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市会報告

山中 渡 議員

08年3月 6日(木)

山中渡議員の代表質問と答弁の大要 08年2月定例市会 本会議代表質問

京都市長選挙の結果について 市民の批判を受け止めるべき

 私は、日本共産党京都市会議員団を代表して、2008年度予算案について質問します。今度の予算案は義務的経費などを中心とした骨格予算です。新市長としての肉付け予算についてはこれから着手したいとされていますので、質問では市長の市政運営と予算に対する基本姿勢について伺います。

 第1は、市長選結果についてです。市長、あなたは当選されましたが、得票差は市政刷新の会の中村和雄さんとはわずか951票差。自民党、公明党、民主党京都府連など、オール与党・相乗りの推薦を受けながら得票数は有権者の14%に過ぎませんでした。こうした結果について新聞は「横綱相撲になるはずが、中村和雄氏に約1000票差まで迫られた」「市政への痛烈な批判が見て取れ、門川氏には『厳しい洗礼』といえるだろう」と報道。「相乗り・オール与党批判強烈」とも報道しました。

 結果に示されたとおり、市民の多数は桝本市政の継承を望みませんでした。また、「国と地方の政治は違う」としてすすめた相乗り・オール与党についても明確なノーの審判が下されました。相乗り・オール与党政治のもとで負担増の「行革」をすすめた市政と市民との矛盾がますます深まっていることを示した選挙結果といえます。

 刷新の会の中村和雄さんは、国民健康保険料の引き下げ、同和行政の完全終結、高速道路計画残る3路線の中止・撤回を掲げ、その実現を望む市民と共同した力で、あなたとほぼ同数の支持を獲得されました。日本共産党も中村和雄さんのマニフェスト実現の立場で、市民と力をあわせてこの選挙戦を取り組んできました。引き続き、暮らしを守る立場から広範な市民の皆さんとの共同を強め、要求実現に全力をあげる決意です。

 さて、今回の選挙結果についての市長の認識です。あなたは、ある新聞のインタビューに「京都市に対する厳しい批判にも改めて痛感させられた」と答えておられます。同時に、別のインタビューで相乗り、市役所出身批判について聞かれた時には「訴える時間がなかった」とか「何とかしなければならないというなら投票率は上がる」とも答えています。市民に責任があるといわんばかりの内容ともとれます。繰り返しますがあなたの得票数は有権者の14%に過ぎませんでした。この選挙結果について、市長はどのように認識されていますか。

 さらに、先ほど述べたように市政の刷新、生活第一を掲げた中村和雄さんがあなたとほぼ同数の票を獲得されました。接戦の結果について桝本前市長も退任のあいさつで「医療や福祉への明るい展望が持てない不安感が多くの人にあると思う」「希望のある行政を求める気持ちが批判票になってあらわれた」と述べざるを得ませんでした。大事なことは、市民の批判票を謙虚に受け止め、生活第一などその内容を今 後の市政運営に生かすことがあなたに求められていると考えますが、市長いかがですか。

(市長)同和行政の不信解消や不祥事対策だけが争点となり、相乗り批判だけが強調されて、未来の京都のビジョンについての政策論争がなされなかったために一種のしらけムードを生むと同時に、政治への不信感や京都市に対する厳しい批判が表れたと考える。
 選挙結果をプラス思考で真摯に受け止め、マニフェストで約束した政策を一つ残らず実現し、「京都に住んでいてよかった」と市民が実感できる「未来の京都」づくりに全力を傾ける。

市民の暮らしの現状の認識について

 第2に、市民の暮らしの現状の認識について伺います。

 これは京都府医師会が作成されたパンフレットです。ここには、「これ以上の医療費抑制は必要か」「家計の負担は増えるばかり」と、医療費の国民負担の現状を告発されています。

 さらに、高齢者の皆さんの生活はどうでしょう。この4月から後期高齢者医療制度が実施されようとしています。下京区内の老人クラブの役員の方にお聞きしましたが、「集まりでは常にこのことが話題になっている」と切り出され、「負担がどうなるのか」「年金はまだ減り続けるのか」の声が相次ぐようになったと言われました。高齢者の皆さんが健康保険制度から追い出され、保険料は年金から天引き。払えなければ保険証の取り上げも予定される制度を前にこうした不安の声が出されるのも当然です  

 雇用問題でも非正規雇用は今や3人に1人、年収200万円未満の労働者は全国で1000万人を超えるという事態です。京都で働く青年もこうした事態にまともにさらされているではありませんか。

 さらに今、ガソリン、灯油の高騰、食料品など生活必需品の値上げラッシュが市民生活を襲っています。生活のあらゆる分野で深刻な事態が進行していると考えますが、市長は今の市民生活の実態をどのように認識されていますか

 また、原油高騰のもとで食料品から日常生活用品まで価格が上昇し、消費者物価全体が引き上がろうとしていますが、あなたは「乾いたタオルを絞るように行革をやる」と述べてこられました。このうえに、さらに市民の負担を増やすおつもりですか。

 あなたは局長・区長を前に「徹底して市民感覚を市政のすみずみまで行き渡らせていただきたい」と訓示されましたが、そのためにはあなた自身が先頭にたって市民の生活実態をよくつかみ、負担増を解消する、生活用品の便乗値上げを許さないなど暮らしの防波堤となることをまず明言すべきと考えますが、市長いかがですか。

 国の補助金削減のもとで、どの地方自治体も深刻な財政危機に直面しています。そういう中でも全国の自治体では独自に暮らしを守る努力が始まっています。例えば名古屋市では子どもの医療費の無料化、通院で中学校卒業まで無料にする予算案が提案されました。大阪市でもこの制度の拡充が提案されています。今後の市政運営にあたって、市民の負担軽減策をどうすすめるのか、市長の基本姿勢をお示しください。

(市長)将来にわたり持続可能な行財政運営を確立し、安心して暮らせるまちづくりを進めるために行財政改革を更に加速することが必要。地域主権の時代の新しい自治のモデルを構築するためにも、市民の負担は避けて通れない。
 この間、市民生活や中小企業の厳しい実態を肌で感じており、骨格予算でも、市民の暮らしを守るために不可欠な予算を確保した。
 今後とも、現地・現場主義を基本に、市民の目線に立って、見直すべきものは断固見直すなど、行財政改革を断行していく。

 

同和行政の完全終結、市職員の犯罪・不祥事根絶を

 第3に、同和行政の完全終結、市職員の犯罪・不祥事問題について伺います。

 あなたが当選された翌日、また、市職員2人の懲戒処分の発表がありました。

 新聞も「いつまた不祥事が発生するのか不安が尽きない」と報道しました。これで前市長の12年間で職員の逮捕者は93人、懲戒処分者は544人となりました。異常事態が続いています。

 今回の処分は、上下水道局職員2人が昨年12月から今年1月にかけて再三の注意にもかかわらす無断で職場離脱を繰り返したためとしています。

 日本共産党議員団は処分発表の翌日、上下水道局と現場となった配水事務所に出向き調査を行いました。そこでは、第1に、昨年12月に上下水道局配水事務所で職員の職場離脱があるとの市民通報があったこと。第2に、今年になって同事件についてテレビ関係者の取材があり、職員の中抜けの実態を指摘されたこと。第3に、局や配水事務所では市民通報やテレビ取材があるまでこうした事実を把握しておらず、職場の組織的管理が不十分であったことなどがわかりました。2月16日になって当事者が「職場離脱を認めた」とのことでしたが、自浄作用はまったく働いていませんでした。テレビ放映という事態に直面してようやく処分を公表したとの感をぬぐえませんでした。 

 これまで京都市は、部落解放同盟の学習会と称した温泉旅行の事件を通じて「同和問題の解決を口実とした事なかれ主義が現場にあったこと。事務の不正を見てみぬふりをしていたこと」を認めた報告書を出したはずです。今回の件について、こうした「事なかれ主義」と「見てみぬふり」はなかったのでしょうか。市長いかがですか。

 市長は前職の時代から市の中心幹部であり、不祥事根絶の取り組みについては熟知されていたはずです。日本共産党市会議員団は市職員の犯罪不祥事の背景に京都市の同和行政があることを繰り返し指摘してきました。

 市長は「市民しんぶん」で不祥事根絶を「1年以内にする」としていますが、あなたのところで、今日なお不祥事が根絶できない原因や理由についてはっきりしているのでしょうか。また、今回の上下水道局の件は同和行政のしがらみを断ち切れない組織的な問題をかかえるもとで不祥事が繰り返されたといえます。あれだけの犯罪・不祥事を経験し、京都市あげての取り組みをやったはずなのにこの事態です。市長は選挙前、「ほぼ膿みは出し切ったように思う」といい、途中から「1年以内に根絶する」とも言われてきました。認識の浅さはなかったでしょうか。根絶まで1年とした根拠は何ですか。上下水道局の不祥事は京都市の抱える組織的問題を浮き彫りにしつつあります。今回の上下水道局の不祥事についての市長の認識を改めてお聞きします。

(市長)上下水道局の件で、公務員・社会人としての自覚を欠いた職員と服務管理の極めて甘い職場が残っていることが明らかとなり、強い憤りを感じている。
 一部に残る甘い認識を払拭するため、「1年以内に不祥事に根絶する」と約束した。この機会を、職員の意識・使命感を高め、意識と行動を変えることにつなげたい。批判だけで職務に精励しない職員は市役所から去ってもらう。

(上下水道局長)職場離脱による服務規律違反が発生したことをお詫びする。服務規律に対する自覚の欠如とともに外勤職場における組織としての職員管理の不十分さが要因。人事、服務管理、業務執行体制等を早急に検討し、不祥事根絶の取り組みを強め、市民に信頼される上下水道事業を進める。

 

 先ほど述べた部落解放同盟の学習会と称した温泉旅行に関連してさらに質問します。この事件では関係団体に8000万円の返還命令がだされました。この時にあなたも教育委員会総務部長当時の責任を問われ117万円の返還命令を受け、2002年には京都市から戒告処分を受けています。

 この問題について2002年の決算特別委員会であなたは質問に対して「驚愕いたしております」とした上で、「助成事業でございますが、書類審査および実態把握は京都市総体として、文化市民局。当時の同和対策室が担当しており、教育委員会は予算計上と予算の執行を行なっておりますので、責任を回避するものではありませんが」と教育委員会が事態を把握するシステムにはなっていなかったとの答弁をされました。架空請求などに対する自らの責任にはふれず、行政システムに摩り替えられたことに私も議場において驚愕しました。

 改めてお聞きします。市長になった今、部落解放同盟の水増しや架空請求を許した当時の補助事業を了承したことは誤りであったとお認めになりますか。

また、この事件後に出された京都市の報告書では「同和運動団体の軋轢を生じさせないよう過度に職員に意識させる傾向があった」と総括していますが、市長としてこの事件を今後の市政運営にどう生かすかが問われています。就任記者会見で市民や学識経験者による「同和行政総点検委員会」を設置するとしていますが、何が課題だと考えているのですか。残っているのは根絶にむけての市長の決意と行政の取り組みだけだと考えますが、いかがですか。

市会調査特別委員会でも任命権が運動団体の幹部に渡っていたことが明らかになりましたが、これだけの事件となった職員の犯罪不祥事について部落解放同盟は「ごく一部の仲間が起こした事件」としているだけです。そうした団体の行事に出向き、副市長が挨拶をする。選挙ではあなたをこの団体が推薦しましたが、こういう関係が続いています。市長としてこうした点にけじめをつけることが問われているのではありませんか。いかがですか。

(市長)同和運動団体との関係は、前市長時代に大胆な改革を断行し現時点で特別な関係は一切ない。私自身いずれの団体とも特別な関係は一切ない。同和行政は平成13年度末に終結したが、市民の不信感が残っているのも事実。断固たる決意で不信を一掃していく。

 

教育長時代に違法と判断された問題と今後の市政運営について

 第4に、あなたが前職の時代に「違法」との判断を下された問題について伺います。

 最初に自立促進援助金いわゆる、同和奨学金の肩代わり問題について質問します。この制度について日本共産党市会議員団は繰り返し、廃止するよう求めてきました。

 これまでに第3次請求までの住民訴訟の判決が出され、大阪高裁判決は2001年度と2002年度の援助金の一部を違法としました。この判決については2007年9月、最高裁が上告を不受理としたため確定しました。また、今年1月、京都地裁も2003年度、2004年度分の一部を違法とする判決を出しました。

 また、京都市監査委員会も昨年12月、2007年度予算にある2002年度と2003年度の援助金の支出を行なわないよう勧告しています。

 確定した大阪高裁判決や続いて出された京都地裁判決は、国庫補助を受ける奨学金を京都市が給付とした行為について、行政の裁量を超えるものとして違法としました。また、2001年に同和特別法がなくなったにもかかわらす漫然と援助制度を継続したことなどを問題としました。これまでに2007年度の援助金については執行を留保したこと、また、来年度予算に援助金を計上しなかったことは当然です。   

 裁判所が自立促進援助金を行政の裁量を超えるものとしたことや同和特別法の廃止後も漫然と援助金の制度を継続したとの判決をどのように受け止められましたか。援助金の制度についてこれから点検委員会であり方を検討するとされていますが、違法判断を受け止め、直ちに制度を廃止すべきではありませんか。いかがですか。

 これまで党議員団が自立促進援助金制度の廃止を求めた際に、前市長は「京都市の新たな負担は生じない」と繰り返し答えてきました。しかし国との関係ではどうでしょう。今後、制度が続けば予定される援助金40億7千万円のうち9億7千万円は国に返還することになります。その分はすべて京都市負担ではありませんか。これまで前市長などが「市の負担がない」と説明してきたことに対し新市長として市民への謝罪と訂正が必要ではありませんか。

(星川副市長)平成16年度以降、自立促進援助金制度の見直しを行ってきたが、支出の一部について違法とされた。2つの判決と監査結果をふまえ、19年度予算の執行を停止し、20年度予算の計上を見送った。早急に「同和行政総点検委員会」を設置し、法的な検討も含めて、透明性の高い議論を行い、抜本的な見直しを行っていく。
 過去の説明について謝罪と訂正をする必要は全くない。

 

 2つ目は、教育パイオニア調査研究事業を京都地裁が違法とした問題です。この判決は、研究事業への委託費の支出のすべてを違法とし、当時教育長であったあなたに7168万円の返還を求めました。新聞の取材に「高裁で争う」と答えられていますが、問題は学校運営費を20%削減する一方で、校長と教育委員会が選んだ教職員にだけ1人当たり5万円の委託費を支給していたもので、教職員の間に格差を持ち込むやり方でした。委託費の支給は学校間にもばらつきがありました。支給の仕方についても、委託費の前払い、領収書の提出を求めていないなど公金の支出の仕方としては実に不適切でした。

 教育パイオニア調査研究事業が教職員を分断し、学校にも格差を持ち込むやり方であったことを認めるべきと考えますが、いかがですか。市のトップとして公正な職務を遂行する上でも大事なことです。明確にお答えください。

 ところでこのパイオニア研究事業は今では廃止され、2006年7月から「教育実践個人研究奨励事業」に置き換えられています。京都地裁で違法判決がでる以前のことです。名称と要綱の内容が変わっています。パイオニア研究事業では委託費として教育委員会が支出していたのを、個人研究奨励事業では、市長が支出する補助金に改められています。

 当時教育長だったあなたは、事業名を変え、委託費を補助金に変更した時点でパイオニア事業による支出が不適切であったことを認識していたのではありませんか。今、必要なことは判決で指摘された違法を認め、控訴を取り下げること、7200万円を直ちに京都市に返還することではありませんか。いかがですか。

(教育長)子ども達1人1人に焦点をあてた授業の改善などについて教職員の自主的研究を奨励し、教育力向上を図るために実施したもの。その成果は日々の教育活動に生かされ、全国から注目される本市教育改革の土台となっている。
 今後、事業の意義や必要な経費支出の適法性を控訴審で強く主張し、意欲的に研究・実践に取り組む教職員の支援に努めていく。

 

京都高速道路計画の未着工3路線は中止せよ

 第5に、京都高速道路計画の未着工の3路線について質問します。

 この問題も市長選挙の大きな争点になりました。油小路線が部分開通した翌日の新聞は「重い負担、延伸凍結論も」と報道しました。着工された2路線で京都市の持ち出しは当初90億円としていたのが最終的に716億円にも膨れ上がりました。油小路線の一部が開通しましたが、1日の平均交通量は7700台。部分開通とはいえ、ひどいガラガラ状態です。

 未着工3路線の総事業費は約2900億円と試算され、街路建設事業として着工すればその半額の1450億円は京都市負担と予定されている計画です。継続すれば財政破綻に突き進むことは明らかではありませんか。選挙であなたを推した自民党は推進の方向です。民主党京都府連や公明党府本部は「凍結」をうちだしました。

 市長は選挙中、残る3路線について「再検討する」あるいは「4年間は着工しない」などと述べておられますが、問題は市長自身が残る3路線についてどういう見解を持っているのかという点です。高速道路計画の残る3路線について必要と考えているのか、必要でないと考えているのか、市長から明確にお答えください。

 地球温暖化防止の視点からもきっぱり中止することが必要です。世界の流れはCO2排出量の削減にむけ車中心の社会の見直しです。先日もある番組で有名なニュースキャスターが「高速道路ができると渋滞がなくなり環境がよくなるという話には笑えてくる」と述べていましたが、京都市もこの「笑えてくる」と指摘されたような答弁を、この間、繰り返してきたのではありませんか。

 さて、国の補助金削減などのもとで全国の地方自治体財政が危機に直面していることは自明の通りです。ところが国は、道路特定財源の特別扱いを止めようとせず、予定した59兆円を使い切るための高速道路計画や自動車専用道路の推進の方針を変えようとしていません。建設されている2路線にも道路特定財源が使われてきました。こういうやり方がムダと批判されても高速道路を止められない原因になっているのではないでしょうか。一般財源化の世論は今や多数です。やれば生活道路の整備や社会保障の負担軽減など暮らしを守る方向に道が開かれることは明白です。こうした立場に立つべきと考えますが、いかがですか。

(山崎副市長)1月に油小路線が開通し5月に新十条通が完成予定。斜久世橋区間の平成23年3月完成に向け、着実に進めていく。 久世橋線など残る3路線については、総合的な交通体系の構築や財政状況等を勘案し、必要性も含め在り方を検討していく。
 道路特定財源は道路整備のための安定的な財源で本市の道路整備に大きく貢献してきた。都市計画道路の整備率は他の政令市と比べ低く、老朽化した道路施設の維持補償費の増加が見込まれており、道路特定財源の確保は不可欠。

 

市職員の長時間労働、公の施設での非正規雇用の拡大について

 第6に、市民の福祉を担う分野の市職員の長時間労働が年々広がっていること、その一方で、公の施設では非正規雇用が拡大している問題について質問します。

 あなたは今度の選挙で、「職員の1000人削減」を打ち出していますが、市役所機能の中心を担い、また、社会保障や福祉など重要な市民サービスを担う職場で長時間労働が解決されず、広がる傾向にあること、同時に、公の施設の様々なところで非正規雇用に頼らざるを得ない現状があり、低賃金と不安定雇用が広がっていることをご存知でしょうか。

 京都市職員労働組合は毎年同じ時期に本庁の超勤の実態調査に取り組み、超勤実態が改善されるどころか深夜まで働き続ける職員が増えていることを告発しています。

 2004年から2007年までの本庁における超勤実態が組合ニュースで報告されています。ノー残業デーの日でも午後10時時点で仕事をしている職員は本庁で100人を超える実態が毎年続いています。深夜12時時点でも50人前後の職員が仕事をしています。ノー残業デーの前後の日では異常な超勤が一挙に増えています。午後10時時点で仕事をしている職員は200人を超え、2006年と2007年では300人近くにふくれ上がっています。深夜12時時点で80人を超える職員が仕事をしています。こうした超勤の異常状態が改善されるどころか広がる傾向にあることを市長はどう認識されていますか。即刻解消することが必要と考えますがいかがですか。

一方で、公の施設の運営はどうでしょう。これまでに408施設で指定管理者制度が導入されました。「京都市の公の施設の運用基本指針」では民間企業が管理を行なっても「公の施設の責任を果たすことができる」としています。ところが現場では何がおこっているのか。ある福祉施設では委託料で成り立たせようとすれば人件費を下げるしかない。従来の正規職員を減らし、パート、アルバイトの非正規雇用に頼らざるを得ない現状になっています。職場によっては辞める人も多く、常に募集しなければならないケースも目立ってきています。民間事業者が指定管理者となったある公の施設では低賃金は当たり前の現状がまかり通っていました。これでは、京都市が率先して低賃金と雇用の不安定をつくりだしていることになります。

 これまで雇用の問題を質問すると「京都府と国の仕事」と責任を回避してきましたが、公の施設の管理代行で起こっている雇用の不安定と低賃金は京都市の責任ではありませんか。

 今、労働法制の規制緩和のもとで労働条件の劣悪化と雇用の不安定化が大問題になっています。こうした時にこそ、京都市が公の施設の雇用改善を行うなど、その改善の先頭に立つことが求められているのではないでしょうか。

 市長は管理代行された公の施設の現状についてどのように認識されていますか。パート、アルバイトなど不安定雇用と低賃金の仕組みを京都市がつくりだしていることに何の疑問も持ちませんか。お答えください。

 中村和雄さんは京都市の発注する仕事だけでもせめて時間給1000円をと市民に呼びかけました。これでも1日8時間、1ヵ月20日間働いたとしても収入はわずかに16万円です。保険料など必要な経費を差し引けば手元に残るのはわずかです。せめてこれだけでもと青年をはじめ多くの市民の間に共感が広がりました。

 市長は京都府との協調を言っていますが、その知事も「正規雇用の大切さがしっかりと見直される時期に来ているのではないか」と府会で答えているではありませんか。京都市のアルバイト雇用の中には時間給に直すと800円台のものもあります。非正規雇用と低賃金が広がるもとで青年をはじめ働く人の使い捨てが広がっている現状を本当に憂う気があるなら、今の正職員削減方針と非正規雇用拡大の実態を改めるべきではありませんか。

(総務局長)厳しい財政状況のもとで満足度の高い市民サービスを最小の経費で安定的に提供し、市民生活を守るためには、引き続き行財政改革の推進が不可欠。 その一環として職員削減による人件費抑制や「民間でできることは民間に」と指定管理や業務委託等を積極的に活用することは重要。
 指定管理者等が労働関係法令等の遵守を前提に、パートタイマーやアルバイト等を雇用することは否定されるべきものではない。
 職員の時間外勤務の縮減については、職員の健康保持及び公務能率の向上のため、長時間勤務の職場を中心に、一定時間数以上の時間外勤務を規制するなど、実効性ある取り組みを一層進めていく。

 

(要望)木造住宅耐震改修助成制度の抜本的拡充を

  最後に、木造住宅の耐改修助成制度について要望します。
 利用実績は極めて貧困です。制度発足以来今日までの利用はわずかに13件です。これまで党議員団として改修助成額の抜本的増額、対象要件の緩和、1部屋だけの部分改修の必要性を求めてきました。京都市は「更なる利用の拡大が必要と認識している」「部分改修の助成は高齢者や障害のある方などの被害軽減に有効」と必要性を認めてきました。ところが新年度予算では木造住宅の耐震改修助成は京町家の耐震改修助成とあわせても1130万円にすぎません。今年度、横浜市は年間6億円、仙台市は1億8千万円の予算を組んで取り組みを進めていましたが、その差は歴然としています。本気で市民の命と財産を守る気があるなら木造家屋の耐震改修助成の抜本的拡充をすべきです。このことを求め、私の第1質問とします。

 

第2質問

 国の構造改革の政治と京都市の「行革」姿勢が市民の不安を広げてきたことは明らかです。政府ですら生活保護行政の見直しや正規雇用の拡大の問題に言及せざるを得なくなっています。市長は、市民負担増の方向を示されました。サービス切り捨ての「行革」方針を撤回するよう強く求めます。

 同和特別扱いと職員の犯罪・不祥事の関係について、これを認めない答弁でした。職員の服務の問題だけにすり替えていることが、不祥事が根絶できない最大の原因ではありませんか。問題解決の道をますます閉ざすことになっていることを強く指摘しておきます。同和タブーを依然として引きずっていると言わざるを得ません。

 引き続き、市民の暮らしを守る立場から予算委員会で取り上げることを申し上げ、質問を終わります。