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市会報告

北山ただお 議員

04年3月29日(月)

「公の施設の指定管理者の指定の手続き等に関する条例」反対討論 04年2月定例市会 閉会本会議討論

 私は、日本共産党市会議員団を代表いたしましてただいま上程されました「議題22号公の施設の指定管理者の指定の手続きに関する条例」につきましては『反対する』と表明していますのでその理由を申し述べます。

 今回の条例は、昨年6月に地方自治法の改正により、体育館や文化会館などの公の施設の管理について、従来の「管理委託制度」から営利を目的にした株式会社など民間事業者も含む指定管理者に管理を認める制度に転換するものです。これまでは、地方自治体が二分の一以上出資する法人か、土地改良区などの公共団体、あるいは農協や厚生社会事業団、又は文化事業団などの公共的団体にしか管理委託できなかったのです。

 今回の「指定管理者制度」は、小泉内閣「構造改革」の一環で、地方独立行政法人、構造改革特区と並んで、国や地方自治体の公務を民間に丸投げする手法のひとつです。今回対象となる京都市の施設は、道路法、河川法、学校教育法など個別の法律で制限されているものを除く約600ほどの施設といわれていますから、その影響は大変大きいのです。京都市の施設ですから、施設運営の民主的なコントロールや行政の公的責任を後退させたり、公共性を危うくさせるようなことがあってはなりません。そのためには福祉や文化、市民活動などに営利を持ち込ませないこと、雇用の安定を確保すること、など施設管理に責任も持てる体制を確保しなくてはならないのです。

 実施されている全国的の実態をみますと、施設管理や雇用などについて問題点も明らかになってきていますから、市民や利用者、そして関係者の声もよく聴いて不安のないものにしていくことが求められます。

 私は、現在直営の施設については、指定管理者制度による管理の委任を行わないこと、そして新規施設につきましても直営を基本とすることを求めるものです。

 次に、この条例は地方自治法の改正によるもので、指定管理者の指定の手続きを定めるもの、いわゆる「手続き条例」でありますが、今後はこの条例の基づいて個別の指定条例が出されてきます。指定管理者の指定をするにあたって、個別条例に先んじて公共性の確保や住民の福祉の増進をきちんと明記したものにしなくてはなりません。

 この条例案に反対する第一の理由は、地方自治法第244条でも明記されている「住民の福祉の増進を目的とする」事が明記されず、第4条にもある「効率性」が打ち出させるなど、公の施設管理における公的責任を放棄することになるからです。

 指定管理者は、従来の管理委託制度とは違い、利用許可や開館時間、使用料金設定もでき、働く職員雇用や賃金、労働条件なども管理できることになりますから、これまでの活動実績や専門性、技術、人材などの蓄積、利用者とのつながり、利用者の利便、料金の減免、運営の公開、など果たして安心できる態勢ができるのかどうか保証がありません。そこで働く職員の労働条件や採用、雇い止め、派遣労働者への丸投げなどに対する歯止めが全く示されていないことです。人件費の切りつめが押しつけられ、労働者の身分や労働条件は著しく不安定になります。又、臨時職員や非常勤職員、パートなど職員の雇い止め、つまり解雇などの雇用問題も起こることにもなります。

 たとえば東京三鷹市では、2001年4月から公立保育園の運営を株式会社ベネッセコーポレーションに委託しました。年間運営費用が半分以下にしています。いかに経費を安くしているか、ここでは園長を含めて全員が1年契約の職員です。雇用・労働条件の不安定な契約社員の元では、保育の専門性を生かし、子ども達の成長。発達を継続してみることができるでしょうか。

 第二の理由は、対象が際限なく拡大され、福祉や文化、教育などあらゆる分野に及ぶことを容認するからです。

 理事者の説明では、道路や河川、学校、第一種福祉法人などは個別に対象から外されているから大丈夫だという説明がありました。しかし、昨年7月17日付の総務省自治行政局長通知では「公の施設の管理状況全般について点検し、指定管理者制度を積極的に活用されるよう」指示をしており、8月29日には、厚生労働省の児童・保護・傷害・高齢者分野の4課長連盟の通達で「社会福祉施設における指定管理者制度の活用について」と述べ、、特別養護老人ホームなどの第一種社会福祉事業も株式会社に管理をゆだねることができる、との見解を出しています。対象の拡大は許せるものではありません。

 反対する第三の理由は、条例の重要な規定が曖昧なままになっていることです。

第13条の秘密保持義務では、具体的にどのように担保されるのか、罰則規定はないのか、退職や契約解除後も義務づけられるのかどうか。第14条の個人情報の保護では、京都市個人情報保護条例に準拠するのかどうか。第15条の情報公開では、「必要な措置」と規定するだけで具体化がありません。又、議会に対しての報告規定もなく、業務の監査の規定もありません。株式会社などの情報も公開ができるのでしょうか。第16条意見の聴取では、市民や利用者の声がどのように反映できるのか、公募の段階から指定後も含めて透明性・公平性を担保する規定や市民参加の審議会、及び利用者運営委員会が必要です。

 このような多くの問題点を含んだ今回の「指定管理者制度条例」には反対することを申し上げまして反対の討論といたします。