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市会報告

ひぐち英明 議員

07年11月21日(水)

ひぐち英明議員の代表質問と答弁の大要 07年11月定例市会 本会議代表質問

 

 左京区選出の樋口英明です。日本共産党市会議員団を代表して質問いたします。

地元企業の仕事と適正な賃金の確保を

 はじめに、市内の中小業者支援についてお聞きします。

 京都の経済は厳しい不況を抜けられないまま推移しています。6月に行なわれた建築基準法の改正により、7月以降、建設業界で仕事がとまってしまい、全国的に大騒ぎになりました。私のところにも「倒産させる気か、なんとかしほしい」といった話がいくつも寄せられました。京都における10月の企業倒産件数が、前月に比べて6割増しになったことも報道されており、「法改正にともなう建築確認の長期化で資金繰りが悪化し、経営不振に追い討ちをかけた」と指摘されています。こうした事態の背景には、もともと厳しい仕事の状況が長く続いているという実態があります。

 本市では、2001年から2006年にかけて事業所が1割減少していますが、これは政令市の中で大阪市、堺市に続く全国ワースト3位である上、個人事業所の減少が大きいことが特徴となっています。京都市では従業員が4人以下の事業所が4割を占めており、地域経済の活性化を考えるならば、ここへの支援が急務の課題となっています。

 京都市として行える雇用対策、中小業者支援の有効な手段の一つに、公共工事の、下請けまで含めた地元への発注と、現場で働くみなさんの賃金・単価を確保することがあることは、これまでも指摘してきました。このことがますます切実な課題となっています。公共工事の下請けに入っている、ある事業主さんは、「先日、夜間の工事に入った時に、手当てがつかず、昼間の単価しかもらえなかった。また、単価そのものが下げられてしまい、赤字覚悟の仕事もある。仕事が減っているので仕方なく請けているが大変」と言われていました。公共事業の現場で、ワーキングプアを作り出すようなことが今でも続けられています。

 2000年に成立した「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」の付帯決議では「地域の雇用と経済を支える中小建設労働者の受注機会が確保されるよう配慮するとともに賃金労働条件の確保が適切に行なわれるように努める」と、されています。仙台市では今年の10月に、この付帯決議を施策化するよう国に求める意見書が議決されましたが、同様の意見書はすでに、500を超える自治体で議決されています。この方針の有効性を全国の自治体が実感していると言えます。

 京都市として、国に対して実効ある施策を求めることは重要ですが、独自の努力として、入札の際とその後の指導を徹底し、元請だけにとどまらず、下請けまで含めて地元企業の受注機会の確保をはかることが必要です。いつまでも、入札の際のリーフレットに申し訳程度の一文を添えるだけにとどまるのでなく、さいたま市のように、下請けに市内業者を使うことに努めるよう、入札の契約約款に明記し、元請への指導を強めるべきと考えますがいかがですか。

 また、京都市でも施行体系台帳に契約金額を記入するようになっています。現場での賃金・単価の実態をつかむことが可能なのですから、先ほどの付帯決議に言われているように、公共工事の現場で働く労働者に、適正な賃金が確保されるよう、指導を強めるべきと考えますが、いかがですか。

(山崎副市長)本市の公共工事の市内中小事業者との契約件数は全体の約9割もの高い比率を占めている。 平成16年に要綱を策定し、下請や資材の購入などに市内中小事業者を選任するよう協力を求めるとともに、適正な労働条件の確保、下請取引の適正化を要請してきた。 すべての工事請負入札に「最低制限価格制度」又は「低入札価格調査制度」を適用し、低価格入札については、下請け内容等の厳格な調査を行い、不適切な場合は契約を締結しないなど、適正な下請け取引の推進に努めている。

住宅の耐震化に向けたまちづくりを

 次に、住宅の耐震化に向けたまちづくりを、どのように進めるかについてお聞きします。

 阪神淡路大震災以来、全国的に見ると2年に1度の割合で大きな地震が発生し、そのたびに大きな被害をもたらしています。国の中央防災会議が公表した地震の際の被害想定によりますと、花折断層から桃山断層帯が動いた場合、死者は1万1千人、西山断層帯が動いた場合、死者は1万3千人と想定されています。阪神淡路大震災の死亡者の88%が家屋の倒壊によるものだったとされていますから、市民の命を守るために、一刻も早い住宅の耐震化が求められていますが、なかなか耐震化が進んでいないのが現状です。

 本年7月に策定された「京都市建築物耐震改修促進計画」では、住宅の耐震化が進まない理由の一つとして「経済的な負担が課題」としています。全京都建築労働組合がNPO法人・住まいの防災・耐震センターを立ち上げ、無料で耐震診断を行なっていますが、診断結果のほとんどが「倒壊する可能性が高い」というものでした。しかし、経済的な理由から改修工事を行なったのは1割程度ということです。市民の命を守るためにも、住宅の耐震化に対して、行政としての支援が切実に求められています。

 ところが本市の場合どうでしょうか。耐震改修助成制度はあるものの、条件があまりにも厳しいために、制度がつくられて以降の3年の間に利用された件数はわずか8件。そもそも年間の予算は、わずか600万円です。年間の助成件数が200件、300件という実績を持つ横浜市や仙台市の場合、年間の予算は横浜で6億円、仙台で1億8千万円です。「市長は本気で市民の命を守るつもりがあるのか」と、疑問の声が出るのも当たり前です。現在、わが党市会議員団として、耐震改修工事助成を抜本的に強化するために政策提案もし、市民のみなさん、建築関連団体のみなさんとの懇談を積極的に行なってきていますが、「ぜひこうした制度を実現してほしい」という反応が次々と返ってきています。

 先ほどの横浜市の耐震改修助成制度は、耐震改修工事にかかった費用を課税世帯で150万円、非課税世帯で225万円を上限に、100%助成しています。東京都墨田区の制度は、家全体を改修するだけの費用がないためにせめて寝室だけでも耐震化するといった部分的な改修工事の場合でも、助成制度が使えるようになっています。本市でも、こうした制度を創設し、市民の「安心して暮らしたい」という要望に応える必要があると考えますが、いかがですか。

(都市計画局長)耐震改修促進計画にそい、「分譲マンション建て替え・大規模修繕アドバイザー派遣制度」「京町屋耐震診断士派遣制度」「京町屋等耐震改修助成制度」の創設などを行ってきた。 木造住宅耐震改修助成制度について対象地区の拡大等を行ってきたが、更なる利用の拡大が必要と認識している。 部分的な改修工事への助成は、高齢者や障害のある方等すぐに避難できない方の被害の軽減に有効な措置である。

まちなかへの車の流入抑制の具体化を

次に、市民の足を守り、公共交通優先のまちづくりをどのように進めるかについてお聞きします。

 住み続けられるまちづくりを追求しようと思えば、交通施策では、マイカー優先から公共交通優先への転換が求められます。そのための大きなポイントとして、交通需要をおさえるために職住近接のまちづくりをすすめること、市街地や観光地への車の流入抑制、公共交通の利便性の向上などがあげられます。

 もともと、京都市は職住一致した住居形態を持っていましたし、崩されてきてはいるものの、現在も職住が近接した居住環境が残されてきています。新しい景観政策のなかで、この居住環境をまもり、発展させることが、TDMの推進にも大きく役立つことは間違いありません。

 2つ目のポイントである、交通が混雑している市街地や観光地への車の流入を減らすことに関してですが、先日、「歩いて楽しいまちなか戦略」の社会実験が行なわれました。この実験では、四条通を歩行者がゆったりと歩けるよう、歩道幅を広げ、一般車両の乗り入れを禁止し、バスとタクシーだけを認めるという実験を行ないましたが、買い物客へのアンケート調査では「賛成派が多数をしめた」と報道されています。しかし、一方で、近隣の住民からは「車を出せず、救急車も呼べない」という声や、自宅前の渋滞車両の列に対して「この状況が毎日続いたらと思うとぞっとする」という声など、不安の声があることも報道されています。今回の実験からも、まちなかへの車の流入抑制が求められていることがよくわかります。

 市バスの定時性の確保にしても、検討が進められているLRTの推進にしても、車の流入を抑制することなしには、実現させることは難しい課題です。また、市長がこうした施策の推進を掲げる一方で、市内中心部に車を導く市内高速道の建設を進めようとしていることは、全く矛盾していることを指摘しておかなければなりません。

 公共交通優先のまちづくりを推進するためにも混雑するまちなかへの車の流入抑制を進める必要があると考えますが、その具体化をどのようにすすめようと考えていますか。お答え下さい。

(市長)自動車の流入抑制や公共交通への転換を図る交通需要管理施策を推進しており、四条通の社会実験では「歩いて楽しいまちなか戦略」の実現に向け大きな一歩をふみだした。自動車交通に過度に依存しない歩行者優先のまちづくりを着実に進めることが京都の更なる魅力アップにつながるものと確信する。

乗り継ぎ制度を拡充し、便利な公共交通に

 公共交通を優先させるためのポイントの3つ目は、乗り継ぎがスムースに行なえるようにすることですが、特に乗り継ぎの際に料金が加算され、負担がふくれあがることは、公共交通を使いにくくさせている大きな要因となっています。

 左京区の修学院学区の60代の方からお聞きした声を紹介します。この地域の多くは、バス路線から遠く離れた地域となっているのですが、この方いわく、「府立病院まで行こうと思ったら、バス停まで歩いて15分かかり、そこから北8系統に乗り、北大路の洛北高校前で乗り換えなければならない。体がしんどい時に、歩くだけでも大変なのに、さらに、乗換えで料金が加算されてしまうのは大変。なんとかしてほしい。」と言われていました。

 もともと日本一高い市バス料金であるのに、さらに、乗り継ぎのたびに料金が加算されてしまうのでは、負担が多くなり、これが、公共交通から市民を遠ざける大きな要因の一つとなっています。

 市バスや地下鉄料金の値下げをすることはもちろん、市バスや地下鉄を乗り継ぐ時に、時間内であれば乗り換え自由な料金制度を導入することは、公共交通機関への誘導を図る有効な手段であります。暮らしが大変厳しくさせられている市民のみなさんの足の確保をはかるためにも、また、マイカーから公共交通機関優先へと誘導するためにもこうした制度の導入が必要と考えますが、いかがですか。

(交通局長)一日乗車券やフリー定期券などを発売し、「トラフィカ京カード」で、市バス同士の乗り継ぎ90円、市バス・地下鉄の乗り継ぎ60円の割引を行うなど、乗り継ぎ負担の軽減、増客に努めてきた。 これ以上の乗り換え無料の運賃制度の導入は、大きな減収を伴うもので、実施は困難。

学童保育所のすしづめ解消・増設を

 次に、学童保育の充実についてお聞きします。

 学童保育は放課後の「適切な遊び及び生活の場」と法律で位置づけられている事業です。ところが、実態はどうかといえば、市長が「待機児童ゼロ」の号令をかける一方で、予算措置をせず、施設の新設や増設を十分に行わないので、ひとつの学童にたくさんの子どもが詰め込まれることになり、すし詰め学童が確実に増えているのが現状です。

 ある学童の先生にお話をお聞きしました。その学童は、子どもたちの過ごす部屋の広さが学校の教室の3分の2程しかありませんが、そこに60人もの子どもが通ってきています。学校の教室の場合、子どもは35人以下となっているのに、学童の場合、教室よりも狭い部屋に、倍の子どもが押し込まれているのですから大変です。また、80人以上ものたくさんの子どもが詰め込まれている学童の先生にお話をお聞きしたところ、「子どもが外で遊べる時はまだいいが、雨の日やおやつの時に全員が狭い部屋の中に集まってきた時が大変。どうしてもトラブルが多くなってしまう。先日は、おやつの準備中に4ヶ所でいっぺんにケンカが始まり、4人の指導員がそれぞれの子どもを建物の外まで連れ出して、その子が落ち着くまで、話を聞いたが、部屋の中には誰も指導員がいなくなり、子どもたちは狭い室内でおやつもまちぼうけになったままで、大変な状況だった」と言われていました。これが日常の風景です。

 国の学童保育のガイドラインによれば、集団の規模については「おおむね40人」という基準が示されています。京都市の事業実施要綱では、「おおむね60人」が適当と、国よりも甘い基準になっていますが、この60人すら超えてしまっている学童がここ数年増えつづけています。今年度は62施設にものぼり、学童保育全体の半数に迫る勢いです。

 この間、分室での対応も増えていますが、その場合、正規職員ではなくアルバイト職員を増やすことで対応しているため、分室の体制が薄いものになるだけでなく、元の学童の正規職員を分室に振り分けることになり、こちらも体制が薄くなってしまっています。

 市長は、2002年度に学童保育の利用料を有料化し、さらに昨年にはその利用料の値上げまで行い、現在、保護者には、年間3億7千万円もの負担が押し付けられています。保護者には多額の利用料の負担を押し付けながら、施設の整備も十分に行わず、子どもはすし詰め状態に拍車がかけられ、分室で対応した場合でも人的な保障を十分に行なわない、こんな名ばかりの「待機児童ゼロ」対策は、絶対に許せません。

 本市は、2009年度までに児童館130館目標を達成するとしています。これを達成することはもちろんですが、そこにとどまらず、すし詰め状態の解消を図るためにも、学童保育の増設をさらに進めることが必要と考えますがいかがですか。また、そのための予算を抜本的に増やす必要があると考えますが、いかがですか。

(上原副市長)待機児童の解消を図るとともに、児童の処遇環境を充実するため、児童館整備に加え、分室の設置、学童保育スペースの拡張などを行っており、必要な職員の配置に努めている。 平成19年度これまでで最多の11館の設計整備予算を確保しており、今後とも児童館整備等を着実に推進し、学童保育事業の充実に努めていく。

左京区役所の移転問題について

 最後に、2011年度に竣工予定で進められている左京区役所の移転問題に関して、2点についてお聞きします。

 左京区は大阪市よりも広い面積に16万8千人の方が住んでいるという特徴があります。今でも、久多、花背、静市、大原、八瀬、岩倉の6つの出張所が配置され、各地域のまちづくりの拠点となっており、その機能をさらに充実させてほしいという声が住民の共通した願いとなっています。この声は、京都市がまとめた『区政改革に向けた今後の取り組み』の中に示されている「地域との連携・協働による区民参加の推進を図り、魅力ある地域づくりの拠点としての区役所機能を強化」するという方針とも一致する方向です。

 ところが、先日行なわれた岩倉自治連合会と行政との懇談会の席上で、区長が「区役所が松ヶ崎に移転すれば、近くなるから」との理由で、初めて出張所の廃止を示唆する発言を行なったことに、怒りの声があがっています。出席されていたある自治会長さんは「高齢者や障害者に対する配慮が全くない発言で、吐き気がするほどの怒りを感じた」と話されていました。以前から、「高齢化社会だからこそ、出張所の機能の充実を」との声が出されていたのですから、怒りの声が上るのも当然です。

 東京世田谷区の場合、本庁のほかに7カ所の出張所があり、さらに人口2万人~5万人に一つの割合でまちづくり出張所というものが20ヵ所つくられています。このまちづくり出張所では、健康保険や介護保険の再交付の手続きなども出来ることになっています。この方向こそ、魅力ある地域づくりの拠点としての役割を果たすにふさわしい、今後の行政のあり方ではないでしょうか。

 岩倉地域の人口は2万5千人です。現在の出張所は、地元の方が「岩倉の為に」と土地を提供されたという経過もあります。この出張所はもちろんのこと、左京北部の出張所については機能の充実こそ図るべきと考えますが、いかがですか。

 2点目は、住民の合意という問題についてであります。

 現在区役所のある吉田の地域では「地域が高齢化しているときに、区役所が遠くに行ってしまったら大変」という声や、地域の商店街からは「区役所がなくなってしまったら、店をたたむしかない。死活問題だ」という声が出されています。昨年、行政が主催して開かれた「区役所総合庁舎整備を考えるワークショップ」では、「なぜ、今の区役所の耐震補強で対応できないのか。市民が国保や住民税などで苦しんでいる時に、豪華な庁舎はいらない」「住民とのパートナーシップを言うのなら、区役所機能を分散化させて、支所や出張所を増やして、区役所本体を小さくすればいい」など、区役所のあり方を問う声も次々と出されました。とても住民の合意が得られていると言える状況ではありません。

 京都市は「地域との連携・協働による区民参加の推進を図る」としているのですから、左京区民の関心が高まっている今こそ、まちづくりの拠点としての出張所や区役所のあり方について、大いに論議するべきではないでしょうか。

 現在のように、先に区役所の移転ありきで、住民の合意もないまま計画を進めるのではなく、左京のまちづくりの拠点をどうするのかという視点から、住民的な論議をしなおすべきと考えますが、いかがですか。

住民の声にしっかりと応えた市政運営を行なうよう求めまして、わたしの質問を終わります。

(文化市民局長)平成 16年10月に整備用地を松ヶ崎の京都簡易保険会館跡地に決定し、市会に報告するとともに、「市民しんぶん」左京区版で周知してきた。また、区民の意見を反映した庁舎整備基本計画を本年4月に策定し、基本計画報告会を開催している。今後も、機会をとらえ説明の場を設け、親しまれる庁舎となるよう努めていく。 出張所は、過去の町村合併等の経緯をふまえ、左京区内に岩倉出張所をはじめ6ヵ所設けており、戸籍や住民基本台帳事務を中心とした業務を行っている。そのあり方については、市民サービスの観点および行財政運営の効率化の観点を含め、庁内で検討を進めているところである。