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市会報告

とがし豊 議員

08年12月16日(火)

同和奨学金返還免除条例の修正案に賛成し、原案に反対する討論 08年11月定例市会 閉会本会議討論

 

 左京区選出のとがし豊です。私は、日本共産党市会議員団を代表し、議第106号「京都市地域改善対策奨学金等の返還の債務の取り扱いに関する条例の制定について」に対して修正案には賛成、原案には反対の立場で討論を行います。

 「同和奨学金」の返済を京都市が肩代りするために使われてきた自立促進援助金の制度を廃止することは当然であり、市長選挙で示された民意が反映された結果であると考えます。しかし、2000年度までに返還開始時期を迎えた奨学金借受者について、所得に関係なく、その返還すべき債務のすべてを一律に免除するとした点については反対いたします。

 京都市は、この一律免除を行う根拠として、最高裁で確定した大阪高等裁判所判決を持ち出しています。判決では確かに、2001年度以降の新規の自立促進援助金の支給については「裁量権の逸脱があった」と明確な違法とし、2000年度より前から支給をしてきた借受者にかかわっては「違法であるとまでは言いがたい」との認識がしめされています。しかし、これはあくまで自立促進援助金の支給の違法性をめぐる判決であります。つまり、2000年度以前から返還開始時期を迎えた借受者の奨学金の返済肩代りについては「違法とまでは言いがたい」とは、いっているものの、奨学金の返済を一律免除することについては何ら合法性を与えていないのであります。

 また、同時に、この一律の債務免除は、到底市民の理解を得られるようなものではありません。市民の中には、一般の育英会奨学金をうけて苦労して大学に通っていた方が無数におられます。ある方は、42歳になるまであと10年近く毎月2万円の返済を続けなければなりません。そうした市民から今回の一律免除はどう写るでしょうか。今回の条例で新たに返還を求められるようになる一部の同和奨学金借受者の皆さんに、どのように写るでしょうか。著しく公平性を欠くようなことは認められません。

 この条例案は、行政の果たすべき主体的責任と関与を放棄し、地方自治法第96条を引用し、「議会の議決権」を口実に18億円もの債権を放棄し、債務の一律免除を強引に行う内容となっています。この条例案への賛成は、行政へのチェック機能を自ら放棄する議会としての自殺行為であります。修正しないまま成立させるようなことがあっては、京都市会の歴史に重大な汚点を残すことになるでしょう。

 今後の返済を求めるにあたっては、「実質的な給付」などと説明してきたことを謝罪し、自立促進援助金制度が廃止されたことを丁寧に説明し、すべての「同和奨学金」の借受者のみなさんに対し奨学金の返還を請求すべきであります。もちろん、生活保護基準の1.5倍を下回る世帯収入の方については、今条例案通りに返済免除をするように求めるものであります。

 以上、討論といたします。