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市会報告

加藤あい 議員

05年9月15日(木)

加藤あい議員の代表質問と答弁の大要 05年9月定例市会 本会議代表質問

保育、学童待機児解消をただちに

 左京区から選出されています加藤あいです。子育てへの支援策や雇用対策について、市長及び関係理事者に質問致します。

 女性が一生のうちに産む子どもの人数は減り続け、本市がその全国平均を大きく下回っているのは、ご存知のところだと思います。子育てと両立できない働かされ方、重すぎる経済的な負担など、まずしい子育ての環境が、少子化の社会的要因にもなっています。今、安心して、子どもを産み育てられる環境をつくるために、本市でも、積極的な子育て支援策が求められています。

 まず、働きながら、子育てをする上でなくてはならない施設―保育所に関連して質問します。

保育料は値下げを

 第一に、保育料についてです。

 保育所に子どもが通う世帯の家計は、たいへん厳しい状況にあります。所得に応じて決められる保育料で本市の状況を見てみると、非課税世帯が年々増え、昨年7月には、非課税と生活保護の世帯とを合わせると、全体に占める割合が、3割にも及んでいます。保育料の減免を受けておられる世帯も、今年度は、4月から6月の3ヶ月間で47件となり、昨年度は一年で51件ですから、急増をしています。規定が一部緩和されたこともありますが、それだけ、子育て世代の家計が大変になっていることを示しています。

 私は、子どもが保育園に通う、あるお母さんにお話をうかがいました。父親が自営業、母親が非常勤雇用と、不安定な収入で養う子どもさんは4人、現在は、一番下の子どもさんのみが保育園に行っておられます。保育料が1万7400円、学童保育利用料が8300円、毎月、合計2万5千円、家計にしめる割合は決して低いものではありません。「お金を削るために、上の子に学童保育をやめさせようかと悩んだりする」と話されていました。この他にも、子どもを養育するのには、いろいろとお金がかかります。若い世帯の中での不安定雇用の拡大が指摘されているなか、お話をうかがった方は、特別なケースではないと思います。市長は、実態をご存知でしょうか。

 本市の「みやこ・子ども生き生きプラン」ニーズ調査でも、小学校入学前の子どもをもつ世帯が行政に期待することは、トップが「乳幼児医療費の軽減など、医療サービスの充実」、次いで「教育費の負担軽減」となっています。国民生活白書も、希望する子どもの人数より実際の子どもの人数が少ないのは、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」と考える方が多いことを指摘しています。

 子どもを育てている世帯の家計が厳しくなっていて、「子育てにかかる経済的な負担を軽くしてほしい」という願いはたいへん強いものがあります。しかし本市は、その願いに逆行して、この4月から保育料を値上げしました。これでは、結局、少子化に拍車をかける要因をつくることになるのではないでしょうか。これまでから、市当局は、本市の保育料について、「国基準より低くおさえる」と言ってこられました。しかし、そもそも国基準は非課税でも9000円、最高月額8万円と大変高いものです。今回の値上げで、それをさらに、上回る世帯が生まれたのは重大です。しかも、国が基準額を据え置いた中での値上げであり、許されません。

 市長はこれまでからことあるごとに「子育て支援都市・京都」と強調されてきました。子育てを応援するなら、保育料を下げるべきだと思いますが、いかがですか。

 また、3人目の保育料を無料にするなどの経済的負担の軽減が必要です。とくに、多くの自治体が行っている3人同時在園時の無料化は、最低限、すぐに行うべき施策と考えます。答弁を求めます。

〈浅野子育て支援政策監〉今年度、特例保育料について、負担の公平性を図るため格差是正をおこなったが、保育料は国基準の68%。現行の保育水準維持に必要最低限の保育料であり、引き下げは困難。

 2人目保育料は通常のおおむね2分の一、3人目は10分の一と軽減している。保育所に入所していない世帯との負担の公平性や、市の負担もふまえひきつづき検討する。

保育所の体制充実がはかれるよう財政支援を

 次に、保育所の体制整備についてうかがいます。

 本市の保育所が一杯で入ることができない保育所待機児童は、今年度4月時点で、271人残されています。しかし、それを根本的に解決する施設・体制整備は遅れ、定員外入所枠を広げるなど「つめこみ」がすすめられてきました。

 特に、特例保育とよんでいる朝の7時半から8時半、夕方5時から6時の時間帯は、たいへんな状況にあります。フルタイムで働けば、特例保育を利用しないといけない人がほとんどといっても過言ではありません。実際に利用は年々増え、全市で入所している子どもたちの半数近くが利用、保育園によっては、園児の7割から8割にものぼるところもあります。

 保育園への送り迎えにあたるこの時間帯は、親からすれば重要な意味を持ちます。登園時には気持ちよく別れて仕事へ行き、帰るときには、先生から、一日あった出来事を聞いて「今日も一日楽しく過ごせたんだなあ」と安心して次の日をむかえたいものです。しかし、「先生が他の子の対応に追われていて、分かれ際に、子どもが泣いていても、そばに来て、受けとめてもらうことができない」「たくさん子どもたちが残っているのに、先生が一人。一日どうすごしたのか聞くことができなかった」等の実態があります。

 値上げされたのは、まさに、この時間帯の保育料であり、負担は増やされたのに、体制は不充分なまま、結局負担が押し付けられただけではありませんか。

 特例保育で十分な体制をとれるよう、財政支援を強めるべきです。明解な、答弁を求めます。

〈子育て支援政策監〉特例保育の体制確保のため、独自に14億円の支援をおこなっているが、今年度5,000万円を増額し、充実した。市民の特例保育のニーズに合わせ必要なとりくみをおこなう。

学童保育、児童館について

 次に、学童・児童館について質問します。

 市長は、児童館建設について、「みやこ・子どもいきいきプラン」のなかで、10年かけて、120館まで、整備をすすめると目標を決めておられました。しかし、実際は、101館の整備にとどまり、19館、目標を残しました。今度は、「新みやこ・子どもいきいきプラン」で2005年度から2009年度までの5年間で130箇所まで整備するとしていますが、年6館以上整備しないと目標は達成できないにもかかわらず、今年度の竣工予定は3館にとどまっています。これでは、期間を延ばして、目標を先送りしたに過ぎないではありませんか。

一刻の猶予もない、長距離通所

 子ども達は、一刻の猶予もない状況におかれています。

 まず、長距離通所の問題です。

自分が通う小学校区のなかに児童館・学童保育がなく、大変な長距離を、他の学区まで、通っている子どもたちがいます。左京区北白川小学校区の子どもたちの場合もそうです。隣の学区の児童館まで、一人で通っている小学生の保護者の方は「観光地で、シーズンになるとなかなかバスにのれず、親切な人がタクシーに乗せてくれたと後から、本人に聞いた。親切な人だからよかったけれど、犯罪が多発する中で、もし、不審な人だったらどうなっていたか…とても心配している」と言っておられました。また、別の児童館に通っている保護者の方も「学校から持ち帰らないといけない荷物がとても重たい。小さな身体で、1時間弱の道のりを移動していることを思うと胸が痛い」と話されます。遠い距離にあると、子どもたちが、到着するまでに時間がかかり、児童館・学童保育所での生活時間も奪われることになります。同じく保護者の方は話されます。「3年生になると週2日から3日は、6時限になります。3時20分に授業終了で学校を出発し、到着するのが4時過ぎぐらい、遅いときは四時半過ぎになる。用意してもらったおやつを食べたら、もう5時には終わりの会が始まり子どもにとっては、ゆっくりする暇もなく、宿題をする余裕などありません。結果として、『遠出しにいっているだけ』の状況を強いられています」

 本市は、これまでから、児童館建設は、「生活圏である半径1キロメートルの距離」が目安と言われてきました。しかし、自宅から学校の間ではなく、学校から自宅を超えて、さらに別の場所にある児童館・学童保育に通うというのは、子どもたちの足で考えれば、あまりにも遠く、生活圏と呼ぶには広すぎます。

大規模化の改善を

 第二に、「つめこみ」・大規模化の問題です。

身近な距離で施設が整備されていないそのしわ寄せが、今ある施設に、子どもたちを詰め込まざるをえないという状況も生み出しています。児童が100名を越えるある施設では、「しんどくなった子がいても横になって休む場所もない。仕方がないので、他の子ども達がワイワイ騒いでいる部屋の隅っこで横になっているしかない」「子ども同士が名前を知らないまま一年を過ごすこともある」等のたいへんな実態をうかがいました。 児童福祉法で、学童保育は、留守家庭児童に対して「適切な遊び及び生活の場」を提供するものと規定されています。休息をとったり、おやつを食べたり、宿題をしたり、少し身体の具合が悪ければ横になったりする等、家庭での生活に準じたことができる場所が学童保育ということになりますが、しかし、現場では、大規模化、「詰め込み」で、それが保障できない状況が生まれています。

 部屋の広さや、戸外の遊び場があるかないか等施設面の条件はもちろん、子ども達の生活の1つの単位として適正な規模を大きく超えている現状を変えなくてはなりません。

 厚生労働省が委託した子ども未来財団の「放課後児童クラブの適正規模についての調査研究報告書」の中では、「指導員が、指導上望ましいとする規模は30人である」としています。本市の状況は、117学童保育の内、児童の人数が36名以上のところが86%、70名以上が20%を越えます。

 推移で見ても、2004年と2005年で施設数は同じなのに、受け入れ人数は549人増えています。90名以上の児童を受け入れているところも、昨年度2施設であったのが、今年度、7施設にまで増えているではありませんか。しかも、「分室」の設置や増加したところへの職員の配置は、正規職員でなく、臨時職員であるなど、総じて安上がりで現場に負担を強いるものになっています。

 以上の状況を改善するために、次のことを求めます。

 第一に、早期にプラン目標達成するめどを示し、児童館建設の生活圏半径1キロメートルの距離とされている目安は縮小すべきです。同時に、「学童保育の規模をおおむね60名とする」との規定を改め、多くても40人までを適正規模にできるよう、学童保育を実情に応じて小学校区に設置することを求めます。

 第二に、引き続き、すべての希望者が学童保育に入れるように条件整備を進めながら、正規職員の配置などふさわしい体制整備を行うべきです。いかがですか。

〈子育て支援政策監〉17年度当初予算で106館を整備。子どもの生活圏や児童数の動向等を総合的に考慮し、必要性の高い地域から順次整備する。

 職員配置は正規を基本とし、年度ごとに変動する登録児に柔軟に対応するため、臨時職員の配置はやむを得ない。

市長公約-保育所、学童待機児解消の見通しがない

 市長は、マニフェストで保育所と学童保育の待機児童を2005年度にゼロにすると公約されています。実行される見通しは立ったのでしょうか。保育所で言えば、2001年度には「ゼロにする」と打ち上げて、目標期限から5年もたつのに、いまだに実行されていません。結局、保育所も学童保育も、いっそうの詰め込みが進められただけで、待機児解消の見通しすら見えない情況ではありませんか。公約である2005年度中の待機児解消はできないことをはっきり認め、いつまでに達成するのか、市長の明解な答弁を求めます。

〈子育て支援政策監〉保育や学童保育を必要とするすべての人が利用できるようにすることは喫緊の課題。予算の重点配分で保育で365人、学童でも新増築、学校施設の活用などで大幅な受け入れ増を図っている。今年度当初の待機児等の解消は、現在建設をすすめている施設の開所で達成できる。

青年の雇用問題について

 次に、青年の雇用問題について質問します。

 6月12日、京都で、円山音楽堂に「青年一揆」と称して、992人の青年が集まって、青年の劣悪な労働環境の改善を訴えました。建築関係で働くAさんの発言を紹介します。「私が以前勤めていた会社では、毎日残業三昧でクタクタなのに、一度も残業代はつかず有給もないといわれ、体調を崩して休めば少ない給料が更に減らされる。職場の誰もが「嫌なら辞めろ」といわれるのが怖くて我慢している。私も絶対おかしいと思いながら、仕事を覚えたい一心で耐えていました。けれど、無断で給料を下げられたことに耐えかねて労働相談センターに相談し、労働組合に加入して待遇改善を要求しました。書面が社長に届くと「こんなものは払えない、それなら辞めてくれ」といってきましたが、交渉の末、未払い残業代を全て支払ってもらうことができました」。この青年の場合は、権利を知り主張し、がんばることができましたが、圧倒的多数の青年は、そうではありません。さらには、労働者の権利も知らされず、過酷な条件の中で働くことを強いられ、ついていけなくなって、やめざるをえない、もしくは、やめさせられる。それを繰り返して、働く意欲をなくしてしまう青年まで出ています。

若者を使い捨てにする企業と、それを応援する小泉構造改革

 昨年から、話題になっている「ニート」がまさにそれにあたるのではないでしょうか。厚生労働省によると、求職活動も職業訓練もしていない15才から34才の家事、通学をしていないもの」といわれているニートは、三年連続で64万人と出ていました。

こういう事態を、小泉首相が、「やる気のない面も、能力のない面もある」と公言し、いかにも本人の意識の問題のようにいう風潮を、再び振りまいていますが、とんでもありません。若者の側に責任があるのではなく、若者を「使い捨て」にする企業と、それを応援する小泉構造改革にこそ原因があります。

 実際に、この4年間で、正規雇用は大きく減り、逆に非正規雇用が大きく増えました。働く人全体の3割を占めています。とくに、15歳から24歳の若い世代で、2人に一人が非正規社員という大変な事態がすすんでいます。

 本来、非正規雇用を増やして、若者を使い捨てにする企業の姿勢をあらためさせ、安定した仕事と人間らしく働ける労働条件を確保するのが政治の仕事です。ところが、政府は、一時雇用の派遣労働者を製造業や生産現場へ解禁し、派遣期間の延長をするなど労働者派遣法を改悪、逆に、不安定雇用を増大させてきたではありませんか。許されることではありません。

 EUや日本など30カ国が加盟するOECD―経済協力開発機構からも、日本政府に対して、「パートや派遣に関する規制緩和は若年者の雇用に逆効果」「臨時雇用が常用雇用に切り替えやすくするよう改革すべき」と警告が出されています。

 国に対して、非正規労働者など不安定就労の拡大に歯止めをかける法整備を求めるべきです。いかがですか。

京都市としての雇用対策を

 同時に、本市としても取り組みを進める事を求めます。

東京都三鷹市では、職場ストレスや賃金不払い等の仕事についての相談をうける、総合相談窓口を開設しています。相談には、市職員だけではなく、ハローワークの職員や都の労働相談員、保健師などがそれぞれの権限をいかして、こたえています。本市にも相談にのり、労働法の周知もその際に行っていく、総合的な相談窓口の設置が必要です。

 第一に、中京青少年活動センター内に設置されたヤングジョブスポットの機能を生かしながら、関係機関と連携し、より総合的に対応できる相談窓口を設置することを求めます さらに、公的就労制度の創設や市独自の雇用創出、企業への要請など京都市として、雇用対策に取り組むことを求めて、私の質問を終わります。ありがとうございました。

〈文化市民局長〉ニートの増加は経済、社会基盤の維持発展という観点からも憂慮すべき問題。国、府ではすでに若者の正規雇用拡大に向けた取組が進められている。 「ユースアクションプラン」に基づき、青少年の職業意識の希薄化等の課題への対処のため、中・高校の職業体験学習や、インターンシップなどを推進している。ヤングジョブスポットでは職業情報提供やセミナー、講演会を実施。他の青少年活動センターでもテーマを決めて関連事業をおこなっている。今年度新たにキャリア向上に向けた専門相談を実施。今後も職業意識の形成と就業支援の事業実施で、国や府と連携してとりくむ。

〈市長〉依然として厳しい雇用情勢の下、「雇用創出特別事業」を推進。国の特別事業廃止後も、市の独自事業で6事業のべ1万7千人の雇用創出。中小企業・ベンチャー支援、企業誘致など経済活性化を通じ雇用促進に努めている。保育所や特別養護老人ホームの開設も雇用創出の効果を発揮。可能な限り市民の雇用確保に努める。