せざるを得ないなど労働者派遣法の破綻は明白です。労働者派遣法を原則自由化にした1999年以前にもどすよう国に求めるべきと考えますが、市長いかがですか。

(細見副市長)労働法制遵守は京都労働局で取り組まれており、雇用確保について連携を図り取り組む。企業立地促進助成金の交付企業に雇用の維持確保を要請している。労働者派遣制度の改正法案は改善に向けた一歩。製造業への派遣は、今後検討すべき課題が多い。

中小企業支援の緊急対策を

 次に中小企業支援です。3月末の決算を控え、ますます事態は深刻になると予測されています。地域金融機関の景気動向調査でも「昨年の10月から12月の3ヶ月で急速に業況停滞感が強まった。また、今年1月から3月の予測について、過去10年間を見ても例がない景況状況のもとで需要が大幅に減少するとしています。2009年全体の景気見通しについても「悪い」、「やや悪い」、「非常に悪い」と答えた企業が94%に達していると報告しています。

 多くの中小企業が、昨年の秋ごろから仕事が減り始め、年末には半減、年明けに受注がゼロになるという事態に直面しています。倒産や閉鎖も増えています。経営者の方が命を絶つという深刻な事態もおきています。

 市長は、本市の中小企業を取り巻く現状についてどのように認識されていますか。また、本市の中小企業をどのように守ろうとされているのか対策と決意についてお答えください。

 さらなる中小企業支援の緊急対策が必要です。この時期に本市が中小企業の皆さんの懸命の努力に応え、関係者のみなさんの切実な声に直接耳を傾け、対策をとることが何よりも大事になっていると考えます。

 その第一は、仕事おこしです。中小企業関係者の皆さんから公共事業を前倒しして、地元中小企業のための仕事おこしを実施すべきとの強い要望が出されています。ところが今予算にはこうした要望に背く提案がされています。

 市内の小中4校の耐震化増改築工事をPFI手法ですすめるとしていることです。東京の大手企業に手法調査が依頼されていました。これまで市立小学校冷房化事業においてPFI手法が採用されていますが、2次下請け、3次下請けの6割が市外業者に発注されています。地域経済再生と地元中小企業の仕事おこしが叫ばれているとき、小中学校の耐震化など身近な公共工事までPFI手法を採用することは仕事おこしへの逆行でしかありません。

 現在、市立幼稚園、小中高校あわせて272棟の耐震工事が必要とされていますが。全部やれば53億円の仕事となります。予算にあるPFI手法の採用をやめた上で、これらの耐震工事を前倒し、市内業者優先ですすめるべきです。また、保育園、福祉施設では耐震対策をとりたくても資金がないなどの理由ですすんでいません。病院の耐震対策も遅れているとされています。これらの施設の耐震助成を拡充し、工事の促進と地元業者発注の条件を広げることが必要です。市長いかがですか。

(細見副市長)中小企業をとりまく環境は大変厳しい。市長を本部長とする対策本部で取り組んでいる。中小企業の資金繰りに万全を期し、企業の活性化、新産業創出に挑戦する。市内中小企業への発注は約9割の高い比率。今後とも継続して取り組む。

 第二は、消費税増税への対応です。昨年の京都府中小企業団体中央会の決起大会では消費税増税の中止が強く訴えられました。また、中央市場関係者の皆さんは、せめて食料品だけでも非課税にと一貫して主張されています。こうした時に自民党、公明党の政府与党は消費増税の方向を打ち出しました。地域雇用創出推進費の地方への支出などは2010年度までとするなど消費税増税を前提としたものになっています。中小企業団体中央会や中央市場関係者などの切実な声を大事にする気があるなら、市長自身が「2年後の消費税増税をやめよ」と言明すべきと考えますが、いかがですか。また、食料品をはじめ、生活費需品非課税を直ちに国に求めるべきです。いかがですか。

(理財局長)消費税の役割は、少子高齢化がいっそう進む今日、ますます重要。そのあり方は、十分な国民的論議を行った上で、幅広く総合的な検討がなされるべき課題。

 第三は、融資制度改善についてです。不況業種の指定についても今や業種を特定しているような状況ではありません。国に対し、全業種を不況対策の対象にするよう直ちに求めるべきと考えます。また、融資の元金返済の据え置きの延長を求める要望も強く出されています。昨年10月ごろからの予測もできなかった規模の急速な景気悪化のもとで、最低でも3年から5年に元金返済を猶予してほしい、10年の据え置きも必要との声をききます。こうした声は市長のところに届いていますか。どのように応えようとされていますか。

 税の滞納のある企業がさらなる制度融資を活用できない問題も深刻です。ほとんどの中小企業が赤字決算のもとで融資や最悪のときは親族からの借り入れなどの資金繰りで返済しています。年度末を控えていること、元請けの倒産による連鎖倒産など、影響がさらに大きくなることが考えられます。問題は税金の滞納のあるところで、資金が断たれないよう分納計画や分納誓約書があれば追加融資を受けられるように改善することが必要です。いかがですか。

 第四は、中小企業支援体制の強化です。この点でも本市の対策はさかさまです。中小企業支援センターの統合が検討されていることです。これまで融資等の相談窓口を金融機関に移し、また、染色試験場も西陣の地域からなくそうとしているなど中小企業の支援体制を次々と後退させてきました。最後の砦も後退させることなどとんでもないことです。今、中小企業の皆さんは、従業員の雇用には責任を持つと必死の経営努力をされています。そういう方々の顔が見え現場の実態が見える体制づくりと対策が必要ではないでしょうか。融資判断をするにあたっても決算書だけで判断するのではなく、顔が見え、中小企業の生きた実態に接してこそ実効ある対策ができます。中小企業支援センターの統合ではなく機能強化こそが必要ではありませんか。市長いかがですか。

(細見副市長)セーフティネット5号の不況業種指定は760業種。引き続き要望する。返済据置期間の延長は、本市の融資制度の利用で負担の軽減を図る。公平性の観点から市税滞納者の取り扱いは変えない。中小企業支援センターは組織統合により、さらなる機能強化をはかっていく。

財政悪化と負担増の悪循環 「プラン」をやめムダにメスを

 次に、この非常事態にさらなる市民負担の「行革」をやろうとしていることについて伺いします。

 市長は「これまでにも増して行革が必要」と今年1月「未来まちづくりプラン」を発表しました。滑り落ちるような勢いで景気悪化がすすみ、市民生活の暮らしがいっそう深刻化する中での市民負担増計画です。

 市長は年頭訓示で「京都市はこの10年間全国トップクラスの行革をやってきた。よくなると思っていたが、財政はいっそう厳しくなった」とのべられたように、京都市の行革10年は財政危機が進行した10年でもありました。そして、敬老乗車証の有料化など前市長のもとで総額358億円もの市民負担が増えたのであります。こうした上に、市長のいうように「これまでにも増して行革」をやるなら、財政危機が解決されるどころか、財政悪化、市民負担増と経済縮小の悪循環が加速されるだけです。くらしを守るために必死に頑張っている市民に冷や水を浴びせるだけではありませんか。いかがですか。

 市長は地方財政削減がこれからも続くとして、3年間で964億円の財源不足や財政再生団体転落の危機をあおっておられますが、国は景気悪化と国民のくらしの深刻さの前に緊急対策として地方交付税を増額する、社会保障費削減についても保険証の取り上げの是正や生活保護の速やかな適用などの答弁を行うなど方針変更を余儀なくされています。冒頭で紹介したように、市民の命とくらしを支えること、安心・安全を支えることが市政の最重要課題であると本当に考えるなら負担増のプランについてはいったん白紙にすべきではありませんか。答弁を求めます。

(市長)地方交付税等の大幅な削減で財政再生団体に転落しかねない状況。子育て支援や福祉に十分配慮し、1300人の職員削減や全職員の給与カットなど行政内部で最大限努力したうえで、徹底した事務事業の見直しを行う。

借金を膨れあがらせる道路事業について

 市長は財政危機を強調されますが、本市の借金が増えた原因について深く検討をされたことがありますか。

 昨年2月、西日本新聞が「福岡県の道路財源9割は借金返済に」という記事を掲載しています。ここでは地方自治体に財政負担をさせることによって道路事業が成り立っていること、この構造が地方自治体の借金を雪だるま式に膨れ上がらせていることが告発されています。

 京都市の場合はどうでしょう。ここに今年度の道路事業予算のフリップがあります。本市の建設局によるものです。本市の道路事業を進めるにあたって予算では京都市が準備した財源は道路特定財源を含め158億円です。そのうちの117億円、74%が借金返済に当てられています。道路づくりに使える資金は41億円しか残りません。ところが道路事業全体の予算は309億です。41億円の元手で7倍以上の309億円の道路事業ができるようになっています。国の補助金とともに市の借金135億円が加えられています。つまり道路財源のほとんどは借金返済にあてられ、新しい道路づくりのために新しい借金が重ねられる。こういうやり方で地方の借金が増え続けていくことになります。市長は、本市の道路事業が借金をどんどん増やす構造になっているとの認識はされていますか。こんな借金増幅構造を残しておいて地方財政健全化などできますか。お答えください。

 京都高速道路計画も借金増幅構造は同じです。市の資金はわずか5000万円です。そこで72億円の工事が行われています。市の借金は約30億円です。こうしてつくった新十条通は予定した交通量の2割以下でガラガラのひどい状況ではありませんか。予算案でも行革プランでも京都高速道路計画の促進がうちだされていますが、ここでも市の借金は増え続けています。本市の財政問題を本気で心配するなら、高速道路計画の残る3路線の中止・撤回にむけ国や府と直ちに協議を行うべきではありませんか。市長いかがですか。

(山崎副市長)道路の整備には財源が必要で、市債は有効な手段。斜久世橋区間は油小路線と新十条通を結ぶ重要な都市基盤整備。未着工3路線は、必要性も含め、そのあり方を検討していく。

地下鉄事業について

 次に地下鉄事業です。プランと一体の経営健全化計画案が出されました。5年ごとの地下鉄運賃の値上げ、1日5万人の乗客増対策が柱になっています。運賃はすでに初乗り210円と日本一です。市役所前から西大路御池間は250円です。大阪まで阪急を使えば390円ですから、割高感は明白です。利用者1日5万人増についても管理者が「とんでもない数字を掲げた」とされたように達成見通しの暗い目標です。

 有識者会議では運賃値上げによる乗客離れを懸念する声が出されました。また、起債の金利が市場水準より高く利息の支払いが大きくなっていることや公共サービスの質を確保することを国の責務として求めることなどの意見が出されました。ところが国は「地下鉄の財政赤字は徹底した経営合理化と地方公共団体の一般会計による財政支援で解決を図れ」という方針を変えようとしないではありませんか。今後地下鉄事業などの連結決算が適用されますが、市長自身は地下鉄事業について「147万都市であっても地下鉄を経営していけない構造になっているのではないか」との認識を示されているように、国の制度支援がなければ財政赤字はまるまる市民にのしかかるだけです。強い決意をもって国の制度の問題点の告発と制度改善に取り組む行動をおこすべきです。そして市民には「運賃を値上げしない」と発信すべきと考えますが、いかがですか。

(交通局長)健全化計画では徹底したコスト削減や増収策に全力を傾注し、5万人の増客に取り組む。運賃改定を前提としないと、収支均衡のメドが立たない。国に対し、更なる高金利債の借換制度の拡充、経営健全化出資の継続、法定耐用年数の延長などを強く求めていく。

市立病院・京北病院の独立行政法人化はやめ、安心の医療を

 次に病院事業について伺います。

 改革プラン案が発表されました。第一に、市立病院を地方独立行政法人に移行すること。第二に、京都市立病院の新棟整備等をPFI手法で行うこと。第三に、市立京北病院については、中期的には外来・入院機能について現状を基本とするが、稼働状況によっては再編・集約にも取り組むとしています。二つの市立病院の将来の安定的な経営を確保するためとしていますが、こうした方向は、もともとは国が社会保障費の2200億円削減で自治体病院の経営効率化、再編、経営形態の見直しを求めてきた路線に沿ったものです。

 地方独立行政法人化が強行されるなら、地域医療が後退することは明白です。市長は今日の自治体病院の危機が国の政策による医師不足や社会保障費削減にあると認識されていますか。市民病院や市立京北病院における医師・看護師の長時間労働もこうした国の政策が原因でおきているのではありませんか。京北病院では労働基準監督署から是正指導をうけることも経験しています。地域医療を守ろうとするなら、市会の全会一致の意見書を尊重し、社会保障費の削減をやめ自治体病院としての公的医療の責任を果たすよう国に求めることと考えますが。いかがですか。

 市立京北病院はどうでしょう。外来・入院機能について現状を基本とするが稼働状況によっては再編・集約にも取り組むとしていることは問題です。将来の機能縮小がはじめから盛り込まれているではありませんか。私は本市と旧京北町との合併協議会の委員でした。京北病院の存続は地元の強い要望であることが伝わる議論となりました。地域住民の健康回復の支えとして運営されてきた病院が、合併からわずか4年で再編集約案がだされることに地元に大きな不安が生まれるとお考えになりませんか。今年行われた地元の懇談会でも多くの不安の声が出されました。市長は再編集約案を出すにあたって地域の方々の意見をお聞きになりましたか。これまでも常勤の整形外科医が不在で、その間、住民と京北病院関係者の皆さんが大変な苦労をされました。農作業中の事故や交通事故にも対応できないとの不安の声が上がりました。プラン案にそって縮小再編が行われるなら、京北の住民に必要な医療が提供できなくなることは明らかではありませんか。市長いかがですか。

 病院整備事業におけるPFI手法を採用することがどれだけ危うい手法かということもこの間の他都市の事例を通じて、ますますはっきりしてきました。市立病院整備事業でPFIを採用すれば、新築部分の工事費、本館改修費、医療機器等購入費、さらに運営・維持管理費などで10%から15%の削減効果があるとしていますが、削減の根拠については今日に至るもいっさい明らかにされていません。PFI手法を採用した近江八幡市では、病床の稼働率の過大な見積もりなどが原因で契約解除になり、高知医療センターでは、薬品費・材料費での見込み違いが年間8億円に及ぶなど経営は大打撃をうける事態になっています。現在、PFI事業者の公募を始めていますが、このまま、費用削減の根拠も示さず、PFI手法で病院整備事業を続けるつもりですか。さらに、構造改革による規制緩和が地域の医療を崩壊させ、不安を呼び起こしているときに、さらにPFIなど危うい手法にたよることを柱の一つにした地方独立行政法人化をすすめるなら、行き過ぎた効率化がすすみ、不採算部門である政策医療が大きく後退することは明らかではありませんか。病院事業におけるPFI手法の中止、地方独立行政法人化の中止を求めるものですがいかがですか。

(市長) 「健全な財政が良質な医療を支える」の考え方で必要な改革を推進していく。京北病院は、医療施設審議会答申で地域のニーズに対応した診療体制の確保に努めるとしており、再編集約案を示したものではない。他都市の病院PFI事業の課題を検証し、対応策を講じた計画としており、削減効果についても説明してきた。医療施設審議会答申は「非公務員型の地方独立行政法人が最適」としており、地域医療の後退につながるものではない。

梅小路公園への水族館建設を認めるな 

 次に梅小路公園の水族館問題について伺います。梅小路公園をめぐっては、一昨日、JR西日本が梅小路公園内に新博物館の建設を検討していることが新たにあきらかになりました。オリックス不動産が2011年の開業を目指すとしている水族館構想と合わせ、梅小路公園が一挙に開発計画にかこまれることになります。

 オリックス不動産は2005年に京都市に構想を打診していますが、オリックスの宮内会長は2001年から2004年にかけて総合規制改革会議の議長として規制緩和を推進してきた人です。オリックスが水族館構想を正式に提案したのは昨年の7月です。市長は選挙の際、マニフェストに「体験型の大型集客観光施設を誘致して京都の新しい名所にします」と掲げました。今年の1月発表した「プラン」では、体験型大型集客観光施設とは京都水族館構想であることが初めて明らかになりました。

 検討委員会の審議の中で、オリックスグループ挙げての計画であること、この計画に市所有地を半額程度で貸そうとしていること、いるかショーを行うなどで年間200万人もの入場者を見込んでいることなどが明らかになりました。

 市長は、オリックスの正式提案の直後の記者会見で第三者機関や市民の意見を聞きたいと発表しました。昨年中に検討委員会を設置し、短期間で答申を出させたり、今年に入り計画構想を「市民しんぶん」に大きく扱い広報するなど一民間企業の事業にしては異例の力の入れようとなっています。当初は昨年中に許可したいとまで言っておられましたが、一民間企業の利益を目的とする事業に、なぜこれほどのスピードで取り組むのか、また、「市民しんぶん」で広報するなど異例の扱いをするのか大きな疑問です。この構想のどこに緊急性と必要性があるのですか。市長の答弁を求めます。

 市民の意見を聞くといいながら「参考にしたまで」「賛成や反対の集約をする必要はない」と京都市全体でも反対の声から逃げつづけているのもおかしな話です。249通の市民意見が寄せられていますが、公開された資料にもとづき議員団で集計したところ「反対」、「どちらかといえば反対」の合計数は169件と意見の7割は反対でした。検討委員会の委員の方にも市民の生の声を伝えないままとなっています。新聞も「市民の疑問の声多く」と報道しましたが、私自身も地元の公園利用者の人たちから「公園の静かな雰囲気を壊してほしくない」「防災機能を壊すべきでない」などの多数の声を聞いています。

 市民の意見を尊重する気があるなら、市民の多数意見に沿い、水族館の設置を許可すべきでないと考えますがいかがですか。

(市長)民間活力による今回の水族館構想は、本市の財政に寄与し、大きな経済波及効果が期待され、スピード感を持って取り組む必要がある。市民意見の中にある誤解の払拭につとめ、一日も早い開業へ、設置許可に向けた協議・手続きを進める。新博物館構想は、水族館構想とあわせ、京都観光の更なる飛躍につながると期待している。

同和行政の完全終結、「特別扱い」の一掃を

 最後に、同和行政についてうかがいます。同和行政の完全終結と同和特別扱いを一掃する本市の取り組みが問われます。これまでわが党議員団は自立促進援助金、コミュニティセンター、保健所分室等の廃止を強く求めてきました。また、地域にある体育館や学習施設、改良住宅の一般開放を求めてきました。総点検委員会ではコミュニティセンターや保健所分室について「特別の施設」であったことを率直に指摘し、廃止を提案しました。また、地域内の施設について市民が広く利用できる施設としての活用を提案しています。総点検委員会が指摘した「特別の施設」的なものを一掃し、広く市民が活用できる施設運営が必要です。どう実効性をもたせるのか。お答えください。

 また、今後のあり方について、例えばコミュニティセンターのあり方について1月20日付解放新聞京都版は「京都市によるコミセン廃止を許すな」として糾弾闘争本部を設置したと報じています。解放同盟の要求に対して毅然と対応することが必要です。特別扱いにつながることを少しでも残すようでは市民の共感は得られません。市長の見解をお聞きし、私の第一質問を終わります。

(市長)コミュニティセンターが市民の理解と共感の得られるものに生まれ変わることが同和問題の解決につながる。廃止後の施設の活用は、市民参加で検討していく。市民から「特別扱い」と批判されていたものについて、断固たる決意で抜本的な改革を進めていく。

第二質問

 「行革」で福祉を守ってきたとのことですが、国の構造改革に沿い、財政健全化の名のもとですすめられた本市の「行革」は、財政危機、市民負担増、くらし破壊の「負の連鎖」を生み出し、経済、国保、公的医療、地下鉄、保育など市民生活のあらゆる分野の基盤を壊しているではありませんか。これが、本市の「行革」の実態です。市民のくらしの実態に顔を向け、そこに足を運ぶ行政運営こそ必要です。

 今の地方自治体危機の一番の原因は国の地方財政削減策にあることをハッキリさせるべきではありませんか。ここをハッキリさせてこそ、初めて市民のくらしを守る道筋が見えてきます。

 水族館はさらにスピードをあげてやるとのことですが、「聞く耳持たぬ」の姿勢そのものです。市民の意見を聞かない姿勢は即刻改めるべきです。梅小路公園は市長の持ち物ではなく、市民の共有財産です。猛省を求めるものです。

 以上を申し上げて、質問を終わります。