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市会報告

井上けんじ 議員

07年3月13日(火)

生活保護の老齢加算復活を求める意見書、母子加算廃止に反対する意見書の提案説明 07年2月定例市会 本会議提案説明

 日本共産党は、生活保護の、老齢加算復活を求める意見書、及び母子加算廃止に反対する意見書を、それぞれ提案しておりますので、私は党議員団を代表し、一括して提案理由について申し述べます。 
  70歳以上の高齢者に支給されていた老齢加算が、2004年から段階的に削減され、昨春、全面的に廃止されるに至りました。母子加算も段階的に減らされつつあり、政府は全廃の方針を決めています。いずれの加算も、加齢や一人親にともなう特別な需要に対応するものとして設けられてきたものであります。それぞれ、月額1万7千円、2万3千円以上が削られ、これらは、場合によっては収入の2割もの多額にのぼります。加算額を含めてこそ、初めて健康で文化的な最低生活を営むことが可能なのであって、これらの廃止は、対象の被保護世帯のくらしを、最低生活をも割り込む水準に押しとどめるものに他なりません。このことは、従来、加算があった時代から保護基準とは最低生活費だと政府自身が謳っていたことからも明らかであります。
 すでに、これら加算の廃止や減額によって、風呂の回数を減らした、食事を切り詰めているなど、人間らしい生活が損なわれています。特に母子家庭の場合は、子どもさんの食事や学費、部活、進学、友達づきあいなど、どう説明したらいいのかと、精神的な悩みは経済的問題に輪をかけて深刻です。
 政府は、保護を受けていない世帯の方が生活が苦しいとの逆転現象を理由のひとつとしています。しかしこの理由こそ、全く逆転しています。今、日本の生活保護の捕捉率、即ち対象世帯のうち実際に保護を受けている世帯の割合は、少なくない研究の蓄積によって、2割程度と言われています。即ち、実に8割もの世帯が保護水準の生活にもかかわらず、保護を受けておられない実態があります。この現状で、この8割の世帯を含む低所得階層と比較すれば、実際は生活保護水準の世帯同士の比較となり、差がない、場合によっては逆転との結果になるのは当たり前であります。この階層の人たちと比較して格差が縮まったとかなくなったとか逆転したとかいっても何の意味もありません。保護基準の切下げ・加算の廃止で低きに揃えるのではなく、廃止を撤回したうえで、むしろ、この保護を受けていない低所得世帯への応援こそが求められているのではないでしょうか。
 今日、大企業減税・庶民増税など、強きを助け弱きをくじく、格差拡大政治が大きな社会問題になっています。しかしより大きな問題は、これが上位グループの所得が大きく伸びたための格差拡大にとどまらず、下位グループの所得が減り続けている、しかも伸びる見通しもないというところに、今日の格差拡大の根本的な問題点が横たわっています。
 いわゆるワーキングプア、即ち働いても生活保護水準の賃金しか得られない膨大な低賃金階層の存在が問題になっています。男性に比べ、女性の場合は正規雇用率がさらに低く、いっそう深刻です。国民年金が、満額でも6万円台の水準なのも問題です。医療費の窓口負担の最近の大幅な値上げも、特に高齢者の世帯の生活を圧迫しています。
  これらの分野に政治の光を当て、国民生活全体の底上げをはかることこそが、今日の日本の社会において、緊急に求められている課題ではないでしょうか。
 生活保護基準は、最低賃金や人事院勧告、かつては米の値段などともあいまって、国民の生活水準全体に影響を与えています。保護基準の切下げは、結局は国民生活水準全体を引下げる役割をはたすもので、その意味で国民的な問題であります。一つの例として、今、財務大臣の諮問機関である財政制度審議会が年金給付の値下げを検討しています。即ち、加算の廃止、保護基準の切下げは、結局、低所得階層全体の生活水準を切り下げ、格差拡大をますます助長するものに他なりません。
 かつて、かの有名な朝日訴訟の第一審判決は、生活保護基準即ち健康で文化的な生活の水準は、その時々の国の予算の配分によって左右されるべきものではない、と明快に述べています。政治の根本的な目標は、一国のある一定の経済力の中で、まず国民の最低限の生活を保障しつつその底上げをはかること、できるだけ格差を縮小する方向で配分されることではないでしょうか。累進税制や社会保障がその役割を担うとされてきたのはすでにご承知の通りであります。市民のくらしを守るという政治の原点に立ち返り、本提案にご賛同賜りますよう呼びかけさせて頂きまして提案説明とします。ありがとうございました。