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市会報告

ひぐち英明 議員

04年10月 8日(金)

京北町の編入合併対する議案への反対討論 04年9月定例市会 閉会本会議討論

 私は日本共産党議員団を代表して京北町の編入合併に関しての2つの議案、議題124号、125号についての討論を行います。

 今回の編入合併が京都市や京北町の自主的発展につながるのか、また、それぞれの地域住民の暮らしの向上につながるのか、慎重に審議、検討をしてきました。その上で今回の2つの議案について、日本共産党議員団は反対との態度を表明しておりますのでその理由をここで述べます。

市域の拡大により、きめ細かい行政が困難に

 まず第1の理由は、市域の拡大により、きめ細かい行政が困難になるという点です。

 『京都市・京北町合併問題研究会調査結果報告書』でも、京都市にとって懸念される事項として、合併により市域は大幅に拡大し、行政区面積が大きく広がり、きめ細かい行政が困難になることを指摘しています。

 今から47年前の昭和32年には、今回と同じく京北町から広河原が京都市に編入されました。この地域では長期にわたって過疎が進行してきましたが、実効ある対策は打たれてこなかったために、若者の流出が続き、高齢者比率は44.7%にも達するなど事態は深刻です。広河原に限らず、京都市の周辺地域のみなさんは、過疎対策、医療・介護対策、農林業対策など中山間地の振興について、長期的展望をもった「中山間地スタンダード」をつくりあげることが必要、との強い要望をされています。

 今回の合併に際して合併特例を活用し、京都市域についても道路整備や施設整備など周辺整備をすることになっていますが、これだけで今日の中山間地が抱えている問題が、解決される展望が開かれるわけではありません。今回の合併により、本市の対応する地域が広がり、林業振興対策が後退するのではないかと、林業関係者のみなさんから、心配する声も出されています。

 過疎問題を解決するには、農業や林業支援、福祉や公共交通の充実など、本格的で総合的な支援策が必要です。合併特例の10年間に限らず、それ以降の振興策についても施策展開をするとしていますが、この間の審議でも具体的な計画は示されておらず、このまま合併を推進することには大きな懸念が残されます。

京北町におけるさまざまな住民サービスが後退する

 第2の理由は、京北町におけるさまざまな住民サービスが後退するという点です。

 合併により京北町では町役場、議会がなくなります。その影響は計り知れないものがあります。議員団が地元のみなさんと懇談した際も、自分たちのことを気にかけてくれる役場や議会がなくなることを心配する人の声をお聞きしました。今回の合併が行われることによって、寝たきり老人等 住宅改修費 助成事業や心配ごと相談事業など、京北町の地域に密着した75の事業が廃止されることになります。また、残るすべての事業・施策についても、原則として京都市の制度に統一されることになります。

 その結果、たとえば国民健康保険料でみると、京北町では一人当たりの保険料の年額は平均で5万1千円に対し、京都市は7万6千円で、2万5千円もの値上げになります。激変緩和策として一定割合を減額する措置をとるとしていますが、5年間の限られた措置であります。これでは大幅な負担増に他なりません。

 町営バスやスクールバスの運行についても、合併協議会では重要事項として協議されました。これらの施策については「継続する」との方針が出されていますが、効率化をすすめるなど運営方法の見直しを前提にした継続です。現行体制がこのまま継続される保証はありません。教育問題では、将来の小学校の統廃合を心配する声が地元にありますが、委員会質疑では「状況に応じて対処される」「合併協議会の決定を尊重する。その後の扱いについて京都市としてはそれ以上決まっていない」との答弁でした。京北町には遠距離通学高校生 通学補助事業がありますが、京都市にはその制度がありません。「継続するのか」という問いに対し、一定期間経過措置をもうけるものの、「京都市の制度に合わせる」との答弁でした。

 合併協議会や委員会での審議によって、地元のみなさんの心配の声が払拭されているとは、到底言えません。本議案は、さまざまな重大問題について解決の見通しのないまま、京北町を廃し、京都市への編入を決めようとするものであります。

合併協議が破たんする実例が全国で相次いる

 最後に、そもそも、小泉構造改革にもとづく市町村合併推進の目的は、「自治体リストラ」により、国の地方に対する財政支出を、大幅に削減することにあります。市町村が1000程度になれば、地方財政は4兆円から5兆円を縮減できる、総務省はこのようにソロバンをはじいています。全国で自主的な市町村合併を前提にしながら、実際には国による押し付け、誘導が行われてきました。この間、合併申請時期を延期してでも進めようとする国の動きのもとでも、合併協議が破たんする実例が全国で相次いでいます。

 一年前、合併協議会設置の反対討論の時にも私は指摘しましたが、京北町のみなさんが提出した「京都市への編入を求める要望書」、この中には「許されるなら町がこのままで続くことが、私たちの願いであります」と書かれています。ここに京北町のみなさんの本当の願いがあるのではないでしょうか。

 以上の理由から、今回の合併についてはすすめるべきでないことを申し述べ、私の反対討論といたします。