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市会報告

さとう和夫 議員

08年11月20日(木)

「汚染米再発防止のための抜本的対策について国に意見書をあげることを求める請願」の不採択に反対する討論 08年11月定例市会 本会議討論

 日本共産党市会議員団を代表して、「請願議第66号・汚染米再発防止のための抜本対策を求める要請」を不採択とすることに反対の討論をおこないます。
 これまで、京都市会として10月に「非食用事故米」の不正規流通事件に対する意見書を全会一致で可決しました。同意見書では、「主食である米に関し、本来、食用ではないものを流通機構に乗せたという、食の安全にかかわるきわめて悪質な事案である」とし、「事前にこれを防止できなかった農林水産省の責任も極めて重大であると断じざるを得ない」とするものです。また、要望項目では「農薬等に汚染された米穀等の輸入を禁止するとともに、事故米の一切の流通を禁止し、米の流通業者の登録制等により、流通機構の明確化、簡素化を図ること」なども求めています。
 本請願も基本的な方向は同じものであり、より「米の流通に国が責任をもつよう」抜本的対策を求めているものです。
 本請願の趣旨の第1は、「食の安全・安心を確保」してほしいという切なる願いです。9月4日に発覚したカビ毒や残留農薬に汚染された「事故米穀」が食用として流通した直接の原因は、農林水産省の出先機関によって米取り扱い業者に「非食用」として売却したものが流通過程で食用に商品偽装されたことにあります。なぜ、汚染された非食用米が食用米にすりかわったのか。なぜ、当該業者から転売先がたどれなくなるのか。国が米取り扱い業者を登録制から届け出制にし、さらに取扱量年20トン未満の業者は無届け営業もできるとした規制緩和政策が、今回のような「食の安全・安心」に対する不安をつくりだしていることを厳しく指摘しています。
 本請願の趣旨の第2は、農民には田圃の4割も減反を強制しながら、カビや農薬に汚染された米穀を輸入していたことに対する怒りです。昨今、世界的な食糧危機が高まる中で、減反政策を見直し、加工米、えさ米などを含め国内需要をまかなえるよう「安全な食料は日本の大地から」を基本に、食糧自給率を回復させることを求めるものです。
 本請願の趣旨の第3は、10月の全会一致の意見書に加えて、汚染米問題の再発防止のための抜本的対策を求めている点です。カビや残留農薬による汚染米問題が発覚したとき、その汚染米の約8割が、ミニマムアクセス米すなわち輸入米であったことに対して、「健康には影響ない」とか「じたばたしない」と発言した当時の農水大臣や「われわれの責任ではない」と責任回避した農水事務次官など、政府の態度は無責任でした。そもそも、WTO協定のミニマムアクセスとは「最低輸入機会の提供」であるにすぎないにも係わらず、あたかも輸入義務であるかのようにいい、結果としてアメリカや輸出型大企業の都合で農産物市場を明け渡してきました。しかも、輸入米の中に汚染米が判明しても、輸出国に送り返したり焼却処分もしていませんでした。それは、非食用と認定された汚染米も、ミニマムアクセス輸入数量にカウントできるからであります。では、なぜ汚染米が流通したのか。国の総合食料局長が「極力、主食米として販売する」よう通知をしていたことが判明しました。国民の「食の安全・安心」よりもミニマムアクセス米の輸入枠を守り、その結果、実需のないミニマムアクセス米を抱え込んでいるのです。そこで、事故米であってもさばけるのなら主食用として売り払おうという考えが農水省のトップにあったからこそ、出先機関の検査体制の甘さにつながっていったといえます。今こそこうした態度を改め、汚染米再発防止のための抜本的対策として、「ミニマムアクセス米」の輸入を止めることです。
 ミニマムアクセス米の輸入を取りやめるよう求めている多くの生産者や消費者の声を重く受け止めるべきです。
 以上、本件請願の不採択に対する私の反対討論とします。