トップ > 市会報告 > 2005年 > 05年5月定例市会 >

市会報告

赤阪 仁 議員

05年5月20日(金)

赤阪仁議員の代表質問と答弁の大要 05年5月定例市会 本会議代表質問

戦後60年-憲法について:アジア諸国との真の「和解」のために努力を

 伏見区選出の赤阪仁です。私は日本共産党市会議員団を代表して市長および関係理事者に質問いたします。

 最初に、日本国憲法について質問いたします。 今年は、第二次世界大戦が終結して六十年目の歴史的節目の年です。かつて日本が、二千万人のアジアの人々、三百十万人の日本国民を犠牲にした無法な侵略戦争の発火点となった歴史の真実を、子どもたち、後世に伝える大切な年にしなければなりません。この記念すべき年に、中国、韓国をはじめ、日本とアジア諸国との外交関係が、これまでになく悪化していることが心配です。

 その悪化の原因はさまざまですが、根本には、かつての侵略戦争を「正しい戦争だった」と肯定・美化する動きが、日本政府や一部政治家などのなかにあることは明らかです。小泉首相は、四月にジャカルタで開催されたアジア・アフリカ首脳会議で、「反省とおわび」の言葉をのべましたが、問題は、言葉と行動が矛盾していることです。「謝罪」が本心であるなら、靖国神社参拝や歴史をゆがめた教科書問題など、侵略戦争を肯定・美化する行動を直ちにやめるべきです。そして過去の侵略戦争への真剣な反省にたって、アジア諸国との真の「和解」のために努力することこそ、戦後六十年の記念すべき年に、政治に責任を負うべきものの務めではないでしょうか。

 日本国憲法は、侵略戦争の反省のうえにつくられたものであり、「二度と戦争はしない」「戦力は持たない」と世界とアジアに誓った“国際公約”です。憲法九条を守りぬき、生かすことこそ、日本がアジア諸国と本当に心かよう「和解」をなしとげ、子々孫々にわたって平和・友好の関係を築くうえで、最もたしかな保障だと考えるものです。

 ところが、今回の改憲勢力の共通した主張は、「憲法九条と現実との間に乖離(かいり)がある。だから九条二項を直して、自衛隊を軍隊として保持できると書き込もう」というものです。もしもこれを許したら、恐るべき結果になります。つまり、これまで改憲勢力にとって、憲法上の3つの制約がありました。その一つは、海外派兵、二つ目は、集団的自衛権の行使、三つ目は、国連軍への参加という制約ですが、九条に「自衛軍」と書き込んだとたん、この三つが、すべて可能になるという、“からくり”があるのです。日本の国を「戦争しない国」から、「海外で戦争をする国」につくりかえることに憲法改正の真の狙いがあるのです。

 国会では、与党の自民党、公明党だけでなく民主党まで競い合って、憲法改正案の具体化をすすめています。衆・参の両憲法調査会の最終報告書の提出にも自民、公明、民主の三党は同調し、国民投票法案の国会提出に合意するなど、オール与党で改憲への新たな動きを強めています。

 しかし国民世論は、「自衛隊は必要だ」と考えている人びとをふくめ、「海外で戦争をする国」にするための憲法改悪には反対しておられます。先日の朝日新聞の世論調査でも「憲法の全面改正」の支持者は、少数派です。さらに、「憲法九条を変えないほうがいい」という人は、「変える」という人を全世代で上回り、6割の多数派を占めているという結果が出ています。

 昨年6月、「憲法九条改悪反対」の一点で共同をと、「九条の会」が結成されました。呼びかけ人は、京都になじみの深い哲学者の梅原猛さん、三木武夫記念館・館長の三木睦子さん、など九名の著名人です。同会の主催する全国講演会に3万人以上が参加し、大変盛況で、10ヶ月間に1500以上の呼びかけ賛同団体が全国に広がりました。先日は、京都で宗教、宗派を超えた全国組織「宗教者九条の和」が有馬頼底・臨済宗相国寺派管長、森清範・清水寺管主など55氏の呼びかけで結成されるなど、多彩な運動が広がっています。

憲法を遵守する立場で市政運営を

 市長は、先日の記者会見で、現行憲法について、「恒久平和を念願し、自らは戦わないという部分は守るべきだ」、「戦後、日本国憲法を守ることで平和や繁栄を続けてきた」と発言されました。一方で、「環境権やプライバシー権など、新しい人権を盛り込むために憲法改正は必要」と言われました。そもそも憲法とは、国のあり方を決めるものですから、「新しい人権」規定のために、そのつど憲法「改正」する話は、世界でも例がありません。しかも、日本国憲法は、「新しい人権」規定には、憲法13条など31箇条に及ぶ基本的人権の条文で十分対応できる懐深い内容があります。そこで伺いますが、市長は、日本国憲法を遵守する立場で、市政を運営すべきと考えますが、いかがですか。明確にお答えください。

〈桝本市長〉わが国の平和と繁栄は憲法を遵守してきたことによると考えている。制定から約60年、時代に合っているか様々な角度から検証されている。徹底した情報開示のもと広く国民全体で議論されるべき。恒久平和は人類普遍の理念であり変えてはならないと考えている。

平和の尊さを考える行事にとりくむべき

 先日、工事中の尚徳中学校グラウンドの発掘調査から、手榴弾が発見されました。調査の結果、戦争当事、本土決戦を控え、学校の軍事教練で使われた練習用の「模擬手榴弾」であることがわかりました。人々を一度に60年前の戦中に引き戻すかのような事件でした。

 1989年私は、京都市立待賢小学校の教員として、学校創立120周年記念行事企画に参加し、地域の歴史史料を記念誌に編纂する機会がありました。そこで上京区に空襲があったことを学びました。

 今から、60年前、1945年6月26日午前9時30分から10時ごろにアメリカのB29の編隊が飛来、上京区、出水近くを爆撃しました。50キロから250キロ爆弾が7発投下、うち2発は不発弾、死者50人、負傷者186人、被害家屋324軒、被災者850人。当時被災された方は「爆弾が直撃した家のご主人が3~4軒向かい側の2階のひさしまで飛ばされ、頭から脳みそが出てぺしゃんこになっているのを見ました。まさに地獄絵図そのままの、むごたらしい光景は今も心の奥に焼き付いています。」と語っておられます。

 また、当時国民学校6年生で学童疎開された地元の社長さんは、「親子が離れ離れになり、寂しくて丹後から山陰線の線路を歩いて帰ってきた子どももいた。」と、涙ながらに経験を語られました。

 京都市は昨年夏に、広島市の要請に答え、京都アスニーにおいて、ヒロシマ原爆展を開催しました。開催期間中は親子の多数の参加があり有意義であったとお聞きました。今年は戦後60年、被爆60年、の記念すべき年にあたります。市民とともに、平和の行動に取り組み、戦争の悲惨さと広島、長崎の被爆の実相を学び、平和の尊さを考える周年行事にとりくむべきと考えますが、いかがですか。

 お答えください。

〈星川副市長〉昭和53年に世界文化自由都市宣言を行い、平和を都市の理念として、市民とともに様々に取り組んできた。今後も取り組みを進める。

介護保険について
国庫負担分の増額を求め、新たな市民負担を増やすな

 第二に、介護保険について質問いたします。市長、「少ない年金は減るのに、介護保険料は増えて、生活が苦しい。」という市民の声をお聞きでしょうか。また、「特養ホームに入所を申し込みに行くと、330人待ちといわれた。一年間で交代するのは平均10人前後、入所するのに30年以上もかかり、入るまでに死んでしまう。」と基盤整備の遅れに不満は絶えません。

 先日、介護保険改正法が衆議院で与党の自民、公明に民主党が同調し、賛成多数で可決されました。その中身は、おもに「新予防給付」制度の導入で介護サービスを抑制し、施設入所者の負担を年額平均39万円も増やすものであり、とんでもない改悪です。民主党が修正合意したといいますが、高齢者の虐待防止事業を市町村に義務づけ、「新予防給付」は施行後3年で見直すとしただけで、さらに、介護保険料負担の範囲を、若者まで増やす改悪の方向に道をひらくものです。

 要支援、要介護度1の軽度認定者が京都市で2万4千人おられますが、「新予防給付」の制度になれば、従来の居宅サービス、家事援助が切られ、現状の生活維持が困難になるのは目に見えています。また、現在、高齢者福祉施設の入所者、家族の方も、今年の10月から前倒しで、食費と居宅の新たな負担が増えては、これ以上は払えないと悲鳴を上げています。経過措置3年以後には、現在、要介護度1の施設利用者、643人が入居資格を失い、追い出される心配があります。そこで市長に伺います。国に対して、国庫負担分を増やし、介護保険料の新たな市民負担を増やさないこと。「新予防給付」の導入に伴い、軽度認定者の介護支援サービス、家事援助を打ち切ることがないよう求めるべきです。そして京都市の独自施策の拡充も検討すべきと考えますがいかがですか。

 お答えください。

〈松井副市長〉国に要望し、保険料段階の細分化、食費や居住費の実費徴収の負担上限設定、高額介護サービス費限度額引き下げ等が盛り込まれた。家事援助サービスも要する場合は利用可能である。本市独自施策も含めた来年度からの運用については、京都市民長寿すこやかプラン推進協議会で協議いただき次期プランにおいて検討する。

全ての学年で35人学級実現を

 第三に、学校教育について質問いたします。

 昨年来、小泉内閣は、三位一体改革の一環である、国の補助金廃止の大きな柱として、義務教育費の国庫負担制度をあげました。国の補助金が廃止されると、特に教員の数が地方自治体の財政力によって決まり、憲法上保障された「教育の機会均等」が守られず、公教育否定につながると、全国PTA連合会など教育関係団体が反対声明をだされたのは当然です。

 子どものわかりたい、できるようになりたいと言う願いに答えてこそ、学校教育の値打ちがあるのではないでしょうか。一人一人の子どもの成長に先生がより添えられる少人数学級が必要です。教育基本法は国、地方自治体が教育条件の整備を義務付けています。ところが、国は、一クラスの学級編成基準を40人学級のまま、小・中学校は25年間、高校は12年間も放置したままです。一方、国民の教育条件整備を求める運動は毎年強まり、京都市でも30人学級実現めざす署名運動が毎年粘り強く取り組まれた結果、ついに、2003年から04年にかけて、京都市独自の「35人学級」を小学校1,2年生で実現させることができました。保護者や子どもたちから「落ち着いて授業ができる。」「勉強がわかり、おもしろい。」と喜ばれています。これこそ教育基本法実現の道です。来年度は、国の第8次定数改善計画の見直し策定の年です。最近中央教育審議会は30人学級実現を議題に載せ、それを受けた文部科学省は、少人数学級に学級編成基準を変更しようとするうごきもあります。そこで伺いますが、今こそ、国に対して、第8次定数改善計画において、「少人数学級に学級編成基準を改善すること」を求めること。そして現在、進めている35人学級を全学年に拡大すべき時です。さらに、30人学級実現の市長公約を前倒しででも実現すべきと考えますが、いかがですか。

<教育長>35人学級は教育改革推進プロジェクトから小学校低学年における提言を受けて実施しており、本市独自で3年生以上への拡大は考えていない。教員定数の充実は国・府に求めている。国も新たな定数改善計画策定検討に着手しており、動向を見据えて平成19年度までに30人学級導入する方針のもと導入方法を検討していく。

夜間定時制高校の定員を増やせ

 次に、高校再編計画についてお聞きします。

 京都府教育委員会は、一昨年、「府立高校改革推進計画」を発表し、その中で、全日制高校は、1学級40人1学年、8学級以上、単位制高校は、1学年6学級程度を「適正規模」の学校と決め、「転換」や「発展的統合」など再編整備するとしています。府教委は、「これによって府立高校の活性化を図るもので、高校入学が難しくなるものではない」といいますが、昨年春、府南部の山城地域では、南北二つの通学圏を一つに統合し、入学定員を減らした上で、単独選抜制度に変えたので、受験競争が激化しました。その結果「どれだけ点を取ったら入れるのか」と学校関係者が言うほど、多数の不合格者を生みだしました。今年さらに、高校2校減らし10校に統廃合が計画されていますが、今後の生徒数の変化を考えても、学校を減らせば受験競争がいっそう激しくなり、多数の子どもを泣かす結果は目に見えています。

 京都市域内の公立高校も、京都府のいう「適正規模」基準で言えば、府立も、市立高校も、昨年度実績では、その半分、13校が統廃合対象となります。もし機械的に統廃合が実施され、通学圏が減らされ、通学区域が拡大されれば、いっそう過激な受験競争に、生徒が陥れられ、精神的不安と、物理的負担は計り知れないものになり、重大です。子どもの教育を受ける権利を、保障することこそ今求められていることではないでしょうか。

 昨年から、京都市教育委員会は、急テンポで「工業高校の学科再編」と「洛陽工業高校の夜間定時制を廃止し伏見工業高校へ統合、昼間定時制にする」という、重大な制度の変更を行おうとしていますが、在籍する生徒や、広く学校現場や市民の声を聞くべきです。

 洛陽工業高校定時制が廃止されたら、毎年約100数十名、全校生徒、約400名もの子どもたちの進路をどう保障するのでしょうか。

 ある定時制高校卒業生は「夜間定時制は、学校教育の本来の姿を示している。登校拒否で学校嫌いであった私に、人間同士のつながりと自分の生き方に対する肯定感を取り戻した、大切な場所です」とそのかけがえのない役割を語っておられます。

 生徒の「基礎的学習能力の形成」と「学び成長することの喜びが感じられる学校」づくりこそ、思春期の高校生に必要とされているのです。そこで伺います。父母・市民の願いにこたえ、京都市は京都府教委に対し、子どもの進路を狭める「高校統廃合計画」はやめるよう求めるべきです。京都市教育委員会は夜間定時制の募集定員は増やしても減らすべきでないと考えますがいかがですか?  お答えください。

〈教育長〉市内府立高校の具体的な再編計画は聞いていない。夜間定時制は定職につく生徒が1割などの実態をふまえ、昼間に学びたい生徒の進路希望に応えるために全日制定員を拡充してきた。洛陽・伏見工業高校の夜間定時制を発展的に統合し、昼間定時制を新たに伏見工業高校に設置した。

人権啓発補助金について
一部運動団体への特別扱いはやめるべき

 第四に、同和問題について質問いたします。3月の予算市会でわが党は、同和奨学金及び返還免除の自立促進援助金の制度を廃止すべきと主張しました。市長は「社会正義の実現のために行っている」と強弁されました。しかし、不公正な市政の実態を続けて、どこが社会正義ですか? 市民は納得しません。平成14年から始まった「人権に関する啓発事業を行う団体に交付する」「人権啓発補助金事業」は、02年度から3年間に補助金を合計約4570万円も支出しています。副市長は2月議会でこの交付金は「同和問題だけでない」と答弁されましたが、驚くべきことに部落解放同盟が関係する団体や実行委員会に、そのうちの7割以上の約3400万円も支出されていることが議会資料で判明しました。そこで伺いますが、今年、策定された京都市人権文化推進計画は、「市民の自主的な取り組みの支援」を行うといいますが、このような不正常な交付金制度はやめるべきです。市民には、受益者負担を押しつけながら、一方で同和運動団体への特別扱いは許されません。直ちに制度そのものを見直し、執行を凍結すべきですが、いかがですか、明確にお答えください。

〈文化市民局長〉交付の対象は同和問題だけでなく、DVやストーカー、高齢社会、精神障害、外国人など様々な課題の啓発活動に対して支援を行っている。

まちづくり3法の見直しを
国に求めるべき地域に根ざした融資、営業、技術支援の取り組みを

 第五に、地域経済と商店街活性化策について質問いたします。

 先日、地元伏見の商店街の理事長さんを訪問し、お話を聞かせていただきました。

 ある理事長さんは、「補助事業に追われ、地元商店の負担がかさみ事業継続するのが大変です。」と語られました。また、「大型店出店の影響と地場産業の酒造業がふるわなくなり、売り上げが減った」と切実な声を上げておられます。また「商店街にあった大型店の後地にマンション建設の計画がされたが、商店街維持のために一階部分を商店街財産として無理して購入した。商店街活性化のために、京都市の行政支援がほしい」とおっしゃっています。

 京都市内の、小売店の売り場面積が500平米を超す大型店舗の店数は、10年前の145店から、278店にも倍加しています。一方、市内小売店舗数は、逆に3000軒も減少する事態となっています。その結果、売り場面積や年間販売額における大規模店舗の占有率はますます高くなり、小売店の営業をいっそう圧迫しているのです。

 2000年に大店法が廃止され、大店立地法等まちづくり三法、すなわち、大規模小売店舗立地法、中心市街地活性化法、改正都市計画法が施行され大型店出店の規制緩和がすすみました。しかし、昨年7月、日本商工会議所、全国商工団体連合会、全国中小企業団体中央会、全国商店街振興組合連合会の四団体が「まちづくりの要望書」を政府に出しています。

 要望書の内容は、「まちづくり三法制定当初の期待された効果は得られず、全国の中心市街地は活性化するどころか三法制定時よりもさらに寂れている」と、指摘し、大型店出店に関わる現行制度の総合的、抜本的見直しの早期検討を求めています。

 京都市は、2000年(平成12)「京都市商業集積ガイドプラン」を作成し、大型店の規制、誘導をし、有効に機能しているといいますが、事実上、大型店は野放し状態です。

 さらに、京都市が2001年に、10年計画で「伏見桃山地域」を中心市街地活性化地域と指定し、この中核事業を進めるTMO事業=伏見夢工房に取り組まれています。ところが、早くも昨年3年目の途中に、この「計画の見直し」を京都市は発表しました。

 しかも、国の会計検査院は、2003年度決算報告の検査所見として、「TMO 事業は、人材と財政的基盤が備わっていないので、趣旨も浸透せず、全国的にも成功していない」と、指摘しているのが実態です。

 そこで伺います。来年の大規模小売店舗立地法の見直しに当たり、地域的な需給調整を可能とするよう法改正を国に求めるべきです。同時に「商業集積プラン」と「まちづくり条例」を見直し、京都市独自でも大型店の出店規制をはかるべきではありませんか。そして中小企業支援センターとの連携で、商工関係者の相談窓口機能を区役所、支所にも広げ、地域に根ざした融資、営業、技術支援の取り組みをすすめるべきと考えますが、いかがですか? 明確な答弁を求めます。

〈星川副市長〉国において、まちづくり三法の検証を進めている。本市「まちづくり条例」「商業集積プラン」は、その基準を遵守することによって過度の大型店出店が抑制され、都市づくりの目標と整合した商業配置の実現に大きな成果を収めてきた。中小企業支援センターに中小企業診断士等を常駐させ、総合的な窓口相談や派遣相談など取り組んでいる。

深草大岩街道周辺地域の環境問題について

 最後に、深草大岩街道周辺地域の環境問題について質問いたします。大岩街道周辺整備に関して、市当局は全庁体制で解決を図ってきたと言いますが、いまだ不法占有、違法建築物が絶えず、悪臭も絶えない、野焼きも一部ある、そして東京ドーム1個分120万立米の産業廃棄物の山・岡田山が残っています。今年度予算で「違法行為を許さない良好な地域環境育成の方向性を示す指針」を策定するとしておられますが、京都市が率先して地域住民の願いにこたえ、毅然として改善の範を示すことができるかが問われています。

 毎年、京都市は、「環境調査は問題なく、住民の健康調査はする必要がない」と住民の調査要求を拒否してきました。しかし岡田山周辺の土壌汚染調査は、現地で行われていません。また、七瀬川の水質調査も京都市が調査している現場は、かなりの下流域で、地元の現状を正確に反映したものとは言えません。

 ここに、地元の大学研究者が調査した、深草大岩街道周辺の土壌と七瀬川、大日川の河川堆積物の汚染調査報告書があります。岡田山周辺で有害物質の砒素による土壌汚染が通常の4倍以上、河川堆積物では、21倍の汚染実態が確認されています。また、重金属の鉛は土地で通常の20倍以上も確認され、河川堆積物からは約21倍も検出されるなど、ほかにも多くの有害物質が検出されています。(資料2)

 また、国土問題研究会の先生の調査でも、河川に生息する珪藻の種類の数は減り、奇形の珪藻が多量に発見されていることが報告されています。こうした汚染の実態を見れば、住民の不安は当然ではないでしょうか。

 そこで質問しますが、今回、新たな「指針」策定をめざす上で、住民のみなさんの不安を解消するため、早急に健康調査を行うこと。そして、住民参加を保障し、大学研究者、NPO環境団体、弁護士など専門家をいれた検討委員会を設置することが必要と考えますがいかがですか?  明確にお答えください。

 以上、これで私の質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。

〈星川副市長〉今後、良好な地域環境づくりの方向性を示すため、指針を今年度策定することとし、庁内検討委員会で検討している。環境調査については、大気及び土壌中のダイオキシン測定を継続している。残る1ヶ所の焼却施設についても測定している。いずれも環境基準を下回っており健康調査は必要ない。