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市会報告

河合ようこ 議員

04年3月 4日(木)

河合ようこ議員の代表質問(大要) 04年2月定例市会 本会議代表質問

 西京区選出の河合ようこです。私は、保育の現場に20年携わる中で、働き、悩みながらも一所懸命子育てされているお父さんやお母さんと子育ての大変さも喜びもともにしてきました。そして、子どもが元気に育つ姿が大人の何よりの喜びであり、大人がゆったりと笑顔でいることが子どもの何よりの安心であると実感してきました。

 未来を担う子どもたちが豊かに育つ環境をつくること、親が安心して子育てできる環境を整えることは国や自治体の責任であるはずです。財政難を理由にして、保育や福祉にかかわる予算が削られ、利用者の負担とそこで働く人たちへの負担ばかりが押しつけられることに大きな憤りを感じてきました。今議会に出された来年度予算案でも、市内の保育の大部分を支えている民間保育園に対し京都市が独自に行ってきた援助のうち、子どもの暖房費、給食費、職員の夏休みに代替職員を入れるための費用までバッサリ切り捨てようとしています。これが「子育て支援」を重点施策にした市の予算といえるのかと大きな怒りが湧いています。

 いま、国の合計特殊出生率が1. 32と年々低くなり、少子高齢化が問題にされています。国平均よりも低い、1. 15という出生率の京都において子育て支援は市の将来に関わる大きな課題であり、その充実に真剣に取り組むことが求められているとの思いから市長に質問いたします。

 はじめに、保育所についてうかがいます。

保育の充実を 保育所運営費一般財源化に反対すべき

 小泉内閣は、公立保育所の運営に係わる国庫補助負担金を1700億円も削減し、一般財源化しようとしています。保育所への国庫負担金は1980年代に、8割負担が7割負担、そして5割負担へと大幅に減らされ、保育水準を維持するための自治体の負担が大きくなってきたという経過があります。これ以上の国庫補助負担金の削減は国の公的責任の縮小、自治体への負担押し付けであるとともに保育所運営をさらに厳しくし、保育水準の低下につながりかねません。京都市として、国の国庫補助負担金削減に反対し、拡充を求めるべきです。いかがですか。

〈折坂保健福祉局長〉三位一体改革は、財源移譲を前提に推進を図るべき。公立保育所は地方公共団体の責任で設置しているため一般財源化された。少子化対策の中核をなす保育施設については、国の関与のあり方について論議する必要がある。必要な財源移譲が行われるよう注視する。

待機児解消は保育所の増設で

 また、小泉内閣の「待機児ゼロ作戦」は「最小のコストで最大の効果を」をうたい文句にしています。保育所の新設はせず、すでにある保育所の定員を超えて子どもを受け入れさせることで待機児を減らそうとしてきているのです。京都市でも、定員外の受け入れの枠を25%まで拡大しました。定員の20%、25%も多くの子どもたちを受け入れている保育所は大変な状態です。市長はご存知でしょうか。

 保育所は父母の就労保障と同時に、就学までの子どもたちの健やかな成長・発達を保障するところです。産休明けから身の回りの世話をされ、言葉をかけられ、笑顔であやされる中で子どもたちは愛されていることを実感し、同年齢・異年齢の集団の中で遊ぶ楽しさや人とのかかわり方を覚え、自分も他人も大切だと学びます。子どもたちはていねいに保育されることを通じて安心し、人への信頼を育てていくのです。ところが、定員の弾力化で、保育所本来のこの役割が果たせなくなってきているのです。施設を広げないままの受け入れですから、保育室は窮屈で、「お昼寝のふとんはトイレの入り口まで敷き詰めている」「ロッカーが足りない」、給食室では「配膳台に食器を並べきれない」という状態です。充分な職員配置がない中、乳児クラスではおしめをかえたり、ミルクを飲ませたりする1対1の対応や、言葉がまだうまく話せない子ども同士のおもちゃの取り合いや噛み付きなどにゆったりとていねいに関わりたくてもなかなか難しい状況です。また幼児クラスでも1対1の対応が必要な子が増えていますが、人数が増えても担任は1人のまま…と大変で、保育士さんや調理員さんは毎日くたくたです。これで「安心して子どもが育つ保育所」といえるでしょうか。

 一方、「働きたいが、子どもを預ける所が決まらないと採用してもらえない。」「仕事を探すためにも保育所に入りたいのに、仕事が決まってないと保育所に入れない。」と困っておられる方も多くなっています。ある方は「保育所にはいれないが、働かないと食べていけない」からと、家族が寝ている夜中に働き、睡眠は子どもの昼寝といっしょにとると言われていました。私はこのお母さんが倒れてしまわれないかと心配でした。市長、こんな思いをしながら子育てされている家庭を支えることこそ行政の仕事ではないですか。西京区では子育て世代がどんどん増えています。平成10年以降に保育所は3箇所新設されましたが、待機児はなくなりません。今年、新たに90名定員の桂川保育園が開設されますが、その分の待機児が減っているかといえば、そうなっていません。京都市全体では今年度4月ですでに1700名を超える大幅な定員外入所を受け入れても待機児は200名をこえていました。10月で2500人を超える定員外入所があっても待機児は解消されていません。職を探している人も入れれば待機児はもっと多くなります。西京区をはじめ待機児が多い右京や伏見区などでは特に保育所が足りないことははっきりしています。しかし、来年度予算案では保育所の新設は一つもないとはどういうことですか。おまけに年度当初から2310人もの定員外の受け入れを前提に予算をたてられています。まだ詰め込むのですか。これが市長の強調されている『安心、安全』の子育て支援ですか。待機児解消には、早急な保育所増設がどうしても必要です。

 市長はマニフェストで「現在225人いる待機児童を17年度までに解消する」といわれています。保育所をいつ頃、どの地域に新設するお考えですか。待機児を無くすための具体的計画をお答え下さい。

〈市長〉就学前児に対する定員割合は政令市で最も高く、トップレベルの保育環境を確保。共働き世帯増や就労形態の多様化で、保育需要は年々増大、一部地域で待機児が課題になっている。16年度、600人の入所枠拡大を図る。待機児解消に向けて、厳しい財政状況をふまえ、将来を含めて変化する保育ニーズの動向に対応するため、新設・定員調整などで受け入れを確保する。

専任の子育て相談員配置を

 また、保育所はいま、入所している子どもや保護者だけでなく、一時保育や地域子育て支援ステーション事業など地域の子育てセンターとしての役割も求められています。夫の帰りは遅くほとんど一人で一日中わが子と向かい合うことに疲れているお母さん、「どうやって関わったらいいのかわからない」と悩んでおられるお母さん、「働かないと生活ができない。せめて3日でも預かってほしい」など援助を必要とされている方からの電話や来所されての相談が相次いでいます。主任保育士も保育に入り現場がやっとまわっている状況では、子育て相談にじっくり答えることは本当に大変なことです。それでも各保育所では子育ての悩みを受け止め、様々なとりくみに努力されています。ところが、来年度予算案では地域子育て支援ステーション事業の委託料を引き下げようとされているではありませんか。委託料引き下げを撤回し、各保育所に専任の子育て相談員や一時保育担当職員を配置すべきです。いかがですか。

〈子育て支援政策監〉一時・延長保育、子育て支援ステーション実施などを新たに主任保育士専任加算対象にする。延長保育実施円を増やして加算対象保育所を拡充する。

学童保育の充実を 小学校区に学童保育所を、緊急にすし詰めの解消を

 次に、学童保育についてうかがいます。

 学童保育が一昨年10月から有料化され、昨年10月からは満額徴収でおやつ代をあわせると1万円を超える家庭もあり、母子家庭からも徴収される、など保護者に大きな負担を強いることになっています。有料化はやめるべきです。

 「有料化されたのに、保育条件はよくなるどころか悪くなっている」「学区内にあっても入れない」と保護者から不満の声が上がっています。「家まで帰るのに40分以上かかり、子どもが無事帰って来れるか心配」という保護者の不安は計り知れません。西京区のある児童館は70名以上の子どもたちが3つの校区から通って来ています。育成室は40平米しかありません。一人あたり座布団1枚もないスペースで「全員そろっておやつを食べることもできない」「狭くて思い切り動くこともできない。ケガも多いし、走ったらあかん。と注意するばかりになる」と指導員は頭を痛めておられます。子どもたちの放課後の生活を豊かにするための学童保育が子どもの遊びも保障できないという事態を市長はどう受け止められているのでしょう。来年度の申し込みはすでに80名をこえ、1,2年生だけでも70数名になる状況。「2年生までしか受け入れない学童保育所もある」と聞いている保護者の中には「1,2年が入所できるように、3年になったら登録をひかえないといけない」と考えている方まであるそうです。私は、西京区の学童保育所・児童館を回り、施設長や職員の方にお話を聞きました。来年度の希望者は今年度を上回るところがほとんどです。子育て世代が増えている西京では中学校区に一つの学童保育では全く足りないことははっきりしています。市内には「定員はおおむね60人」とした市の基準を超えている学童保育所が少なくありません。100人を超えている所もあります。北区のある保育園の、この春1年生になる子の保護者から「まだ一人では頼りない子をどこで見てもらえばいいのか」と不安の声や、子どもたちからは「家に帰って一人でいるのは淋しいから早く学童保育所を作ってください」と切なる声が寄せられました。この声に応えてください。市長は「現在115人いる待機児童を17年度までに解消」すると公約されていますが、そのためには早急に一小学校区に少なくとも一学童保育所を建設し、必要な所には複数設置すべきです。そして、児童館建設を待たず、「すし詰め」状態を解消するため分室を作るなど緊急の措置をとるべきです。いかがですか。

〈松井副市長〉120館目標を掲げて、16年度も新たに2館整備、1館設計で104館の児童館で受け入れを拡充。まず16年度当初の地域の状況を把握し、新たな児童館以外にも、既存施設の改修による受け入れ人数拡大などの手法を検討。待機児の17年度解消を達成する。

障害児学童保障のため、指導員増員を

 障害がある児童は4年まで学童に通えるようになり、喜ばれています。けれども、「介助者が3日しか付かず、毎日は通えない」と困っておられる親御さんもあります。理事者は、「3日しか通ってはならないと言ってる訳ではない。」と言われますが、介助者がなかったら親御さんは安心して預けることができませんし、預かる方も障害のある児童を充分みることができず、介助者がいない時の保育を断るところもでてきています。せっかく拡充された障害児学童保育が実のあるものになるよう指導員を増員すること、介助者を市の責任で毎日配置することを求めます。いかがですか。

〈浅野子育て支援政策監〉4年生まで受け入れを拡大し、80館・所で189名、内4年生は33名。介助者派遣を基本に、独自の事業費加算や、主任厚生委員の巡回指導を実施。今後もポスターでの介助者募集や職員研修の充実に努める。

障害児の小学校卒業までの受け入れを

 また、「子どもが5年生になったら、仕事をやめて生活保護を受けないと生活できなくなる」と不安を隠せない親御さん、「自分で介助者を探し、負担が増えても、なんとか引き続き学童保育所に入れてもらえないか」と何度も施設長にお願いに来られる親御さんもおられます。5年生になっても障害のある児童が、一人で放課後過ごすことは難しく、親御さんは心配で仕事を続けることもままなりません。障害のある児童の放課後の生活と保護者の就労・生活を保障するために、せめて小学校卒業まで受け入れることを強く求めます。いかがですか。

〈子育て支援政策監〉4年生まで受け入れを拡大し、80館・所で189名、内4年生は33名。介助者派遣を基本に、独自の事業費加算や、主任厚生委員の巡回指導を実施。今後もポスターでの介助者募集や職員研修の充実に努める。

共同学童保育所の補助金増額を

 市長、学区に学童保育所がない、あっても入れない地域の親御さんたちが、どんな苦労をされているかご存じですか。やむにやまれず、自分たちでお金を出し合って共同学童保育所を運営されているのです。保育料は学童保育所の2倍以上。職員の給料は、10年働いても手取り15万そこそこで自活するのが大変といわれている学童保育・児童館の職員の給料よりさらに低く、一時金も1ヶ月分もないという劣悪さです。年間150万円程度の補助金では、家賃と水光熱費を支払ったら終わりで、指導員の給料にまで回りません。全く足らないのです。自らバザーなどをして運営資金をつくっておられます。本来、市が責任を持って行うべきことを親御さんたちが肩代わりされているのが共同学童保育所ではないでしょうか。京都市が共同学童保育所への補助金を増額し、運営を援助すべきです。いかがですか。

〈子育て支援政策監〉国基準改定で、14年度から土曜開設加算、15年度から職員健康診断経費加算が行われた。障害児登録の場合、市の加算をしている。これ以上の助成は困難。国に基準額の増額を求める。

市長が現場に足を運ぶべき

 市長、あなたはマニフェストで、「子育て支援の先進都市」をめざすと述べておられます。しかし、保育所や学童保育所は、施設整備や職員の増員も不十分で、先進都市にほど遠い状況ではありませんか。本気でとりくむ決意なら、まず自らが足を運んで実態をつかまれるべきです。強く求めます。

〈子育て支援政策監〉保育園連盟、保護者会、児童館学童連盟等との定期的懇談で実情はつかんでいる。現場の意見を施策に反映するよう政策監が責任を果たしている。多額の市独自の助成で高い保育水準を確保しており、「安上がり」とは遺憾。

子どもの医療費の助成について 就学前までの通院の助成拡充を

 最後に、子どもの医療費の助成についてうかがいます。

 昨年9月から京都府が子どもの医療費を入院は就学前まで無料にし、通院は月8000円を超えた分については償還するという制度拡充を行いました。これによって助かっておられる方もあります。しかし、実際、医療費が8000円を超えて払い戻しを受けた方は月300件程度、と本当にわずかです。多くの子育て家庭の方の願いは「通院も就学前まで無料にしてほしい。」ということです。

 3人の子を持つあるお母さんは、「3人が順番に風邪ひいたら大変や。特に月末は…」とおっしゃっていました。「8000円も医療費にかかったら、生活できひん。」というのが実感です。子どもは3歳を過ぎてから、集団生活に入る中で、おたふく風邪や水ぼうそうなどの伝染病にかかったり、けがをすることも多くなります。虫歯になるのもこの時期です。3歳の誕生日に「ぼくは、3才。お兄さんになったんだ!」と誇らしげな子どもの横で、『3歳になったら医療費かかるね‥』と、おかあさんは複雑な面持ち。こんな光景は本当につらいものです。子どもの成長を心から喜べる支援が必要です。市長の政策には「乳幼児医療費助成制度の拡充の検討」が掲げられていますが、いつまでに実施されるおつもりですか。全国的に就学前までの無料化制度は大きな流れであり、京都府下でも園部町は高校卒業までの無料化、京北町は中学卒業までの無料化を行っています。市内でも何度も請願が出され、「通院もせめて就学まで無料に」という願いは切実です。子どもの通院医療費の就学前までの無料化を一刻も早く実施されるよう求め、私の質問を終わります。

〈保健福祉局長〉昨年9月から府市協調で就学前まで引き上げた。3歳以上の償還は月約300件、平均5000円と比較的高額。子育て家庭の負担軽減に役立っている。拡充については財政状況、受診動向を見極める。