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市会報告

せのお直樹 議員

05年12月16日(金)

決議案 障害者自立支援法施行に伴う利用者負担に関する決議(日本共産党提案)に対する賛成討論 05年11月定例市会 閉会本会議討論

 日本共産党市会議員団を代表して、提案されております障害者自立支援法にかかわる2本の決議案について討論を行います。

自立支援法は、欠陥だらけの法律

 この10月末に障害者自立支援法が成立し、来年4月1日から新しい障害者福祉制度として実施されます。この法律は、利用料の定率負担、いわゆる応益負担を導入することから、多くの障害者・家族・関係者が、もっと実態を直視して慎重な審議を行うよう、繰り返し国に求めておられたものです。その結果が、参議院では異例の23項目にも及ぶ「附帯決議」です。これはいかに欠陥だらけの法律であるかを如実に物語るものです。

 一割の自己負担については、部分的な軽減措置があっても、全体として大きな負担増になることは明らかです。だからこそ、法をつくった当事者である国会議員でさえも、地方では障害者団体の代表としての責任に迫られて、利用者負担の軽減を求める陳情を京都市議会に提出されたのです。私たちは障害者、関係者のこの声をしっかりと受け止めなければなりません。

自民、公明両党の提案の決議-障害者や関係者の願いからかけ離れたもの

 ところが、自民、・公明両党提案の決議案で述べられている障害者自立支援法に対する評価は、障害者、関係者の実態、願いから全くかけ離れたものであり、到底賛成できるものではありません。

 決議案は、「障害児者の支援を充実させていくものである」「制度を安定させ持続可能とするため、大きな意味を持つものである」と高く評価しています。確かに精神障害者福祉が位置づけられたことや施設整備などに関しての国の責任を一定明確にした点など前進面はあります。しかし、それは、本来、もっと早く改善しなければならなかったことであり、どれほど多くの関係者が長年にわたって主張してきたことでしょうか。一方で、「持続可能な制度」を口実にどれだけの制度とサービスが切り捨てられてきたでしょうか。関係者の声に耳を傾けなかった国の責任は重大です。

 また、利用者負担に関して、「低所得者に対しての具体的な配慮が講じられることは、障害児者の実態を理解したものと考えられる。」としていますが、果たしてそうでしょうか。現在は、ホームヘルプや通所施設の利用者の95%が無料です。所得保障が不十分で低所得の障害者が多いからです。新しい制度では上限額が設定され、減額措置が講じられた場合でも、ホームヘルプを月125時間利用する場合、障害基礎年金一級(月8万3千円)の人は、これまでの無料から12,300円に、自宅から通所施設に通う場合、食費負担も加わり、障害基礎年金二級(月66,000円)の人でも、無料から12,600円へと負担がふくらみます。通所施設での工賃を上回る負担は、働く権利を奪い、自立を妨げます。影響が生じる本市の利用者数は月々のべ約2万5千人にも及び、その影響は甚大です。これで「障害者の実態を理解したもの」などとどうしていえるのでしょうか。

負担軽減のため本市独自の施策を

 また、医療の負担に関して、「受診の差し控えになってはならないと考える」としながらも「一定の負担はやむをえない」との前提に立っています。どうして障害があることによって必要な医療を受けるための負担がやむをえないのでしょうか。仮に障害がなければ負担をすることはないのです。障害があるというハンディーの上に経済的な負担まで押し付けることは許されません。

 共産党の決議案は、障害者、関係者の声に基づいて法律の問題点を端的に指摘したうえ、「事業やサービスの利用に伴う利用者負担や,自立支援医療における医療費負担が発生したときには,負担を軽減するための本市独自の施策を講じるべきである。」と、明確にうたっています。この決議案こそ、関係者の願いに沿ったものと確信しています。

 国においては民主党も受益者負担を批判し、関係者の意見をさまざま聞いたうえで法案に反対されたと伺っております。

 わが党提案の決議案への大いなるご賛同を心より期待いたしまして、私の討論といたします。

以 上

 日本共産党が提案した決議案(賛成少数で否決)