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市会報告

岩橋ちよみ 議員

03年10月 3日(金)

公営企業決算について(市立病院、交通局、上下水道局) 03年9月定例市会 閉会本会議討論

自動車運送事業決算(市バス)は認定しない

 日本共産党市会議員団は、報第8号京都市自動車運送事業特別会計決算は認定しない。その他の公営企業決算に対しては認定するとの態度を表明しています。日本共産党市会議員団を代表してその理由について申し述べます。

市バス-「管理の受委託」は撤回を

 自動車運送事業決算を認定しない理由の第一は、市バスの廃止、縮小、民営化を推し進め、市民の足を切り捨てている事です。市長や理事者は「市民の足をまもる、公営交通を守るため」と言いながら、実際には、管理の受委託、市バスの廃止、縮小をすすめてきました。その結果、平成14年度も、乗客は6千人減り、運輸収入は5億4200万円の減収となっています。市長が就任されて以来の7年間、1日当たりの走行キロは2万3千8百キロ乗客は1日当たり13万2千人減ってしまいました。職員は827人減り、市民の足を守るどころか、一層不便にしてしまったのです。この間、次々と、計画を発表し、今年3月には、管理の受委託を2分の1に拡大する「交通事業ルネッサンスプラン」を発表しましたが、その前のプログラム21の総括は、「当初の計画を上回る改善効果をあげながら、当初計画における条件との間で乖離が生じ、経営目標の達成は困難になった」としています。結局、交通局のコスト削減、効率優先の消極的姿勢と規制緩和とたたかわない姿勢によって、計画は破綻したのです。又、管理受委託について、市長は、「運賃と路線は交通局が責任をもつ、民間委託とは異なる」と言われました。しかし、ルネッサンスプランの中でも、「直営の場合は不採算路線への公的負担と議会の監視がある。受委託になれば公的負担と議会の監視はなくなる」と述べているように、管理の受委託とは、規制緩和の名のもとに、民間バスの必死の生き残り戦略に公営交通が手を貸し、公的な関与と責務を放棄するものであり、市民の足が守られる保障はないのです。しかも、民間企業は、採算性と効率性とリストラが宿命であり、儲からない路線にバスが走り続ける保障はなく、逆に、儲かる路線には参入が自由となり、市バスの経営は一層圧迫され、結局、市バス事業を破綻に導き、民営化に突き進むものです。このような管理受委託は撤回すべきです。市長は、管理受委託方針の撤回を求めたわが党議員の質問に対し、「守旧派的、管理の受委託は2分の1以上に拡大する」と答弁されました。管理受委託は2分の1までというルネッサンスプランや従来の議会の議論を踏み超えた不適切な発言と、厳しく、指摘するものです。守旧派というなら、住民の足を守るために、赤字であっても、乗客をふやすために、100円バスなど、様々なとりくみをおこなっている全国の経験に学ばず、コスト削減、効率優先で、市バスの廃止、縮小、民営化の道をつきすすむその姿勢こそ、守旧派ではありませんか。

交通審議会の提言を生かせ 敬老乗車証の堅持を

 第二は、市民の願いに背をむけた、冷たい姿勢に終始し、乗客を増やす積極的なとりくみが不十分なことです。交通審議会では「COP3開催都市として、先導的な役割を」「循環バスについて、大中小からなる循環路線の導入を」「乗り継ぎ抵抗のでない柔軟な運賃政策の実施を」「市バス一台あたりの収入は日本一、市街を市バスで埋め尽くす心構えで」など積極的な意見がだされました。しかし、醍醐地域の小型循環バスへの財政支援については「住民の自主的とりくみの芽をつむことになる」と冷たく拒否、調整区間のサービス改善についても「難しい」との答弁でした。生活支援路線への財政支援など「公営だから補助という思想はない」「一般会計は打ち出の小槌ではない」と消極的な姿勢に終止しています。今議会に、ルネッサンスプランと交通審議会提言を一元的に推進する行動計画「アクションプログラム」が示されました。トラフィカカードによる若干の改善はみられたものの、市民のニーズに応えた、乗客を増やす抜本的な対策とはいえません。本市の政策評価試行結果でも62%の市民が「自家用車を控えてなるべくバスを使おうと思う」と答えているのです。この市民の声に応えた積極的な取り組みこそ、公営交通を守り、市民の足をまもることになるのではありませんか。又、敬老乗車証について、市長は「廃止はしない」と答弁されました。答弁どおり、現状の制度を堅持されることを求めておきます。

 地下鉄事業について、六地蔵延伸事業費が当初計画より、100億円縮減されたと報告がありました。天神川延伸事業についても、市民が納得できるよう、事業費の精査をしっかり行うよう求めます。あわせて、国に対して地下鉄建設に係る補助制度の抜本的な改善を求めることを指摘しておきます

 又、LRTの導入について、「15年以降は、検討路線を抽出し、需要予測や整備費用、採算性を検討する」とくり返しの答弁がありましたが、京都市基本計画でも具体化されているのですから、検討にとどまらず、早急な具体化を求めておきます。

上下水道料金の福祉減免制度の創設を求める

 次に、上下水道事業について、いくつかの点について指摘します。

 まず、大型雨水幹線についてです。大規模事業について、14年度20億円、15年度38億の縮減を行ったと答弁がありました。雨水流出抑制へ「水共生プラン」の策定にむけて、基本方針策定委員会も開催され、動きはじめたことは前進です。計画の繰り延べでなく、下水道マスタープランの見直しも含め、事業の抜本的な見直しを求めます。次に、上下水道料金の福祉減免制度についてです。上下水道どちらも減免制度がないのは、政令市で本市だけであることをくり返し指摘し、求めてきました。給水停止は、前年度から200件も増えました。審議の中で、「停止に至る滞納期間を半分に短縮したため増えた」と滞納者への厳しい対応が明らかになりました。その上、給水停止予告書には「給水停止により、不測の事故が生じても、当局は、一切責任を負いません」と書かれていることも明らかになりました。料金を払えない人に対し、こんな冷たいしうちは、命の水を市民に供給する、福祉の増進に勤めるという公営企業の責任を放棄するもであり認めることはできません。直ちに、予告書の改善を求めます。市民生活はより一層厳しく、理事者の答弁にあったように、節約をこえて料金を払えない家庭が増えているのです。生活困窮者への給水停止を未然に防ぐためにも、全国の事件を教訓に、一人の犠牲も生まないために、本市でも全庁的な努力で減免制度を創設すべきです。汚水資本費補助金については、理事者は「休止された補助金の復活は、分割でも一括でも強く求めていく」と答弁されました。料金値上げにつながらないよう公的な責任をはたすよう、復活を重ねて求めておきます。上下水道局の統合について、「3月議会に条例を提案する」と答弁がありました。市民サービスの低下、市民負担増にならないよう求めます。又、公認水道協会の会員が上下水道局の仕事のほぼ100%受注していた事実が明らかになりました。公共事業の入札の公平性、透明性が問われています。特定業者への特別扱いという疑惑をまねくことのないよう、直ちに改善することを求めるものです。

市立病院-看護師不足の解消、体制の確保を

 次に、市立病院事業決算について、改善すべき点を指摘します。今決算は、20年ぶりの赤字決算となりました。これは本市の財政非常事態宣言による5億円の補助金カットが主要な要因であり、この補助金カットがなければ黒字になったものです。平成15年度はさらに、企業債元利償還基準の切り下げが追い討ちをかけました。補助金を復活し、国に対し診療報酬の見直しと企業債償還基準の復活を働きかけ、公的病院としての役割を果たすよう求めます。又、看護師不足の解消と体制の確保について、市立病院の看護師の配置状況は、政令市比較でも少ない方に位置しています。月8日以内の夜勤協定も、引き続き守られていない実態が議論されました。公的病院として、必要な医療を市民に提供するためにも、体制の確保につとめることを求めるものです。

同和の特別扱いを直ちに廃止すべき

 最後に、同和対策についてです。書類調査で、部落解放京都市集会に上下水道局、交通局から、それぞれ50万円づつ支出されていたことが明らかになりました。上下水道局では、「人権文化に関する助成要綱」までつくるという念の入れようです。この集会は、同和対策の継続をもとめるものではありませんか。同和行政の終結は市長の公約であり、議会の決議もされたものです。直ちに廃止すべきことを強く求めます。

 今、公営企業は未曾有の厳しい危機にたたされています。地方公営企業法は、その目的として、住民の福祉の増進をうたってます。全庁あげての積極的なとりくみでその役割をしっかり果たすことを求めて討論といたします。