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市会報告

赤阪 仁 議員

08年3月25日(火)

2008年度公営企業等特別会計予算に対する討論 08年2月定例市会 閉会本会議討論

 日本共産党市会議員団は、議案8件のうち、議第22号自動車運送事業特別会計予算案については反対し、他の議案については賛成しておりますので、私は議員団を代表して、その理由を述べます。
 議第22号自動車運送事業特別会計予算案について反対する理由は、京都市交通局は、「市民の足を守る」といいつつ、市バスの運行管理を民間バス会社に任せてしまう、「管理の受委託」方式に固執する態度を強めているからです。  
 管理受委託のバス路線の拡大は、市バスに乗る民間バス運転手の低賃金、長時間の労働強化を前提に経費を低く抑えるもので、受委託路線での市バス事故件数は増えています。公営交通としての市民の足を守り、利便性を向上し、安全・安心の市バス運行を確保し、乗客増をはかるためにも、国の規制緩和に追髄した管理の受委託拡大はやめるべきです。
 市長は「車社会からの転換、公共交通優先」をマニフエストでも打ち出しています。交通局が果たすべき役割は重大といいつつ、市内11行政区中、周辺部8行政区の基本計画にある、地域のコミュニテイバス運行方針に背を向け、その運行責任を地域住民にゆだねるという態度に終始しているのは問題です。身近な市民の足を守る要望にこたえて、小型循環バスの運行に積極的に取り組むなど、市民の足を守る「コミュニテイバス」の運行に公的責任を果たすことが必要です。
 また、修学旅行生の京都観光一日乗車券の利用改善が検討されますが、調整区間を含む一日乗車券の利便性向上、バスとバス、バスと地下鉄の無料乗り継ぎ券の発行で、安価な交通費の公平な負担を、すべての市民を対象に拡大することを求めるものです。
 また、バス整備士の新規正式採用を早期に実施し、バスの安全走行を保障する、整備技術の継承と整備士の計画的養成を速やかに取り組むことを強く求めておきます。
 議第23号の京都市高速鉄道事業特別会計予算案については、賛成しておりますが、いくつか問題点を指摘しておきます。今年、二条、太秦天神川間の地下鉄東西線の延長が実現し、若干の乗客増を実現しました。しかし多額の未償還残高を残す鉄道事業は、これまでの繰上償還と高利の借換促進が必要です。より一層国の補助金確保の努力を進めるように求めておきます。駅務員業務の民間委託の拡大は、職員の低賃金と労働条件の改悪につながり、乗客の安全と利便性確保が後退する恐れがあり、直営での努力を求めます。駅ホームの転落防止対策も、京都市交通局が国の補助制度をいかし、ホームの防護柵設置など乗客の安全対策の強化が必要です。
 次に19号の京都市病院事業特別会計予算案においては、医師・看護師不足の解消は喫緊の課題であり、そのために医師給与の改善などの努力がなされています。引き続き国に医師,看護師確保を強く求め、本市としても更なる改善をすすめるように求めておきます。
 市立京北病院においては、地域で取り組まれた「医療や健康に関するアンケート」の結果を重視し、「療養病床」を守り、地域医療への公的責任を果たすよう強く求めるものです。 
 京都市立病院再整備計画はPFI手法で行われようとしています。しかしPFI手法は、これを先行的に採用した近江八幡市の医療センターでは、病院と自治体本体の財政破綻と、市民の医療サービスの後退を生み出し大問題になっており、その取組を教訓にし、学ぶべきです。PFI手法の導入については見直すべきです。
 昨年総務省がまとめた「公立病院改革ガイドライン」は、病院の不採算部門である救急医療、感染対策、小児や産科医療等の切捨てに繋がる経営効率最優先の方針であり、自治体病院の本来の役割が果たせなくなる方向に政策誘導するものであることを指摘しておきます。
 議第20、21号の上下水道事業特別会計予算案については、その多額の公債費の繰上げ償還と借換促進による、財政効果が大きいものとなり、今後5年間は使用料の引き上げは行なわず、利用料の現状維持の努力は評価できます。同時に、汚水資本費補助金を復活、増額し、下水道事業の安定的な運営ができるよう求めておきます。鉛給水管の取り替え事業の促進と私有地内の鉛管取りかえ促進のため、補助制度の市民への広報徹底と制度の拡充を求めるものです。
 また、水道の給水停止予告が、今年1月段階で24644件、停止処分が4363件、営業所ごとに停止予告が250件から300件と増加している現状からも、機械的な対応で、生活困窮世帯の命の水を奪うことは許されません。いのちの水の供給を絶対維持・確保するためにも、水道料金の福祉減免制度の創設が必要です。
 最後に、市長選挙投票日直後、水道局の配水事務所に勤務する職員の勤務時間中の中抜け問題が明らかになりました。上下水道局の職場規律が乱れている実態がマスコミによって暴露されるまで、事態が公表されないなど、自浄能力が全く発揮されず、隠蔽体質との批判がなされても仕方がない実態がありました。その後の不祥事続出は、今までの「改革大綱」が不祥事根絶には、何ら役に立っていなかったことを改めて示しました。
 日本共産党市会議員団は、昨年12月、バイクの飲酒運転の上に本庁シャッターを破壊した職員の対応についても真相解明を求めてきました。しかし当局は警察の捜査中であることを理由に、主体性を発揮した全容の公表も避けてきました。さらに、解放同盟幹部であり、水道局職員による、京都市職員への職務強要の疑いについても、徹底究明と厳正な措置を求めてきたところですが、未だにこの問題については、何ら真相究明の報告もありません。組織ぐるみの見て見ぬふりをする隠蔽体質は許されるものではありません。長年の「同和特別扱い」と、事なかれ主義が今なお根深く存在することを示すものです。
 公営企業管理者はもちろん、市長の責任で「同和特別扱い」をやめ、不祥事の全容解明と根絶をはかるよう強く求めて私の討論とします。