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市会報告

せのお直樹 議員

08年3月 6日(木)

せのお直樹議員の代表質問と答弁の大要 08年2月定例市会 本会議代表質問

国民健康保険料の引き下げを

 最初は国民健康保険事業についてです。
 昨年10月に始まった国民健康保険料の引き下げ、資格証明書の発行中止などを求める署名は短期間で大きく広がり、18万2085筆に及びました。この数字は、今回選挙での市長の得票数をも上回るものです。市長はこの署名の重みをしっかりと受け止めて、市民の願いにこたえるべきです。
 ところが市長は新聞紙上の座談会などでも「京都市の国保料は低い方だ」と述べ、京都府保険医協会などからの公開質問状にも「一人あたりの保険料は政令市の中でも11番目と低く抑えられている」と回答しておられます。他の都市に比べて低く見えるのは、所得が少なくて厳しい生活の市民が多いためです。国保料が高いことを素直に認めず、「低く抑えられている」と言ってはばからない市長の認識は、市民の生活実感と大きくかけ離れていると言わざるを得ません。
 所得額が350万円の40代から50代のご夫婦で二人の子どもさんがいる世帯では、国保料が約45万4千円、介護分とあわせると54万1千円になります。子どもさんの高校や大学の学費も払いながら、場合によっては住宅ローンなども抱えながら歯を食いしばってがんばっている市民にとって45万円以上の国保料がどれほど大きな負担になっているか、想像に難くありません。 
 高い国保料は高齢者にとっても耐え難い負担となっています。65歳以上のご夫婦で年金収入240万円のモデル世帯では、4年前の国保料は約7万6千円が来年度は17万9千円と2倍以上になり、19年度から2万円の値上げです。介護保険料や府市民税、所得税を含めた負担は4年前の14万6千円から32万円に膨れあがり、まさに「雪だるま式」の負担増です。
市長は「京都市の国保料は高くない」と本気で思っておられるのですか。認識をお伺いします。
 来年度予算案では、保険料率の見直しと9億6千万円の基金の取り崩し、一般会計からの繰入金の確保などで、国保加入世帯の約9割の世帯で保険料を引き下げる方向が示されました。国保料の引き下げを求める署名や市長選挙で示された民意を反映したものであり、歓迎いたします。1万円以上の引き下げになる世帯もあり、市長選挙で市政刷新の会が掲げた「1世帯1万円の引き下げ」は現実的な政策だったことが証明されたと言えます。
 しかしながら、京都市単独分の一般会計からの繰入金は前年実績を確保したというものの、68億5,200万円という額は過去最高の79億8,500万円を11億円も下回る額であり、十分な努力がなされているとはいえません。今回、多くの世帯の国保料が引き下げられる一方で、国の年金控除縮小・廃止の影響で、所得が低い年金世帯で国保料が高くなるケースも生まれており、こういった世帯への援助も求められます。
 京都市独自分の繰り入れは国保加入者一人あたり約1万9千円です。他都市の来年度予算案と比較すると札幌市の約7万円は別格としても、名古屋市やさいたま市では約2万5千円繰り入れており、京都市の1万9千円を大きく上回っています。
払える保険料にするため、一般会計からの繰り入れを増やして、さらなる引き下げに努力すべきですが、いかがですか。また、国庫負担の引き上げをもっと強く国に求めるべきです。お答え下さい。
 すべての世帯に正規の保険証を渡すことは、やる気になればすぐにできることです。保険証の事実上の取り上げといえる資格証明書の発行は京都市だけで3,000世帯以上に及びます。この間、小学校に上がる前の小さな子どもさんのいる世帯にも資格証明書が発行されていることが明らかになりました。そして、次のようなケースが現に起きています。
 ある診療所に小さな子どもさんの手を引いて若いお母さんが来られました。持ってこられたのは子どもの医療費受給者証と資格証明書です。子どもの医療費助成があるので200円の窓口負担で見てもらえると思ってこられたのです。ところが、受付で全額払いになることを告げられ、「お金がありません」と言って診察を受けずに帰ろうとされました。職員が引き留めて、とにかく診察を受けてもらったとのことです。夫の収入が不安定で、妻も妊娠でパートをやめ、食べていくのがやっとで、国保料を滞納され、資格証明書になったのでした。この方は、窓口で全額払いになることを知っていたら最初から来なかった、と話されたそうです。資格証明書の発行が幼気ない子どもたちの健康に生きる権利までも奪っているこの事実を、市長は重く受け止めなければなりません。
 資格証明書での受診率は正規の保険証での受診率のわずか142分の1です。資格証明書の発行が医者にかかる権利を奪い取ることになっているのはこの数字からも明らかです。高い国保料を引き下げる努力を怠りながら、払えない市民からは保険証を取り上げて医者にかかれなくする。こんな事が許されるのでしょうか。
 京都市は「法令に基づいて交付している」と言いますが、同じ政令市でもさいたま市はわずか19件しか発行していませんし、京都府内では半数以上の市町村が発行していません。
市長は、資格証明書の発行は、医療を受ける権利を奪い取っているとの認識を持っておられますか。それでも発行は仕方ないと言われるのですか。資格証明書、短期証の発行はやめて、すべての世帯に正規の保険証を渡すべきですが、いかがですか。

(市長)独自の繰り入れ分を最大限確保して一人当たりの繰入額を16.9%増額、基金の取り崩しで平均保険料を据え置いた。保険料は17政令市中13位と低く抑えている。巨額の累積赤字があり保険料引き下げはできる状況にない。国には従来から負担率引き上げを求めており、引き続き安定化を求める。

(上原副市長)資格証明書は、特別な理由もなく長期に保険料を滞納している人に法令に基づき発行している。保険料は全ての被保険者に公平に負担してもらうことが制度存立の大前提。滞納者にはできるだけ接触を図り、減免やきめ細かな納付相談を行っている。特別な理由もなく、納付の意思を全く示さない滞納者への資格証明書の交付はやむを得ない。

学校間格差是正と30人学級実現を

 次に、教育、保育など子どもに関わる取り組みについて質問します。最初は、学校教育についてです。
 京都市の教育行政は多くの子どもたちの実態から目をそらし、一部の学校や子どもたちを対象に多額の予算を投入し、格差を拡大しています。
 市長は教育長だった昨年の9月市会本会議で「格差や一部の学校の特別あつかいは断固ない」と胸を張って答弁されました。その後、井坂博文議員が11月議会で、御所南小学校や下京中学校の立派な設備の一方で、防災シャッターの自動作動装置が壊れて機能せず針金で固定されている学校や雨漏りが激しく図書室の壁が剥がれおちて図書にかかったままで放置されている学校、新入生用に購入した新品の机とイスも全員分に足りないため、全部揃うまで廊下に積み上げられてる学校があるなど格差や特別扱いの存在を指摘し、ただちに解決するよう求めました。ところがこの具体的な指摘に対してもその実態を認めず、「指摘のような格差や一部の学校の特別扱いはない」と強弁されています。なぜ事実を事実として認めないのでしょうか。一部の学校には檜や杉の机をあてがい、開閉式の天井がついたプールを備え、一方では2004年度に学校運営費を2割削減したため、学校現場では新入生の新しい机を揃えるにも四苦八苦し、小学校普通教室の冷房化事業でエアコンはついたものの光熱費を節約しなければならないために満足に活用できないなど、さまざまなひずみが子どもたちに降りかかっているのは、厳然とした事実です。全国でも珍しいアルマイトの食器をほとんどの学校で使わせながら、一部の学校では強化磁器の食器を使っているのも事実です。
 ある小学校では、業者によるトイレの清掃は月に1回だけになり、それ以外は地域にお住まいの高齢者の方がボランティアで週1回掃除されているそうです。5つのクラスの子どもたちが1カ所のトイレに集中するために、月1回の業者清掃では間に合わずにとても臭くなっており、多くの子どもたちが学校ではトイレに行かずに家に帰るまで我慢しているとのことです。保護者の方は、授業時間の長い高学年では我慢も限界で、本当にかわいそうだと話されていました。これも学校運営費2割カットの影響です。そして、この学校運営費まで学校間で格差がつけられています。
 2006年度の学校経常運営費は、御所南小学校は児童一人あたり31,633円使われていたのに対して、児童数がまったく同じ深草小学校では一人あたり23,606円と8,000円も開きのあったことが情報公開で明らかになりました。若干児童数の多い、大宮小学校や松尾小学校とではおよそ1万円も開きがあり、御所南小学校の7割にすぎません。これが格差でなくていったい何なんでしょうか。
ぴかぴかの机で新入生を迎えられるようにするのは当然ではありませんか。学校運営費を大幅に増額し、学校間の格差は即刻なくすべきです。いかがですか。また、今や全国では1割程度の学校でしか使われなくなっているアルマイトの食器を磁器食器にかえ、全児童が使用できるよう改善すべきですが、いかがですか。
 学校の先生を増やして小学校中学校の全学年で30人以下の学級にすることが強く求められています。この間、小学校1年生2年生での35人学級の実施、中学校3年生での30人学級の実施など前進していますが、今後の方向はまったく示されていません。
 京都府は来年度予算案に「子どものための京都式少人数教育推進費」として約79億円を計上し、その中で「平成20年度から2年間で、小学校において30人程度の学級編成が可能となるよう教員配置を充実」等として、予算を拡充するとしています。京都市への配分も当然あるでしょうから、本市での少人数学級を前進させる意味からも注目されるものです。
これら新たな条件も生かして、小、中学校のすべての学年で30人学級が導入できるように、計画をもってすすめるべきですが、いかがですか。

(教育長)全ての学校の教育条件の向上に努めている。子ども一人当たり教材費も10年前の2割増を維持、格差や一部の学校の特別扱いはない。強化磁器食器は学校の要望に応じランチルーム中心に77校に導入。全校の一律機械的な導入には食器洗浄機や100校を超える給食室の増築等、200億円程度の莫大な投資が必要。学校の要望・実情や財政状況をふまえない提案だ。机・イスは大切に使い、必要な補充は行っている。
 小中全学年での30人学級導入には900人の教員増が必要。府の新たな措置は府全体で2年間で約80人の配置。これを活用し教育活動のさらなる充実に努める。国の抜本的な定数改善が必要。国・府に要望する。

民間保育所プール制支援の拡充、耐震改修実施を

 子どもに関わる質問の二つ目は保育所の条件改善についてです。
 昨年11月1日に京都市保育予算対策委員会の要望書が7万4000人の署名を添えて提出されました。厚生委員との懇談、各行政区でも懇談が行われましたが、保育所の運営も働く職員の労働条件も極めて厳しくなっている実態が浮き彫りになりました。ある園長さんは、「平成14年頃より、ごろっと施策が変わった」と話されていました。2001年からの小泉構造改革の影響で、いわゆる「入所定員の弾力化」に見合った手だてがとられず、安上がりで現場にしわ寄せする「待機児ゼロ対策」になっています。
 その結果、保育現場にはパートやアルバイトなど低賃金の労働者が増え、若者の先行き不安を増長しています。また、特例保育の助成分は必要な保育士570人分に対して市からの助成は370人分に止まっているため、朝夕はきわめて手薄な体制でのぞまざるを得ないのが実情です。また、地域での子育て相談への対応も増えており、いわゆる「気になる子ども」たちなど、発達障害のある子どもも増えており、その対応も急がれます。
 施設整備面では、すべての公立保育所では地震に備えた耐震改修も完了しているのに、民間保育所の多くは、耐震診断すら受けられていないことも明らかになりました。
 市内の民間保育所224ヶ園の内、1981年の新耐震基準以前に建てられた保育所が170カ所あります。ところがその内耐震診断を実施した保育所は40カ所足らずにとどまっています。診断がすすまない理由は強度不足が判明した場合でも施設を改修する見通しがないというものです。また、診断だけでも数十万円から数百万円かかるため、その費用すら出せないと言う話も関係者から出されています。
 命を守るための施設整備に格差が生じている実態は早急に改善しなくてはなりません。
保育のプール制を堅持すると共に、特例保育に対する助成金の増額などによる職員の労働条件の改善、主任保育士のフリー化や障害児保育への職員加配などが実施できるようにプール制への支援を拡充すべきです。また、耐震改修が早急に実施できるように予算措置すべきです。お答え下さい。

(子育て支援政策監)プール制に45億円もの財政支援で職員処遇の向上に取り組んでいる。質の向上を図れるようプール制への支援を継続する。昭和56年5月以前に建てられて保育園の約8割で耐震診断未実施。状況把握に努め、保育環境の整備方法を検討する。

学童保育の充実を

 三つ目は、児童館・学童保育所に関して質問します。
 学童保育は2002年度に有料化され、現在年間4億2千万円の保護者負担となっていますが、保育条件は逆に悪くなっており、地域間格差は相変わらずです。現在の設置数は179小学校区に123ヶ所ですから、設置率は全体の60%にすぎません。その上、いわゆる「すし詰め」状態は悪化の一途をたどり、60人以上の学童保育所が65ヶ所、100人以上のところがなんと8ヶ所もあります。40分以上歩いて通わざるを得なかったり、バスを使っての遠距離通所もあります。そのために入所の申請を差し控える保護者も多く、今年度当初の待機児童数は市全体で87人とされていますが、その何倍もの希望者がいることは明らかです。住んでいる地域によって入所できる出来ないといった格差を解消することは喫緊の課題であり、子どもの実態に見合った新たな計画をつくって施設を増やすことが求められています。
 中京区の堀川通から東部の地域では、統廃合で学校が減り、小学校は現在、御所南小学校と高倉小学校の2校だけです。しかし、近年のマンション建設と御所南人気もあり児童数が急増し、御所南小学校の児童数は1000人に及びます。ところが、この東部地域には学童保育所は同心児童館にしかありません。足りないために分室をつくりましたが、そこもいっぱいです。今の入所児童は89名ですが、来年度は100名を超える見込みで、「申し込みをされても入所できない」と言われ、保護者の不安が募っています。学童保育所を増やして希望者全員を受け止める体制をつくることが強く求められています。
そこで、おたずねします。平成21年度までの一元化児童館130館目標以後の計画を早急につくり、40人程度の適正規模の学童保育所を1小学校区に複数つくるべきですが、いかがですか。また、待機児対策で分室がつくられていますが、職員の補充はアルバイトの2名だけです。速やかに正規職員で対応できるように予算措置すべきです。お答え下さい。
 学童保育所がないため止むに止まれず保護者が努力して5ヶ所で共同学童保育所を運営されています。ある共同学童保育所は、京都市からの助成金はありますが、全く足りないために保育料はおやつ代を入れて月18,000円と大変大きな保護者負担となっています。木造の小さな建物で運営されていますが、家賃の支払いも大変です。職員は正規の方2名とアルバイト1名ですが、10年以上勤めている指導員の月給は14万円ほどにしかなりません。資金不足を埋めるために、年末に物品販売をしたり地域の協力も得ながらバザーで洗剤や食器、うどんなどを販売して、必死になって取り組んでおられます。
 京都市の「学童クラブ助成事業」は年額180万円で、その足らずまいが現場へのしわ寄せとなって現れています。共同学童保育所の保育料は平均16,300円で、公設学童保育所の2倍から3倍です。高い保育料に狭い場所、そして安い職員の賃金。同じ市民でありながら住む地域によって行政サービスが受けられない不公平の表れです。
少なくとも公設学童保育所並の保護者負担で運営できるように共同学童保育所への助成金を増やすべきです。お答え下さい。
 障害のある子どもたちへの学童保育の保障は大きく立ち後れています。京都市では受け入れは4年生までですが、政令市では札幌、さいたま、横浜、川崎など半数近くの都市が6年生まで受け止めており、府内でも長岡京市、向日市、宇治市、城陽市などで6年生まで受け止めています。本市では職員の加配も行われず週3回の介助ボランティアをつけているだけです。わずか1時間500円の謝金が支払われるだけで、交通費も支給されません。週3回に限られていますから、それ以外は保護者が介助するか別にボランティアを探すことになりますが、現実的には週2~3日しか通えないのが現状です。これでは、豊かな放課後が保障できているとはいえません。障害があることによって健常児と同じように通うこともできない状態を放置することは絶対に許されません。
職員の加配による受け入れ態勢をつくり、早急に6年生まで入所できるように改善すべきです。いかがですか。お答え下さい。

(上原副市長)130館目標に向け全力で取り組んでいる。今後の学童保育事業は新たな計画策定の中で検討をする。待機児解消、処遇充実のため、分室設置や学童スペースの拡張、必要な職員の配置に努めている。

(子育て支援政策監)共同学童保育所は市の学童保育の補完的役割。施設、職員配置に大変ご苦労いただいている。助成金を平成10年度より交付、独自の増額は困難で、国に要望する。
 障害児は積極的に受け入れている。加算や介助者派遣、巡回指導を行っている。5.6年生のサマーステイを実施。施設面の課題もあり、対象学年の拡大は現状では困難。

公共交通の充実による地域間格差の解消を

 最後に市バス事業など市民の足を守る施策について質問します。
 市民が行政サービスを受けるにあたって住んでいる地域による格差、地域間格差の解消に努めることは行政の重要な責務です。その点からも交通体系の整備、サービスの充実が求められています。
 京都市周辺の地域は、中心部に比べて公共的施設が少ない上、交通の便が悪いために同じ市民であるのにサービスが受けられない、あるいは極めて受けにくい状態になっています。たとえば、洛西ニュータウンから公共交通を使って中京区にある「こどもみらい館」へ行くには、市バス230円、阪急電車180円、地下鉄210円で片道620円、往復で1,240円かかり、大きな負担です。利用者アンケートの結果でも、来館者の30%は中京区の方で上京区と左京区、右京区がそれぞれ10%、その他の行政区ではおおむね5%前後となっています。近くの住民の利用が比較的多いのはある程度仕方のない面もありますが、主要な施設が市内中心部に集中していることを考えると、サービス提供に格差が生じないようにあらゆる手だてを尽くすことが求められます。ところが、均一区間外の調整区間の地域では500円の一日乗車券も使えないなど、逆に格差が増幅されています。
周辺地域住民の負担を軽くするためにも乗り継ぎ制度を大幅に改善し、調整区間における高い運賃を下げ、一日乗車券も使えるようにするなどサービスの格差是正をはかるべきです。お答えください。
 地域によっては区役所や病院に行くにもバスの便がない、高齢化に伴って買い物に行く手立てすら失われつつある地域もあります。伏見区の藤城地域では小型のコミュニティーバスを走らせてほしいとの要望が高まっています。この地域は丘陵地で坂が多く、約30年前から開発されて入居した住民の多くが高齢化しています。バスは全く走っておらず、近くに日常生活の必需品を扱う店もないため大変不便です。子どもが成長して家を出ると、とたんに買い物に行く手立てもなくなり、ご主人が亡くなれば自動車に乗れない奥さんは病気になっても通院もできないといった深刻な状況が広がっています。転居せざるを得ない住民も出てきています。住民が「コミュニティーバスを走らせる会」を発足してアンケートをとられたところ、596名もの方が協力され、内546名の方がコミュニティーバスがあれば「利用する」と答えておられます。
 私の地元、西京区でも自治連合会の要望にコミュニティーバスの運行をあげている地域もあり、いくつかの病院が独自にシャトルバスを運行している状況を見ても地域的な要求になっていることがはっきりわかります。行政区の基本計画でも11行政区中、8行政区でコミュニティーバスが掲げられており、今後のまちづくりの柱として重視されています。その有効性は醍醐地域で立証済みです。ところが現在のところ京都市ではまったくと言っていいほどコミュニティーバスを広げようと言う努力がなされていません。市長のマニフェストでは「コミュニティーバスが運行される地域を増やすため、検討委員会を立ち上げます」と書かれています。
安心して住み続けられるまちづくりへ、市としてもコミュニティーバスの運行を具体化する努力をすべきです。お答えください。
 敬老乗車証についても周辺地域では利用しにくいと言う地域間格差があります。西京区の上里学区は市バスが走っている地域であることから市バスの敬老乗車証だけしか交付されていません。ところが走っている市バスは昼間で1時間に1本程度、夜間はまったく走っていません。阪急バスが向日町方面に走っており、洛西ニュータウンができるまでは向日町が買い物などの生活圏であり、時間的にも便利です。しかし、敬老乗車証で阪急バスは乗れないので阪急バスを横目で見ながら1時間に1本しかない市バスを待たざるを得ないのです。
 敬老乗車証の交付実績を見ても、北区が60%のトップ、これも低い数字ですが、それに左京区、中京区と続き、低い方では伏見と深草が41%台で西京、南と続きます。中心部と周辺地域で交付率でも大きな差となって現れています。同じ伏見区でも醍醐は57.5%と高くなっており、敬老乗車証で醍醐コミュニティーバスに乗れることが高い交付率となって現れていることがわかります。住んでいる地域によるサービスを受ける権利の格差を解消するという意味からも、そして何よりも高齢者が元気に外出する支援を拡充する意味からも、敬老乗車証の改善が必要です。
京都市内すべての地域で敬老乗車証が民間バスにも使えるようにすべきですが、いかがですか。ご答弁下さい。以上で私の質問を終わります。

(交通局長)周辺地域の市バス料金は先行していた民間バスの距離制にあわせている。共通回数券や通勤フリー定期、乗り継ぎ割引など周辺地域の負担軽減やサービス向上に努めてきた。運賃は民間バスとの関係もあり慎重に検討。

(市長)醍醐のコミバスは地域が主体的に運行。先進事例として全国的に注目されている。京都の優れた地域力を生かす。導入に向け地域の主体的取り組みの気運が高まった地域において自主的な取り組みが促進されるよう検討する。

(保健福祉局長)平成17年度から有料化とともに、特定の地域で民間バスと市バスの選択制から両方の交付にした。市内全域の民営バス全線への拡大は膨大な経費がかかりきわめて困難。