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市会報告

北山ただお 議員

03年9月 9日(火)

北山ただお議員の代表質問(大要) 03年9月定例市会 本会議代表質問

 私は日本共産党京都市会議員団を代表いたしまして、昨日の井坂議員に続き、加藤議員とともに、市長並びに関係理事者に質問いたします。

京都市の環境行政のとりくみは、「京都議定書」から逆行している

 21世紀は環境と平和の世紀にといわれてきたのでありますが、残念ながら現在の実態は逆行していると言わざるを得ません。私は第一に、地球温暖化防止対策について、昨日も質疑がありましたが、質問をするものであります。1997年京都を中心に開かれた「第三回締約国会議」COP3では、温室効果ガスを1990年比で、2010年に一定数値削減することを目的にした「京都議定書」が採択され、日本は6%の削減となり、市長は10%削減を打ち出したのであります。最近の報道によりますと、アメリカが離脱を表明していますけれども、鍵を握るロシアが批准を基本承認して、9月29日からモスクワで開かれる「第三回世界気候変動会議」で大統領が正式発表し、近く批准するのは確実と言われているのであります。京都議定書の発効が近い中で、京都市の取り組みと実行内容が注目を受けているのですが現状はどうでしょうか。環境省は2000年度温室効果ガスの排出量が、90年比で8%増加したと発表し、世界に向かっての削減目標6%減はきびしい状態です。京都市におきましても、環境審議会答申などで示されましたけれども、2010年には90年比で18%増加すると言われています。

 7月24日に開かれた環境審議会・温暖化対策検討部会第4回会合では委員から「市の責務をもっと強調すべきだ」などの意見が出されたと報道されています。そして京都市の政策評価試行結果でも、「環境問題への取り組み」の項目で総合評価はCとしかなっておりません。その理由は「市民満足度評価でも省エネ・省資源に取り組んでいる人々が現時点では多くない、二酸化炭素排出量は基準年である平成2年からほぼ横這いのためC評価」と述べているのであります。京都議定書の発信地としての京都市の責務は大変大きいと言わざるをえません。昨日市長は、「10%削減に不退転の決意で臨む」とご答弁されていますが、市の責務をどのように達成していくのですか、お答え下さい。

〈桝本市長〉まもなく、京都議定書が発効する可能性が高まっており、感慨もひとしお。今後、全国に例を見ない地球温暖化防止条例を制定し、京都から温暖化防止のとりくみを世界に発信するという強い決意のもと、国際的なリーダーシップをとって、地球環境問題にとりくむ。

ゴミの分別収集はすすんでいない。早期に踏み切るべき

 市長は口を開けば「京都を環境先進都市にする」と発言してこられましたが、実際の市政を見てみますと事態は逆行していると云わざるを得ません。

 京都市がその責務を果たすために、私は具体的な問題として、第一にゴミの分別収集を徹底して行うこと、第二に市内に大量の車を呼び込む高速道路建設計画を凍結・中止すること、第三に車の総量規制をすること、第四に公共交通を充実させること、を求めるものです。

 第一の点でありますが、京都市は「循環型都市の実現」を基本目標とする新ゴミ基本計画「循環型社会推進計画」を年内に策定することになっています。市民の皆さんからも「分別収集を徹底すべき」だとの意見も多く出されています。他都市では進められている分別収集は京都市では依然として進んでいないと言わざるをえません。現在の3種混合収集では「環境先進都市」などとは到底いえません。京都府小売酒販組合連合会からも要望書が出されておりますように、少なくとも瓶だけでも単独収集することを決断され、早期に分別収集の徹底に踏み切るべきと考えますが御答弁下を求めるものであります。

〈松井副市長〉本市としては、本年度中には「京都市循環型社会推進基本計画」を策定する予定。分別収集について今後のあり方については、市民参加による多様な分別・リサイクルの機会を提供する観点から、計画の策定の中で検討していく。

高速道路の市内への導入計画は直ちに凍結・中止を

 第二に、5月議会で我が党議員の藤井議員から高速道路建設の凍結・中止を求めたことに対して、市長は答弁で「京都高速道路は、交通渋滞を解消するとともに、自動車排ガス量を低減するなど、都市機能の向上と環境改善に大きく寄与する」と答弁されました。この答弁は以前から繰り返されてきたわけですけれども、ここに大きな誤りと問題があるのです。高速道路とは車を大量にはこぶものです。市内に高速道路が導入されれば車が増え、渋滞に拍車をかけることは明らかであり、当然排気ガスも大量にでますから大気汚染が広がり住民の健康に被害がでるのです。こんな事は自明なのに「環境改善に大きく寄与する」という答弁にはどのような科学的根拠があるのでしょうか。市長や役所幹部の間では通じても、市民には通じない論理であります。尼崎公害訴訟や東京大気汚染訴訟では、自動車の排気ガスによる大気汚染で健康被害を受けたことに対して争われ住民側が勝利しました。ここでも車の大量通行が被害の原因になっていると断じています。高速道路の市内への導入計画は直ちに凍結・中止する事、事業化していない3路線については直ちに計画を白紙の戻すことを求めるものです。御答弁を求めるものです。

〈建設局長〉京都高速道路は、国際文化観光都市・京都として、更なる発展と豊かな市民生活にとって必要不可欠な都市の基盤施設。慢性的な交通渋滞の解消や定時走行の確保など交通の円滑化が図られ、二酸化炭素の排出抑制等環境保全にも大いに寄与すると考える。阪神高速道路公団と連携し、新十条通と油小路線の早期完成に努めるとともに、残る3路線についても鋭意、事業化に向け取り組む。

新十条通の、有料高速道路としての建設を直ちに中止すべき

 あわせて新十条通りについてお尋ねします。元々新十条通りは山科南部と市内中心部を結ぶ生活道路として計画されましたから、山科住民は期待を寄せてこられました。ところが京都市は、それまでの生活道路計画から有料高速道路へと計画を転換してしまったのであります。まさに住民の期待を裏切ってしまったのです。生活道路としての計画にすべきであり、有料高速道路建設は直ちにやめるべきであります。現在山科側の工事はほとんど終了しておりますが、高速道路が開通し一般道路に直結すれば当然車の流入が増加し、今の需要予測では1日2万台以上の車の流入が想定されています。そうしますと外環状線道路など接続する道路には車があふれかえり、一層渋滞がひどくなって、大気汚染もすすんでしまうことは明らかであります。今でも山科総合庁舎前にある自動車排ガス測定局の数値では、N02の京都市基準を超えておりますから、道路が完成するともっと汚染がすすむことになります。その上、新十条トンネルには換気所が建設されていますが、十分な脱硫装置のないまま完成すれば超微粒子物質がまき散らされて市民の健康が破壊されることが懸念されているのであります。過日「山科の高速道路と大気汚染・環境問題を考える準備会」が結成され、私はその方々と現地周辺の聞き取り調査を行いました。そのなかでも、大半の方が換気所の建設は知っていてもその機能や影響などについては「解らない」という御返事でした。この本会議場でも、これまでも「換気所」について論議もありましたが、2001年9月11日の本会議答弁では「システムの有効性を検証いたしまして実験も含めた具体化に向けて取り組んで参ります」とのことでした。今日に至るまでも全国的にも完全な除去方法は達成されていないのですから、住民不安が広がるのは当然です。換気所の機能はどう説明されるのですか。きちんとした浮遊物質等の除去ができる装置にして、住民不安を解消すべきでありますがいかがですか、御答弁をお願いします。

〈建設局長〉環境問題については、環境影響評価において、概ね妥当との評価をいただいているが、より一層環境に及ぼす影響を低減させるため、実験的に土壌脱硝システムの導入等に取り組みをすすめている。

車の総量規制にこそ全力をあげるべき

 第三の自動車の総量規制でありますが、市民アンケートを見ましても、自家用車を減らす何らかの規制もやむを得ない.との答えもあり、車の総量規制にこそ全力を挙げる時にきているのであります。京都市都市計画マスタープランでは「自然豊かで環境負荷の少ない循環型の都市をつくる」「歩いて楽しい魅力的な京都のまちをつくる」との方針を掲げ、6月には、京都市交通需要管理施策総合計画である「歩くまち京都、交通まちづくりプラン」を発表されております。ここでも「特定地域への自動車の流入抑制や分散化、自動車以外の交通手段への誘導策などの様々なTDM施策に積極的に取り組む」と述べています。京都市が主催して始めた世界歴史都市会議の議論でも、町なかにいかにして車の流入を防ぐかが課題だ、と繰り返し述べられているのであります。世界に誇る歴史都市京都だからこそ積極的に総量規制に全力を挙げることは、京都の果たす責務ではありませんか。市長はなぜ車の総量規制に取り組もうとしないのでしょうか。明確な答弁を求めるものであります。

〈河内副市長〉かねてからTDM施策に積極的にとりくんでいるところ。今後とも、様々なTDM施策を効果的に組み合わせることにより、自動車交通に過度に依存しない、歩くまち京都にふさわしい交通政策を推進していく。

京都市は、市民の声を生かし市バスの積極的な経営に転じるべき

 総量規制と併せてなすべき事は公共交通の充実、とりわけその中軸となる市バスの拡充が求められます。全国の大都市のなかで京都市バスは市民の足として大きなシェアーを確保しています。本来市民の移動を保障するためには、市バスをきめ細かく走らせることが必要であります。ところが市バス事業の現状を市長が就任された1996年と今年度とを比較しますと大幅な事業縮小が強行されてきたことは明らかです。路線は減らされ、系統の途中打ち切りはすすみ、営業キロは46キロも減らされ、一日走行キロは2万3千8百キロも減、車両も135両の減、職員数も減員され、必然的に乗客も1日あたり13万2千人も減少してしまったのであります。市長は口を開けば「市バスで市民の足を守る」と言われるのでありますが、実際にはこのように縮小され、その上、市バスの半分を民間委託してしまう、規制緩和に対しても有効な手だてが打たれることもなく、今や市バス事業は廃止されてしまいかねない感じであります。これまで多くの市民の皆さんから市バス事業に対して、様々な要望や陳情が寄せられてきました。「路線を増やして欲しい」「ダイヤの改善をして欲しい」「小型循環バスを走らせてきめ細かく足を確保して欲しい」「終発をもう少し遅くできないか」「バス停を明るくして欲しい」等々の要望や陳情、そして私たち市議会にも市民請願が寄せられてきたのであります。これほど市バスに対する市民の期待は大きいのです。消極的な営業姿勢ではなく、積極的に市民・利用者の声を聞いて改善すべきであります。

 この間市バス事業の健全化策として「経営健全化計画」や「市バス事業の今後の展望」「経営健全化プログラム21」「ルネッサンスプラン」と次々と打ち出されてきましたが、実際には市バスのリストラ計画でしかありませんでした。この計画がだめなら次を出す、といったものですから市民・利用者がますます不便になる市バスに愛想をつかしてしまいます。交通局は、今議会に「交通事業アクションプログラム」計画をだして、「利用促進」など27項目の取組を6年間にわたって行うとしております。

 路線やダイヤの改善、案内表示の改善、バスロケーションシステムの増設など乗客のサービスを向上させるのはおおいになすべきことでありますが、あれほど「交通事業審議会」から提案されている乗り継ぎ運賃制度には大胆な提案もなく、市民から要望の強く、京都市の行政区計画にも示されているコミュニテバスについて、何ら具体化がありません。結局市バスの半分を事実上の民間委託にしてしまうことや、「生活路線の確保」といながら路線の縮小やダイヤの変更で、市民・利用者に不便と負担を押しつけるものになっているといわざるをえません。今こそ、利用者、学識者、交通労働者などの皆さんから定期的に意見を聞いて、市民の足を守り、期待に応える積極的な経営に転じるべきであります。

 私は、次のことを求めるものであります。小型循環バスを走らせること、乗り継ぎ制度について時間内乗り継ぎ自由なものに改善すること、公営交通優先の交通規制をさらに強化することを京都府公安委員会に求めること、公営バスへの国や自治体からの補助制度の確立を求めること、以上4点について市長と管理者の決意を伺います。

〈江草公営企業管理者〉京都市交通事業アクションプログラムは、京都市交通事業ルネッサンスプランと京都市交通事業審議会の提言を一元的にまとめ、行動計画として策定したもの。今後、関係機関との連携を一層強化し、走行環境の改善に向けた全市的な取り組みやトラフィカカードでの乗継制度の拡充による利便性の向上を図るなど、市バス、地下鉄のネットワークを生かし、公営交通としての責務を果たすため、全力で取り組む。

LRTの一日も早い実現を

 同時に、マスタープランでも「新しい公共交通の検討」として交通需要管理施策・TDMの中で、LRTについても検討を開始しています。5月市議会で市長は「LRTの新しい交通システムについても平成14年度から調査に着手。本年度には、新しい公共交通の検討路線を抽出し、需要予測や整備費用、採算性等を検討する予定」と答弁されております。環境にもやさしく、世界的にも都市づくりの根幹として見直され、実用化されているLRTを京都でも一日も早く実現すべきであります。京都商工会議所をはじめ、民間市民団体などでも具体化を求めて提案もされていますが、市長の具体的決意を求めるものであります。

〈市長〉平成15年度以降は、検討路線を抽出し、自動車交通など他の交通手段や沿線住民に与える影響を整理するとともに、需要予測や整備費用、採算性等を検討することにしている。今後とも京都市にふさわしい総合的な交通体系の確立をめざす。

バリアフリー化基本計画の策定を

 次の質問は、バリアフリーについてです。2000年11月に、安心して移動できる社会をめざす「交通バリアフリー法」が施行されました。京都市では122旅客施設が対象となり、14地区が重点整備地区指定を受け、現在山科駅と桂駅で具体化がされています。

 高齢化が急速に進むなかで、又高齢者や障害者の方が社会・経済活動に積極的に参加していくことは大変重要な課題であり、一日も早くバリアフリー対策を達成させることが求められるわけであります。

 同時に、バリアフリーは単に旅客施設の改善だけに終わるものではなく、歩道整備や段差の解消など誰でもが安心して出かけることのできるまちづくりの課題なのであります。今回の法律は駅施設などを対象にして自治体や事業者など関係者とともに進めるものですが、私はこの機会に京都市総体としてまちづくり全般に渡ってのバリアフリー化基本計画を立てて、誰でもが安心して暮らすことのできるまちづくりをすすめるべきであることを提案いたします。現在京都市は「人にやさしいまちづくり要綱」に基づいて指導していますが、この要綱では「建築をしたり、大規模な修繕や模様替えをしようとする場合にはあらかじめ市長と協議すること」となっていて、現行の障害を積極的に改善する目的になりえていません。全市バリアフリー化に向けての市長の決意を伺います。

〈松井副市長〉昨年度策定した、「京都市障害者施策推進プラン」では、交通バリアフリーの推進を前半5年間の重点項目として位置づける等取り組みをすすめる。

住民の声を生かしたJR山科駅のバリアフリー化を

 事業が具体化される山科駅は、利用者が一日5万9千人と京都駅に次いで利用が多い駅であります。長年エレベーターもエスカレーターも障害者用トイレもないという大変不便なところでありまして、かねてから山科自治連合会を始め老人会や女性会、障害者団体など区民をあげて設置要望が出されていました。やっとの思いで改善されるのですから、幅広い住民の声を聞いて取り入れていくことが必要であります。関係者や地もと代表などで構成する「山科地区交通バリアフリー基本構想策定連絡会議」が開催され、この8月6日まで行われました市民意見募集に基づいて、近く整備計画が確定します。

 現在の計画では、改札口からホームに至るエレベーター3カ所の設置、エスカレーター2カ所、車いす対応型トイレの設置、点字ブロックの敷設7カ所、改札口における方向音声案内の検討などが実現する見通しとなっております。

 京都の東玄関にふさわしく、北側にも改札口を設置してもっと便利にして欲しい、山科駅を南北に結ぶ「地下通路」を拡幅して欲しい、などの声も寄せられていますので京都市から積極的に実現に向けての努力をされるように求めるものであります。ご答弁を求めます。

〈河内副市長〉JR山科駅北側の改札口の設置や地下通路の拡幅は、大規模工事になることや移転しがたい支障物件があり、施工がほぼ不可能な部分があるなど、対応は極めて困難な状況。

バリアフリー化の貫徹を

 最後に、国は補助金を出すことから10年の時限立法になっています。そうすると、期限が過ぎると次はここをして欲しい、という市民の期待にこたえられないことになるのではないでしょうか。山科駅や桂駅をはじめとして、市民の要望が強い対象となるすべての施設を改善させる決意が必要であります。国に対して補助金の確保と継続とを求めること、京都市としてバリアフリー化を貫徹する決意を強く求めまして私の質問といたします。

〈河内副市長〉今後とも、全体構想や移動円滑化基本法に基づき、財源確保を含め、着実にバリアフリー化を推進するよう取り組む。