トップ > 市会報告 > 2006年 > 06年1月臨時市会 >

市会報告

倉林明子 議員

06年1月30日(月)

倉林明子議員の賛成討論 無防備・平和都市条例制定の請求について 06年1月臨時市会 閉会本会議討論

 日本共産党市会議員団は京都市無防備・平和都市条例を制定すべきという態度を表明していますので、私が代表してその理由を申し述べます。

市民の平和の願いが込められている

 第一に、条例制定を求める署名41,125筆に込められた市民の平和を求める願いにこたえるべきだからです。請求代表者の意見陳述でも述べられたように、戦争体験者が「戦争はいかん」と署名されたように、市民の平和への願いが込められていることを真摯に受け止めるべきであります。

平和施策・文化財保護の取り組みの具体化を

 第二に、条例に賛同できないとされた市長意見には根拠がないからです。市長意見では平和、文化財の保護の取り組みはすでに実施しており制定の必要ないこと、無防備地域の条件を満たす必要な権限がなく実効性がないことをあげられています。しかし京都市の平和施策や文化財保護の取り組みは決して十分なものではないことが審議を通じて明らかになりました。戦後60年の節目の取り組みはいっさい行われていなかったこと、中央図書館の平和関連図書コーナーの設置も期間限定のもので常設されているものではないこと、被爆者団体への補助金の削減などその内容は他都市の取り組みと比較しても不十分です。世界遺産14ヶ所を持つ京都市でありながら、ハーグ条約の追加議定書の批准を国に働きかける姿勢もないことが明らかになりました。答弁では「イベントや啓発ではなく平和の理念を施策に生かしている」とありましたが、条例案8条で定めるように具体的な平和施策を規定し、予算措置も明記している条例制定こそが求められています。

 次に無防備地域の実効性については、市長意見では国の見解どおりに地方自治体が無防備地域宣言の主体になれないというものの、明確に条例制定を禁止する法的根拠がないことは答弁のあったとおりです。ジュネーブ条約追加議定書や国際刑事裁判所の規定の発効と無防備地域宣言の実効性が世界的にも高まっていることは審議でも紹介したとおりです。国や軍当局との合意がない時点でも条例案第6条で国に対して求めるとしていることからも、実効性のある条例として地方自治体から発信していくことは十分可能です。明確な実効性が今ないからできないとする市長意見は、やる気のなさを示しているに過ぎません。

地方自治体から平和を発信する意義はきわめて重要

 この間、政府は有事法制化、イラクへの自衛隊派兵、憲法9条の改定と日本を戦争に参加できる国に作り変えようとしています。同時にアメリカと一体となって軍事機能の強化を進める米軍再編の動きも強めています。一方で、基地再編強化に対する地方自治体の首長の発言に見られるようにこうした動きに草の根から反撃する動きも急速に高まっています。さらに国内では憲法九条を守る運動が、世界では平和の実現を求め、紛争の解決を武力にたよらない地域共同体が急速に広がりを見せています。武力による紛争の解決ではなく、平和的な解決を実現できる可能性はかつてなく高まっており、逆に世界からもアジアからも孤立しているのがアメリカであり日本となっているのではありませんか。日米安保条約が日本の平和に貢献しているのではなく、先制攻撃を掲げるアメリカ軍基地が日本にあることが逆に日本国民の生命及び財産を危険にさらすこととなっているのです。憲法九条こそ、戦後60年あまり、日本の平和と安全を守る力となってきたのです。今、本条例を制定し、地方自治体から平和を発信する意義はきわめて重要であり、議員の皆さんの賛同を心から呼びかけるものです。

 最後に、市民による直接請求による条例制定の提案を議会がどう真剣に議論をするのか、議会のあり方も問われました。本会議での意見陳述を認めなかったこと、委員会の直接傍聴さえ認めなかったことは、「閉ざされた京都市議会だ」との市民の批判を受けました。今回の扱いを前例とせず、いっそう開かれた市議会となるよう改革を進めていくことが求められていることを申し添え、私の賛成討論といたします。

(賛成したのは日本共産党だけで、否決されました)