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市会報告

加藤あい 議員

06年3月17日(金)

06年度公営企業関連予算への討論 06年2月定例市会 閉会本会議討論

 日本共産党市会議員団は、平成18年度の市バス事業予算案については反対し、他は賛成する、との態度を表明しておりますので、議員団を代表して、その理由を述べ、討論いたします。

公営企業-公的な責任を果たすことを求める

 病院・市バス・地下鉄・上下水道など、公営企業は、市民生活に密着した事業です。「公営企業法第3条」には、「その本来の目的である公共の福祉を増進するように運営されなくてはならない」と明記されています。ところが、公営企業の本来のあり方がゆがめられ、効率性のみを優先し企業主義に拍車をかける流れがつよめられています。公的な責任を果たすためには、必要な補助金の確保、国の補助制度拡充や資金手当て確保に全力をあげることとあわせて、一般会計からの応援が不可欠です。まず、この点での独自の努力を求めます。

バス事業-「管理の受委託」の撤回を

 次に、各事業予算案についてです。

 市バス事業予算案について、反対する理由を述べます。

 第一は、乗客の安全の後退をまねく職員の労働条件の悪化、市民の足の切捨てにつながる「管理の受委託」を進める予算だからです。質疑のなかで、委託先の運転手の通勤時間が往復20分から2時間になり、「これでは、安全運転に自信がもてない」と声がよせられていることを紹介しました。市長は「管理の受委託は公営交通バス事業の最後の切り札」だと強弁されましたが、広域異動によって、乗客の安全が脅かされる事態が起きていることを直視すべきです。JR西日本の事故や高速道路での事故などの原因が、運転手が安心して仕事が出来ない環境にあったことを考えれば、労働環境の悪化は許されません。公的責任を後退させる管理の受委託の撤回をあらためて求めます。

 第二の反対の理由は、人件費と経費節減先にありきの消極的予算となっているからです。前年度予算に引続いて、4年連続、赤字予算の提案です。「赤字の予算を組み支出抑制をすすめる、結果、決算は黒字」。これを、3年間も続けていることは重大です。福岡市営地下鉄や横浜市市バスなどでは、「どうやって乗客を増やすのか」という観点から、運賃を値下げしました。他都市にも学びながら、積極的営業方針へ転換すべきです。均一区間と調整区間の差をなくして全市を均一区間とすることを従来から求めてきましたが、答弁は「長い研究・検討の課題」と消極的です。バス専用レーン確保、拡大についても、啓発、宣伝にとどまっており、努力が欠けています。サービスの一元化や定時制の確保に思い切って努める姿勢をもつべきです。

 第三に、平成17年度に多くの反対の声を無視して強行された敬老乗車証有料化に関わって、新たな市民負担が生まれること、それになんらの対策もとろうとしていないのも問題です。国の税制改悪で高齢者の非課税措置が廃止されることにともなって、敬老乗車証の自己負担金が3000円から5000円、もしくは、1万円に跳ね上がる方が多く生まれます。市長は「5000円でも、月額にすれば420円、それ以下の方が全体の9割、特段の対策を講ずる考えはない」とおっしゃいました。収入が増えないのに負担が増える、そのことの痛みをどのように考えておられるのでしょうか。市民の負担と痛みをかえりみないその姿勢が、敬老乗車証の交付率をさらに引き下げ、ひいては、「高齢者の社会参加の促進と敬老の意を込めたもの」と自らからが示した制度の理念を、後退させることになるのではないですか。厳しく指摘しておきます。

 又、交通局における人権研修について、公費での部落解放集会への参加が継続されていることが明らかになりました。「局の経費では廃止、文化市民局の費用で参加」というのは、公費参加に変わりはなく、とんでもないごまかしです。市民の税金での特定団体の集会参加は、きっぱり、やめるべきです。

バリアフリー対策の推進を

 地下鉄事業予算案については賛成です。烏丸線に乗入れている近鉄車両への車両間転落防止装置の設置は18年中にめどができたと答弁がありました。ホーム柵の設置や安全要員の配置を進める等、更なる安全対策・バリアフリー対策の推進を求めます。また、本予算案は、地下鉄の運賃値上げの本格実施初年度の予算案となっています。「初乗り210円はかなり高い」「ますます地下鉄に乗らなくなるのでは」との声が市民から寄せられていることを指摘しておきます。国に対して、補助制度の拡充、高金利債の借り換え促進を求めると同時に、政府系金融機関の民営化や消費税増税の影響は甚大であり撤回を強く求める等、更なる財源確保をはかるべきです。

水道-鉛管の宅地内取替助成制度を早期に具体化を

 次に、水道事業及び下水道事業予算についてです。

 鉛製の水道管のとりかえについて4億円を計上し、単独工事をおこない、宅地内の取替えについての助成制度も「遅くない時期に結論を出す」との答弁がありました。安心の水を確保する一定の努力がされています。漏水の修繕が漏水修繕センターに一本化され、「受けるのはそれぞれの営業所、出動はセンター」となり、結局、連絡後の対応が遅くなる事態の改善等、市民サービスの更なる向上に努められるよう求めます。

また、上下水道料金の福祉減免を実施されないのは問題です。政令市で実施していないのは、札幌市と京都市だけです。ライフラインを絶たない決意を求めます。宅地内漏水工事について、同一の企業が同一の営業所の工事を落札する不自然な事態が続いていることも問題です。副市長は「入札参加業者を増やした」落札率は3年前の「90%台から80%台になった」と答弁されましたが、80%台なのは一部であり、違う業者が落札したのも一部にとどまっています。改善を強く求めます。

 下水道事業では、汚水資本費補助金が3年間で35億円の予定が、年間7億円にされたままです。回復を求めた党議員の質問に、副市長は、以前の分の回復はもとより、20年以降は、繰り入れるかどうかも未定と答弁されました。大変重大な答弁であり、市民サービ低下や負担増へとつながるようなことは、あってはなりません。あらためて、回復を求めます。

市立病院-公的病院としての役割はますます重要一般会計からの補助金の復活を

 最後に、病院事業予算案ついて述べます。

 市立病院の救急医療、高度医療などの不採算医療を受けもつ公的病院としての役割はますます重要になっています。市民の安心してかかれる病院という市民の期待に引続きこたえていかれるよう要望します。

 従来行われてきた市任意の繰入金が、財政非常事態宣言時に5億円カットされ、未だに回復をされていません。公的病院の責務を堅持するためにも回復すべきです。市長は「病院は経済性も大事、繰り出し金の増額は困難」と拒否されました。市立病院としては3億円の減収が見込まれ影響が大きい国の診療報酬の引き下げについても、「やむをえない面もある」との認識を示し、内部の経営努力と患者への負担をおしつける答弁でした。大変冷たい態度と言わざるをえません。再度、確保するよう求めます。

 国の医療制度改悪について、市長は「必要な要望は行う、国会審議の動向を見守る」と答弁されました。全国の医師会会長がつぎつぎと反対意見を表明するなか、地域の不採算医療を担う病院として、高齢者を直撃する負担の重さを考えれば、医療制度改悪反対の声をあげるべきです。指摘しておきます。

 病院の人員体制については、労働基準法違反の医師の宿日直問題がいまだ改善されていない点は問題です。違法状況であることを認識し、早急な改善を求めます。看護師の夜勤について病院事務長は、「月8回以下は守るべきもの」との認識を示されました。具体的に採用時期やあり方の工夫を行い、最低限の基準である夜勤月八回以内を守れるよう、必要な人員体制を確保するよう求めます。

 病院整備においてPFI方式を採用するとされていますが、PFI方式は、結局は民間の利益を優先させる事業手法です。副市長は「民間活力を公的な部門に活用すること」がPFI法の目的であると答弁されましたが、御池地下街の例でも、民間活力の活用で、現に、本市は99億もの損失補償を求められているではないですか。こういった事態を繰り返してはなりません。地元業者排除につながることについても、局別審議で「特定目的会社事業が行うしくみであり、地元発注にはなりにくい」と答弁がありました。前例である御池中学でも、参入できたのは下請けであり、共同参加にはなっていません。再度、PFI方式はやめ、公的病院の責務を堅持するよう求めます。

 以上、公営企業関連予算案について、わが党議員団の態度を述べまして私の討論といたします。同僚議員の賛同を求め終わります。