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市会報告

ひぐち英明 議員

05年3月18日(金)

「定率減税縮小撤回」意見書についての討論 05年2月定例市会 閉会本会議討論

 私は日本共産党市会議員団を代表して、定率減税縮小の撤回を求める意見書に賛成する立場で討論を行ないます。

 第1に、国民の生活にとってどうなのかという問題であります。

現在開会中の国会で、小泉首相は所得税・住民税の定率減税を2006年から半減させる予算案を提案しており、与党は、税制改正大綱で2007年から定率減税を廃止する計画を打ち出しています。

 この計画が実施されると、国民の負担増は2年間で3兆3千億円にも及び、そのほかにも、配偶者特別控除の廃止、公的年金控除や老年者控除の縮小・廃止、消費税の免税点の引き下げ、年金保険料の値上げ、介護保険の利用料や保険料の値上げ、雇用保険料の値上げなど、すでに実施されているものも含めて、合計7兆円もの負担増が押し付けられようとしています。またその先には、消費税の大増税の計画まで示されているわけですから、これでは、国民の生活が持続不可能なものになってしまいます。

 次に、景気回復という点においてどうなのかという問題であります。

 1997年に当時の橋本内閣が「財政危機」を理由に、消費税を3%から5%へ引き上げるなど、9兆円もの国民への負担の押し付けを実行しました。これが、大不況の引き金となり、そのことで税収が数兆円規模で減り、深刻な財政悪化をもたらす結果となりました。当時は、年間数兆円規模で家計の所得が伸びているときでした。それでも9兆円の負担増が所得の伸びを上回り、景気を奈落の底につき落としました。

この間の状況はどうでしょうか。家計の所得は年間数兆円規模で減っています。この所得の減少に追い打ちをかける巨額の負担増を家計に負わせたら、日本経済はいったいどうなってしまうのでしょうか。

 政府は国会審議で、大企業の景気が上向く中で家計所得も上向くのではないか、とのごまかしの見通しを説明しています。確かにこの間、大企業は史上空前のもうけをあげ、経常利益は大幅に増えています。ところが、家計の所得がどうかというと、97年の9兆円の負担の押し付け以降、下がり続けています。このことは、政府の報告書である『日本経済2004』でも「企業の利益がのびても給与は下がる、逆相関が強まっている」と指摘されているところであります。つまり、大企業がいくらもうけをあげても、家計の所得は下がり続けているという状況を政府みずから認めているわけであり、こんなときに、今回の大幅な増税を強行すれば、消費はさらに冷え込むことになります。橋本内閣のおかした大失敗を、今の政府与党が再び繰り返せば、日本経済がいっそう落ち込むことは明らかであります。

 現在行なわれている定率減税は、「景気回復」のためとして、大企業の法人税減税や高額所得者減税などとセットで、6年前に実施されたものでした。ところが、家計の所得に影響を及ぼす定率減税は縮小・廃止しながら、同時に実施した大企業への減税と高額所得者への減税はそのまま続けるというのですから、これでどうして国民が納得できるというのでしょうか。

 さて、現在の京都市の状況はどうでしょうか。産業観光局の中小企業経営動向実態調査では、景況判断で「悪い」と答えている企業が「よい」と答えている企業を大幅に上回っている状況が続いており、個人消費の回復が見られない、との分析がされています。

 こうした状況を打開しようと思えば、社会保障の充実や地域経済の振興など、国民生活中心の経済政策に転換を図ることが重要です。家計消費を暖め景気を回復させていくためにも、庶民への大増税となる定率減税の縮小・廃止をやめるべきであることを指摘して、私の討論といたします。