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市会報告

西野さち子 議員

07年12月14日(金)

「生活保護基準の引き下げに反対する意見書」の提案説明 07年11月定例市会 閉会本会議討論

 日本共産党京都市会議員団を代表して「生活保護基準の引き下げに反対する意見書」の提案説明をいたします。
 生活保護法第1条で、「この法律は、日本国憲法第25条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする」とされています。そのもとでかつては中央社会福祉審議会生活保護専門分科会で委員から「国民生活が一般的に苦しくなってきた場合、それに比例して扶助基準も下がっていいとはならない。これまで国が保障してきた最低限のところだけは守ると言うこと以外にありえない。」と発言があり、その考え方が定着していました。生活保護は国民の暮らしを守るセーフティネットの役割を果たしてきており、国民全体の生活水準が下がれば、生活扶助基準も下がると言うのは問題だとされていたのです。ところが、厚生労働省社会援護局長が私的に設けた「生活扶助基準に関する検討会」から出された報告を受けて、厚生労働省は予算編成作業をすると表明しました。この報告では、全世帯の収入の最も低いところから1割に当たる低所得世帯と生活保護世帯との比較で扶助基準を見直すとしています。
 ところが今日の新聞では、検討委員会の委員長をはじめ委員5名の連名で、「検証結果が正しく伝わっていない」と報告書の内容を説明する文章を出していたことが報道されました。それによると「生活扶助基準の引き下げは慎重であるべきだ」と言う考えが委員の総意だとされています。委員5人のこの文章は厚生労働省が行おうとしている生活保護基準の引き下げの根拠を崩すものです。
 「3000円あったら1週間は持つ」という3人の子どもを持つシングルマザーや食パンとマヨネーズで何ヶ月も暮らして病院に運ばれた心臓病をかかえた青年、また眠ったまま死にたいという高齢者など、ぎりぎりの生活をしている国民の暮らしを引き上げるのではなく、その低所得にあわせることを口実に生活保護基準を引き下げることは許されません。
 舛添厚生労働大臣は、生活保護基準以下で暮らさざるを得ないが、保護を受けられない世帯や受けていない世帯の実態は「つかめない」としていますが、貧困が広がっている国民生活の実態調査をして、国民生活の底上げを図ることこそ政府の責任です。
 この間、生活扶助は一般国民の消費水準の60~70%程度が妥当とされてきました。使用されている水準均衡方式は、本来一般国民の消費水準との均衡を図る方式であって、国民の最も低い水準と比べるものではありません。
 その上、生活扶助基準の引き下げは、保護世帯の問題にとどまらず、国民生活に関わる様々な制度と連動しています。地方税の非課税基準が引き下げられ、非課税世帯だった人が課税世帯になったり課税額が増えると、保育料等の各種社会福祉サービスの利用料が引き上げられます。例えば、介護保険料、利用料、国民健康保険の減免基準、最低賃金、就学援助、学校給食費等などに連動し、ぎりぎりで生活している広範な国民生活に深刻な影響をあたえます。
 健康で文化的な最低限度の生活を保障することが、憲法25条で明記されています。深刻な国民生活から目をそむけることは許されません。国民の暮らしを守る立場で同僚議員の賛同を訴えまして、提案説明とします。