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市会報告

井坂博文 議員

04年3月29日(月)

公営企業特別会計予算案に対する討論 04年2月定例市会 閉会本会議討論

 日本共産党市会議員団は、平成16年度市立病院事業予算案、水道事業予算案、公共下水道事業予算案、地下鉄事業予算案には賛成する。市バス事業予算案には反対する。との態度を表明しておりますので、議員団を代表してその理由を述べ討論いたします。

 予算特別委員会ではかつてなく「公営企業法第3条」が議論になりました。第3条とは、公営企業経営の基本原則であり「常に企業の経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進するように運営されなければならない」と明記しています。ところが公営企業法が制定されて以降は、本来の行政サービスのなかに企業主義が導入され、独立採算制が押しつけられてきました。その結果、経費の負担が増え赤字になれば運賃や料金、使用料の値上げをおこない、住民負担は増大する。さらに職員のリストラ、人件費の削減をおこなうという「経済性を追求すれば公共福祉が後退するという避けがたい矛盾」となってきました。この解決こそ今日の公営企業と議会に求められている重要な課題であり、経済性を優先させて公共性をいささかも後退させてはならないのであります。

 そこで一般会計からの任意の繰入金・財政支援に対する市長の姿勢であります。わが党議員団は14年・15年度の財政非常事態宣言による任意の補助金の凍結を全額回復するよういっかんして求めてきました。ところが、市立病院では5億円の補助金凍結をそのままにして、他の補助金も削減見直しをせず、15年度と同額の繰り入れの予算案となり、2年連続赤字予算を組んでいます。また下水道事業への汚水資本費補助金についても、この2年間の繰り入れ凍結を解除したものの、14年~16年度の3年分予定額35億円を今後の5年間で分割して年間7億円ずつ繰り入れるという提案であります。

 これでは全くのごまかしではありませんか。公営企業は独立採算制による経済性にのみ走ることを余儀なくされ、公共福祉とサービスの低下につながることは明らかです。凍結した任意の補助金・繰入金を全額回復することは市長の責任であります。そのことを強く求めるものであります。

 つぎに、各事業予算案について態度を述べていきます

まず市バス事業予算案について反対する理由を述べます。営業姿勢がまったく消極的です。15年度比で、1日あたりの走行キロは200キロ、乗客数も4000人の減少という予算案になっており、積極的営業とはほど遠いものであります。

 さらに「管理の受委託」については、市長のマニフェストでは「市バス事業をはじめ民間委託の一層の推進」とありますが、従来交通局は「管理の受委託は民間委託ではない」と説明してきたはずです。ところが局審議では「厳密な意味では違うが、現実的には民間委託である」との苦しい言い訳でした。これは重大な答弁であります。

 あわせて「管理の受委託」の推進による嘱託運転手の雇い止め(解雇)は再検討し、ただちにやめるべきであります。市長は「やむを得ない」と答弁しましたが、最近の労働法制の流れから見てもこれは通用しません。ただちに雇い止めを撤回するよう強く求めます。

 また3月20日からの新しい路線とダイヤによる運行が始まっていますが、利用者や地元の人たちの声を聞く努力や、要望をまったく反映されていません。改善を求めます。

 市バス事業での従来の経営健全化補助制度に変わるものとして、新たに周辺部の生活支援路線を補助する財政支援制度が創設されました。ルネサンスプランの期間限定にとどまらずその後も継続するよう求めるものであります。

敬老乗車証について、副市長から「秋に更新があり、若干の見直しはするが、現行制度の変更は考えていない」との答弁がありました。対象者の拡大についても「昨年の請願が採択された地域で、格差の解消のための方法を財政的にも含めて検討している」とのことでありました。現行制度の堅持と拡充を改めて求めます。

 次に市立病院事業予算案について述べます。市立病院のあり方について病院事務局長から「公的病院として、市民の健康を守ることを目的に運営する」との答弁がありました。その立場を堅持していただくよう要望します。そして市民の強い関心がある鳥インフルエンザ対策についても、市民に安心していただけるために、万全の体制で対応されるよう求めます。

 医療事故防止に関して緊急の改善対策を提案しました。まず看護師の月9回夜勤の増加や32時間連続勤務が常態化しているなどの当直基準に反する事態は即刻改善すべきであります。松井副市長から「救急体制は繁忙を極めている。厳しい状況は認識している」と認め「改善に努力する」との答弁がありましたので確実な改善を要望いたします。

 次に水道事業および下水道事業予算案について述べます。こんご5年間現行料金と使用料を維持する「中期経営プラン」が策定され、第三次経営効率化推進計画が発表されました。質疑の中では「浄水場や処理場など本丸部分など根幹の技術はあくまで公営で堅持する」との答弁でした。公共福祉の向上と公営の堅持を求めます。

 この4月から上下水道局の局統合が行われます。市民窓口一元化、ワンストップによる市民サービスの実現ということですが、サービスの向上のために引き続く努力を求めます。

 中期経営プランにおける今後5年間の建設改良事業の見直しによる150億円縮減は、大半が「着手時期の見直し」であり、事業の抜本的な見直しを行うべきと指摘いたしました。また水共生プラン提言を生かして、雨水流出抑制を将来構想とせずただちに具体化するよう求めました。それに対して「各戸に雨水タンクを設置しても一時間50?の雨で一杯になる。浸水問題の解決には無理がある」と市民の努力に水を差す答弁は問題であります。あらためてマスタープランの大型事業の見直しと凍結を強く求めておきます。

 公共工事の入札に関して。公認水道協会加盟業者が工事を独占的に受注している実態は何も変わっていません。答弁で管理者は「適正な入札を行なった結果、たまたま100%受注している」との開き直りの答弁でしたが、市民的にも目に見えてわかる改善を求めます。

 今年も給水停止は既に五千件、福祉事務所で相談対応ができているのはわずか1%にも満たない状況です。機械的な給水停止は直ちにやめ、上下水道料金福祉減免制度の一刻も早い創設を強く求めます。

 最後に地下鉄事業予算案についてであります。醍醐・六地蔵間の延伸にあたって100億円の工事費削減と工期の一ヶ月短縮の努力は一定評価するものです。しかし地下鉄健全化出資金とセットで出されている17年度運賃改定の計画は承服できません。市長は「熟慮に熟慮を重ね、慎重に判断したい」と答弁されました。それが真意ならば17年度の値上げは絶対にやめるよう強く求めておきます。

 地下鉄の不良債務解消のための経営健全化出資金は、財源がすべて本市の市債となっており、国は市債発行を承認するだけで負担はありません。これでは将来の市債返還額の増大につながり、市民負担へのつけ回しになりかねません。地下鉄の不良債務の要因は地下鉄東西線の工事費膨張とともに、国の補助制度がきわめて劣悪であることにあります。地方に負担を押しつける三位一体改革の具体化そのものであることを指摘するとともに、国の責任ある対応を求めるものであります。

 以上、公営企業予算案についてのわが党議員団の態度と見解を述べました。同僚議員の賛同をお願いしまして討論といたします。